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Die Nostalgiezugreise mit 01 150 (2) [ドイツ鉄道 特別列車]

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01 150 (12月2日撮影)

 ドイツを代表する蒸気機関車01形は数両が動態保存されている。その中でも01 150は一度は火災に遭ったものの、2013年にボイラーを新製した上で復活を果たし、Hanauをベースに特別列車の牽引に用いられてる。4月1日にも01 150の牽引する列車でKoblenzまでの旅を楽しんだが、帰国が近づき、もう一度くらい蒸気機関車の旅を楽しみたいと思っていたところ、01 150牽引でAachenまでの列車が運行されることを知り、早速申し込んだ。今回は妻に加え、Hamburgに住む友人も加わった。
 この特別列車は6時にMünster(Westf.) Hbfを発車し、Osnabrück Hbf – Melle – Bünde – Herford – Bielefeld - Gütersloh – Neubeckum - Hamm(Westf.) – Unna - Schwerte(Westf.)とNordrhein-Westfalen州東部をこまめに停車しながら乗客を集め、Hagen Hbfに9時12分に到着、ここから01 150が先頭に立ち、Aachenへ向かう予定となっていた。そこで、我々もHagen Hbfから乗ることにした。
 11月25日Düsseldorf Hbfで友人と落ち合い、Dortmund Hbf行のRE 4系統RE 10411に乗車する。先頭は制御客車、後ろから押す機関車は111 111である。5分程遅れて発車が、列車は順調に走り、9時30分にHagen Hbfに着く。
 14番線を見ると、既に特別列車SDZ 20980は入線しており、先頭で01 150が煙を上げていて、その周りでは多くの人がカメラを向けていた。一旦隣のホームで撮影した後、14番線ホームへ。01 150の後ろには緑色の郵便車、その後ろにはチャーター列車の運行会社Euro-Express Sonderzügeの褐色のUIC-X客車が連なっているが、食堂車だけはVehrkehrsrot塗装のWRmh 132.1である。最後尾にはここまで列車を牽引してきたSiemens製Vecron 193 553が連結されている。本来は110 169が牽引するはずであったが、残念ながらトラブルで変更になった。とはいえ先頭が蒸気機関車、反対が最新鋭の電気機関車という組み合わせもそれはそれで面白い。

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 指定された3号車の1等コンパートメント客車に乗る。車内は6人用コンパートメントが並び、我々の指定された4号室にも初老の夫婦連れ1組、中年の男性1人の3人の先客があった。挨拶すると、取り留めのない話になる。夫婦連れの同室者は新幹線にも乗ったことがあるそうだ、新幹線の方がずっと時間に正確だけど私はICEの方が好きと返したら、僕は蒸気機関車が好きだね、とのこと。一人で乗っている熱心な鉄道ファンには日本でも蒸気機関車が走っているのか、と尋ねられる。こういう会話も、このような列車の旅の楽しみかもしれない。
 定刻の9時49分に列車はゆっくりとHagen Hbfを発車する。まずは50km/hほどで流し気味に走る。前方からは小気味良いブラスト音が響いてくる。次の停車駅Wuppertal-Oberbarmenまでは15分程で着く。まだ発車したばかりだが、列車はここで水を補給するため、1時間近く停車する。妻は車内は暖かいし、座席の座り心地も良いとのことで、ゆっくり寝ている。

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 私は友人と連れ立って、ホームの先頭でまず撮影。乗客が先頭に集まってきたところで編成を見ながらゆっくりと最後尾まで見て歩く。さらに駅から外へ出て、線路の反対側に回って、01 150を撮影する。水の補給は水道管からホースを直接伸ばして行っている。この駅は世界最古のモノレールの始発駅でもあり、モノレールが頻繁の発車していく。

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 帰り際、食堂車に立ち寄る。01 150のグッズも売られており、とりあえずマグネットを買って、自席に戻る。列車は11時01分に列車は発車する。ここで少々お腹が空いて来たので、友人と妻と食堂車へ行く。食堂車といっても、この列車はセルフサービス式、食べ物も朝食セットか、ソーセージか、フリカンデレ (ハンバーグのようなもの)といった種類だけ。といっても値段はお手頃である、我々はソーセージとポテトサラダのセットを注文、素人料理に毛の生えた程度のものだが、それでも十分に美味しくて、ボリュームがある。

