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ドイツ・フランス鉄道旅行 2007 ブログトップ
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9月8日 Muenchen → Nuernberg [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

6時30分に起床し、シャワーを浴びた後、ホテルで朝食を済ませる。InterCityHotelはやや料金は高いが、部屋は綺麗で機能的、朝食も充実しており、十分に満足できた。7時30分にホテルを出発、出口を出たら、そこはMuenchen Hbfである。今日はNuernberg、Frankfurtを経由し、Essenに向かう。土曜日で、時間もまだ早い。駅構内はそれほど混雑していなかったが、早くも商店は開き始めていた。
私が乗車するICE 726 Oberhausen行は22番線に既に入線していた。403形Tz 325編成 "Ravensburg"である。外観を写真に収め、早めに乗車する。

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先頭の403 525-9、2等ラウンジの13番席に座る。ラウンジ内は私の他は大学生くらいのグループ客が座り、音楽を流しながら楽しそうに話している。年配の運転手は彼らに300km/hで走ることなどを軽く自慢しており、彼らも興味を持ったのか、運転台をのぞいたりしている。
Bayern州の2大都市、Muenchen - Nuernbergを結ぶルートとしては、Augsburg経由とIngolstadt経由の2つがある。Ingolstadt経由は距離は短いが、都市の規模はAugsburgの方が大きく、長らくAugsburg経由がメインルートであった。しかし、時間短縮にはIngolstadt経由の路線を改良する方がより効果的であり、Muenchen - Ingolstadtの路線を改良し、さらにIngolstadt - Nuernbergに高速新線を建設し、より直線的に結ぶことで時間短縮を図ることとなった。工事は1998年に開始され、ワールドカップ直前の2006年5月に開業した。今回は、この新線区間に乗車するのが大きな目的である。

7時56分定刻にMuenchen Hbfを発車、インバータ音を響かせながらゆっくりと加速し構内を抜けると、100km/h程度でMuenchen近郊を走る。左には広大な機関区が広がり、多くの電機やICE編成が停車している。

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昨日利用したS-BahnのLaim駅の脇を通過すると、まもなく右に大きくカーブしてAugsburg方面の路線と分かれ、西へ向かうS-Bahnをアンダーパスする。

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直線区間になり、左にS-Bahn S2系統が寄り添う頃、列車はさらに加速する。この辺りは両側を防音壁で覆われ、S-Bahnの姿もわずかに垣間見える程度である。

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Muenchenから17.8km地点にあるDachau Bfの脇を過ぎる頃から防音壁はまばらになる。

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S-Bahnの423形を眺めながら、列車は200km/hで快走する。

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軌道の整備が行き届いているのか、乗り心地は極めて良い。RoehrmoosでS-Bahnは複線から単線となるが、こちらはもちろん複線のまま、200km/hを維持している。

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160km/h程度まで減速したところでPeterhausenを通過、ここはS-Bahn S2系統の終点である。Muenchenから36.4km、S-Bahnのネットワークの広がりを実感する。PeterhausenはS-Bahn用ホームの他、列車線にも相対式ホーム2線があり、さらに中央に通過線があり待避可能な構造となっている。ICEはもちろん、通過線を減速することなく走り抜ける。
この辺りは、左側にIlm川が流れているはずであるが、その姿は見えない。車窓風景は随分とのどかになり、田園が目立つ。

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Muenchenを出発した時点でどんよりと曇っていたが、ここでついに雨が降り出し、如何にも頑丈そうなワイパーが力強く動く。しかし、次のReichertshausenを通過する頃には雨も止んだ。

列車は相変わらず160~200km/hで安定した走りを続けている。Muenchenから60.2km、Rohrbachでは反対方面の待避線に101形が牽引するMuenchen Nuernberg Expressが停車している。MNEは運転開始以来好評で、乗客数も順調に増えているという。喜ばしいことである。

