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2月11日 Köln → Essen [ドイツ鉄道旅行 2011]

 ゆっくりと近づいてくる卵形の機関車、そう、103形の登場である。

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 2010年ドイツの鉄道175周年を記念して、Köln – Hamburg間に週末運行されるIC 1806/1817に103形と80年代のIC客車編成が充当された。2010年12月でこの列車の運行も終了するものと思われたが、2011年ダイヤでも金曜運行のIC 2410 (Köln – Flensburg)、日曜運行IC 2417 (Flensburg - Köln)が引き続き103形の牽引となったのである。
 80年代前半にドイツに住んだ私にとって、103形はまさに憧れの存在であったし、是非また乗りたいと思っていたが、2005年から2007年の間の3回の渡独でも、わずかに機関区に止まっている姿を眺めただけであった。今回はまさに千載一遇の機会、逃す手はない。Mannheim乗り換えでKöln経由で急いだのも、IC 2410に確実に乗るためである。
 現在、稼働状態にある103形は3両である。Münchenベースの103 245はICやCNLなどを牽引する助っ人的な存在となっているのに対し、Kölnベースの103 184と103 235はIC 2410/2417の他、様々な臨時列車に使用されている。本日のIC 2410は103 184である。
 稼働している103形はいずれもTEE塗装となっているが、よく見ると、細かい仕様に違いがある。103 235はTEEマークが鋳物製の重厚なものを再現しており、側面フィルターは改良型で、バッファーカバーが残っている点が特徴であるが、103 184はTEEマークは赤いステッカーで、側面フィルターは未改良のタイプであり、バッファーカバーは取り外された状態とされている。また、103 184は現存する103形の中で、唯一車長の短い初期型である。個人的には、バッファーカバーがない点だけは残念なのであるが、それでも美しい103形であることには変わりない。
 103形に続く客車は元IR用の Bimzが2両、そしてBm 235が3両、元TEEラインゴルトのクラブカーであるWGmz 854、最後尾がAvmz 111である。Bimzは残念ながら真っ赤な現行の近郊列車用塗装となっているが、Bm 235はいわゆるタルキス塗装、WGmz 854とAvmzはTEE塗装で、まさに80年代を彷彿とさせる。

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 2番線にIC 2410が停車し、大きな荷物を持った乗客たちが乗り込んでいく。私は1等に予約を取っていたので、最後部からの乗車となる。重いドアを手動でよいしょっと押し開けるのも、何だか嬉しい。
 Avmz 111はコンパートメント車である。スーツケースを引いて狭い通路を歩く。指定された席はコンパートメントの通路側の席である。同じコンパートメントには女性が一人だけであったが、他のコンパートメントも含めて、どの席にも予約票が入れられており、ほぼ満員になるようだ。外装だけでなく、車内も80年代から変わらない内装で、重厚感がある。そして、コンパートメントの座席の座り心地の良いこと、これと同等の座り心地の車両は全く思い浮かばない程である。

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 13時02分にKöln Hbfを静かに発車、急カーブを曲がって、ライン河鉄橋へと進む。ホーム端には鉄道ファンの男性が一人のみ、車内も明らかに鉄道ファンと分かる行動を取っている人は見かけない。日本で同様の列車が運転されたら、もう少しはそれらしい人がいそうなものだが。

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 ライン河を渡り、Köln Messe/Deutzを通過、ここから複雑な立体交差が続く。Wuppertalへの路線が分岐するKöln Mülheimを通過すると左手にバイエル製薬の工場が広がる。バイエルの企業城下町であるLeverkusenの中心駅、Leverkusen Mitteを通過すると列車はスピードに乗る。逞しい加速をみせ、軽々と200km/hへ。客車7両という編成は103形には負担にならないようだ。力強い走りにしびれる。そして、このスピードでも客車は実に安定感のある乗り心地、機関車といい客車といい、登場後40年も経過した車両とは到底思えない。



 しばらく車窓には田園風景が続いていたが、市街地に入ると、まもなく減速する。急カーブを曲がりながら、Düsseldorf Volksgartenを通過すると、Düsseldorf Hbfに到着、13時23分定刻である。ここでも乗車は多く、1等車も大半の席が埋まったようだ。
 ここで、隣のクラブカーに移動する。ClubRheingoldは1987年のTEEラインゴルト廃止後D-zug ”Luna”に転用された際に、内装に手を加えられたが、天井のデザインなどはそのまま残されている。

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テーブル席に腰を下ろしし、ビールを注文した頃、列車はDüsseldorf Hbfを発車し、再びスピードに乗る。
運ばれてきたビールはVELTINS、通常のICEやICではBecksが定番であるがから珍しい。メニューを見ると飲み物だけでなく、種類は少ないが食物も用意されている。Köln Hbfでソーセージをかじったが、少々物足りなかったので、ここで昼食も摂ることにする。といっても、メニューはドイツ語表記なので、よく分からず、適当に注文する。出てきたものはミートローフだった。付け合わせにポテトサラダもついて、かなりのボリュームである。

