SSブログ
ドイツ鉄道 書籍 ブログトップ
- | 次の10件

ICE - Eisenbahn Journal Special-Ausgabe 2/2008 [ドイツ鉄道 書籍]

Eisenbahn Journalは豊富な写真や図表、丁寧な解説で定評がある。これまでに多くの特集号が発売されており、国内の洋書店でも比較的容易に入手できること、コストパフォーマンスも概して良いことから重宝している。ICEの特集号はこれまでにも何度か発売されており、私も全て所有しているが、今回最新のICE特集号が発売になった。早速入手したので、ここに紹介したい。

ej.jpg

構成はこれまでの特集号のパターンを踏襲している。巻頭グラフに続き、ICE前史、すなわちE10形に始まり、1980年代に到るまでの高速車両の開発史に触れている。これに続くのがICE車両の解説である。
最初に登場するのは、ICE-Vである。TGVとの併結試験や、ICE 2開発に伴い先頭部に連結部が増設された工事に関する写真はなかなか興味深い。廃車後の処遇についても触れられている。一方で、車内の写真が一枚もないのがさびしい。406.9km/hの当時の世界最高速度を達成したことも比較的簡単に触れられているのみである。
ICE 1も写真は登場初期のものが多い。解説は簡潔によく纏まっている。ReDesignについては、工事中の写真が1枚掲載されているのみ、解説もわずかなのは意外だ。必要十分ではあるが、やや内容が物足りないようにも感じる。
ここで、Eschedeを中心に、ICEの主要な事故についても触れられている。慰霊碑の立つEschedeの写真が印象的である。
続いて、ICE 2が紹介されている。技術的な解説が中心であるが、運用についてもしっかりと行数を割いており、特に制御客車が先頭になった場合の最高速度の問題などにも触れられている。
わずか2ページであるが、ICE-S、ICE-Dという試験車の記事は興味深い。最近のこれらの試験車の動きについてまとめた資料は、私の知る限りではないので、貴重である。
ICE 3については多くのページが割かれ、力が入れられている、写真の点数も多く、ICE 3MFの改造内容や、国際運用拡充の変遷についての記述は特に詳しいが、ICE 3MF関連の写真がない。最近の最大のトピックスであると思うのだが。RenfeのVerlaroについても紹介されているが、Veralo CRHやRUSにもっと触れられているとより良かったと思う。
写真ギャラリーを挟んで、ICE-Tのページとなる。スイス直通やオーストリア直通運用についての記述が詳しいが、技術面の解説はやや手薄で、特に振子システムに関し図表を用いた説明がなされていないため、やや理解しにくい。
ICE-TDはDenmark直通関連の記事が圧倒的に目立つ。写真も新しいものが多く、最新情報もよく整理されており、貴重だ。
最後にICE 18年間の歴史がまとめられている。このページは最も読み応えがある。路線拡充の軌跡や、現在使用されているICE用編成が表で整理されており、理解しやすい。この章の写真は比較的新しいものが多く、最近のドイツ鉄道をイメージするにも良い。

全体としては簡潔でよくまとまっているが、何かを調べようとすると物足りないようにも感じる。図版が少なく、例えば設計図や機器配置、座席表などが掲載されていないのは残念である。車内の写真も少ない。とはいえ、全体としては情報がよく整理され、ICEの入門書としては最良の本であると思う。
nice!(0)  コメント(2) 
- | 次の10件 ドイツ鉄道 書籍 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。