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Rohrbachの先でIlm川を渡り、左に大きくカーブして川と離れる。しばらく森の中を走る。車窓が開けると、住宅は少なく、田園が広がる。如何にもドイツらしい光景である。

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右にカーブしてReichertshofenを通過、その先でICE 3と離合する。

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列車が減速する頃、左右の車窓には住宅が増えてくる。左からDounauwoerthからの路線、右からRegensburgから路線が合流すると、Ingolstadt Hbfである。一部のICEが停車する駅であるが、この列車は広い構内の真中を通過、再び加速する。

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左右は防音壁に囲まれるが、その向こうにはこじんまりとした市街地が垣間見える。

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列車は160km/h程度を維持し、近代的なトラム橋でドナウ川を渡ると、まもなくIngolstadt Nordの構内が見えてくる。列車は構内の真中でAudi トンネル(全長1138m)に突入しながら一気に加速する。ここまで82kmは改良新線区間、そしてこの先は高速新線区間となる。

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Ingolstadt Hbf - Nuernberg Hbfは89km、そのうち78kmが高速新線NBS Nuernberg - Ingolstadtである。このNBSはNBS Koeln-Rhein/MainのようにICE 3専用線ではなく、その他のICEや客車列車も入線する。さらに、設計上は貨物列車の走行も考慮されており、最急勾配は20パーミルに抑えられており、線形も比較的良い。設計最高速度は300km/hであるが、このスピードで走ることが出来るのはICE 3だけである。NBSの全長78kmのうち、27kmがトンネル区間であり、特にIngoldtadt寄りにトンネルが集中している。
Audiトンネルに抜ける頃には、さらに加速する。

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Geisbergトンネル(3289m)、Stammhammトンネル(1320m)を抜けると、左側にアウトバーンA9が寄り添う。300km/hに達し、Denkendorfトンネル(1925m)に入る。

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難工事を経て完成したIrlahuellトンネル(7260m)に入る。トンネルを抜けるとREが停車するKindingを通過、すぐにSchellenbergトンネル(650m)を経て、このNBS最長のEuerwangトンネル(7720m)を抜ける。A9はここでは右側に寄り添っている。こちらは300km/hで快走、このスピードなら車は勝負にならない。

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Offenbauトンネル(1331m)は当初は切り通しとなるはずの区間であったが出水が多く、トンネルに切り替えられた。
このNBSはスラブ軌道、LGV-Estもバラスト軌道で建設したフランスとは対照的である。素晴らしい乗り心地を維持しながらMain-Donau運河を渡り、最後のトンネルとなるGoeggelbuchトンネル(2287m)を抜ける。

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右側には相変わらずA9が並走、交通量の多さには驚く。REのみが停車するAllerdbergを通過する。KindingもAllerdbergも本線の外側に待避線があり、そこに対向式ホームが設けられている。もうNuernbergまでは25.4kmを残すのみである。

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列車は300km/hでの走行を続ける。この辺りは直線的に路線が伸び、乗り心地も特に良い。ラウンジを占める若者たちは皆寝入っている。運転士はちらっと後方を見て、皆寝ていることにがっかりしたようだ。代わりに、前を熱心に眺める私に軽く愛想笑いをした。

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Nuernbergまで残り14kmとなった頃に減速を開始、残り11.5kmとなった頃、信号は300km/hから220km/hを指し、列車はさらに減速していく。
右から近づいてきたRegensburgからの路線に合流すると、高速新線区間は終わる。
軌道はバラスト軌道となる。ここからは最高130km/hとスピードが上がらない区間である。右側をS-Bahnが並走する。車窓にはビルや住宅が目立ってくる。列車は徐々に減速していく。Nuernberg-Dutzendteichを通過する。

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S-BahnのNuernberg-Gleisshammerの脇を通り過ぎると大きく左にカーブすると、正面に広大なNuernberg Hbfが見えてくる。

