SSブログ

Limburg Süd駅を訪ねて [ドイツ鉄道旅行 2017]

 高速新線Schnellfahrstrecke Köln–Rhein/MainはKöln - Frankfurt (M) Flughafen空港を結ぶ全長180kmの路線である。丘陵地に建設されたため最高300km/hに対応しているものの最大40‰の勾配が続くため、動力分散式のICE 3のみが運用されている。この高速新線が開業する前までルール地方とFrankfurt Mainを結ぶメインラインはLinke Rheinstrecke ライン川左岸線であった。ライン川左岸線の沿線にはBonn・Koblenz・Mainzと中規模の都市が並んでおり現在も1時間に1~2本程度のICE/ICが運転されている。一方、高速新線の沿線には大きな街はないが、それでもSigburg/Bonn、Montabaur、Limburg Südと3つの駅が設けられた。このうちSigburg/BonnはBonn郊外のアクセス駅という位置付けで停車するICEの本数は比較的多いが、MontabaurとLimburg Südは各駅に停車するICEが2時間に1本停車するだけの小さな駅である。Sieburg/BonnとMontabarにはすでに訪問済みであったので、今回はLimburg Südを訪れることにした。
 1月21日7時過ぎに自宅を出て、Düsseldorf Hbfから7時27分発München Hbf行のICE 513に乗車する。まだ外は暗い。土曜の朝早い時間帯ということで旅行客の姿は散見されるが、Velaro Dの車内は空いている。

1.jpg

3.jpg

 列車は次のKöln Hbfに定刻の7時49分に着く。ここでホーム向かい側の7時53分発München Hbf行ICE 1521に乗り換える。ICE 513はMünster HbfからDortmunt・Essen・Düsseldorf経由でKölnに至り、ここから高速新線に入ってFrankfurt (M) Flughafenに向かい、さらにStuttgart・Ulm経由でMünchenに至る。一方ICE 1521はDortmunt Hbfを出発して、Wuppertal・Solingenを経由してKölnに至り、ライン川左岸線を経由してFrankfurt (M) Flughafenを経て、Frankfurt (M) Hbf・Nürnberg経由でMünchenに向かう。
 同一ホームに発着させて相互の乗り換えを可能としているのは、如何にもネットワークに強みのあるドイツ鉄道らしいダイヤ設定であるが、遅延などでうまく接続できないことも少なからずあって、どちらもドイツ鉄道らしい一面と言えるかもしれない。
 ICE 1521はICE-Tによる運転である。編成数が多く幅広く活躍するICE-Tであるが、この地域ではやや影の薄い存在である。今回は久しぶりにこのICE-Tに乗りたくなって、この列車を選択したのである。ICE 1521も比較的空いている。Bonn Hbfを過ぎると、そろそろ日の出。うっすらと雪を被った田園の中を走り、朝日が美しいライン川沿いに出るとカーブが続く。自慢の振子装置が活かせない状態が続くICE-Tであるが、走りは軽やかである。

2.jpg

4.jpg

5.jpg

6.jpg

 Koblenz-Lützel付近では1980年代のドイツ鉄道の車両が並ぶ。ここのDB Museumは今日が今年最初の開館日であるが、後日改めて訪問することにしょう。モーゼル川を渡り、Koblenz Hbfには8時46分に着く。
駅の隅でTEE客車が留置されており、近づくと旧ラインゴルトのWGmh 804である。2011年に乗車して以来だが、健在なのは嬉しい。

7.jpg

8.jpg

9.jpg

10.jpg

 8時53分発 Gießen行RE 4283に乗車する。ラーン川沿いに敷設されたLahntalbahn ラーン川渓谷鉄道には2時間おきにREが運転され、“Lahntal-Express“と呼称されている。使用車両は私の好きな気動車、Alstom製Coridia LINT 48である。

11.jpg

 2両編成の列車は空いている。定刻に発車するとライン川を渡り、東へと向かっていく。ラーン川沿いに出ると70~80km/h程度で走る。ここで年配の男性が車内を回ってくる、何と車内販売である。ビールやソフトドリンク、コーヒー、菓子類などをワゴンに載せて販売している。沿線には観光地もあるとはいえ、この2両編成のローカル快速によく車内販売が載っているものである。朝から何も口に入れなかったので、有り難くコーヒーと水を購入する。ラーン川の対岸に立派なホテルが見えると、温泉保養地Bad Emsに到着する。しかし朝早めの時間のためか、乗降は少ない。

12.jpg

13.jpg

14.jpg

15.jpg

 列車は川沿いに70~80km/h程で走る。車窓には雪がうっすら積り、川には氷が張って、美しい車窓風景である。Nassau・Diezで少しずつ 乗客を増やし、Limburg(Lahn)には9時49分に到着する。

16.jpg

17.jpg

18.jpg

19.jpg

20.jpg

21.jpg

 Limburg駅は人口3万人あまりの町であるが、鉄道の拠点駅になっており、Frankfurt (M)へのREも発着する。

22.jpg

 ICEが発着するLimbrg Südは3km程離れた郊外に位置し、シャトルバスが運行されている。案内表示に従ってシャトルバス乗り場に行くと、小さなバスが停車している。ICE駅にはこのバスで良いか尋ねると、全く愛想のない運転手はうなずくのみ。料金は?と尋ねても、手を挙げて終わり、どうやらシャトルバスということで料金は不要のようだ。バスは街道を出て、10分もかからずにLimbrg Südに到着する。

