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8月1日 Wernigerode → Brocken → Wernigerode [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 6時半に起床、Wernigerodeの市庁舎のすぐ横にあるホテル、Travel Charme Gothisches Haus Wernigerodeの朝食はハムやソーセージなどの定番だけでなく、マスやサーモンなど種類が豊富で美味しい。部屋も清潔で快適だし、従業員は親切で、値段もそこまで高くはなく、とても良いホテルである。
 朝食を済ませたところで周囲を散歩する。Wernigerodeは木組みの建物が並ぶ美しい街である。使い古された言い方かもしれないが、模型的でもある。市庁舎や「小さな家」を見て回るが、小さな街だけに20分もかからない。
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 タクシーを呼んでもらい、8時20分にチェックアウトし、まずはDBのWernigerode駅へ。コインロッカーにスーツケースを預け、DB駅のすぐ横にあるハルツ狭軌鉄道Harzer Schmalspurbahnen HSBの駅へ。まだ朝なのに、観光客がチケットを買おうと集まっている。
 生来の鉄道ファンと言っても良いであろう私だが、蒸気機関車には全く縁がない。ドイツはおろか、日本でも蒸気機関車の牽引する列車にはまだ一度も乗ったことがないし、実際に動いている蒸気機関車を見たことさえ殆どない。そのためか、これまで蒸気機関車に対する興味は薄かったのであるが、どういうわけか最近になって無性に蒸気機関車に乗りたくなった。当初は本線用蒸機の特別運転などを探したが、日程が合うものがなく、結局ドイツ最大の蒸機鉄道であるHSBを旅程に組み入れたのである。HSBは全長140kmに及ぶネットワークを有し、各路線に蒸機を走らせているが、今回はハルツ山地の最高峰、標高1142mのブロッケン山Brockenを目指すことにする。ブロッケン山は特徴的な気象現象であるブロッケン現象でしられており、観光地として人気があるが、1961年のベルリンの壁建設の際には旧東ドイツと西ドイツの境界にあるという立地から東ドイツの軍事施設が置かれ、一般人が訪れることが出来なかった歴史がある。
 往復チケットを購入し、ホームへ。既にBrocken行8931列車の客車が停車している。隣のヤードでは数両の蒸機が発車準備中。こんな光景が見られる場所は、世界でも殆どないであろう。そして、ヤードの横にお立ち台を設置するサービスは何とも心憎い。

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 まもなく、本日の牽引機99 7239が近づいてきて、客車の先頭に連結された。まぶしい朝日に照らされ、よく磨かれた99形蒸機はなかなか美しく、まるで生きているかのような息吹を感じさせる。99 7238は1954年から56年の間に17両が製作され、現在のHSBの主力である99.23-24形の1両である。

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 写真を撮った後、編成の中程の客車に乗車する。まだ早い時間のためか、ボックスシートが並ぶ車内は空いており、座席の半分も埋まっていない。私はボックスを独占、隣のボックスには犬を連れた年配の男性が座る。08時55分8931列車は汽笛も高らかに、Wernigerodeをゆっくりと発車する。Wernigerodeは標高234m、Brockenは標高1125m、ここから800m近い山登りが始まるのである。
 Wernigerodeから1kmのWernigerode-Westerntorに停車する。ここには車両基地があり、多くの気動車や客車が止まっている。Wernigerodeの市街地に近いのか、乗車が多く、ここで大半の座席が埋まった。Wernigerode-Westerntorを発車すると、しばらく市街地を走るが、まもなく針葉樹が立ち並ぶ森の中へ入り、上り勾配が続く区間に入る。HSBの最高速度はわずか40km/hであるが、客車が小振りなためか、案外スピード感がある。蒸気機関車の発するブラスト音もなかなか力強い。
 列車はWernigerode-Hochschule Harz、Wernigerode-Hasserode、Steinerne Renneとこまめに停車し、乗客がそのたびに増えていく。同じボックスには恰幅の良い年配の夫婦が座る。小さな客車の狭い椅子である、こうなると何とも窮屈である。他の乗客が時々オープンデッキに立つのを見習い、私もデッキに行ってみると、森の空気がじかに感じられ、暗くて窓も汚れた車内にいるより、ずっと気持ち良い。Brockenまではこのデッキで過ごすことにしよう。

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 車内では、蒸気機関車の発する音と匂いに興味をひかれたのか、犬が何度も前に行こうとしては飼い主に紐を引っ張られて連れ戻される。それでもやめようとしないため、ついに飼い主に怒られ、しょんぼり。

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 デッキでは蒸気機関車の息吹が間近に聞こえ、森の空気と煙の匂いがまじり、時には煤が目に飛び込んでくる。まさにHSBの魅力を満喫するうちに、列車は森を抜けWernigerodeから13.1km、標高543mのDrei Annen Hohneに到着する。Drei Annen HohneはWernigerode – Nordhausen間60.5kmを結ぶHarzquerbahnからBrockenへの支線Brockenbahnが分岐する拠点駅である。山小屋風の駅舎の前には多くの乗客が待っており、ここからはかなりの立客が出る。Brockenへと本格的に山登りをする前に、先頭では蒸気機関車への給水作業が行われるため、列車はここでしばらく停車する。先頭で給水作業の様子を撮影した後、客車に戻る。客室内は混雑しているので、終点までデッキで過ごすことにする。

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 定刻より10分程遅れて、9時55分に発車、Harzquerbahnから分かれ、列車は再び森の中へと進む。この辺りからハルツ国立公園の域内となる。左に右に細かいカーブが連続する区間を西へと向かう、Drei Annnen Hohneから5.36kmを10分あまりで走り、標高685mのSchierkeに到着する。

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 しばらく停車した後、終点Brockenに向けて発車する。ここからはBrocken山の周囲を反時計回りに1.5周ループしながら、最大33パーミルの上り勾配で頂上を目指す。Brockenbahnは1898年6月20日にまずこのSchierkeまでの区間が開通し、続いて10月4日にBrockenまで全通した。今は観光路線として賑わうBrockenbahnだが、1961年のベルリンの壁建設以降、一般人がブロッケン山に立ち入れなくなり、Schierkeより先は駐屯する関係者や物資輸送用の列車が走るのみであった。東西ドイツ統一の際には配線も検討されたが、地元政治家や鉄道ファンの尽力で存続されることになり、1991年9月15日に一般営業を再開した。東ドイツ時代は国鉄により運営されていたが、1993年にはHSBとして民営化され、今日も元気に蒸気機関車が走っている。
 そんな歴史をよそに、多くの観光客で満員の車内は明るい空気に包まれている。山の涼しい風を浴びながら、列車はひたすら山頂を目指す。1年のうち260日は霧に包まれるというブロッケン山だが、今日は快晴で心地良い。ハイキング客も多く、列車に向けて手を振ったり、写真を撮ったり、思い思いに楽しんでいる。山頂のレーダー施設が近づいてくると、木々がまだらになってくる。列車はラストスパート、Schierkeからの13.6kmの区間を30分かけて登りきり、標高1125mのBrockenには10分遅れの10時46分に到着する。

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 ここまで牽引してきた99 7239は機回しを済ませて編成の反対側に連結され、8940列車として慌ただしくDrei Annen Hohneへと発車していく。

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 ブロッケン山頂には博物館やテレビ塔などがあるが、あまり時間もない。そこで駅のすぐ近くにある「悪魔の説教壇と魔女の祭壇」Teufelskanzek und Hexenaltarへ行く。ブロッケン山はゲーテ「ファウスト」でヴァルプルギスの夜に魔女の集まる地として登場するなど、昔から神秘の山と捉えられているのである。

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 今日のブロッケン山は快晴、美しい景色を眺めていると、山の下方からドラフト音が響いてくる。どうやら列車が山頂へと向かってきているようだ。かなり待って、99 7243を先頭に8933列車がやって来た。

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 99 7243は機回しを済ませ、Wernigerode行8932列車として山を下る。私もこの列車に乗ることにするが、その前に売店でビールを購入、Heissräderの生ビールである、1杯のはずなのに、言い方が悪かったようで、2杯出てきた。まあ良いか、2杯飲めば良いのだから。

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 まだ午前ということもあり、車内は空いていたが、せっかくなので機関車のすぐ後ろに座ったら、ここだけは鉄道ファンは沢山いた。定刻より10分遅れの11時46分にBrockenを発車する。ハイキング客を横目に走ることしばし、列車は一旦停車する。車掌が下りてポイントを手動で切り替え、列車はゆっくりと側線に入る。待つことしばし、Brocken山頂を目指す8925列車が眼下の本線を通過していく。Brocken – Schierke間は14kmもあるので、このような交換設備が用意されているのである。列車は一旦バックして本線に戻る。ここで車掌を乗せ、再び下山を開始する。

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 Schierkeに到着、ここでBrocken行8941列車と交換する。本来のダイヤでは8分停車となっていることもあり、この駅はほぼ定刻の12時25分に発車する。

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 NordhausenからのHarzquerbahnに合流し、拠点駅Drei Annen Hohneには12時36分に到着する。ここではBrocken行8920列車、Eisfelder Talmühle行8903列車と合わせ、蒸気機関車牽引列車が3本集合する。給水のための停車時間を利用し、撮影を楽しむことにする。



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 Drei Annen Hohneを出発し、列車はさらに山を下りながらSteinerne Renne、Wernigerode- Hasserodeと停車する。そろそろWernigerodeの市街地となる。Wernigerode Hochschule Harzを過ぎ、車庫のあるWernigerode WesterntorでBrocken行8935列車と交換する。

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 Wernigerode Westerntorを発車、かわいい貨車を眺めながら、機関区が現れれば、終点のWernigerodeである。定刻より2分遅れ、13時35分の到着である。ずんぐりとしているが、愛嬌のある99 7243の機回しを眺めれば、生涯初めての蒸気機関車の旅は終了。期待以上の楽しさで、いつかは再訪したいものである。



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 ここからは再びDBの旅に戻るが、1時間以上余裕がある。機関区を眺め、HSBの駅舎でお土産用にHSBグッズを物色した後、DB駅舎に併設されたピッツェリアに入る。客は他にはいない、ビールと共にきのこたっぷりの大きなピッツァで遅い昼食とする。

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7月31日 München → Nürnberg → Halle → Wernigerode [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 München Hbfのホームの正面はフードコートになっているので、遅めのランチを調達すべく見て回る。まず目に入ったのは、ミュンヘン名物Weisswurst白ソーセージ。昔は鮮度を考え午前しか食べなかった代物とのことだが、午後でもこれを食べればちょっとしたミュンヘン気分が味わえる。ただ、これだけではちょっと物足りない。もう少し見て回って目に入ったのが寿司パック。ドイツの寿司は車内で味わうことにする。
 21番線には14時49分発のICE 1104が停車している。ICEといっても、最後部は101形。実はこのICEはKöln – Hambueg間に2004年まで運行されていたMetropolitan METの客車が使用されているのである。わずか2編成しかないMET客車だが、1日1往復のみBerlinからはるばるMünchenまで乗り入れているのである。今回の旅の目的の一つがこのMET客車だが、ここでは乗らない。