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ローカル列車が何本も停車しているのを眺めながら列車はさらに減速、ゆっくりと6番線に入線する。

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8時57分、Nuernberg Hbfに到着、1分の早着、Muenchen - Nuernberg間171kmを61分で走破したことになる。変化に富んだ車窓と、新線の威力、そしてICE 3の魅力を満喫した1時間であった。

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9月7日 Muenchen市内巡り [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

コンコースを右側に歩き、駅に隣接したInterCityHotelにチェックインする。ロビーはチェックイン客で混雑していたが、手続きは直ぐに終わり、Muenchenの市内パスを受け取ることができた。スーツケースを置き身軽になって、直ぐにホテルを出る。
まずはMuenchen Hbfの11番線ホームにある模型店、その名も"Gleis 11"に向かう。小綺麗な店内には各メーカーの製品がディスプレイされている。品揃えは新製品を中心に、パーツ類まで含めかなり充実しており、見ているだけでも楽しい。メルクリンのMobile Stationが29.00EURと安く販売されており、私も一台購入した。

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Muenchen Hbfは写真が撮りやすいわけではないが、充実したトラフィックは大きな魅力だ。目につく列車をしばらく撮影する。

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到着したICE 3

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120形が先頭に立つEC編成

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Wien行 ICE-T

しばらく撮影を楽しんだ後、街歩きを兼ねて模型店めぐりをすることとした。まず徒歩で5分程のKarlplatzへ向かう。ここはKauhofなどがあり、Muenchenの繁華街、実際多くの買い物客でにぎわっている。この一角に存在したFischerという模型店は看板は残っていたがアクセサリー類のお店に変わっていた。そのままSommerstarsseを歩くこと5分ほど、Alexander's Modellbahnというお店に着いた。やや汚い店内には、わずかな中古品がディスプレイされていたのみであった。対面式販売で、在庫は奥にあるようだ。客が何人も待っていたので良いお店なのかもしれないが、今回は特に目的が決まっているわけではないので、早めに店を出た。

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Sendlinger Torからトラムに乗車し、Hauptbahnhofに戻る。ここから、S-BahnでLaimへ向かう。地下ホームから入線してきた423形に乗車する。S-Bahn Muenchenには423形が優先的に投入され、420形は淘汰され、この423形で統一されている。しかし、423形に私が乗車するのはこれが始めてのはずだ。車内は座席は全て埋まり、なかなかの混雑である。LaimまではAugsburg方面への本線と並行しており、ヤードもや工場も広がっており、車窓から目が話せない。103 245も停車していた。10分ほどでLaim着、地下道をくぐり、Landsberger Starsseを右に歩くこと10分、Modellbahn Braunというお店に着く。各メーカーの新製品が一通り揃えられていり、私はフライシュマンの218形が欲しくなった。しかし、カードはマエストロカードしか使用できず、現金の持ち合わせも多くはなかったので、模型は諦め雑誌を購入するに留めた。もう閉店するそうで、もうちょっと遅く来たら入れなかったところで、幸運であった。
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LaimからS-Bahnに乗車する。
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途中で留置中の103 245を撮影する。
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Hauptbahnhofに戻る。少しお腹が空いたので、コンコースにある軽食コーナーで発着する列車を眺めながら、Muenchen名物白ソーセージWeissburstでビールを一杯。ここでの一杯は最高だ。
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一旦ホテルの部屋に戻り、改めて夕食を摂りに出かけることとした。すっかり外は暗くなった。Hauptbahnhofからトラムに乗車、Theaterplatzへ向かう。州立歌劇場やレジデンツに近い一角を歩き、バイエルン料理のレストランに入る。店内は混雑していたが、運よく空席があった。ここでScheweinebratenとサラダを注文する。Schweinebratenはもう少し軟らかくなるまで煮込んだものの方が好みであるが、ビール2杯と共に美味しく頂いた。食後はS-BahnでHauptbahnhofに戻る。時間は20時30分過ぎ。あとは寝るまで撮影を楽しむこととする。115形が入れ替えで次々とやって来たのは予想外であった。ICEやMuenchen-Nuernberg Expressなどに混じり、PrahaやAmsterdamへ向かうCNLなどの姿も見られ、結局23時頃まで撮影をした。