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食事が届くのを待っている間に、列車はDüsseldorf Flughafen空港駅を通過、後で撮影に来る予定のAnngermundを通過すると、まもなく減速し、Duisburg Hbfには13時40分、定刻に到着していた。
13時42分に発車、左手に、Oberhausen方面へ向かう425形が離れていく。

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次のEssen Hbfで下車する予定なので、ミートローフを慌てて胃袋に押し込む。慌ただしく食事を終え、会計を済ませることにはMülheimを過ぎていた。残った時間は2等車、特にBm 235を見て過ごすこととする。できれば、コンパートメントに少しでも座りたかったが、残念ながらどこも満席、デッキにも乗客が経っている有様だった。それでも狭く暗い通路は、いかにもBm 235の雰囲気、これを味わえるだけでも嬉しい。

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 13時52分、IC 2410はEssen Hbfの4番線に到着。再び手動でドアを開け、下車。たった50分だが、103形の魅力を存分に味わった旅が終わった。急いで先頭へ行き、103形を撮影、そして発車を見送る。(慌てていたので、動画の撮影は失敗したが、編成の紹介を兼ねて掲載する。)

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 101形や422形を撮影した後は、Essen Hbfを探索する。Essen Hbfは2008年から2010年にかけて大改装工事が行われたので、その様子を見ておきたかったのである。

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 基本的な構造は変わらないようだが、随所にリニューアルの跡がみられ、以前の汚くて暗いターミナルビルとは、随分と異なる雰囲気になっていた。

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 トラムが発着する地下ホームへの通路は青い照明で独特な雰囲気が演出されていた。その地下ホームからは、相変わらず次々とU-Bahnや路面電車が発車しており、どの列車もなかなかの混雑であった。

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 Essen Hbfを駆け足で見た後、再びホームに上がる。今度はREでDuisburg方面へ戻るのである。

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コメント 4

YN

私も先日、11日間でフランス、スイス、ドイツを廻り帰国したばかりです。
Avmz 111 良いですね。TEE花やかし頃、SNCFのミストラルと乗り比べて独特の重厚感に感激したものです。
先日10日にドレスデンからベルリンへのECに乗車時のコンパートはユーロフィマ型でしかも日曜日で満席で仕方なくオープンに乗りましたがこの車両も10年前位に椅子が固定され(以前は回転シート)指定表示が電光式になる等更にリニューアルされていました。
久しぶりのドイツ訪問なので乗車はICEばかり(TD以外は全種乗りました)でした。
お写真を拝見すると枕がリニューアルされていますね。原型はフワフワの枕が取り付けられていて外す事も可能でした。

オープン車共々いかに当時の技術や内装が優れていたか、ですね。
by YN (2011-04-18 01:39) 

Akira

おはようございます、HUHさん。

旅行記の更新を待ちかねていました。いよいよ103形牽引のIC乗車ですね。103.1形のIC列車=200Km/h運転というのは、ある意味当たり前の世界で、2等車のBmは開閉式窓故さすがに高速運転時は、車体の揺れと窓から発するビビリ音がすさまじいですが、62系列1等車は、当初から200Km/h運転を想定されて設計していたようなので、固定式の2重窓と共にその安定した走りは今でも失われていませんね。昨夏乗車したIC列車のApmzは流石にシートのクッションがくたびれていましたが、特に個室の広々としたシートに身を沈めた時の優雅さは、ICEとはまた違った良さを感じますね。
ところで、クラブカーで楽しまれたミートローフは、おそらくLeberkaese mit Kartoffelnsalat(レバーケーゼポテトサラダ添え)でしょう。私も大好きなドイツ料理(というよりB級グルメ的)で、良く我が家でも作ります。
by Akira (2011-04-18 09:40) 

HUH

YNさん
こんにちは。返信がすっかり遅くなり申し訳ありません。
枕が変更されているとは気が付きませんでした。しかし、仰る通りの重厚感は健在でした。
通常のICはリニューアルされた車両が大半を占めていますが、基本的な部分にあまり手を加えられていないのは、確かにそれだけ元の設計が良かったからでしょうね。
ICE 1やICE 2の内装は全く変わってしまいましたが。
by HUH (2011-04-22 08:03) 

HUH

Akiraさん
私が乗ったAvmzはシートのくたびれもないし、安定した走りです。ICEの堅い座り心地も好きですが、Avmzの優雅さは格別でした。今度はもっと長時間乗車したいです。
料理については、名前は完全に失念してしまいました。ClubRheingoldのメニューを撮っておけば良かったですね。
by HUH (2011-04-22 08:06) 

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