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 代わりに、隣のホーム23番線から14時50分に発車するICE 622 Dortmind Hbf行に乗車する。編成は403形Tz 315 “Singen (Hohentwiel)”である。ICE 1104はAugsburg経由でNürnbergに向かうが、ICE 622はIngolstadt経由で高速新線を通るため、所要時間がかなり短い。そこで、ICE 1104に先行してNürnbergに向かい、しばらく撮影を楽しむことにしたのである。先頭の21号車(2等) ラウンジの17番席に座る。車内は満員の混雑、しかもせっかくのラウンジ席なのに、運転室との仕切りはスモーク状態である。

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 まずはBordBistroに行ってビールを調達する。グラスに入れてもらったビールを持ち、再び自席に戻る。列車が定刻通りに発車したところで、寿司パックを開ける。ネタはサーモンやエビなどで、バリエーションには乏しい。味は日本のスーパーと同等といったところか。

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 よく晴れているせいか、スモーク状態とはいえ、前面展望もそこそこは幸いである。一昨日通った路線を逆方向に、列車は北へと向かう。PetershausenでS-Bahnとの並走区間は終わり、複線区間となる。Rohrbachの先で減速、幹線上なのに複線の片側を封鎖して工事を行っているのである。工事区間を過ぎ、Baar-Ebenhausenを通過する頃には再び加速する。Ingolstadt Hbfを通過し、Ingolstadt Nord付近で高速新線に入ると、最高300km/hのトップスピードで駆け抜ける。

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 高速新線を走り抜け、在来線に入ったところで荷物をまとめてデッキへ。若い女性車掌と乗客の男性が夢中になっておしゃべりしている。まもなく15時57分定刻にNürnberg Hbfに到着する。

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 ここでしばらく撮影する。まずは乗車してきたICE 3を撮影するが、定刻になっても列車はなかなか発車しない。先頭ドアの前では先ほどの女性車掌と若い男性の乗客が相変わらず話し込んでいる。定刻から5分遅れた16時05分、ようやくドアが閉まる。とその前に、車掌と乗客がチュッ、確認合図を運転手に送る前にチュッ、動き出す前にチュッ。どうやら恋人らしいが、日本では絶対にありえない光景である。まさか、発車が遅れたのも、このためではない・・・・と信じたい。

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 気を取り直して撮影。まずは予定よりも大幅に遅れたとはいえ、ドイツ各地に大量に導入されているBombardier製 Talent 2、442形である。ここNürnbergでは従来の143形とx-Wagenに代わりS-Bahnに投入されている。

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 引退が始まったとはいえ、111形の姿も目立つ。Modus-Wagenとの組み合わせはこの地域ならではである。

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 列車が途切れたので、一旦コンコースへ下りて、構内のお土産店でレーヴクーヘンを探すが、残念ながら取り扱いはなかった。諦めてホームへ戻ると、16時29分に、先程München Hbfで見送ったICE 1104が制御客車を先頭に入線してきた。ここでICE 1104は方向転換し、101 130が先頭に立つ。

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 車内は2等車は大半の席が埋まっており、1等車も50%を超える乗車率である。最後部の1等車に乗り込み発車を待っていると、ホームの反対側にはMünchen HbfからIngolstadt経由でやって来たLübeck Hbf行ICE 584が到着、ICE 2である。
 相互に接続を取り、ICE 584とほぼ同時に、16時34分にNürnberg Hbfを発車する。しばらくICE 584と並走しながらFürth付近までデッドヒートを繰り広げる。

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 Fürthの先で大きく右にカーブしてWürzburg方面と別れ、北へと針路を向ける。ここからは複線区間である。最高160km/h対応の路線だが、列車はそれほど速くは走らない。せいぜい100~140km/h程度だろうか。
 ここでBordBistroに行き、白ワインのミニボトルと水を調達する。元MET客車は7両編成にBistroが2か所設置されているが、営業しているのは1か所のみ、しかもBistro自体は小さく、他のICEやICのそれに比べるとメニューは少ないが、飲み物は充実している。

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 席に戻り、ゆっくりと車窓風景を楽しむ。列車はRegnitz川やMain-Donau運河に沿うように走るが、それらの姿はほとんど見えない。Nürnberg Hbfから69.4km、Bambergを通過する。Bambergは世界遺産となっている美しい街で、ICEの一部も停車する。クラシックファンにはバンベルク交響楽団もお馴染みである。

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 その先でマイン川に沿ってSchweinfurt方面に向かう路線が左に分かれ、北東へと向かう。マイン川が近づいたり離れたりする。ドイツの夏らしい光景を楽しんでいると、Ebensfeldの先で左に鉄道路線の建設現場が現れる。これは300km/h対応の高速新線NBS Erfurt – Nürnbergとなるが、まだ工事はあまり進んでいないようだ。

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 Bad Staffelstein付近では左手の山の中腹に巨大な教会が見える、Kloster Banzである。

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 その次のLichtenfelsの手前には古い廃車体が置かれている。何と、VT 11.5の中間客車まである。駅には111形が停車している。

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 ワインも飲み干しても何だか物足りなくて再びBordBistroへ。選んだのはフランツィスカイザーの白ビール。甘味のある白ビールもたまには良いものだ。

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 Hochstadt-MarkzeulnでKulmbach方面の路線と分かれ、列車はさらに北へと向かう。ここから50km余りはFrankenwaldbahnと呼ばれる勾配路線である。最高160km/hに対応しているが、最急勾配29パーミルと、カーブは最小半径300mと、線形はかなり厳しい。Gundelsdorfを通過すると上り勾配が続く。さらにFörtschendorfを通過すると急カーブが連続する区間となり、スピードは一層落ちる、もう100km/hも出ていない。Steinbach am Waldがサミットで標高593mである。ここからは下り勾配の区間となるが、相変わらず急カーブが続き、山深い中をLoquitz川に沿ってゆっくりと走る。振子式のICE-Tなら少しは速く走ることが出来るのかもしれないが、それも限界があろう。高速新線が建設される理由が理解できる。Pribstzella、Hockerodaを通過すると、今度はSaale川に沿って走る。勾配は一段落したが、相変わらずカーブが連続している。

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 市街地に入り、最徐行でSaaldeldを通過、ここからはSaalbahnの名の通り、Saale川に沿って走る。
Rudolstadt-Schwarzaを通過し、針路を北から北東へ向ける頃、ようやく加速する。といっても、やはりカーブが連続し、それほどスピードは上がらない。実際、この区間は最高120km/hでドイツの幹線としては、高速化の波に乗り遅れている。

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 すでに2時間程度走り続けており、車内にはけだるい雰囲気が漂う。MET客車の内装はICEやICとは異なる個性を放っているが、木目調の壁、本革張りの高級感のあるシート、あるいはサイレントカーといった試みは現在のICEにも引き継がれている。詳細に見えると、中途半端なBordBistro、重厚感はあっても重くて使い勝手の悪い木のテーブルなど車内設備の問題点は目につくし、何よりもMETそのものは失敗に終わったことは否定できないが、METの車内サービスはドイツ鉄道の現在に確実に息づいているのも間違いない。

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 西日が差し込み、寝ている乗客が目立つ。私もアルコールの影響か睡魔に襲われる。気が付いたら、Jena Paradiesに到着するところであった、18時52分定刻である。

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 18時56分に発車、列車は相変わらずSaale川に沿って100km/h程で走る。幹線は大抵高規格のドイツでは、これでもゆっくりに感じられる。それでもICE-Tや様々な貨物列車とよくすれ違う。こんなドイツの真中でSBB Cargoの電機も見かける、もはやヨーロッパ鉄道では国境はないのである。

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 Weimarからの路線と合流すると、程なくしてNaumburg Hbfに到着、19時24分である。反対側にDresden行IC 2235が到着し、接続を取った後、少々遅れて19時30分に発車する。

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 Saale川が列車の左右を蛇行しながら流れる中、列車は100km/h程で走る。すっかり日は傾き、日の入りは近い。Merseurgを通過すると、まもなく建設中の高速新線と立体交差する。この辺りは高架橋が完成しており、工事が進んでいるようだ。その高速新線からの短絡線が合流すると減速、定刻の20時ちょうどにHalle Hbfに到着、3時間半の旅を終え、私もここで下車する。

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 ICE 1104の発車を見送った後、コンコースへ下りる。車内のショッピングモールで夕食でも買おうと思うが、閉店時間が近いせいか、あまり良いものがないので断念し、再びホームへ。

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 ここから20時21分発のGoslar行RE 3618に乗る。既に612形の2両編成が発車を待っている。スーツケースを持ち上げて車内へ入る。2等車は大半の座席が埋まっているが、1等車は誰もいないので、テーブル付の座席に腰を下ろす。612形はRE用の振子気動車、軽量化も重視されるのであろう、車内設備はオーソドックスで窓も最近の車両にしては小さいが、それでもなかなか快適である。

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 定刻に発車、大きく左にカーブして他の路線をオーバークロスし、S-Bahnと合流すると、北西に向けて一気に加速していく。S-BahnはHalle-Trothaまで、そこからは単線非電化区間となるが、最高160km/hの性能を持つ612形のスピードは全く衰えない。振子列車の特性か、細かいは揺れはあるが、高らかに響くディーゼルエンジンもあいまって、スピード感はICE以上。実にダイナミックな走りに、思わず胸が高まる。Halleから15分でKönnernに到着する。

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 Könnernを出発すると西へ向かい、まもなくSaale川を渡る。カーブでも全く減速しないのは振子列車の強みである。Hettstadtからの路線が合流し、北に向かったところで、Sanderslebenに到着する。

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 Sanderslebenの先で、Güsten方面とデルタ線になっている。Güstenからの路線が合流したところがAschersieben、20時54分と定刻通りの到着である。ここからはしばらく複線区間であるが、それもFroseまで。その先は再び単線区間となるが、列車は相変わらず胸のすくような快走をみせる。しかし、外はかなり暗くなっており、車窓風景は望めなくなった。Gaterslenに停車した後、Thaleからの路線が合流するWegelebenから複線区間となり、まもなくHalberstadtに到着する。ここでしばらく足止め、定刻になっても発車しない。どうやら接続待ちをしているようだ。HEXの気動車が到着したところで、ようやく発車する。

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 再び単線となる。ここからは最高120km/hの区間である。真西に向かった列車はHeudeber-Danstedtで左にカーブして南西へ進路を変え、定刻より8分遅れの21時40分にWernigerodeに到着する。朝5時30分にSalzburgを出発して16時間以上の鉄道旅を終え、私はここで下車する。

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 駅構内は乗客はある程度いるが、既に窓口は閉まっており、駅員もいない。幸いにも駅前にはタクシーが待機している。ドライバーがいないかと思ったが、タクシーに近づいたら、駅前にたむろしていた若者たちの一人がやって来た。Wernigerodeの中心部までは10分程、市庁舎のすぐ横にあるTravel Charme Gothisches Haus Wernigerodeが本日の宿である。
 古めかしい建物に入り、チェックインする。ドイツでも田舎のホテルということもあってか、フロントの女性は英語はあまり得意ではなさそうであったが、それでも簡単でも良いから食事が摂れないか、という私の要望に親身になってくれて、コールドミールしかないが、バーで食事を用意してくれることになった。
あてがわれた部屋で荷物をおろし落ち着いたところでバーへ行くと、既に食事の用意をしてくれていた。サラダから何種類ものハム・チーズ、パン、果物となかなか豪華で美味しい。ビールをお願いしたら、出てきたのはこの地方の名物ビール、Hasseröder。これが実に美味しく、思わずもう一杯。体が疲れているせいもあってか、酔いも回ってとても良い気分になる。バーの男性から、食事はどうだったか、と尋ねられ、とても美味しかったし、ビールは最高、と答えたら、如何にも嬉しそうに、そして誇らしげに、このビールは特別だ、と答えたのが印象的であった。バーを後にして部屋に戻り、長い一日を終えた。