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Muenchen-Nuernberg Expressの制御客車

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ALEX

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101形牽引のIC

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回送列車を牽引してきた115形

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111形

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CNLの最後尾に連結されたタルキス塗装の客車

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CNLの先頭に立つ120形

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ICE 3

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ICE 3

以前に比べ駅構内の飲食店は遅くまで開いており、構内は23時でも賑やかだった。スーパーで缶ビールを1本購入し、ホテルで絞めの1杯を飲んだ後に寝た。
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9月7日 Ulm → Muenchen [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

Ulm HbfはICEの殆ど全ての列車が停車する割には小振りだ。

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101形が留置中

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乗ってきたREが折り返す。隣は650形。

驚くのが、トラブルに次ぐトラブルで何度も運用離脱に追い込まれ、予定されていた大量増備もされなかった611形はここでは何編成も停車しているのだ、このUlmを拠点に使われ続けているようだ。小腹が空いたのでサンドイッチを購入し、頬張りながらスーツケースをコインロッカーに預け、街へ出る。
駅前から続くBahnhof starsseを歩くと10分程で大聖堂がそびえ立つMuensterplatzに着く。時間は12時30分前、中ではオルガンコンサート中であった。Ulmの大聖堂はParisに比べるといかにも質素だが、それはそれで荘厳な空気を漂わせている。Ulmの大聖堂は世界一の高さを誇り上まで階段で上がれるが、そんな元気は今はない。

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大聖堂をあとに街を歩くことにした。まずは大聖堂から程近い模型店に向かう、その店Modellbahn Ulmは中古品中心で品揃えはそれほどでもないが、ロコの151形が99EUR、フライシュマンの101形の半端品(パンタグラフなし) 69EURといった按配であった。私はフライシュマンのレールを買い足した。

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敢えて訪ねていく模型店ではないが、Ulmに来るついでに寄るには良いかもしれない。近くにはミニカー専門の支店もある。

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スポーツ用品店などをのぞきながら、ゆっくりと散歩する。

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Ulm Hbfは大きくないとはいえ、施設はそれなりに充実しているし、使いやすい。

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Ulm Hbfで628、650、218形などのローカル列車を撮影するが、611形は出払ってしまいできなかった。

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まだ時間があるので、駅構内のインターネットカフェに入り、メールをチェックし、掲示板などを見て回る。日本語は入力できないので、あやしい英語を使い、掲示板にも書き込む。昼食用にNordseeでツナのサンドイッチ、白身魚フライのサンドイッチを購入し、スタンドバーでビールを一杯。では旅を続けよう。

ここからはMuenchenに向かう。Ulmからはローカルでは遠いので、ICに乗車することにした。念のため、自動券売機で次のIC 2199を2等席を予約する。1等席でも良かったが、たまには2等の旅を、と思った次第である。撮影しながらホームで待つことしばし、14時51分に101 055-2を先頭にSalzburg行のIC 2199が入線してきた、定刻より少し早い。

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反対側に到着するICEを撮影し、ICに乗り込む。

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予約した2等車は混んでいる。席が予約してあるとはいえ、大きなスーツケースを引いているし気が重い、1等車を除くと空いていたので、最前部の1等コンパートメントに腰を下ろす。他に誰もおらずコンパートメントを独占する。通路側の扉を開け放し、101形の音を楽しむこととする。14時54分定刻に発車、すぐにドナウ川を渡る。驚くことにドナウ川橋梁には防音壁が設けられ美しい光景が全く楽しめなくなっていた。これで有名撮影地も一つなくなったわけで、残念という他ない。サンドイッチを頬張りながら車窓風景を楽しむ。

