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12月31日 Lübeck → Kiel → Rendsburg [ドイツ・スイス鉄道旅行 2011-12]

 Lübeck Hbfに戻り、トイレを済ませた後、6番線ホームに行くと、これから乗車するKiel HbfのRB 21660が発車を待っていた。車両は648形気動車 (Alstom製LINT41)である。今回はこの648形に乗車することも大きな目的の一つである。民営化後、DBはBombardier製Talent (643/644形)、Siemens 製Desiro (642形)、そしてこのAlstom製LINTといった気動車を大量導入し、老朽化した客車列車を置き換えた。これらの新型気動車のデザインはいずれも斬新なアイデアに満ち溢れており、非常に魅力的に感じられ、私にとってはこれらに乗車するのはドイツ鉄道旅行の際の大きな楽しみになっているのであるが、648形にはこれまで縁がなかった。メルクリンやフライシュマンが模型化しているこの648形に乗車するため、648形の運用を調べて旅程に組み込んだのである。
 648形は正面こそおとなしい顔つきであるが、側面は大きな客室窓が印象的な大胆なデザインである。

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 まずは車内を見て回る。2車体連接構造のそれぞれの車体中央部に側扉が設けられ、側扉間が低床構造、両端はステップ1段分高い構造構造で、低床部分には車椅子対応トイレが設けられており、また一部の座席が折りたたみ式で、自転車などにも対応している。荷物棚が設けられているのも便利である。座席は基本的には2+2列の固定式クロスシートとなっており、先頭直後の8席のみ1等席、他は2等席である。1等席は透明な扉で仕切られており、座席がモケットではなく革張りとされ、高級感がある。 2等席はDB Regio標準の青地のモケットのシートで、明るい雰囲気である。木製の肘掛が良いアクセントとなっている。折り畳み椅子も多いが、これは自転車をを持ち込む乗客への配慮だろう。

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 まもなく定刻の10時28分になり、列車はエンジン音を響かせてLübeck Hbfを出発する。車内は空いている。ローカル線の風情を味わいたいので、1等席ではなく、そのすぐ後ろの2等席に座る。

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 複線電化区間を4.7km走ったSchwartau Waldhalle付近で、Lübeck近郊のリゾート地であるTravemündeに向かう路線が右に分岐していくと非電化区間となる。

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 まもなくBaf Schwartauに停車する。Bad Schwartauを出発すると、まもなくPuttgarden・Koebenhaven方面との路線とも別れ、列車は森の中を北へと向かう。既に単線区間となっているが、軌道の規格は決して悪くないようで、ロングレールとなっており、100km/h以上のスピードで快走する。このあたりは日本のローカル線の感覚とは異なる。
車窓からは人家が時々現れる以外は針葉樹林が続く。どこか寂しげな、冬の北ドイツらしい風景である。

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 ノートPCを取り出して、メールの整理や、これまで撮り貯めた写真の整理などを行なっているうちに、列車はPandorfに到着する。到着直前、後方に座っていた老婆が片言の英語で、「パソコンにカメラに、便利なものを持ってますね、素晴らしい。」と言って降りていった。こういう出来事も、ローカル線の旅の楽しみかもしれない。
 PansdorfでLübeckに向かうREと交換する。648形を2編成併結した4両編成である。Pansdorfを出発すると、再びエンジン音を響かせ、100km/h以上で走る。駅の間隔は10km前後もあり、最高120km/hの648形の走りっぷりを堪能できる。高速走行時でも揺れは少なく、安定感がある。
 Pöinitzを経て、Eutinには10時58分に到着する。Lübeckからの33kmを30分で走破したことになる。ここで、Lübeck行のRBと交換する。

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 Eutinを出発すると、次のBad Malante-Gremsmühkenまでの5kmは複線区間となり、北西へと進んでいく。Bad Malante-GremsmühkenもEutinと同様のプラットホームは簡素な造りであるが、そのまま駅前広場に連なっており、バス停もホームの真横に整備され、接続は大変便利である。ローカル線でも公共交通サービスが一体化されている点は興味深い。

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 Bad Malante-Gremsmühkenからは真西に向かう。Dieksee、Behler See、Schöhseeと小さな湖に沿って走るためやや曲線が多いが、100km/h程度のスピードは維持している。Schleswig-Holstein州最大の湖であるGroßer Plöner Seeが左に現れると、まもなくPlönに到着する。ここは湖観光の拠点であり、駅前には観光客向けの施設が並んでおり、後者客も多い。しかし冬の今はオフシーズンということだろう、どこか寂しげな雰囲気である。ここで、Lübeck行のREと交換する。