7月31日 Salzburg → Göppingen → München [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 早朝4時に起床、3時間半の睡眠時間では辛いが、今日は夜まで予定が詰まっている。シャワーを浴びて目を覚まし、5時20分にRamada Hotel Salzburg City Centreをチェックアウトする。
 ホテルの目の前のSalzburg Hbfは早朝だけに人影もまだらである。1番線ホームに行くと、これから乗車するFrankfurt (M) Hbf行のIC 1296は既に入線していた。編成は先頭から、Bpmbdzf 296.1 + Bpmz 294.3 + Bpmz 294.3 + Bpmz 294.3 + Bpmz 295.4 + Bvmsz 186.7 + ARkimbz 266.7 + Avmz 108.1 + 101 043-8で、制御客車を先頭に最後尾から101形が推進運転する。

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 発車まで時間があるので、先頭まで行って写真を取った後、機関車の前に連結された1等車に乗車する。1等車はコンパートメント、乗客はほとんどおらず、そのうちの1室を独占することが出来た。 

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 まだ日の出前だが、空は明るくなり始めている。5時45分定刻にIC 1296はゆっくりと発車する。美しく、素晴らしい印象を残したSalzburgとはこれでお別れである。列車はザルツァッハ川を渡り、オーストリアから国境を越え、ドイツへ入る。まもなく、DBの様々な車両が待機するFreilassingに停車する。ここで少数の乗車がある。

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 5時55分に発車すると、列車は西へとスピードを上げていく。大分明るくなり、日の出も近いようだ。客車列車だけに列車は非常に静かに、滑らかに牧草地の中を駆け抜ける。南ドイツの静かな朝焼けが美しい。
 程なく列車はTraunsteinに停車する。ここでは乗車が多く、私が独占していたコンパートメントにも中年男性が入ってきた。朝の挨拶の後、ザルツブルクの音楽祭に行ったのか、と尋ねられたので、そうだと答えると、昨日の「魔笛」の話になった。「魔笛」はテレビでも放送されるが、楽しみにしているとのことだった。列車の同室者と、何気ない会話にオペラが登場するあたり、クラシック音楽離れが懸念される現在においても、音楽は重要性な存在なのかもしれない。列車はBernauの先で右にカーブして北西へ向かい、まもなくPrien a Chiemseeに停車する。ここは観光地キーム湖の拠点駅である。

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 6時30分にPrien a Chiemseeと発車すると、昇ってきた太陽の下にキーム湖がのぞめる。キーム湖が車窓から去ると列車は左にカーブし西へ向かう。まもなくBad Endorfに停車する。ここまでほぼ10分間隔に駅に停車している、通常のICはRosenheimまでほぼノンストップだが、この列車は通勤列車の役割もあるのかもしれない。

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 Bad Endorfを出発すると列車は南西へと向かう。左側にSiemseeをかすめ、イン川を渡る。ここで一昨日通ったInnsbruck方面への短絡線と分かれ、まもなくRosenheimに到着する。Salzburg – Rosenheim (88.6km)は最高160km/hだが、今朝は100km/h台前半で流すような走りであった。

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 Rosenheimでも乗車が多く、かなりの座席が埋まったようだ。Rosenheimは私が現在住む千葉県市川市と姉妹都市であり、何となく愛着がわくが、ここで下車する余裕はない。6時38分にRosenheimを発車すると、列車は北西へと向かう。
 駅前に到着したバスから通勤・通学客が吐き出される光景を眺めつつ、Aßlingを通過すると、列車はまもなくGrafingを通過する。ここからはS-Bahn S4系統が並走し、複々線となる。駅には423形が発車を待っていた。この区間の最高速度である160km/h近く出ているのだろうか、列車のスピードが上がり、Münchenへとラストスパートといったところか。
 右にMühldorfからの路線が合流するとスピードが落ちる。右手にMünchen Ost Rbfの広大な貨物ターミナルをみて、列車は定刻の7時21分にMünchen Ostに到着する。ホームには通勤客の姿が目立つ。

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 München Ostを発車すると列車はイザール川を渡る。Holzkirchenからの路線が左から合流したところで、右に大きくカーブし、北西から東へとゆっくりと進路を変え、Augsburg・Nürnbergからの路線と合流する。ここで一旦停車、朝のラッシュ時だけに、München Hbfのホームが空かないのかもしれない。
 5分程待たされて、反対方向へ貨物列車が走り去ったところでゆっくりと発車、右にICEの整備工場をみながら、ゆっくりとMünchen Hbfに進入する。最後に最後に5分以上遅れ、7時40分の到着である。
 南ドイツの中心ということもあり、ここで大半の乗客が下車した。乗車も多いが、車内はかなり空き、私のいるコンパートメントも再び私一人になった。頭端式のMünchen Hbfで列車は進行方向を変え、今度は機関車が先頭となる。

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 定刻の7時48分にMünchen Hbfを発車、先程とは逆に西へと向かう。Ingolstadt方面の路線と分かれ、München-Passingを通過、左に一昨日通ったGarmisch-Partenkirchen方面の路線と分かれると、列車はS-Bahn S3系統が左に並走する複々線区間となる。Olchingを通過すると、いよいよ改良新線区間となり、スピードが上がる。
 München – Augsburg間は1965年にE03が200km/hのデモ走行を行った区間である。1968年には通常の営業列車でも200km/h運転が開始されるなど、早い時期から高速化が図られてきた。1998年からはMünchen – Augsburg間61kmのうち、Oiching – Augsburg間44kmの改良工事が開始され、複々線化・防音壁の設置などの工事により、ICEなどの長距離列車は最高230km/h、地域輸送列車・貨物列車は最高160km/hに引き上げられた。このICも最高200km/hで快調に走るが、なかなか安定感のある走りっぷりである。S-Bahnの終点Mammendorfを通過すると、列車は進行方向を西から北西へと変えるが、直線的な軌道をスピードを落とすことなく快走する。

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 ところで、朝食を摂らないままである。列車も空いたことだし、隣の客車のBordBistroへ。チリコンカーンとミネラルウォーターを注文する。チリコンカーンにはパンが付き、ちょっとした食事には十分なボリュームである。ちょっとぬるかったのは残念だが、味もなかなか。車掌達もコーヒーを飲んで寛いでいる。

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 列車が減速するとAugsburg-Hochzollを通過、左に大きなヤードが広がると、まもなくAugsburg Hbfに到着する。

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 Augsburg Hbfを発車すると一旦北に向かい、左手に189形が牽引する貨物列車を見ながら、大きくカーブして西へ進路を変え、Donauwörth方面の路線をオーバークロスする。Augsburg – Ulm間85.8kmは複線となるが、大幹線だけにそれなりに路線は整備されており、途中までは200km/h走行も可能で、列車はしばらく快調に走る。
 しかし、Augsburgから27.8km走ったDinkelscherbenを通過するとカーブが連続し、列車のスピードはぐっと落ちる。Jettingenから列車は北西に向かう。Burgauからはしばらく徐行するが、Mindelaltheimの先で再び加速する。

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 左に大きくカーブしてDonauwörthからの路線と合流し、Neuoffingenを通過すると、列車は南西へ向かいながらしばらくドナウ川と並走する。この辺りではドナウ川の川幅はそれほど広くない。そんなドナウ川と離れると、まもなくGünzburgに停車する。Günzburgは小さな駅で乗降も少ないが、642形が発車を待っている。

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 Günzburgを発車すると、再びドナウ川に沿うが、木々に阻まれ川面はなかなか見えない。列車はほぼ一直線の区間を150km/hほどで回送する。市街地に入り減速すると、まもなくNeu-Ulmを通過、ここで右に大きくカーブしUlmの象徴である大聖堂を眺めながらドナウ川を渡る。さらに右にカーブするとUlm Hbf、9時03分定刻の到着である。

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 私もここで乗換となる。先頭に行って写真を撮った後、自転車用通路を走って、1番線ホームから4番線ホームに移動、9時10分発のMosbach-Neckarelz行RE 19212に乗車する。編成は143 315を先頭に2階建て客車を5両連結した編成である。
 2等車の2階席に腰を下ろすとすぐに発車する。左手のヤードには611形や650形、218形などディーゼル機関車や気動車の姿が目立つ。列車は大きく右に曲がって一旦東へ向かい、Aalenへの路線を超えたところで北へと進路を向ける。ここからは細かいカーブが続き、スピードが上がらなくなる。2階席はやや圧迫感があり、2等車ということでやや狭い感じもする。日も当たってきて少々暑い。まもなく、左手に広大なヤードが広がる。Ulm Ubfである。

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 その先も細かいカーブが連続する中を100km/h程で走る。Westerstetten、Lonsee、Urspringと通過すると、まもなく9時26分にAmstettenに到着する。AmstettenはUEFと呼ばれる保存鉄道があり、駅の横にも保存車両が留置されている。

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 Amstettenは標高582mである。Amstettenを出発すると、24パーミルの下り勾配が続く区間、細かいカーブが多く、ますますスピードは落ちる。Ulm – Stuttgart間は線形が悪く、特にこのGeislingen峠越えは最大の難所である。そのため在来線の南側に高速新線が建設中で2020年に完成予定であるが、環境問題などから激しい反対運動が起こっており、予断を許さない状況が続いている。
 街が広がると、まもなくGeislingen (Steige)に到着する。ここは標高469mである。駅舎寄りのホームには143形とn-WagenのRBが発車を待っている。

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 Geislingenを発車、駅構内には151形が待機している。もしかすると貨物列車の補機に用いられるのかもしれない。列車は高度を落としながら、左に大きく180度カーブして東から西へと進行方向を変える。
ここから線形は直線的になり、列車のスピードが上がる。Kuchen、Glingen (Fils)を通過し、Süßen・Eislingen (Fils)と停車する。

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 この辺りから左にFils川が沿う。まもなく9時49分定刻にGöppingenに到着する。

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 Göppingenの駅舎はこじんまりとしているが、それでも売店やコインロッカーはあり、スーツケースを預ける。ここからはメルクリン博物館に向かう。といってもバス路線はよく分からないため、往路はタクシーを使うことにする。博物館へは10分程のドライブである。
 メルクリン博物館に来るのは初めてである。展示物で目をひくのは、まずは110形の運転台である。実物にふれられるのは嬉しいものである。レイアウトは思ったよりもずっと小ぶりだが、とても良い雰囲気である。ハンブルクのミニチュア・ワンダーランドなどのように凝ってはおらず、頑張れば自分でも同じようなものを作ることが出来そうだ。メルクリンが提案する遊び方をプレゼンテーションしているかのようで、これはこれで好感が持てる。1番のアドラーも復活運転の初日の様子が再現されたレイアウトも良い。壁面には貴重なモデルも展示されているが、実は展示物はこれくらい。あとは販売コーナーやサービス窓口で、見る展示品は案外少ない。
 販売ブースがさすがに現行品から細かいパーツまでよく揃っている。面白かったのはバックヤードのストラクチャやジャンク品、部品売り場。まずは各社のストラクチュアがずらりと揃い、壮観である。半端ものも安価で売られていて、なかなか魅力的なものも多い。私も部品取り・改造用に中間動力車を抜いたICE 3のセットを150ユーロで購入してしまった。博物館滞在時間は45分程。全体的な印象としては、模型店としては非常に素晴らしいが、博物館としては今一歩といったところか。来ると興味深い発見も少なくないが、大きな変化があるか、イベントでもない限りは無理に旅程に組み込んで何度も来るほどではないというのが率直な感想である。