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 列車はWuppertal Hbfに停車して最後の乗客を乗せ、さらに西へと向かう。Solingen方面への路線が分岐するGruitenを通過したところで3号車に戻る。鉄道博物館のあるHochdahlを通過すると、Erkrathまでの3km程は33‰の下り勾配が続く。鉄道創成期から長らく、この勾配区間はネックであった。この地方で最初に開業した鉄道であるDüsseldorfからの路線は勾配を超えられる機関車がなかったため、勾配の手前Erkrathまでの開業であったし、第二次大戦後にも勾配区間用に専用機関車が投入されたこともある。とはいえ、111形や最新の電車であれば、勾配区間を軽やかに超えていく。

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 Erkrathを通過すると、しばらく平坦な区間となる。MetmannやNeandertahlからの路線が合流すると、もうDüsseldorf市内である。自宅の方向を見ながらゆっくり左へ急カーブし、まもなくDüsseldorf Hbfを通過する。地元の中央駅を通過する経験はそうないので、これはこれで面白い。Köln方面の列車と分かれ、列車はさらに西へ向かう。ライン川を渡り、S-Bahnも追い抜く。

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 Neuss Hbfを通過し、列車はさらに直線区間を西へ向かう。手元のアプリを見ると、列車70~100km/h程で走る。電気機関車の後押しがあるとはえ、なかなかのスピード感である。

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 拠点駅Mönchengladbach Hbfを過ぎ、列車は進行方向を南西へと変える。Hagenの発車から2時間が経過し、コンパートメントには気だるい雰囲気が漂い、同室者の大半が寝ている。静かな車内で、前方から響いてくるブラスト音を聞きながらドイツの車窓を眺めるのは最高、こんな旅情をかきたてられる機会はそうないであろう。

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 列車は順調に走り、13時ちょうどに目的地のAachen Hbfに到着した。下車したところで反対のホームに行き、01 150を撮影する。

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 ここからは市内観光の時間である。別料金で(といっても安価だが)乗客向けの市内観光ツアーが何コースか用意されているが、我々は3人で街をぶらつくことにする。アジア食品店や雑貨店で友人の買い物に付き合いながら、街の象徴である大聖堂に向かう。温泉が湧き出るエリーゼの泉まで来ると、もう大聖堂は近い。周囲ではクリスマスマーケットが始まり、多くの観光客が賑わっている。

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 カフェで一休みした後、大聖堂へ。アーヘンの大聖堂は神聖ローマ帝国の初代皇帝であるカール大帝が埋葬されており、その壮麗さには圧倒される。

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 大聖堂に程近い、巨大な鉄道模型店に立ち寄った後はクリスマスマーケットを見て回る。日が落ちて、かなり冷え込んできた。グリューワインにライブクーヘン (ジャガイモのパンケーキ)で体を温めるが、その間に雹が降り出し、さらに雪までちらついてきた。

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 17時20分頃、クリスマスマーケットを離れ、中央駅へと向かう。ゆっくり歩いて、駅まあでは20分程である。駅についてまもなく、電気機関車を先頭に、先程乗った列車が入線して来る。進行方向を変え、ここから01 150を先頭に走る。

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 17時58分に発車、列車は東へ進路を向ける。この列車は往路と復路でルートが異なっており、まずはKölnを目指す。アーヘン観光に疲れたのか、同室者の多くが寝ており、妻と取り留めのない話をしながら、夜汽車の旅を楽しむ。DürenからはS-Bahnと並行する複々線区間となる。Aachenから1時間ほどでKöln Westに着く。とはいえ、停車した場所にホームはなく、ここで01 150が任務を終え、連結が外されるのである。

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 しばらく停車した後、列車は進行方向を変え、電気機関車を先頭に走り出す。まもなくKöln Hbfである。我々としてはここで下車するのは好都合なのだが、残念ながら、運転停車で下車はできないとのこと。10分程停車した列車は19時40分に発車し、列車はライン川を渡り、Solingenを通過してWuppertal Hbfには20時09分に到着した。同室者に別れを告げ、我々はここで下車する。列車はこの後、さらにMünsterへ向かう。