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Guenzburgに停車したが小さな駅で乗降客も殆どいない。Neuoffingenを通過する際には52形蒸機の姿がみられた。この辺りではドナウ川がすぐ近くを流れているはずであるが、残念なことにその姿は見えない。疲れが出たのか、座り心地がまことに良いこともあり、気がついたら眠っていた。目覚めると、Augsburg Hbfに到着するところだった。さすがにAugsburgの街は大きい印象であったが、駅は以外にこじんまりとしている。MuenchenからNuenberg方面へのメインルートがAugsburg経由からIngolstadt経由に代わり、列車本数も以前より減った。

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定刻にAugsburgを出発する。ここからは線形は素晴らしく、一部の徐行区間を除き、最高200km/hで快調に飛ばす。ICの200km/h走行も独特のスピード感があり、実に魅力的だ。それにしても高速域でも客車の安定感は素晴らしい。登場から40年経っているが、ラインゴルト型客車が如何に優秀か、実感する。Nannhogen付近で右側からS-Bahnが並走する。右に広大なヤードが広がり、多くの路線が合流してくると程なくMuenchen Passingを通過する。列車はすっかり減速、左からIngolstadt方面からの路線も合流してくる。S-Bahnに活躍する423形、さらの長距離列車が次々と行き交い、ターミナルが近いことを感じさせる。

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2分遅れの16時19分、巨大なMuenchen Hbfに到着する。
Muenchen Hbfで大半の乗客が下車するが、乗車客も多い。程なく、IC 2199はSalzburgへ向けて発車していった。

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9月6日 Geislingen → Ulm [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

Geislingenは周囲を山に囲まれ、まさに峠の途中駅という風情、霧が出ており、山の頂き付近は見えない。しばらくはここで撮影を楽しむことにする。9月なのに予想以上に寒く、ジャンパーを羽織る。構内は小振りな駅舎に隣接して対向式ホームと島式ホームがあり、対向式ホームには110形にSilberling客車5両を連結したRBが停車中である。これはPochingenとGeislingenを結ぶRBで、1時間おきに行き来している。

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続いて、185形牽引の貨物列車が通過、広告塗装だ。

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お目当てのICE 3がStuttgartへ向かっていく。しかしGeiskingenはどんよりと曇り、撮影条件は厳しい。

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ICEとICはそれぞれ1時間に1本ずつ通過し、ICEはICE 1とICE 3が交互に走る。近郊輸送では主に146形が活躍するREが1時間に1本、さらにRBや貨物列車も走り、トラフィックは多い。特にREには最新型の146.2形が活躍していた。REの到着が近づくとホーム上には乗客も増えるが、列車が去ると急に寂しくなる。

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RBには143形がやって来た。143形はドイツのローカル輸送のエースとも言える活躍ぶり、旧西ドイツ圏でも幅広く活躍していて、頼もしい。

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ICE 1が通過する。他のICEの倍近い長い編成はやはり貫禄がある。

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Geisingen-Pochingen間のRBを牽引する110形。この機関車の姿をじっくりと眺めることが出来た。華やかな仕業から離れたとはいえ、何ともいえない貫禄と愛嬌がある。流線型と印象的な前面窓、アンバランスなまでに大きなパンタグラフ、そして似合っているとは言い難いVerkehrsrot塗装。ドイツの華やかな電気機関車の歴史の一ページを切り開いた古豪は、後継車の活躍ぶりを横目に、今は静かに脇役を担う。しかし、今も昔も名優であることに変わりはない。

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時々やってくる列車の撮影を楽しんでいると、保線作業員が寒くないのか、と話してかけてきた。私が薄着だからであろう。寒いが、予想以上の寒さでこれ以上着るものがなく、諦めるほかない。それに時刻表を見ながら、ホームを前に後ろにと移動しているうちに温まってきた。天気は回復せず、霧は相変わらず出ており、小雨もちらついてきた。
貨物列車は思ったよりも少なく残念だが、151形が単機でやって来た。