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 博物館の目の前にバス停がある。10分程待って路線バスに乗る。バスの車内は1/3程度の座席が埋まり、高齢者の姿が目立つ。10分あまりでGöppingenの駅前に着く。駅前はバスターミナルが整備されている。

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 荷物が大分増えたので、駅前の郵便局に入り、段ボールを買って、Salzburgで買った菓子類などを発送する。郵便局は大混雑であったが、メルクリン博物館から予定よりかなり早く戻ってこられたので、まだ時間に余裕がある。

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 駅に戻り、11時46分発のUlm Hbf行RB 19317に乗車する。制御客車を先頭にしたn-Wagen、最後部から143 922が最後部から押す編成である。2等車に乗車すると、乗客はボックスごとに1、2人座っている程度で、空いているボックスに座ることがある。古い客車だけに冷房はないが、窓を開けると気持ちの良い風が入ってくる。各駅に停車するだけにスピードは上がらないが、ゆったりとこんな旅を楽しむのも良いものです。Geislingen (Steige)には12時09分に到着する。

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 ここで少しだけ撮影する。

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ICE 1

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185形

 続いて、12時23分発のUlm Hbf行RE 19217に乗る。今度は2階建て客車を後ろから146.2形が押す編成である。先ほど通った峠区間を走り、Amstettenに停車する。

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 Amstettenからは牧草地が広がるのどかな光景の中を走り、Ulm Hbfには12時48分に到着する。

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 Ulm HbfからはICEに乗車するが、時間があるので、しばらく撮影を楽しむ。

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650形

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612形

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ICE 3

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650形

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146.2形

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440形

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218形

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146.2形

 定刻より数分遅れて、ICE 515が入線してきた。この列車はHamburg-Altonaを5時27分に発車し、Köln・Frankfurt (M)を経由する長距離列車である。ICE 3 (403形)を2編成併結した編成で、私が乗る前寄りの編成はTz 361 “Celle”である。車内は空いていたので、先頭ラウンジ席に座る。今回は先頭が21号車 (2等車)であるが、ラウンジ席にいるのは私一人である。
 13時15分定刻より6分遅れで発車、すぐにドナウ川を渡るが最近になって無粋な防音壁が設けられ、川はほとんど見えなくなった。以前は撮影名所だったのだが。続いてNeu-Ulmを通過する。

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 列車はドナウ川に寄り添って東へと向かう。スピードは100~160km/hほど。Neuoffingenで大きく右にカーブしてドナウ川と離れ南東へ向かい、Jettingenからは左に向かう。ちょうど440形が停車中のDinkelscherbenを通過すると200km/hへとスピードを上げる。
 Westheimで待避中の440形を追い抜く。程なくして減速し、右に大きくカーブしてDonauwörthからの路線と合流し、まもなく440形と並走しながらAugsburg Hbfに停車する。Augsburgは440形の姿が目立つが、642形気動車や152形牽引の貨物列車も停車している。

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 Augsburg Hbfを発車すると、列車はすぐにICE 3とすれ違う。改良新線区間に入る。複々線区間でほぼ直線的な軌道を列車は最高230km/hで快調に飛ばす。MammendorfからはS-Bahn S3系統が右に並走し、423形の姿が見られる。

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 改良新線区間をあっという間に走りきり減速、各方面からの路線が合流し、München-Passingに14時17分に到着、いつの間にか定刻運転に戻っている。

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 München-Passingからは左右をヤードに囲まれた区間を、S-Bahnと並走しながらゆっくりと走る。右にICEの整備基地が見え、14時27分定刻に終点München Hbfに到着する。列車を降り、乗ってきたICE 3を撮った後、遅めのランチを調達することにする。

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7月30日 Salzburg [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 目覚めるとまだ4時半である、時差ボケがまだ残っているようだ。朝食も7時前には済んでしまったが、観光に出るにはまだ早すぎる。そこでカメラを持ってSalzburg Hbfで「朝鉄」を楽しむことにする。
 まずはSalzburg – Wien間で運転を開始したばかりの民営運行会社WESTbahn。使用する車両はStadler製”KISS”と呼ばれる2階建て電車で、最高速度200km/hを誇り存在感は抜群である。車外から観察する限り乗車率も上々の様子。あとで現地の鉄道雑誌で確認したら、乗車率は開業前の予想を上回っているが、短距離利用が多く、収入は予想よりは下回っているとか。なかなか難しいものであるが、ÖBBの強力なライバルであることは間違いなかろう。

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 その横では凸型の電気機関車が客車の入換中。凸型のデザインが何となく古めかしいと感じたが、動き始めたら明らかにインバータ音が。この1163形は1994年製の比較的新しい電気機関車なのであった。

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 1116形牽引のRJが入線。

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 駅の隅には1142形牽引のローカル列車が停車中。

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 今度はFrankfurt (M)行のECが到着、我らがDB編成で、後ろから押すのは101形である。

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 すっかりTaurusが増えたが、1144形もICを牽引する機会は残っているようだ。

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 ローカル運用に就く1016形。

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 今日は鉄道に乗車する予定はないので、鉄活動もこれでおしまい。ホテルに戻り、8時過ぎに観光に出る。トロリーバスでマカルト広場へ行き、マカルト橋でザルツァッハ川を渡って旧市街へ。まだ朝早い時間で、人通りも少なめである。まずは旧市街の南にそびえるホーエンザルツブルク要塞 Festung Hohensalzburgに向かう。要塞までは徒歩で30分ほどかけて上ることもできるが、ケーブルカーを使うことにする。
 大聖堂の横を抜けた先に、こじんまりとしたケーブルカーの乗車口がある。ケーブルカーはFestungsbahn Salzburg (ザルツブルク要塞鉄道と訳せば良いのだろうか。)と呼ばれ、1892年に開業し、2000年からはトロリーバスなどのローカル交通と同様にSalzburg AGによって運行されている。

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 9時発の初便に乗車する。他に乗客は一組でガラガラである。車内は立席のみ、定員は55名である。9時にブザーが鳴ってドアが閉まり、ごとりと発車。日本でケーブルカーというと歩くのと同じような速度で走るイメージがあるが、こちらは結構スピードが出て、あっという間に高度を上げていく。あとで調べたら最急60パーミルの勾配を通常4m/s、最高5.5m/sで走り、全長198.5mをわずか1分で上るのであった。

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 ホーエンザルツブルク要塞はガイドツアーでの見学となる。山上に着いたところで、ガイドツアーの申し込所に行くと、最初のツアーは9時半からとのこと。それまでに博物館でも見ていて欲しいとのことだったので、城塞博物館やライナー博物館をざっと見て回る。戻ったところで、オーディオを貸してもらう。日本語も用意されており、ガイドに従ってオーディオを聞きながら、要塞の変遷、拷問具の部屋、そして見張り台などを見て回る。見張り台からは麓の旧市街、その先の新市街や中央駅などのパノラマが広がり、反対側にはザルツブルク空港も一望できる。

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 ガイドツアーの後は大砲の置かれた通路を通って、人形劇博物館へ。展示自体は小規模だが、ここもなかなか面白かった。

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 帰る前に、もう一度要塞からのザルツブルクの光景を眺める。観光ガイドなどでもよく見る構図で新味はないが、中世の雰囲気が色濃く残り、実に美しい。その左に目を向けると、ケーブルカーのすれ違いの様子が見られる。車両のデザインが新しいと思ったら、2011年4月に更新したばかりのようだ。

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 他に乗客のいないケーブルカーに揺られ、旧市街に戻る。朝のSalzburg Hbfで今日の鉄活動は終わりと思っていたが、幸か不幸か、このケーブルカーを楽しむことが出来た。

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 次に大聖堂の隣のレジデンツへ行く。

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オペラのリハーサルが行われている中庭を抜け、窓口でオーディオガイドを借りる。日本語での案内があるのは有難い。ドイツ語はおろか、英語も苦手な私、旅行中何とか困らない程度にはできても、こういう博物館などでの歴史用語の嵐は恥ずかしながら付いていけない。
 軍事中心でまさに要塞といった趣きのホーエンザルツブルク要塞と異なり、大司教が日常の執務を行ったレジデンツは非常に豪華な造りである。騎士の間からスタートしてぐるっと1周、途中にはマリア・テルジアやフランツ・ヨーゼフ1世などの肖像画が飾られた皇帝の間など見どころが多く、小1時間ほどを要した。

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 出る前に中庭でのオペラのリハーサルに耳を傾ける。曲はモーツァルトの魔笛のようだが、どうもおかしい。そもそも魔笛の会場は違うはずと思って調べたら、「魔笛」の台本を書いたエマヌエル・シカネーダーの没後200周年を記念し、シカネーダーが書いた「魔笛」の続編にペーター・フォン・ヴィンターが音楽を付けた「迷宮」というオペラのリハーサルだった。
 11時が過ぎ、お土産を購入しながら旧市街を散歩する。大道芸人も出ている、効果を入れたら、絵ハガキを渡された。

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 ちょっと早いが昼食を摂ることにした。肉料理を食べる気にはなれず、モーツァルトハウスの隣にある魚料理チェーンNORDSEEに入る。白身魚のムニエルにビールを一杯。

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 ザルツァッハ川を渡り、新市街側に出てHotel Sacher Salzburgへ。ホテル・ザッハーといえばオーストリアきっての名門ホテル。職場の同僚から、ちゃんとしたザッハ・トルテを買ってくるようにリクエストされた。そうなると、ホテル・ザッハーで買えば文句は言われないだろうというわけである。
 高級ホテルに縁がない私だが、購入場所が分からなかったため、恐る恐る中へ入って売店の場所を尋ねる。対応は極めてスマートだが、ホテル内は案外狭くて、驚くような高級感はない。ただ、これまで泊まった音楽家の写真やサインの数々には圧倒される。売店でお土産用にザッハトルテを確保、しかし、これで荷物が一気に重くなった。 
 マカルト広場からトロリーバスで駅前のホテルに戻ったら、もう12時を過ぎていた。ここまで歩き回ったので、一休みする。
 ネクタイとジャケットをして、14時過ぎに再び出発、再びトロリーバスで旧市街へ向かう。目指すはザルツブルク音楽祭のメイン会場である祝祭劇場である。祝祭劇場はFelsenreischule、Grosses Festspielhaus、Haus für Mozartの3会場からなる。
 これから、15時開演のオペラ「魔笛」を聴く。「魔笛」はモーツァルトのオペラの中でも最も人気の高い演目である。今年の音楽祭では、新たに音楽監督になったアレキサンダー・ペレイラが、一度はザルツブルク音楽祭のオペラの指揮からの引退を明言したニコラウス・アーノンクールを再び引っ張り出したことで大きな話題となった。オーケストラもザルツブルク音楽祭の「魔笛」を独占してきたウィーン・フィルではなく、アーノンクールの手兵であり、古楽器演奏の先駆けとなったコンツェントゥス・ムジクス・ウィーンが登場する。私が旅行を決めた時には当然公式サイトで売り切れていたが、幸いにもザルツブルクのチケットショップから入手することができたのであった。
 祝祭歌劇場の前に着くと、非常に華やかな雰囲気である。会場の向かいにはスポンサー企業のテントが立ち、着飾ったセレブたちが開演前の一時を楽しんでいる。その雰囲気を楽しむ観光客の姿も目立つ。