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 遅れてやって来たREに乗車し、Düsseldorf Hbfまでは20分程で着く。駅に程近い韓国料理店に入り、温かい鍋をつついて楽しい夜を過ごした。

 翌週の12月2日、01 150はRüdesheimへ向かう特別列車を牽引した。予定の時間に比べ1時間程遅れての運行であったが、Düsseldorf Hbfの発車を眺めた。

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さらにICEとRBで先行し、Kölnの南、Hurth付近でその雄姿を見ることが出来た。火災から逞しく復活した01 150、今後も末永く走り続けて欲しいものである。

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Die Nostalgiezugreise mit 01 150 [ドイツ鉄道 特別列車]

 ドイツでは現在も多くの蒸気機関車が動態保存されているが、その中でも最高130km/hの性能を誇り、急行旅客列車に使用された01形は人気が高い。01 150はDBの手で動態保存されてきたが、2005年に火災で焼失した。しかし、元機関士を中心とする募金によって10万ユーロに及ぶ募金が集められ、ボイラーを新製して2013年に復活し、現在はHaunauをベースに各地で特別列車を牽引している。この01 150が牽引する列車がBielefeld – Hamm – Essen – Duisburg – Düsseldorf – Kӧln – Koblenz間で運転されることを知り、早速申し込んだ。その後、Düsseldorf近辺で行われている工事の関係で、Duisburg – Kӧln間のルートがDüsseldorf経由からKrefeld・Mӧnchengladbach経由に変更された。
 4月1日、朝8時半過ぎに家を出て、Düsseldorf HbfからREに乗車し、Duisburg Hbfへ向かった。工事の関係でREが15分程遅れ少々心配したが、それでもDuiburg Hbfでは10分程乗り換えの余裕があった。
4番線ホームの端に行くと、二人と少年がカメラを持って、01の到着を待っていた。動画を撮るから静かにして、とのこと。定刻より5分程遅い9時35分頃、少年たちが指さす方を見ると、01 150がゆっくりと近づいてきた。入線を素早く撮影し、彼らに手を振ってホーム中ほどに走り、早速列車に乗り込む。

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 特別列車は01 150の後ろに郵便車、そして元SBBの客車が4両、これに元ラインゴルトの食堂車とドームカー、最後尾に元SBBの電機Re 4/4 Iという編成である。本当はラインゴルトのドームカーの乗車したいものだが、こちらは食事付きで非常に高く、今回は最も安いチケットを購入した。指定されたSBB客車の3号車に乗車する。
 我々の座席は6人用コンパートメントにあり、すでに年輩のEssenからの夫婦が座っていた。挨拶して、席につくと、列車はすぐに発車し、南西へ向かう。コンパートメントの座面は非常に柔らかく、快適な座り心地である。ドイツ最大の工業地帯ということで車窓には時々巨大な工場が現れる。この辺りはICEやICは殆ど通らないとはいえ、旅客列車や貨物列車と次々と離合する。
 この種の列車では廊下に立って窓を全開にして楽しむ乗客が多く、わざわざゴーグルを持参する用意の良い乗客も見かける。私も朝食に買っておいたあんパンを食べた後、しばらく廊下に立っていたが、雨が降り出したため、自席に戻った。列車はKrefeld Hbf・Mӧnchengladbach Hbfと、ドーム式の屋根を持つ重厚な雰囲気の駅を停車しながら、乗客を増やしていく。

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 Rheydt駅に到着する頃には、雨がかなり激しくなっていた。ここで水の補給のために、しばらく停車する。ホームの横にはすでに消防車が待機している。停車中、何本かのREや貨物列車に道を譲る。食堂車の一角にあるバーコーナーでは飲み物と軽食が販売されており、ここでゼクトのミニボトルを調達する。

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 30分程停車した後、列車は発車する。列車は南東へと進路を向ける。車窓に広がる田園や森林は緑色に色付き、春の到来を感じさせる。Aachenからの路線と合流すると、もうKӧln郊外である。幸いにも雨はあがったようである。Kӧlnの象徴である大聖堂を遠くに見ながら、Kӧln Bbfのヤードを回り込み、定刻より10分遅れの12時前にKӧln Hbfに到着する。