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 11時14分にPlönを出発、しばらくはGroßer Plöner Seeに沿って走る。湖の脇の小道を散歩する人の姿も見られる、なかなか気持ち良さそうだ。この路線は特別景勝路線でもないので、車窓風景にはそれほど期待していなかったが、静かな冬の湖の光景を楽しめて、非常に満足である。

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 ここで1等席に移る。シートは革張りとなってはいるが、他は2等と変わらないようである。

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 Großer Plöner Seeと離れると、Aschebergである。ここからは針路を西から北へと変える。右にLanker Seeをかすめ、11時29分にPreetzにと到着する。ここでLübeck行のREと交換する。Kielが近づいたためか、これまでの駅に比べれば住宅や商店が多く、なかなか賑やかで、乗車も多い。

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 11時34分に発車、次のRaindorfはKielの都市圏といった趣きとなる。

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 次のKiel- Elmschenhagenには11時44分に到着する。ここでLübeck行のREとの交換ため、5分ほど停車するので、ホームに出て撮影する。

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 Kiel- Elmschenhagenを11時49分に発車すると、まもなくHamburg・Neumünsterからの路線と合流する。向こうはICEも走る複線電化路線である。

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 ヤードの脇を通って、11時55分定刻にKiel Hbfの1番線ホームに到着。Lübeckから80.7km、約1時間半の楽しい旅が終わった。

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 ここからはRendsburgに向かう。12時01分発のHusum行RB 15914は既に5番線ホームで発車を待っていた。こちらも648形の2両編成である。Kiel駅手前の周辺には648形が何編成も停車しており、まさにこの地域の顔ともいえる存在感を放っている。

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 接続時間は6分しかないが、前のRBが定刻通り走ってくれたので、無事に乗り換えることができた。今日はHambrgから元MET用車両を使ったICEでBerlinに戻る予定であり、19時からのコンサートのチケットも取っており、この乗り換えができないと、Rendsburgへ行くのは断念してHamburgに戻らざるを得ないのであった。
 車内に入ると、なかなかの乗車率で、特に2等は大半の席が埋まっており、1等に腰を落ち着ける。定刻に発車した列車はヤードの脇を右に大きくカーブし、北に向かう。さらにKiel-Hassee Citti-Park付近で左に大きくカーブしてFlensburg方面の路線と分かれ、西へと進路を変える。この路線も単線非電化のローカル線である。ほぼ全線にわたってアウトバーン210号線に沿って走るが、疾走する車に負けないスピードで快走している。

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 Kielからの13.9kmをノンストップで走り抜け、12時11分にFeldeに到着する。Feldeを出発すると、力強く加速していく。



 Kiel- Lübeck間も同様であるが、この区間は廃駅が多い。利用客の少ない駅を廃止し、スピードアップを図って、ローカル線の生き残りにつなげる、ということなのであろう。
 減速し右に急カーブを切ると、まもなくNeumünsterからの路線が左に現れる。あちらは電化複線である。最徐行で合流する。ここからはいよいよ、この路線のハイライトであるRendsburger Hochbrücke、Rensburg大鉄橋を越える。今回わざわざRendsburgまで足を伸ばしたのもこの鉄橋が目的である。
 Rendsburger Hochbrückeは1911年から1913年にかけて建設された。北海とバルト海を結ぶ国際運河であるキール運河を超えるため、大型船舶の航行を邪魔しないよう、高さ68mに達する。この高さを稼ぐため、運河を超えた後、Rendsburgの町を1周し、Rendsburgの駅に到着するというループ線構造となっている。鉄橋部分は2486m、その前後の盛土構造の斜路を合わせると全長7.5kmに達する壮大な規模を誇り、産業遺産としても重要な存在である。
 鉄橋は工事中で一部区間は単線で運用されている。そのためか、一旦停止した後、上り勾配に入っていく。どんよりと曇っているのは残念だが、鉄橋からの雄大な景色を堪能し、高度を下げながらループ線を通って、定刻の12時32分にRendsburgに到着する。



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 Rendsburgのホームからは鉄橋が間近に見える。

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 駅舎はこじんまりとしており、大晦日ということでDBの窓口は短縮営業で既に閉まっており、売店だけが営業していたので、お土産用に絵葉書を購入する。殆どの絵葉書に鉄橋の写真が載っており、Rendsburgのランドマークであることが分かる。

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 ホームに戻ると、乗車予定の12時50分発Hamburg行RE “Schleswig-Holstein-Express”のRE 21071は5分遅れとのこと。まあ、Hamburg HbfでのICEへの接続時間は40分以上あるので、これなら余裕・・・・のはずだった・・・・5分遅れのままならば・・・・。

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