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 入口を抜け。まずはコーヒーを一杯。お酒を飲んでいる人も多いが、今のタイミングで飲んだら、公演中に睡魔に襲われそうである。
 「魔笛」の会場はFelsenreischuleである。Felsenreischuleは岩の乗馬学校という意味で、ここに学校があったことに由来する。舞台の背後はメンヒスベルクの岩壁を削って造られ、岩肌が残っていて、演出上のアクセントにしばしばなっている。会場はそれほど大きくはなく、オペラをの楽しむにはちょうど良いサイズである。私の席は会場中程、やや右寄りにあり、舞台全体が見渡せる良席であった。

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 開演が近づくと、テレビのレポートーがカメラに向かって何かを話し始めた。会場の外にZDFやORFの中継車が止まっていたから、このオペラも中継されているのであろう。
 15時よりちょっと遅れて、アーノンクールが登場して開演。ゆっくりしたテンポでの演奏、CMWの音は野性的でいて美しく、心に深く響いてきた。歌手陣も粒揃い、ソプラノのJulia Kleiterの美声は特に印象的であった。演出は極めて現代的で、舞台は神学校から医学校、それも寄宿学校に置き換えられていた。権力の象徴「太陽の環」を持つ神官ザラストロは聖人君主として広く尊敬されているというのが通常の演出だが、この演出ではザラストロはピカピカ光る玩具のような太陽の輪をぶら下げ、太陽の輪からコードが頭に伸びていて、実は権力なんてこんなもので、そんな権力にザラストロ自身が権力におどらされていることを象徴していた。会議では高圧的に人々 (ここでは教師達)に同意を求め、ザラストロが集める経緯もその権力が故であることが象徴的に描かれていた。ラストシーンではザラストロと悪役「夜の女王」が「太陽の環」を巡って見苦しく争い、呆れたタミーノとパミーナが「太陽の環」を子供の玩具にして幕となった。権力とそれに対する見苦しい欲望への痛烈な皮肉がこめられ、しかも途中で善悪が入れ替わるという「魔笛」の無理のある筋書を見事にまとめているという点でも良かった。休憩を挟んで3時間40分、決して短くはないが、この瞬間が終わって欲しくないと思う素晴らしさ。心が揺さぶられた最高のオペラ体験となった。
 カーテンコールも熱狂的なものになり、拍手だけでなく、特に感動した場合の足踏みまで送られていた。やはりアーノンクールには圧倒的な賞賛が送られていたが、演出は必ずしもそうではなく、否定的に見る向きも少なくなかったようだ。

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 会場を出るともう19時近い。だが、今日はこれで終わりではない、20時30分からコンサートがある。まずは夜食用にNORDSEEでサンドイッチを購入、続いて旧市街の中のイムビスで焼きソーセージと。ザワークラウトを。残った時間は屋外レストランで過ごすことにする。本当はスープでも欲しかったが、料理は時間がかかるとのことで、ビールを。1杯で我慢するつもりだったが、つい美味しくて2杯飲んでしまい、ほろ酔い加減。さすがに3杯目はやめて、水で我慢した。

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 20時過ぎに再び祝祭劇場に戻る。すでに日は暮れて肌寒いくらいだが、聴衆が集まって華やかな雰囲気は続いている。

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 今度はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートである。指揮はヴァレリー・ゲルギエフで、ストラヴィンスキー「詩編交響曲」、ソルグスキー「死の歌と踊り」、プロコフィエフ;交響曲第5番というロシア・プログラム、テノールはセルゲイ・セミシクル。ゲルキエフ指揮のウィーン・フィルというと、2004年に三重県文化会館でチャイコフスキーの交響曲4番を聴き、いたく感銘を受けたものであるが、今回は馴染みのない曲ばかりで、当初は行くつもりもあまりなかったのだ。しかし、「魔笛」のチケットがこの公演のチケットとセット販売だったため、せっかくの機会とばかりに足を運んだのである。それは正解だった、かなりの難曲だと思うが、精緻なオーケストレーションを堪能し、ロシア音楽の魅力に触れることができた。ロシア音楽でも、これだけの演奏を当たり前のように披露するあたりは、さすがはウィーン・フィルといったところか。終演は23時前。外はもう真っ暗である。

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 すっかり人通りの減った旧市街を抜け、ザルツァッハ川を渡る。ここでザルツブルクの夜景を眺める。ホーエンザルツブルク要塞の麓に広がる旧市街、何と美しいのだろうか。人口15万人の小さな街に過ぎないはずのザルツブルクにこれだけの魅力が溢れているころに心の底から感動した。明日は朝一番でドイツへ向かう、このザルツブルクともお別れである。

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新市街側のホテル・ザッハー

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旧市街

 マカルト広場でしばらく待って大混雑のトロリーバスに乗り、ホテルに戻る。ホテル内の自動販売機でビールを買って寝酒にしようと思ったら、同じことを考える人は多いようで、ビールだけ売り切れ。結局部屋に1本だけ残っていたビールを飲んで一日を終えたのであった。

7月29日 München → Innsbruck → Salzburg [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 朝5時に起床、身支度を整え6時にInterCity Hotel Münchenをチェックアウトする。この時間でも、München Hbf構内では書店やサンドイッチ販売店が既に店を開いている。ホテルの朝食時間に合わなかったので、ハムとチーズのサンドイッチとミネラルウォーターを購入する。
 今日はSalzburgに向かう。MünchenからSalzburgへはRosenheim経由でRJやEC/ICが多数走っているが、景勝路線として知られるMittenwaldbahnの旅を楽しむため、今回はInnsbruck経由で向かうことにした。München Hbfの北側27番線にはInnsbruck Hbf行のRB 5409が既に停車していた。先頭の牽引機は111 038-6、続く客車はBnrz 451.4 + ABnrz 418.4 + Bnrdz 452.9 + Bnrz 451.1 + Bnrdzf 483である。これらは元Silberlinge客車を更新したものである。これまで元Silberlinge客車にゆっくり乗車する機会はなかなかなかったので、乗り心地が楽しみである。

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 朝早い列車なので車内はガラガラであるが、スーツケースも持っていることでもあり、1等・2等合造車のABnrz 418.4の1等席部分に座る。車内はリニューアルされており、座席が最近のDB Regio標準のものに交換され、壁も一部が木目調で、落ち着いた雰囲気である。

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 6時30分定刻にMünchen Hbfを発車する。客車編成だけにモーター音はなく非常に静かである。バッファーとネジ式連結器のおかげか、発車時のショックもない。左右にはヤードが現れ、その先の右側には貨物駅München-Laim Rbf・Pbfが広がる。さらに、Ingolstadt方面の路線が右に分岐していった先にMünchen-Passing Gbfが広がり、ICEからローカル客車、貨車まで様々な車両が車窓に現れる。列車はMünchenの西の拠点駅、München-Passingに停車する。ここで若干の乗車がある。

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 6時37分にMünchen-Passingを発車すると、Augsburg方面の路線と分かれ左に大きく曲がって南西へと向かう。München-Westkreuzの先で、さらにHersching方面の路線が分かれていく。この辺りはS-Bahn S6系統も走り、S-Bahnと列車線は分離され、それぞれ複線となっている。

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 列車は100km/hほどで走るが、古い客車であっても安定感のある乗り心地だし、静かである。ここで朝食のサンドイッチを食べる。Gatutingの先でS-Bahn線と列車線は合流し、ここからは線路を共有する。左側にはWürm川が沿うが車窓には森ばかりが続き、川は見えない。Münchenを出発した時には曇っていたが、少し晴れてきたようだ。

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 徐行し右に大きくカーブするとまもなく左に湖が広がる。Starnberger Seeである。Stramberg Seeはノイシュヴァンシュタイン城・ヘレンキームゼー城・リンダーホーフ城などの建設で知られるバイエルン王ルートヴィッヒ2世が水死体で発見された湖であるが、車窓からは静かな佇まいの湖である。Starnbergを通過すると左にカーブし、さらに南西へと向かう。

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 この辺りは上り勾配が続くが、列車は軽やかに上っていく。Possenhofen、Feldafingを通過すると、再びStarnberger Seeが左手の車窓に広がる。まもなく列車は減速、Tutzingに到着する。S-Bahn S6系統はここが終点である。ここでMünchenへ向かうREと交換する。

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 6時59分にTutzingを出発、Kochel方面の支線と分岐すると列車は単線区間に入る。南ドイツの長閑な車窓風景の中、一旦真西に向かい、その後再び南西へと進路を向ける。細かいカーブが増え、列車のスピードが上がらなくなった。まもなくWeilheimに到着、BRBの気動車Lint 41が停車しているのが見える。

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 Weilheimを7時18分に発車、細かなカーブが続く区間を列車は南下していく。Huglfing 、Uffing a Staffelseeといった小駅に停車、少しづつ乗降がある。右にStaffelseeが見え、まもなく列車は減速、Murnauに到着する。Murnauは20世紀初頭に多くの画家が滞在した保養地である。10年に1度村人総出で上演される「キリストの受難劇」で有名なOberammergauへの支線もここから分岐している。反対のホームに111形を前後に間に客車を挟んだREが到着、その先にはOberammergau行の2両編成の426形が停車している。

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 7時30分に発車、一度左に分かれていったOberammergau方面の路線は大きく右に曲がってこちらをオーバークロスし、西へと消えていく。Oberammergauの方を見ると、ちょうど山と山に囲まれた谷になっている、ここを列車で通ったら、左右を山に囲まれて気持ちの良い車窓風景を楽しめることであろう。次回はOberammergauにも足を延ばしたいものである。

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 Murnauからは複線となるがそれもHechendorfまで。ここからは単線に戻り、Ohlstadt、Escehenlohe、Oberauとこまめに停車するためスピードも上がらない。しばらく牧草地が続いたが、Farchantを出発すると、高い山々が右前方に迫ってきた。ドイツ最高峰となる標高2962mのZugspitze ツークスピッツェを中心とする山々である。

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 まもなく列車は減速、左にカーブしながら、7時58分にGarmisch-Partenkirchenに到着する。ここまでMünchen Hbfから100.6km、標高は708mである。拠点駅だけに、駅の横には111形が停車中、そしてInnsbruckから到着したREも機関車は111形。ここではまだまだ111形の独壇場だ。

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 Garmisch-Partenkirchenでは観光客の乗車が多い。英語を話している人も目立ち、外国人観光客が多いのだろう。2等車もかなりの混雑で、スーツケースを持っている身としては1等に座って正解だった。8時04分に発車、列車は大きく左にカーブして一旦東へ向かう。ツークシュピッツェが車窓から消えると、まもなくスキーのジャンプ台が車窓右手に現れる。国際大会も行われる大きなジャンプ台である。

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 いよいよ山の中に入り、急曲線が続くため、列車のスピードは一段と落ちる。設備の整っていない踏切もあり、頻繁にピョーッという甲高い警笛が鳴る。印象的な音である。ゆっくりゆっくりと走り、Klaisには8時17分に到着する。ここは標高933m、IC停車駅ではDB最高峰に位置する。こじんまりとした駅舎は鉄道模型で再現したくなるような雰囲気だ。