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 ここが最後の乗車駅で、多くの座席が埋まったようだ。我々のコンパートメントにも二人の男性が加わったが、しばらくして他所に移動していった。乗客は中年から年輩の夫婦連れが目立つが、家族連れや鉄道ファンの姿も見られる。皆思い思いに蒸気機関車の旅を楽しんでいる様子である。
 Kӧln Hbfを発車すると、ライン川を渡る。その先でICE 3とすれ違う。ICEと蒸気機関車が同じ線路を走るとは面白い。携帯電話のアプリで速度を測ると、列車は概ね90~100km/hを維持していて、なかなかの走りっぷりである。乗り心地も安定感がある。後ほど確認すると、最高104km/hを記録していた。

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 同行している妻はここまで殆ど眠って過ごしていたが、眠気が取れたら興味が出てきたようで、廊下で窓を全開にして立つ。吹き込む風と、それに混じる煤の香りを浴びると、煤浴びって楽しいね、と大喜びしていた。小腹がすいたので、再びバーコーナーに行き、ハムを挟んだパンを購入。これも2.5ユーロ、観光列車とはいえ、良心的な価格である。

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 列車はライン川右岸を快調に走る。ライン川の両岸に鉄道路線があるが、左岸はICが走るのに対し、右岸は貨物列車中心である。それでも、ドイツ物流の大動脈だけのことはあり、すれ違う列車の本数は多い。
 Kӧnigswinterに到着する。ここはBonnの郊外、駅近くからはラック式鉄道Drachenfelsbahnが出ており、この登山鉄道に乗ってDrachenfelsの山上にある古城に向かう乗客がまず下車する。同室の夫妻も降りていった。
 発車すると、まもなくUnkelを通過、この先でまもなく一時停止する。止まった場所はちょうど昨年友人と撮影に来た場所である。全く同じ場所で数人の鉄道ファンが撮影している。

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 程なくして発車すると、左側からKasbachtalbahnと呼ばれる路線が合流してくる。ここは金曜から日曜日までしか運行されない観光路線、車両には古いレールバスSchienenbusを用いている。その終着駅であるLinz (Rhein)の手前ではちょうどSchienenbusを追い抜く。まるで1960年代のようなシーンである。



 ライン川沿いに列車は相変わらず90km/h程で走り、Neuwindの先で分岐してライン川を渡って、ライン川左岸線に合流、まもなくKoblenz-Lützelに着く。ここはドイツ鉄道の博物館DB Museum Koblenzに近く、大半の乗客はここからバスで博物館に向かう。私達も博物館に向かう予定として申し込んであったが、3時間半も鉄道博物館というのも妻に悪いので予定を変更し、まずは街を見ることにした。車内で回ってきた係員にそのことを話したら、それならKoblenz-Stadtmitteで降りてね、とのことであった。

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 列車はモーゼル川をゆっくり渡り、Koblenz-Stadtmitteに到着する。ここでもかなりの乗客が降りる。我々も下車し、01 150の発車を見送る。残った乗客は次のHbfからKoblenz市内ツアーの参加するのであろう。そして、Koblenz Hbfがこの列車の往路の終点であり、01 150はそこからHaunauへと回送される。

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 Koblenzは晴れて気持ちの良い天気である。休日を楽しむ人々で賑やかな中、旧市街を散歩しながら歩く。20分程で教会Basilika Sankt Kastorではテレマンの受難曲のリハーサルが行われていて、しばらく聴いて過ごした。

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 隣のBlumenhofで美しく咲く花々を眺めた後、ドイツの父なる川ラインの母なる川Moselが合流するDeutsches Eckへ。ここでは大規模な布地のマーケットが開かれており、多くの人々が訪れていた。妻はすっかりKoblenzの町の雰囲気が気に入ったようだ、

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 暑いくらいなのでアイスクリームを食べて一休憩し、タクシーを呼んで、今度こそDB Museum Koblenzへ向かう。博物館までは10分程、15時前に着く。
 DB Museum Koblenzは主に電気機関車やディーゼル機関車が集められており、特にEp. IVの機関車のコレクションが充実している。といっても、車庫内に収められた車両はごくわずかで、大半は屋外展示である。車両が無造作に置かれたヤードをそのまま博物館として展示しているイメージで、妻曰く、緩い雰囲気で、人もそんなに多くないし落ち着くね、とのことであった。2016年12月に定期運用を終え、3月30日にMünchenからStuttgartまでICを牽引し、そこから回送されたばかりの103 113も博物館の一角に展示されていた。今後も動態保存されたら嬉しいのであるが。