23.jpg

24.jpg

 街道から駅に間にはマクドナルドやKFC、ホテルはあるものの、ほとんどが空き地で閑散としており、人気もほとんどない。開業してもう14年も経過するのにおの状態では、これ以上の開発も望めないかもしれない。駅舎も立派ではあるが、入ってみるとみどりの窓口にあたるReise Zentrumは閉鎖されており、発券などの業務は平日日中のみ営業の駅前のプレハブ造りのパン屋に委託している由で土曜ということでそのパン屋も閉まっており、あとは自動券売機が1個あるだけである。売店などももちろんなく、飲料移動販売機が一台あるのみである。トイレも構内にはなく、代わりに駅前にぽつんと多機能トイレが設置されている。駅の横には大きな駐車場が設けられているが、ほとんどが空車のようであった。どうやらICE停車駅ながら無人駅ということになるのだが、それでも1日の乗降客は2000名程度とのことで、新幹線専用駅として性格が近い安中榛名に比べればはるかに乗客は多いことになる。

25.jpg

26.jpg

27.jpg

28.jpg

29.jpg

30.jpg

 快晴とはいえ、気温は氷点下である。誰もいない駅で寒さもひとしおだが、ホームで少しだけ写真を撮る。構内は真中2線が通過線、その外側2線に対向式ホームが設けられた、新幹線の通過駅に多いタイプである。大半の列車は300km/hのトップスピードで、駅の存在に気が付かないかのように通過していく。

31.jpg

32.jpg

 続いて、高速新線沿いに雪道を15分程東へ歩き、2本ほど通過するICEを撮影する。

33.jpg

34.jpg

 駅に戻ると、少しずつ乗客が集まって来ていた。30分程待って、12時14分発ICE 625に乗車する。Frankfurt Flughafen Fernbahnhofまでは20分弱の近さである。

35.jpg

36.jpg

37.jpg

 駅のエスカレーターを上がり、スーパーの一角にあるイートインコーナーで食事を済ませて、再びホームへ戻る。12時25分発ICE 724が約40分遅れて発車した直後に、München Hbf発Dortmund行ICE 610が入線してくる。

38.jpg

 予約してあった2等ラウンジ席に座る。列車は定刻の13時09分より5分程遅れて発車する。運転席との仕切りガラスはスモークになっていたが、今日くらい晴れているとそれなりに景色は楽しめる。先行列車があるためか、速度測定アプリを見ると250km/hほどの抑え気味の速度である。Limburg Südも高速のまま通過し、Montabaurを過ぎたところで一瞬300km/hを超える。ほどなくしてSieburg/Bonnに停車する。ここからは改良新線区間を200km/hで走り、減速してライン川を渡るとKöln Hbfである。

39.jpg

40.jpg

 ここで列車は進行方向を変える。喉が渇いたのでBordBistroに移動し、ビールを注文。残念ながら生ビールはなかったので瓶ビールをもらう。スタンディングテーブルでゆっくりビールを飲むうちに列車は再びライン川を渡り、北上していく。在来線区間を軽快には走り、3分遅れの14時34分にDüsseldorf Hbfに到着する。

41.jpg

42.jpg

 快晴の気持ち良い天気、まだ時間もあるので、S-BahnのS1系統に乗車し、いつも撮影するAngermundへ。20分程で到着すると、ホーム端には中年の鉄道ファンが撮影している。ハローと挨拶すると、何となく会話が始まる。「私はドイツ語はほとんど出来ないんだけど」・・・・とは言っておいたが、片言の苦しいドイツ語でも鉄道話は楽しいものである。日本の鉄道の方が良いんじゃない?何より正確だしね?ドイツは遅れるし、汚いし・・・・と聞かれ、その通りだけど、ドイツの鉄道も私にはとても魅力的。新幹線は確かに速いし正確だけど、私はICEの方がデザインは良いし、ビールが美味しいから好きといった話や、日本の鉄道ファンはほとんど日本の鉄道にしか興味を持たないだろうけど、ドイツの鉄道ファンは世界中に出ていくよ、といった鉄道ファン比較論。さらに貨物列車のおすすめ撮影地情報まで聞くことが出来た。彼の狙いは重連で来るICが狙いの由、私も当初予定していた滞在予定時間を延ばして、ICまで待つことにした。そのIC 2203は残念ながら単機で牽引してきた。彼もこれで撤収、大分日も傾いてきたので、私もS-Bahnで帰路についたのであった。

43.jpg

44.jpg

45.jpg
nice!(3)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 2

hikari

Limburg Südへ行く事を目的とするのが良いですね。2000人も乗降客が居るというのは驚きです。ここの高速新線がらみでは、あとはWiesbadenに抜ける列車に乗れば完璧ですね。

私は去年の3月25日に警察がフランクフルト空港駅を封鎖した関係で、乗っていたICE615がLimburg Südへ緊急停車、ドアを開放した状態で待機となりました。なるほど、そういう使い道もあるんだなあと認識しました。何時動き出すかは解らないというので、外に出て駅舎を撮るとかそこまで出来なかったのはちょっと残念でした。

by hikari (2017-01-28 03:18) 

HUH

hikariさん、こんにちは。
駅の周りには人が済んでいるようには見えないのですが、Limburgの市街地からはそう遠いわけではないので、これでもそれなりに需要があるのかもしれません。
緊急停車で待機なんてあるんですね。外に出ても、マクドナルドとケンタッキーがあるだけですが。
Wiesbaden行の列車は今度乗車してみるつもりです。有難うございます。
by HUH (2017-01-29 03:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

定点観測 (1) AngermundICE 3 Redesign ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。