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 Klaisを発車しても、相変わらずスピードは変わらず、警笛が頻繁に鳴らされる。列車はここから南へと進行方向を変えていく。車窓には標高2385mのKarwandelspitzeを中心とする山々が近づいてくる。山腹にはもやがかかり、実に息をのむような美しい光景である。程なくして8時25分に標高914mのMittenwaldに到着する。

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 Mittenwaldはヴァイオリン製作で有名な街、別荘や雰囲気の良さそうなホテルが並び、如何にも保養地といった風情である。乗車が多く、1等車も大半の席が埋まった。ここでREと交換、機関車はやはり111形である。

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 8時26分に発車、まもなく列車は国境を越えてオーストリアに入り、すぐにScharnitzに到着する。ここからはREX 5409となる。

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 Scharnitzを発車しても相変わらずスピードは上がらず、並行する道路を走る自動車に置き去りにされる。車窓には別荘やホテルなどが点在している。Gießenbach in Tirolを通過し、次のSeefeld in Tirolに停車、わずかながら乗車がある。ここは標高1182mである。

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 Seefeld in Tirolを出発すると、車窓には霧が目立つようになった。次のReithにも停車、霧はさらに深くなってきた。この辺りからがMittenwaldbahnの車窓風景の見せ場となるだけに、少し残念である。列車は南から東へと進行方向を変える。Leithenを通過すると左に急カーブし、Fragenstein-Tunnel (394m)を抜ける。次は右への急カーブで180度進行方向を変えながらPfegertal-Tunnel (32m)を抜け、全長66mのSchloßbachbrückeを渡る。写真で見るとここは壮大な鉄道橋だが、今日は工事中である上、霧で殆ど何も見えない。

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 Schloßbach-Tunnel (722m)を抜けると左にカーブして再び東へと向かう。Vorberg IV Tunnel (44m)、Vorberg III Tunnel (47m)、Vorberg II Tunnel (98m)、Vorberg I Tunnel (148m)を抜けると、標高922mのHochziriに到着する。ここで、München行REと交換する。

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 9時ちょうどにHochziriを発車すると、列車は左にカーブしてBrunntal-Tunnel (99m)を抜ける。続いて今度は右にカーブしながらEhnbach-Tunnel (347m)を通過、続いてMartinswand-Tunnelに入る。このトンネルは全長1.810mの長い直線のトンネルである。さらにAn der Wand II Tunnel (202 m)、An der Wand I Tunnel (109 m)を抜けると、車窓からはまさに絶景が広がった。雲が低く立ち込め霧も出ているが、眼下のイン川沿いの渓谷を見下ろすダイナミックな光景である。

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 列車は徐々に高度を下げていく。Hechenberg-Tunnel (26m)を抜け、Martinwand、Kranebittenの2駅を通過すると、Innsbruck-Höttingに停車する。Innsbruck-Höttingを発車すると列車はイン川を渡り左にカーブしながらスイス方面からの路線と合流し、Inssbruck Westbahnhofに停車、ここで若干の下車がある。

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 Innsbruck Westbahnhofを発車すると、右手の車窓ににスキーのジャンプ台Bergisel-Sprunstadionが現れる。再び左にカーブしながら、Brenner方面からの路線と合流し、TaurusをはじめÖBBの動力車が集うヤードの横をゆっくりと走って、定刻の9時23分にInnsbruck Hbfの隅にある21番線に到着する。

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 Innsbruckの天気予報は雨だったが、幸いにも降っていない。涼しくて気持ちの良い天気である。下車した乗客が去ったところで、乗ってきたRBの編成を撮影する。111形の運転士は折り返しを待っているのだろう、運転席で新聞を読みながらリラックスしており、係員が車内の掃除をしてまわっている。

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 別のホームにはICE-Tが停車している。Innsbruckには週末のみの1日1往復だが、ICEも乗り入れているのである。S-Bahnに活躍する4024形を撮影したところで、コンコースに出て、スーツケースとリュックサックをコインロッカーに預け、市内観光に出ることにする。

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 駅前から観光の中心である旧市街は歩いて10分程である。トラムを使いたい気もしたが停留所の位置がよく分からないこともあり、歩くことにした。Innsbruck HbfからSalurner Str.を真西へ歩く。途中でトラムに追い越され、ポツポツと雨も降ってきた、傘をおいてきたのに運がない。5分ほどで凱旋門に行き着く。

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 ここからはMaria-Theresien-Str.を北へ向かう。Innsbruckの中心となる通りだが、日曜朝だけあって、人通りはまばらだ。しばらく歩くとMuseum Str.と交わる。ここもトラムが通っている。

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 さらにHerzog-Friedrich Str.を北へ向かう。ここはもう旧市街、カフェやレストランなどが並び、通りの両側は石造りのアーケードになっている。雨宿りが出来て助かる。すぐにInnsbruckの象徴であるGoldenes Dachl黄金の小屋根が見えてくる。ここは、ハプスブルク家出身のオーストリア大公であり、神聖ローマ皇帝となったマクシミリアン1世が広場での行事を見物するために作られたバルコニーである。屋根には2000枚以上の金の瓦が用いられ、インスブルックの繁栄の象徴である。まだ人出が少ない中でも、ここだけは観光客が写真を撮っている。

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 ここから東に向かったところにHofburg 王宮があるので、8 Euroを払って入場。観光客がまばらなのでゆっくりと見物する。隣にはHofkirche 宮廷教会があるが、日曜朝はミサの時間で入れない。馬車がゆっくりと走っている光景を眺め、お土産や傘を買う。まだ時間は早いが、近辺であまり見るところもなさそうなので、駅に戻ることにする。

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 Museum Str.まで戻ると、まもなくHbfを経由するバスが到着、乗車時間5分でInnsbruck Hbfに戻る。まだ11時前である。

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 小腹が空いたので、構内の立ち食いピッツェリアでマルゲリータを注文、その場で焼くのでとても美味しいが、思った以上に大きくて、平らげるのに一苦労。残った時間はオーストリアの列車を撮影して楽しむことにする。ホームに上ると、突然激しい雨に変わった。

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1116形

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4024形

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 ここで雨もあっという間にあがり晴れ間まで見えてくる。山の天気は変わりやすいことを実感する。

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1116形 RailJet

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RailJet

 12時前に撮影を終え、コインロッカーから荷物を取り出し4番線ホームへ。ここからはSalzburgへ向かう。乗車するのはÖBB自慢のRailJetに乗ることにする。12時過ぎにZürich HB発Wien Westbahnhof行のRJ 163が入線してきた。

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 RJといえば、登場時は1等・2等に加え、最上級クラスとしてPremium classが設定されたことが話題となったが、今はBusiness classに名称を変更され、サービス内容も変更されている。そのサービス内容を見たくて、Business classを予約した。指定されたのは先頭の制御客車27号車44番席である。Business classは向かい合わせに1席と2席が配置され、お互いの脚が干渉しないように配慮されている。大柄のシートはリクライニング角度が大きく、脚も伸ばすことが出来る。非常に快適ではあるが、少々大きすぎて落ち着かないくらいである。シート横にはテーブル収納されている。列車の様々な情報を伝えるディスプレイも背面に設置され、係員も呼び出すことも出来るなど、万全の設備が整えられている。

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 Innsbruck Hbfを定刻の12時09分に発車した列車はイン川を渡り北東へと向かう。この路線は最高160km/hだが、実際には100km/h台前半くらいと、余裕のある速度で走る。車窓にはチロルの山々が連なるが、幹線沿いだけあって住宅も目立つ。

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 ここで無線LANサービスを試す。このサービスは無料で提供されているが、最初はうまく接続できてメールの受信ができたものの、すぐに接続できなくなった。PCを再起動してもうまくいかず、信号が弱い区間があるのかもしれない。
 次はRJ自慢の食事サービスを試すことにしよう。RJは営業運転開始当初はPremium classはフリードリンクに加え、無料で食事サービスが提供されていた。しかし、Premium classは1等から50 Euroの追加料金を要した割に、食事はあまりに貧弱で評判が悪かったようだ。そこで、Premium classはBuseness classに改称され、1等からの追加料金が25 Euroになった代わりに無料の食事提供サービスは廃止され、1等席と同様に有料ではあるが、座席から注文し席まで宅配してもらえる形に変更された。また、RJでは当初は座席のないBistroで供食サービスが行われていたが、現在Bistroは食堂車に順次改装されている。
 サービス要員が通りかかったので、メニューをもってきてもらう。メニューはスナックからサラダ、スープ、メインディッシュ、デザートまで非常に多彩、飲み物も豊富だが、オーストリアらしいものを、ということでウィナー・シュニッツェルを注文する。飲み物はもちろんビール、Ottakringer hellesというオーストリアビールである。ピルスナータイプの飲みやすいビールを楽しんでいるうちに列車はイン川沿いに走ってWörgl Hbfを過ぎ、さらに街の象徴である城塞を眺めながらKufsteinを通過する、ちょうど110形が停車していた。この先でイン川に沿って走り、オーストリアからドイツに入って北へと進行方向を変える。昔から時間短縮のためオーストリアの国内列車であるICは一旦ドイツに入って、Rosenheim経由で運行していた。ただし、ドイツ国内は無停車とされ、出入国手続きは不要とされた。このような列車はKorridorzug 回廊列車と呼ばれ、以前はよく紹介されたが、今はドイツとオーストリアの国境で出入国手続きが行われること自体がまずないこともあり、あまり注目されないようだ。

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 係員がシュニッツェルを運んできた。ジャガイモの付け合せがつき、かなりのボリュームであり、味もなかなかのもの。これで10.90 Euro。非常にレベルの高い供食サービスと言って良いだろう。食べ終わったところで、係員に声をかけて支払いを済ませる。ビールはBusiness classのサービスに含まれるので無料、チップを少し付けて払い、食器を片づけてもらう。

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 Rosenhaimが近づいたところで減速し、ゆっくりと短絡線に入り、Rosenheim駅を避けて、東へ向かう路線に合流する。

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 再びスピードが上がり、130km/h程度で軽やかに走る。最新の客車編成だけのことはあり、静かで揺れも少ない。外は晴れ間も見え、爽やかな光景が広がる。Simsseeを右に見え、Bad Endorf付近で列車はChiemseeを避けるように一旦南へ向かう。Bernauから再び東へ向かう。Bergenから一旦北東へ向かった後、Traunsteinから東へ30km弱走る。

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 減速してゆっくりとFreilassingを通過、ゆっくりと国境を越え、再びオーストリアに入る。S-Bahnに並走して、Salzburgの市街地を回りこむように一旦南東へ向かい、ザルツァッハ川を渡って再び北側へ向いたところがSalzburg Hbfである。13時58分定刻の到着である。

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 ホームに降り立つと、係員が運転席の窓の清掃をしている。Salzburgの天気予報は雨だったが、実際には強い日差しに照らされている。