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 広大な博物館に展示されている車両たちを撮影して回ると16時前となった。SL列車の参加者の多くは博物館の展示の見学に満足したようで、食堂車を利用して開かれているカフェで一杯やったり、ベンチで日光浴をして過ごしている。妻はというとベンチで休んでいると思いきや、四つ葉のクローバーを3つ見つけてご満悦、あとはトカゲに話しかけて遊んでいた。

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 残った時間を線路際で撮影していると、迎えのバスが来た。SL列車の乗客でDB Museum見学者には、迎えのバスに乗車する際に使えるように簡単な証明書が配られていたが、特に誰もチェックするわけでもなく、バスに乗車する。発車時間が16時半と案内されていることもあり、バスは16時半までは待つ。といっても係員は全員が乗ったか確認するわけでもなく、おしゃべりに夢中。16時半を過ぎたところで、乗客から時間だよ、と声がかかり、ようやくバスは発車。いかにも緩いツアーであるが、この雰囲気が良い。
 Koblenz-Lützel駅には10分程で到着、ここで列車の到着を待つが、その間にも列車が通過すると、私を含めて何人かの鉄道ファンがカメラを向けるのはご愛敬。ちなみに、そんな夫に呆れた中年婦人と私の妻が笑い合ったそうで、この構図は日本もドイツも変わらないようだ。

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 17時過ぎ、SBB Re 4/4 Iに牽引された列車が入線してくる。機関車は現在はCentralbahn AGに所有されており、このような特別列車に用いられている。01 150程ではないが、こちらも人気である。
列車はモーゼル川をKoblenz Hbfに立ち寄った後、ライン川を渡り、右岸を北上していく。先程立ち寄ったDeutsche Eckeを対岸からもみることできた。小腹が空いたので、ソーセージとポテトサラダでビールを一杯。

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 Kӧnigswinterに停車し、先程の夫妻がコンパートメントに乗ってきて、やはりソーセージとビールで腹ごなしをしている。配布されたアンケートに記入し、さらに本日の模様を記録したDVDを注文していると、もうKӧln郊外である。18時40分、列車はKӧln Hbfに到着する。我々はDuisburgまでは乗車できるが、同室に夫妻に別れを告げ、ここで下車することにする。Re 4/4 Iの前にも乗客が集まり、なかなかの人気である。

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 書店に立ち寄った後、19時10分発EC 6に乗車する。こちらも客車はSBB、今日はある意味ではSBBに縁がある一日である。Düsseldorfへは20分程、夕食に美味しい中華料理を食べ、楽しい一日を終えたのであった。

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Abschiedfahrt der 01 1066 [ドイツ鉄道 特別列車]

 Ulmer Eisenbahnfreunde e.V. (UEF)は蒸気機関車の動態保存・運行を行う愛好者団体として有名で、急行旅客列車用蒸機01.10形 (01 1066)や貨物用蒸機58形 (58 311)などを所有・運行している。9月には01 1066が牽引する列車でMannheimからTrierまで乗車する機会があり、最高140km/hを誇る01.10形の走りっぷりを堪能した。(ただし、復路は残念ながら01 1066は故障し、代わりにDBの185形電機が牽引したが。) 年内にもう一度蒸気機関車に乗りたいと思っていたところ、KarlsruheからUlmまで01 1066牽引の列車が走ることが分かり、UEFのサイト上から申し込んだ。
 12月9日金曜日、混雑するDüsseldorf Hbfから18時22分発 München HbfのICE 729に乗り込む。車内も混んでいたが、予約していた2等個室に座る。列車はKöln Messe/Deutzに停車すると、Frankfurt Main Flughafen Fernbahnhof空港駅までノンストップの速達列車。残っていた仕事を済ませ、ドイツ語の勉強をしてうちに、19時33分に空港駅に着く。