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続いて425形が到着する。

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最後にICE 3を撮影。後部は少し切れてしまったが、満足の出来る一枚となった。

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Geislingenには2時間半ほどいて、11時25分発のRE Ulm行に乗車した。最高140km/hの初期タイプの2階建て客車を146.2形が押す編成だ。

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2階席に腰を下ろすともなくGeislingenを発車する。峠越え区間で曲線が連続し、スピードは上がらない。深い森に囲まれ、住宅も少ない。Stuttgart-Ulm間はこの峠超えが高速化のネックとなり、新線の建設が計画されているが、この印象的な区間を走るICEが見られなくなるのは寂しい。峠超え区間を終えるとAmstettenに停車する。ここからは快調に飛ばし、車窓にも住宅が増えた。雨もいつの間にか上がっている。Ulm Hbfには11時50分に到着する。

9月7日 Stuttgart → Geislingen [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

6時に起床、すぐにシャワーを浴び、6時45分にはビュッフェ方式の朝食を摂る。ドイツのホテルは本当に朝食が充実している。前日とはまさに雲泥の差である。ドイツパン、ハム、サラダ、チーズを久しぶりのドイツの朝食を慌しく堪能し、7時15分にはチェックアウトする。このHoliday Inn Hotel Stuttgart-Weilimdorfは今回の旅行でも、最も良かったと思う。

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今日はMuenchenに向かう予定である。目の前のWeilimdorf駅に行くと、多くの通勤客が列車を待っていた。7時27分発のS6 Stuttgart Schwabstr.行は420形を3編成併結した編成であった。

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席は全て埋まっており、駅に到着するたびにさらに乗客が増えていく。Neuwirtshaus(Porscheplatz)では左にPolscheの工場が見えた。この先で左からS4系統と合流する。Nordbahnhofの先でUlm方面からの路線が左から合流してくる。左側には広大なヤードが広がっている。

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一時停止の後、地下に入るとStuttgart Hbfに到着である。

地上ホームに上がると101、120、146、611形が次々と発着している。さすがに大ターミナル駅である。

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しばらく撮影を楽しんでいると、7時50分頃私が乗車数IRE Lindau行が先頭に入線してきた。

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昨年の旅行はあわただしくかったこともあり、乗車したのはICEばかりであったが、今回はDB Regioの車両もなるべく楽しもうと、このIREを選択したのである。編成は、何と218形を両端に連結し、間に4両の2階建て客車を連結している。先頭に立つのは218 410-9、最後尾は218 427-3で、最後部の隣の客車は制御客車である。146形か、あるいは気動車を予想していただけにこれには驚いた。しかし、鉄道ファンにはたまらない。

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とりあえず、先頭から2両目の1等車2階に腰を下ろす。1等車内は乗客は数えるほど、スーツケースを置き、ゆったりしたクロスシートに実を落ち着ける。

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8時02分定刻に発車、しばらくするとMannheim方面の路線が左に分かれていき、こちらは右にカーブしながら進路を南東に向ける。右手にダイムラーの工場、さらにVFBの本拠Gottlieb-Daimler-Stadionが見える。まもなく、右側にS-Bahnが並走する。スピードは140km/h、走行音は静かだし揺れも少なく、快適な近郊列車である。椅子もどっしりしていて、JRの2階建てグリーン車よりも上と思う。Esslingenを通過する際に一瞬徐行したが、それ以外は快調な走り。S-Bahnの工場が見えるとPochingenに停車する、ここでS-Bahn Stuttgartの区間は終了だ。RegioShuttleが停車中である。
Pochingenは2分程の停車の後に出発、右にTuebingenへの路線が分かれていく。ここまでほぼ並行してきたネッカー川はここから南へ去るが、その支流であるFils川に沿って、列車は走る。次はメルクリンの町、Goeppingenである。構内にはメルクリンの広告もあり、降りたくなるが、まだ時間も早く博物館も開館していないだろう。Goeppingenを発車しても車窓には住宅地が広がっている。Stuttgartからかなり離れたが、やはりドイツにしては人口の多い地域なのだろう。外はどんよりと曇り、今にも雨が降りそうだ。ややスピードが落ちて山の中に分け入っていくとと程なく、8時45分にGeislingenに到着する。10人あまりの降車客とと共もここで下車する。