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 Wienへ向かうRJの発車を見送った後、駅前にあるRamada Hotel Salzburg City Centreにチェックインする。予約が確認できないと言われ、少々時間がかかったが、幸いにも係員の間違いだったようで、無事にチェックインすることができた。今はちょうどザルツブルク音楽祭の開催中である、ホテルはどこも一杯で、このホテルも何とか確保できたのである。
 部屋に入って、荷物を置いて落ち着く。テレビではF1 ハンガリーGPが放映中。それを横目で確認しながら、準備をする。軽装になったところで15時過ぎにホテルを出て旧市街に向かう。ザルツブルクはトラムは走っていないが、O-Busと呼ばれるトロリーバスが幅を利かせている。駅前からマカルト広場へは5分ほどで到着する。

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 ザルツブルクの中心街はザルツァッハ川を挟んで東岸が新市街、西岸が旧市街に分かれている。マカルト広場は新市街側にあるが、橋を渡ればすぐに旧市街側に出られる。音楽祭開催中の観光シーズンということもあり、混雑する狭い道を通り抜け、足早にDom 大聖堂に向かう。

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 大聖堂の入口に着くと、既に多くの人が集まっている。これから大聖堂でモーツァルトの宗教曲のコンサートがあるのだ。私も日本でザルツブルク音楽祭の公式サイトから手配したチケットを見せて中へ入り、プログラムを購入する。壮大な大聖堂の一番奥に舞台が設営されており、私は舞台から2列目という良席であった。教会でのコンサートは初の体験、どのような響きを味わえるのか楽しみにしながら開演を待つ。コンサートの曲目はモーツァルト作曲、Missa longa C-Dur (KV 262)、Litanie de venerabili altaris sacramento (KV 262)の二曲である。ソリストはソプラノがSylvia Schwartz、メゾソプラノがElisabeth von Magnus、テノールがJeremy Ovenden、バリトンがFlorian Boesch。指揮はニコラウス・アーノンクール Nikolaus Harnoncourt、オーケストラはConcentus Musicus Wien、合唱団はArnold Schoenberf Chorである。

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 開演時間の16時になり、まずオーケストラと合唱団が登場、続いてソリストと指揮者が入場して開演。大聖堂の中を満たす音は残響が大きく独特の響きだが、それがこのような宗教曲では神への真摯な祈りのように感じられ、強い印象を残す。休憩なしでの1時間半はあっという間に過ぎ、忘れえない感動的なコンサートとなった。
隣に座った年配の夫婦から、演奏中何度かプログラムを見せてもらえるように頼まれた。何だかお位置着かないと思っていたが、終演後、オーケストラの一員がその夫婦に使づいてきて何か話している。どうやら団員の家族だったようだ。
 余韻を味わいながら、大聖堂内を歩き、CDを購入して外に出る。

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 まだ6時にもならない時間で明るいので、旧市街を歩いて回る。旧市街は車がほとんど見られず、教会の鐘の音、ヴァイオリンの音、そして馬車の蹄鉄の音が響くのみ。何とも素晴らしい雰囲気である。ドーム広場から東へ向かうとモーツァルト広場、ここにはこのザルツブルクで生まれ育ったモーツァルトの像が立っている。さらに東へ進むと、モーツァルトのオペラ「魔笛」に登場するパパゲーノ像が立つパパゲーノ広場である。

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 ドーム広場から北西方向にJudengasseを歩き、さらにGetreidegasseに入って、モーツァルトの生家に向かう。音楽祭の開催期間中は混雑すると聞いていたので少々並ぶことも覚悟していたが、幸いにもすぐに入ることができた。ここにはモーツァルトの使用した楽器や自筆の楽譜・手紙などが保存されている他、モーツァルト一家の足跡も紹介されている。

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 そろそろホテルに戻ることにする。写真を撮りながら、マカルト橋を渡ってザルツァッハ川を渡り、新市街側に出る。ここには1989年に亡くなったヘルベルト・フォン・カラヤン Herbert von Karajanの生家があり、小さな銅像がある。

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 マカルト広場からはトロリーバスの走るライナー通りを真っ直ぐ北へ向かう。途中ミラベル宮殿の横を通り、ÖBBのガード下をくぐって20分程で駅前に戻る。

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 駅前で夕食を摂ろうと思うが、レストランは全くない。駅構内にも飲食店と言えばカフェとバーガーキング、ケバブ屋があるくらいだ。結局スーパーに入って、パンやソーセージ、サラダと一緒にビールを購入し、ホテルの部屋で食べて夕食にした。時差ボケもあるし、朝早くから行動して疲れたので、明日に備えて早々と眠りについた。

7月28日 Tokyo/Narita → Frankfurt (M) → München [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 1週間の夏休みを取ることが出来たので再びドイツを旅行することにした。6月上旬から慌ただしく航空券や列車のチケット、ホテルなどを手配した。
 7月28日土曜日、早朝5時前に起床、ロンドン・オリンピックの開会式を見ながら荷物を確認する。自宅近くの駅を6時に出る列車に乗車、京成高砂からはアクセス特急で成田空港へ向かう。車両は京急1000系である。車内は空いているが、私と同様夏休みなのであろう、大きな旅行カバンを持った乗客が目立つ。成田空港駅には6時54分に到着する。
 駅から南ウイングの出発ロビーへ向かう。早朝なので人はまばらだが、ルフトハンザの窓口は既に開いている。既にチェックインはオンラインで済ませてあり、スーツケースを預けるだけで7時05分には手続きを終わる。

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 続いて両替とコンビニエンスストアでの買い物を済ませ、展望デッキへ上がる。7時46分にFrankfurt (M)からのLH 710便が着陸、A380の大きな機体で存在感は抜群、多くの航空ファンがカメラを向けている。

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 だし茶漬けで朝食を済ませ、パスポート入れや街歩き用の小さなカバンなどを買って、8時30分に出国審査へと進む。夏休みの出国ラッシュで長い行列ができており、中には税関職員に呼び止められて大声をあげている人や、列を割り込もうとして係員に注意されている人がいて、なかなかの喧騒ぶりである。
 ようやく出国審査を通過して、46番搭乗口へ。登場するLH 711便はA380-800、D-AIMC “北京 Peking”である。A380はずんぐりとして美しいとは言えないかもしれないが、愛嬌のある好ましい姿だと思う。

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 9時15分に搭乗開始、ファースト・ビジネスクラス客が先に搭乗し、エコノミークラスは列毎に順番に案内される。私はエコノミークラスの60列で、最後に搭乗を案内された。これまで大抵は窓側を指定していたが、今回はギャレーのすぐ後ろの通路側60Cを予約している。足元が広いということで、どの程度か試してみようと思ったのである。
 機内が落ち着いてもなかなか出発しないと思ったら、あと数名の乗客の搭乗を待っているとのこと。定刻の9時45分を過ぎ大分待ったところで、旅慣れた様子の中年の男性が搭乗してきた。すぐにドアクローズ、10時10分にプッシュバックが開始された。この時間は出発ラッシュ、キャセイパシフィックのA330、JALのB777、ANAのA320の離陸、さらにアエロフロートのA330の着陸を待ってようやく滑走路へ。エンジン音が高鳴り、長い滑走を経て、ゆっくりと空へと上がる。といっても上昇角度は緩やかでなかなか地面が離れていかず、失速しそうな感覚に一瞬とらわれるが、まもなく雲の中に入る。
 巡航高度を維持すると、大きな機体故か、揺れは非常に少ないし、エンジン音も静かで快適である。冷房の真下で時々水滴が落ちてくるが、気になるほどでもない。出発して1時間半ほどでまずは飲物のサービス、私はビールをチョイス。Wersteinerのピルスはいつながら美味しい。昼食は私の席に回ってきたころには選択できず、和食のチキンとなった。機内食だから特別美味しいということはないが、エコノミークラスのサービス低下が著しい昨今では、よく頑張っている方かもしれない。白ワインも一緒にもらって、ほろ酔い気分。

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 食後は持参したiPadで、事前に用意したモーツァルト「魔笛」の第1幕を鑑賞。チューリッヒ歌劇場2007年の公演である。少し眠った後、第2幕を楽しむ。今回の旅行では、「魔笛」の鑑賞を予定しており、その予習というわけである。
 今回座った60C席は確かに足元は広いが、通路の人通りが多く、寝ていてもカーテンが当たって起こされてしまうし、離着陸時にシートテレビを収納しなければいけないなど、良い点ばかりでもない。この席を選択するかどうかは好みに大きく左右されそうだ。すぐ前のギャレーには誇らしげにルフトハンザのロゴマークが掲げられている。

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 おにぎりのサービスが途中である。残った時間は、シートテレビでシャーロック・ホームズの映画、さらにネルソンス指揮バイエルン放送響によるドヴォルザーク交響曲9番「新世界」を楽しむうちに、ドイツ時間で12時30分になり、ヘルシンキ上空を飛んでいる。Frankfurt (M)まではあと2時間である。
 まもなく軽食のサービスがあり、ラピオリを選択する。なかなか美味しい。ここで赤ワインを一杯。到着まではゲーテ「ファウスト」を読み進めたり、ドイツ観光案内の映像を見て過ごす。

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 到着45分前にBerlin上空を通過、Fulda付近でやや左に旋回すると、あとは真っ直ぐにフランクフルト空港へと向かう。着陸態勢に入り、シートテレビは収納しなければならないので、あとは壁のテレビ画面を眺めるしかない。

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 到着前に激しい揺れがあるとのアナウンスがあったが、Hanau上空を過ぎ雲の中に入ると雨が降っており、確かにある程度の揺れがある。しかし、さらに高度を下げると揺れも収まり、まもなく14時30分にフランクフルト・マイン国際空港に着陸する。着陸後、LufthansaのB747-400、MD-11Fの着陸を待った後、C14にスポットイン。出発はかなり遅れたが、どうやらかなり取り戻せたようだ。
 A380にはボーディングブリッジを3本付けるようだが、まずはファースト・ビジネスクラス用を優先するためだろう、ドアが開くまでしばらく待たされる。ようやくドアが開き、降機する。

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 急いで入国審査へと向かう。この後は列車でMünchenへ向かう予定だが、15時37分発のICEを逃すと次は16時54分までない。念のため、両方の列車の予約を取ってはあるが、できれば15時37分に乗りたいのである。
 幸いにも入国審査は空いていてすぐに手続きが終わり、Baggage Claimへ。ここでしばらく待たされるが、思ったよりは早くスーツケースを受け取ることが出来た。この時点で15時20分過ぎ。急いでゲートを出て、まずはターミナル1の地下にあるフランクフルト空港近距離駅Frankfurt (M) Flughafen Regionalbahnhofへ。レールパスのヴァリデーションを済ませる必要があるが、DBの窓口は長蛇の列。これを待つわけにはいかないので、フランクフルト空港長距離駅Frankfurt (M) Flughafen Fernbahnhofへ向かう。連絡通路を走って5分弱、Fernbahnhofの明るいコンコースに着く。こちらの窓口も数人の行列があるが、Regionalbahnhofよりはかなり空いている。
 ヴァリデーション手続きが終わったら、もう15時35分。急いで4番線ホームへ下りると、乗車するICE 721は既に入線して発車を待っていた。ICE 3 (403形) Tz 320である。Frankfurt (M) Hbfから先頭になる21号車(2等車)のラウンジ最前席を予約していたが、今日のICE 721は編成が逆になっており、21号車 (1等車)が先頭。ただ、幸いにもラウンジは親子が座っているだけで、最前部右側の一人席102番は空席だったので、ここに腰を下ろす。
 ICE 721は定刻の15時37分に発車する。慌わてて飛び乗ったので荷物の整理をするうちに列車はFrankfurt Stadionを通過、マイン川を渡ると大きく右にカーブして、15時48分にFrankfurt (M) Hbfに到着する。列車はここで折り返し、乗車している29号車が先頭になる。運転手が乗り込んできて、出発準備を整えている。空港駅では時間がなかったので、ここでホームに下りて列車を撮影する。空港に着陸した際は雨だったが、今は晴れ間が見えていて気持ち良い。