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 コンコースの売店でサンドイッチを購入し、19時53分発Basel SBB行ICE 203に乗る。ICE 729に続いてICE 3による運行だが、ICE 729は単編成での運行だったのに対し、こちらは2編成併結列車ということもあってか、やや車内には余裕がある。向かい合わせのテーブル席でドイツ語の勉強をしていると、横に座っていた初老のドイツ人に話しかけられ、ドイツ語のなまりやUlmの話などをしばらく雑談。こういう瞬間も旅の楽しみである。あとは、もう少しドイツ語ができると良いのだが。Mannheim Hbfまではあっという間に過ぎ、19時23分に到着する。

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 ここでホーム向かい側に到着するBerlinからのMünchen Hbf行 ICE 693に乗り換える。定刻より5分程遅れて到着したICE 693とICE 729は相互に接続を取り、18時36分に同時に発車する。ここからはKarlsruhe経由でBaselへ向かうICE 693とStuttgart経由でMünchenへ向かうICE 729は30km以上先のWaghäusel付近にあるKarlsruhe方面への分岐まで最高280km/hの高速新線を走行するが、何とその30km以上、15分間をICE 693とICE 729はぴったり並走し続けた。200km/h以上の列車がぴったりと並走するなどそう体験できるものではなく、私はもちろん、妻もずっと外を見て面白がっていた。
 ICE 729と分かれると、列車は高速新線を南東へ快調に走る。2等コンパートメントで寛いでいるうちに、高速新線を走り抜け、大規模な地下化工事が進行するStuttgart Hbfには21時20分に到着する。駅構内のアジア料理店で夕食に久しぶりにフォーを食べ、S-BahnでUnivesität駅に移動、駅から近いホテルに一泊した。

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 12月10日朝食を済ませ、S-Bahnで7時40分頃にStuttgart Hbfに着く。乗車する予定の特別列車DPE 98200はKarlsruhe Hbfを6時30分に出発、ここStuttgart Hbfで折り返す。駅の発車案内では1番線から発車するとのことで、1番線ホームに移動する。外はようやく明るくなってきた頃合いだが、空は雲一つなく、朝焼けが美しい。

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 殆ど無人だったホームに、徐々に鉄道ファンや夫婦連れが集まり、定刻の7時56分に貨物用電機139形に牽引されてDPE 98200が入線してきた。続いて追いかけるように、盛大に煙を吐きながら01 1066と1両の客車が近づき、DPE 98200の先頭に連結される。機関車付近には人だかりができるが、譲り合って撮影するので、殺伐とした雰囲気はない。撮影中に前に立ち入って動かないでいると「ハロー!」と注意されるくらいのことはあるが、罵声が飛ぶようなことはもちろんない。発車時間が近づき、乗客が一斉に社内に乗り込むと、ホームに残る鉄道ファンはわずかなである。

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 01.10形は01形の発展型にあたり、Schwartzkopff製の急行旅客列車用蒸気機関車である。3気筒式で、軸配置は2‘C1の大型機であり、最高速度150km/hの性能を誇る。1939年に登場したが、戦況の悪化でわずか55両の製作に留まった。戦後は全て西ドイツ側に残り、1975年3月まで活躍した。01 1066はUEFが大切に走らせてきた機関車であるが、出発前にUEFのサイトを確認したところ、01 1066はボイラーの大掛かりな点検が必要なため長期間工場に入ることになり、今回の運行はAbschiedfahrt さよなら運転という位置付けとされていた。
 列車に乗り込み、指定された4号車へ向かう。デッキで妻が他の乗客から、どこへ行くのか、これはSonderzugだ、と言われ動揺していた。小さな旅行鞄を持っていたため、観光客が間違ってSonderzugに乗車したと勘違いされたらしいが、この列車のチケットを買ってることを説明すると逆に謝られる。その4号車は1等・2等合造車、その2等のコンパートメントに座る。同室者は中年の鉄道ファン3名である。客車は6両で、食堂車も連結されている。
 列車は8時08分にゆっくり発車、郊外を走りベンツの工場を横目にStuttgart-Untertürkheim、さらにEsslingenに停車し、少しずつ乗客を増やす。冬ということで窓は閉められており、機関車と離れているため、ブラスト音はほとんど聞こえないが、それでも原型をよく留めた客車や独特の加速感、そして車窓を流れる煙は蒸気機関車の旅ならでは。乗客も静かに自席で乗り心地を楽しんだり、食堂車で食事を摂ったり、デッキで窓を開けて煙や音を楽しんだりと、思い思いに過ごしている。やや運賃が高いためか、乗客は中年・高齢者が目立ち、夫婦連れも多い。蒸気機関車といえばトーマスしか思い浮かばなかった妻も、この蒸気機関車の旅は新鮮なようで楽しんでいる。StuttgartのS-Bahnの基地があるPlochingenには8時40分に着く。ここで10分程度停車するということで、反対側のホームに走って撮影する。朝日に照らされた01 1066は実に美しい。

