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9月6日 Paris →Saarbruecken [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

私が乗車するICE 1955 Saarbruecken行は既にホームに停車していた。ParisでTGVと並ぶ姿はやはり新鮮だ。
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Paris発着のICEは現在3往復、Frankfurt直通は1往復のみで、2往復はSaarbruckenでFrankfurt行ICに接続する。12月のダイヤ改正でICEはFrankfurt直通が5往復となり、本格的な直通運転が開始される予定である。乗車前にICE 3MFの写真をゆっくり撮ってまわる。編成はTz 4682 “Koeln”、Tz 4609から改造された編成である。先頭から406 082-8 + 406 182-6 + 406 282-4 + 406 382-2 + 406 882-1 + 406 782-3 + 403 682-5 + 406 582-7の8両編成で、先頭が28号車、最後尾が21号車である。前2両が1等車、3両目がBordBistro、残りの5両は2等車で、私は1等車を予約していたおり、先頭の28号車から乗車する。
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このICEは予約が必須で、私は座席指定券を日本で確保した。指定された28号車22番席は1列シートの最も車端寄りにある。LGV東ヨーロッパ線を走るICEやTGVは混雑していてなかなか予約が取れないと聞いていたが、この列車は空いている。ラウンジも一人が座っているのみだ。Saarbruecken止まりということも影響しているのかもしれない。二人の車掌がペアとなり、車内を巡回している、一人はSNCFの制服を着たスマートな年配の男性車掌、一人はDBの制服を着た恰幅の良い女性車掌だ。Paris直通ICEの運転士はDB所属だが、車掌はDB・SNCF所属の車掌が共同で乗務しているようだ。

程なく定刻の14時43分となり、ICE 1955はゆっくりとPais l’Estを発車する。広い構内を抜けると、RERが頻繁に行き交う中、Paris近郊を100km/h程度で走る。車内放送はフランス語、ドイツ語、英語の順で流される。声から判断すると、同じ車掌が全てを話しているようだ。流暢な案内で、感心するほかない。右に巨大なTGVの車両基地が見える頃、先ほどの二人の車掌が検札に回ってきた。せっかくなので、ラウンジシートに移って良いか尋ねたところ、問題ないとのこと。早速荷物を持って、運転室背後左側の104番シートに移動する。運転士は乗務員室背後のドアを開け放していて、運転室内もよく観察できる。出発して約10分、Gare de l’Estから約20kmにあるVaires-sur-Marneで、ずっと並行してきた在来線と別れ、高速新線東ヨーロッパ線LGV Estに入る。ICEはインバータ音を響かせ、一気に加速する。運転台を見るとスピードメーターなどが並ぶ情報にフランスの信号システムTVM 430に対応する一環として追設された車内信号表示が「320」を指している。ICEは300km/hを超えて、さらに力強く加速を続ける。いよいよ未知の領域の速度だ。現在の世界最高速320km/hに到達、そのスピード感を存分に味わう。
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牧草地が広がり、わずかに集落が点在するのみの、のどかな光景の中をICEは爆走する。LGV Estは最高350km/hに対応するため、他の高速新線に比べ高規格となっており、最急勾配は25パーミルに抑えられ、カーブも比較的緩い。時々TGV-RやTGV-POSとすれ違うが、列車本数はまだ少ない。スピードメーターは270~320km/hの間を行き来しているが、真新しいバラスト軌道を安定した乗り心地で走る。
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ここで客室乗務員がワゴンを引いて回ってきた。この列車には食事サービスがあるのだ。メニューはパテ、野菜の酢漬け、パンにケーキというコールドミール、これに赤ワインを付けてもらった。シンプルではあるがなかなか美味しく、機内食と比べれば、断然満足できた。
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右側の席に座っている男性は鉄道員なのか、運転士と知り合いのようで時々運転室内に入っては運転士と会話をしている。後ろからは乗客が代わる代わるラウンジに来ては前方の光景に見入っている。私の右側の男性客はラウンジに来た乗客を運転室に招き入れて、簡単な解説をし、写真撮影も許している。年配の男性などは少年のように喜び、興奮していた。やはり、ICEでは、このラウンジは魅力的なスポットなのである。私も320km/h走行中の運転室部分の写真を撮影させてもらった。ビジネスマン風のドイツ人男性は、「素晴らしいだろう、世界最速なんだ。」と話しかけてきたので、「確かに素晴しい、私はこの列車が好きだ」と答え、そのまま、今後の旅行など、しばし話が盛り上がった。
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Gare de Meuse TGVの先で、Luxembourg方面へのジャンクションを通過する。ICEはさらにフルスピードで走行を続けていたが、Vaires-sur-Marneから281km地点、Gare de Lorraineを通過するとまもなく、16時頃に段々と減速していく、高速新線から左へ分かれ、単線で在来線へ入る。300km弱を1時間あまりで走りきったことになり、そのスピードには圧倒されるばかりだ。あとはSaarbrueckenまでゆっくりと向かうのみ、スピードも100km/h程度となり、車窓からは田舎町ののどかな光景が広がる。ラウンジを出て22番席に戻り、ゆっくりと車窓風景を楽しむ。Forbachを過ぎ、いつのまにか国境を越えドイツに入った。やや大きな街が見えてくると列車は減速する。程なく終着Saarbruecken Hbfに到着する。16時32分着、約2時間弱のICEノンストップの旅はここで終了である。スーツケースを持って下車し、ICEをもう一度撮影する。
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コメント 4

Akira

ICE-MFの旅を楽しく拝読させていただきました。320Km/hをかぶりつきで見れるなんて...羨ましい限りです。さらにシートサービスのランチ?は美味しそうですね。昔妻とGeneveからParisまでTGVで旅行した時にもシートサービスを頂きましたが、コールドミールは大変美味しかったです。画像で見るとDBのナプキンなどが見えますが、ケータリングはDBが担当しているのでしょうか?それともフランス発ならWagon-Litsなのでしょうか?ちょっと気になります。ドイツ発の列車なら出てくるお料理も違ったりして....。
by Akira (2008-08-18 14:43) 

HUH

Paris直通ICEはまだ少なかったので、当初はParisに行くつもりはなかったのですが、Parisに行ってみたかったこと、そして旬のうちにICE 3MFの320km/h走行を楽しみたくなり、LufthansaでParisまで行く計画としました。ICE 3MFの旅は快適そのもので、運転室展望も楽しめ、大変満足しています。ICE 3ファンとしては見逃せない列車です。

ICEで提供された食事もコールドミールとはいえ、案外ボリュームがあり、なかなか美味しかったですし、ワインも付けることができました。機内食とは比べ物にならないですね。
提供してくれた乗務員はDBの制服を着ていました。残念ながらWagon-LitsでもMitropa(もうないか)でもなかったです。
by HUH (2008-08-18 22:57) 

abe

かぶりつきに座りランチをかぶりつく。たまりませんね。
by abe (2008-08-19 08:22) 

HUH

そうなんです、本当にたまらない瞬間です。何度乗っても、ICE 3はお酒に展望という酒の肴があって最高です。
今年はドイツは到底無理なので、代わりにワイドビュー南紀 & スーパーくろしおでお酒を楽しむ??
by HUH (2008-08-20 02:59) 

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