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9月6日 Mannheim → Stuttgart [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

ここからはICEでStuttgartへ向かう。まもなくBerlin発Muenchen行のICE 691が到着、Tz112編成"Memmingen"、ICE 1のリニューアル編成である。私が乗車するのは19号車、最後尾の1等車である。指定されたのは96番席、コンパートメントの窓側であったが、そこには既に先客が座っていた。変わってもらっても良いのだが、Stuttgartまで30分足らずだし、スーツケースを抱えて窓側から出るのも大変なので、隣の95番席に腰掛ける。夕方の列車だけあり、車内は九割方の座席が埋まっているようだ。私の座った5人用コンパートメントも満席である。
同じホームの反対側に到着したICE 601 Basel行(ICE 3)の接続を待って、3分遅れの18時34分に発車する。 すぐにトンネルに入り、一気に加速していく。もう高速新線である。Ubstadt付近でHeidelbergからの路線が合流する。ICE 1のコンパートメントは改装され、ICE 3に近い印象である。固めの本皮張りの椅子で乗り心地は良いが、IC客車のコンパートメントがどっしりしていて、ソファーのような乗り心地であるのに比べると、良く言えば軽快、悪く言えば軽い座り心地である。最高250km/hの高速新線は細かい振動が伝わってい来ることはあるものの、いたって快適な乗り心地だ。同室の乗客達も新聞に読みふけったり、軽食を車掌に注文したりと、思い思いの一時を過ごしている。
曇り空で19時も過ぎ、そろそろ外も暗くなってきた。Vaihingenで右にS-Bahnが一瞬より沿うが、すぐに離れていく。Tunnel Langes Feldを抜けると減速を開始する。420形とすれ違い、Stuttgartが近いことを感じる。Boschuの巨大工場を右に眺めながらさらにトンネルを抜けると、列車はさらに減速する。ターミナル駅間近の広大なヤードを見ながらゆっくりと進み、頭端式のStuttgart Hbfにゆっくりと進入していく。ちょうどICE 1が2本停車中、その向こうからはParis行のTGV-POSが発車していくのが見える。19時11分、Stuttgart Hbfに到着する。

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私の乗車した車両は最後部、ここからコンコースまで延々300m以上歩かなければならない。ICEは19時15分にMuenchenに向けて発車していった。停車中の146.2形や611形を眺めながら、人通りの多い構内を歩き、地下にあるS-Bahnホームに向かう。前頭部の赤帯がない、間の抜けた顔のICE 1も停車していた。

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ホテルに向かう前に模型店に行くことにしていたので、やってきた420形に乗車し、一駅目のStadtmitteで下車、地上に出て、街の中心Marktplatzに向かう。道が良く分からず、通りかかった婦人に伺うと、英語は苦手なんだけど、と言いながらも親切に教えてくれた。お礼を言って、歩くこと10分、すると驚いた、人々々、ものすごい人手なのである、広場には所狭しとテントが並べられ、多くの人々がグラスを傾けている。後で知ったのだが、ちょうどワイン祭りが行われていたのだ。

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美味しそうなビール、ワイン、料理に心惹かれつつ、Marktplatzの一角にあるおもちゃ屋さんの3階にあるEisenbahntreffpunkt Schweickhardtの支店へ向かう。3階全体が鉄道模型専門フロアで、新製品を中心に書籍やDVDまでかなりの品揃えだ。友人に頼まれていたフライシュマンのICE 2の客車も無事に購入できた。長居すると無駄遣いしてしまいそうなので、早めに店を辞す。