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 15時54分、Frankfurt (M) Hbfを発車、ちょうど別のICEが発車していくのをみながら、左に大きくカーブしてマイン川を渡る。

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 さらに左に大きくカーブしてDarmstadtからの路線と合流、北東に進路を向けたところでFrankfurt (M) Südを通過し、今度は真東へと向かう。

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 Frankfurt (M) Süd からHanauまではFrankfurt-Mainkur経由とOffenbach経由の2経路があるが、ICEは基本的には南側のOffenbach経由を走る。Offenbach Hbfを通過すると加速し160km/hへ。減速しマイン川を渡るとまもなくHanau Hbfを通過する。

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 今度は南東へと向かいながら、再び160km/hに加速する。外は曇っているが、時々晴れ間ものぞく。Kahlを経由し、左にカーブしてDarmstadtからの路線と合流、16時22分定刻にAschaffenburgに到着する。

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 運転手が運転室に鍵をかけて席を離れたが、すぐに戻る。その間に、反対ホームには111形牽引のModus客車編成が到着する。16時24分に発車、列車はMain-Spessart-Bahnを東へと向かう。この区間は森の中を走り、細かいカーブが続いて、あまりスピードも上がらず、100km/h程度で走る。そのため、途中のLaufach –間では新線の計画もあうようだ。

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 そのLaufachからは全長926mのSchwarzkopf-Tunnelまで登り勾配が続き、Heigenbrückenをサミットに下り勾配となる。

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 この付近からはMain川の支流Lohr川に沿って走るが、木々に阻まれて川の姿はほとんど見えない。森の間に時々現れる小さな町を横目に列車は100km/m程で走る。ラウンジでは男の子がしばらく落ち着いたかと思うとすぐにぐずり、母親が一生懸命機嫌をとっている。

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 Partensteinで東から南東へと進行方向を変えたところでICE-Tと離合する。まもなく雨が降ってきた。左に大きくカーブして貨物列車が対比するLohr Bfを通過し、右にMain川が沿う。

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 まもなくGemünden経由の在来線と分岐し、高速新線への短絡線へ入る。車内信号は200km/hを指し、列車は一気にスピードを上げる。マイン川を渡り、Schörain-Tunnel (全長3942m)に入る。

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 続いてHarrbach-Tunnel (全長523m)、Strändelberg-Tunnel (618m)、Rammersberg-Tunnel (1361m)を抜け、Rohrbach付近で高速新線SFS Hannover – Würzburgに合流、列車は250km/hへとさらに加速する。

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 SFS Hannover – Würzburgはドイツで最初に開業した高速新線の一つ、貨物列車の走行も考慮され勾配は緩やかで、250km/hを維持しながら列車は駆け抜ける。

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 Rohrbachから次の停車駅のWürzburg Hbfまではわずか25km程度、250km/hの速度ではあっという間である。Rossberg-Tunnel (全長2164m)、続いてSteinberg-Tunnel (全長579m)を抜ける頃には減速し、右から在来線が合流し、その向こうにはマイン川が沿う。マリエンベルク要塞やWürzburg市街地を右に眺め、マイン川を渡って、定刻より1分早い17時02分はにWürzburg Hbfに到着する。

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 ここでラウンジに座っていた親子が下車し、ラウンジは私一人となった。17時05分にWürzburg Hbfを発車すると、しばらくは複々線区間となる。Rottendorfで440形と離合すると、まもなくSchweinfurtへの路線が分かれていき、列車は南東へ向けて、140km/h程で走る。周囲は田園風景が広がるが、ところどころに風力発電機がそびえ立つのはドイツらしい光景である。

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 Kitzingenを通過すると再びMain川を渡る。

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 この区間は複線区間だが、旅客列車・貨物列車とも本数の多い区間だけに、途中駅では長い待避線が備えられている。この辺りから200km/h走行区間となり、列車のスピードが上がる。車窓からは田園風景の中にところどころ教会を中心に構成された集落が現れる。太陽光発電が並ぶ一帯も目に入る、この辺りはドイツの自然エネルギー大国ならであろう。

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 Aisch川を超え、Rothenburgからの路線が合流すると、まもなくNeustadtを通過する。構内には440形や648形などが停車している。

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 この先はスピードが100~140km/h程度へ落ちる。列車は森の中を滑らかに走る。空いている車内は走行音が響く以外は静かである。Zenngrundbahnが合流するSigelsdorfの先でICE 1と離合すると、まもなくMain-Donau-Kanalを渡り60 km/h程度まで減速する。

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 Bamberg方面からの路線が合流し、ICE-Tと離合しながらゆっくりとFürth Hbfを通過する。

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 列車はさらに40km/h程度まで減速、一旦右に転線する。注意信号を受け、先行する440形を追いかけながらしばらく徐行、再び左に転線し、Nürnberg Rbf方面への貨物線が分岐すると再び100km/h程度まで加速する。

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 S-Bahnで活躍する新鋭442形とすれ違うとすぐに減速、複雑な立体交差を経て、左にDB Museumをのぞむと、17時59分定刻にNürnberg Hbfに到着する。

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 バイエルン州の北の拠点だけに、ここでの乗車も少なくない。私は停車時間を利用して、車外へ出て気分転換する。

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 席に戻ったところで、18時02分にNürnberg Hbfを発車、ヤードに停車中の442形やalex客車を横目に、Nürnberg-Dürrenhof付近で右に大きくカーブすると160km/hへと加速する。しばらくはRegensburg方面の路線と並走する。

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 程なくして車内信号は250km/h、続いて300km/hを現示し、列車はさらに力強く加速していく。いよいよ高速新線SFS Nürnberg – Ingolstadtに入ったのである。左にRegensburg方面の路線が離れていき、代わりにアウトバーンA9号線が寄り添う。しかし、300km/hというスピードは異次元、アウトバーンを走行中の車をあっという間に置き去りにする。同じ300km/h対応の高速新線SFS Köln-Rhein/Mainに比べると、この路線は起伏はあるものに急勾配はなく、曲線もかなり少ない。スピードメーターは285~300km/hを行き来しているが、車内はいたって静か。在来線を走っているよりも揺れも少なく感じる、きっと軌道状態が安定しているのだろう。

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 Allersbergを通過し、Göggelsbuch-Tunnel (2287m)を抜け、Main-Donauu-Kanalを超えて、さらにOffenbau-Tunnel (1333m)、Euerwang-Tunnel (7700m)を抜ける。Kindingを通過して、さらにIrlahüll-Tunnel (7260m)、Denkendorf-Tunnel (1925m)とトンネルが続く。Stammham-Tunnel (1320m)付近でアウトバーンが離れる。Gleisberg-Tunnel (3289m)を抜ける頃には列車は減速を始める。Audi-Tunnel (1258m)を抜けたところがIngolstadt Nord。高速新線はここで終了、77.2kmをあっという間に駆け抜けたことになる。

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 Ingolstadt市内を140km/hほどで走り、100km/h程度に減速してDonau川を渡ってIngolstadt Hbfを通過する。

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 Donauwörth方面の路線が分かれ、列車は150km/hへ加速する。ここでHGKの185形が牽引する貨物列車と離合する、ドイツを走る貨物列車は本当に多様である。Baar-Ebenhausenで少し徐行したが、すぐに150km/hに戻る。もう18時を優に過ぎたが、外はまだまだ明るい。

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 ラウンジは私以外誰も座っていないので、じっくりと観察する。よく見たら2列目、3列目のシートは嵩上げされており、座ってみると案外前方がよく見える。最前席でなくとも、それなりに前方の風景が楽しめるよう工夫されているのである。

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 Rohrbachを過ぎ、Uttenhofen付近でICE 2とすれ違う。この付近からIlm川に沿って走る。最高200km/hで軽やかに田園風景の中を南へと向かう。

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 Ilm川が離れていくと、まもなくPeterhausenを通過、ここはS-Bahn S2系統の起点である。ここからはS-Bahnとは並走するが、列車線とS-Bahnの間には大半の区間で防音壁がそびえ立っている。その先で111形牽引のREとすれ違う。いよいよ廃車の始まった111形であるが、まだまだこの地域では健在である。

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 Röhhrmoos付近で再び150km/hから200km/hへ加速、Münchenへのラストスパートである。

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 München Nord Rbfからの貨物線をアンダークロスすると、まもなくICE 3とすれ違う。

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 S-BahnのMünchen-Untermenzing付近から減速、München-Obermenzingを通過するとLandshutからの路線が左から近づいてくる。ここで左へ大きくカーブし、AugsburgやGarmisch-Partenkirchen方面など、様々の路線と合流する。車内には到着案内が流れている。

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 左側のS-Bahnを走る423形を眺めながら、列車は減速していく。左右にヤードが広がり、正面には巨大なMünchen Hbfが広がる。減速してゆっくりと駅構内に入り、19時10分定刻にMünchen Hbf の22番線ホームに到着する。半年ぶりのICE 3はいつもながら快適であった。

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 夕方のラッシュなのであろう、駅構内は多くの利用客が行き交っており、飲食店もなかなかの盛況ぶりである。乗車してきたICEを撮影する。

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 駅に隣接したInterCity Hotel Münchenにチェックインする。ここはどこへ行くにも便利で、Münchenでの私の定宿と言っても良いかもしれない。荷物の整理や、インターネットの設定、メールの確認などを済ませ、20時過ぎにホテルを出る。駅でほんの少しだけ撮影する。

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440形

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111形

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218形

 あとは夕食に出ることにしよう。駅前からはトラム19系統に乗車する。

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 5分程乗車したNationaltheaterで下車、ここはバイエルン州立歌劇場に隣接する。一度はここでオペラを楽しみたいところだが、今回は見送り。

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 そのまま南へ数分歩いて、新市庁舎の地下にあるRatskellerへ入る。まずはビールを一杯、日本でもおなじみのLöwenbräuである。サーモンサラダとシュバイネブラーテン (豚のロースト)を注文する。どちらも凄いボリュームである。赤ワイン一杯を追加注文し、何とか食べ切る。満足して会計を済ませ、新市庁舎前を散歩する。

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 もう22時前だが、週末ということもあってか、新市庁舎前は驚くほどの賑わいである。

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 地下のMarienplatz駅からはS-BahnでMünchen Hbfに戻る。しかし、駅構内に下りると、何だか様子がおかしい。張り紙を見て合点がいった。工事で週末はS-Bahnは運休しているのである。

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 代行バスもあるようだが、どうも発着場所がはっきりしない。仕方がないので、歩いてNationaltheaterに戻る。もう22時を過ぎており、トラムは20分間隔だが、7、8分ほど待ったところでHbf方面のトラムがやって来た。座席はほぼすべて埋まっており、混雑している。22時20分にHbfに到着する。
駅構内ではParisから到着したTGV-POSが入線している。

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 まだ営業中の構内のスーパーで、寝酒用にビールを1本購入して、ホテルに戻り、長い1日を終えた。
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