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 車内に戻ると、程なくして列車は発車。今日は最高80km/hか、やや抑え気味の走りである。メルクリンの本社があるGöppingenに停車し、さらに南東へ向かっていく。Süßenにも停車するが、ここでは乗降はなく、乗客がホームに降りることもできない。10分程止まってICの通過を待ち再び発車すると、まもなくGeislingenの峠越え区間になる。しばらく上り勾配を走り、Geislingenの駅には予定時間より8分遅れの9時50分に着く。ここでICEに道を譲る間に、後部に同じくUEFの保存機である貨物用蒸機58形の58 311が補機として連結される。その連結シーンを見ようと、列車の最後部には人だかりができていた。

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 列車は慎重にGeislingenを発車する。前後に機関車が付いたためか、乗り心地が少し変化している。前後の蒸気機関車による峠越えということもあって、沿線では至る所で鉄道ファンがカメラを構えている。といっても、一か所にせいぜい10人程度と落ち着いたものである。サミットを過ぎ、今度は下り勾配へ。峠越えを終え、UEFの保存鉄道があるAmstettenで58 311を切り離すと、のどかな車窓風景を横目に快調に走り、Ulm Hbfには10時45分に着く。列車はここから別のツアー列車としてEngstingenまで走り。続けて乗車する乗客も多い様子であったが、我々はここで下車する。

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 01 1066は切り離され、Augsburg方へ引き上げた後に推進運転でStuttgart方へ走り去っていく。デルタ線を利用して向きを変え、11時20分頃にホームに戻って来て客車の反対側に連結される。乗客や鉄道ファンが発車まで機関車付近に集まり、思い思いに写真を撮っている。

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 11時32分に列車はUlm Hbfを力強く発車、盛大に煙を吐きながら、ゆっくりと加速していく01 1066を見送った。整備を終えた後、また01 1066の元気な姿を見たいものである。



 駅前からゆっくり散歩しながら15分も歩くと、161.53mと教会建築では最も高いウルムの大聖堂に着く。その周辺ではクリスマスマーケットが開催され、多くの家族連れやカップルでにぎわっている。壮大な大聖堂を眺め、クリスマスマーケットでグリューワインを楽しみ、デパートの食堂で遅めの昼食を摂って再び駅へ戻る。

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 01 1066のツアーには復路も含まれるのだが、これを利用した場合、Düsseldorfに帰り着くのは日付が変わることになる、翌日の予定も考え、14時39分発のDortmund Hbf行ICE 516で帰路につく。ICE 516はICE 3を2編成した16両編成である。2等車は6割方の座席が埋まっている。Stuttgart Hbfで進行方向を変え、Mannheim HbfでBasel SBB発Berlin行のICE 276と相互に接続を取る。

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 Frankfurt (M) Flughafenで乗客が入れ替わると、高速新線を疾走し、Köln Hbf。ここで再度進行方向を変える。ここから終点のDortmund Hbfは1時間程度だが、新たな乗車が多く、車内は満員となった。列車は順調に走り、Düsseldorf Hbfには18時31分に到着した。

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 ドイツでは多くの旧型車両が動態保存されており、週末を中心に様々な特別列車が運転されている。多くは趣味団体またはツアー会社により運営されており、細やかなサービスがあるわけではなく、乗車運転もやや高めではあるが、気軽に往時の汽車旅を楽しむことができる。鉄道ファンもそう多く集まるわけではないため、落ち着いた雰囲気で撮影を楽しめるのも良い点であろう。
 最後に12月17日に自宅近くで撮影した、E10 1309が牽引する「ラインゴルト」のツアー列車の動画を掲載する。


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