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もう19時45分だ。人込みの中をスーツケースを引いてStadtmitteに戻る。ワイン祭りで食事を摂りたいが、さすがにこの大荷物では難しい。途中で地元名門サッカークラブVFB Stuttgartのファンショップ、VFB Fanshopがあった。私の兄は幼い頃からのVFファン、しかもVFBは2006-2007シーズンで奇蹟の大逆転でBundesligaを制したばかりである。ファンショップで優勝記念グッズを購入し、お土産とした。駅で時刻表を確認すると、私が乗車するS6 W・・・・行まで15分ある。その間に420形や423形が次々と発着する。実はこの地下区間はS-Bahn Stuttgartの各系統が集まり、列車頻度はきわめて高いのだ。そして、Stuttgartは420形の方が編成数は多く、特に活躍ぶりが目立つ。私が乗車するS6 Weil der Stadt行420形を2編成併結した列車であった。混雑する他の列車に比べると、この列車は比較的空いており、1等席にはゆっくり座れた。Hbfを出発すると地上に出る。Frankfurt・Muenchen方面の列車が右に分かれていく。外はすっかり暗くなった。こまめに停車し乗客を減らしながら、20分ほどでStuttgart-Weilimdorfに到着する。駅は対向式ホームが2本並ぶシンプルな構造で、降車客が去ると人の気配はなくなりと静かそのものである。駅前もSIEMENSのビルとイタリアンレストランが一店見えるのみで、他は住宅だ。階段を降りて駅の反対側の出ると目の前にお洒落なホテルが見える。ここが今日の宿、Holiday Inn Hotel Stuttgart-Weilimdorfである。

チェックインし、清潔で広々とした部屋に落ち着く。元気があればStuttgart市内のワイン祭りに行きたいが、S-Bahnで20分以上かかるし、今日は疲れて気力が湧きそうにない。ホテルのレストランが良さそうだったので、ここで食事をとることにした。生ビール大でまず喉を潤す、美味しい。思わず一気に飲み干し、もう一杯。盛りの多いサラダと豚肉の煮込みを頼み、白のグラスワインと共に楽しむとすっかり満足した。愛想の良い店員さんに満足したか訪ねられたので、大満足だと応じ、部屋に戻る。明日は早い、酔いも回っており、すぐに寝た。

9月6日 Saarbruecken → Mannheim [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

Saarbruecken Hbf構内には425形や426形、612形など新世代の近郊型車両の姿が目立つ。ICEが到着したホームの反対側には接続するIC 2159 Frankfurt Hbf行が既に停車している。牽引は181 214-8 “Mosel”、編成はAvmz 108.1 + ARkimbz 266.4 + Bvmsz 186.9 + Bpmbz 294.1 + Bpmbz 294.1 + Bvmz 186.5 + Bpmz 294.3 + Bimdz (形式詳細不明)で、1等車1両、BordBistro車1両、2等車6両という組成だ。181.2形はドイツの電気方式であるAC15kV、16 2/3Hzのほか、フランスのAC25kV 50Hzにも対応しており、ドイツ・フランス国境付近で活躍を続けてきた。現在は貨物運用から外れ、全車がDBの長距離旅客列車部門DB Fernverkehrに所属しているが、今後ICEのParis直通に進展に伴い廃車が進むことが確実である。
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私は機関車直後に連結された1等コンパートメントの12号車に乗車し、指定された16番シートに座った。機関車側の端のコンパートメントの窓側だ。コンパートメントはリニューアルされシートモケットや壁材は交換されているが、それ以外はTEE時代以来の仕様、これほど座り心地の良い快適な座席は思い浮かばないくらいだ。
16時50分、定刻にSaarbruecken Hbfを発車する。森の中を列車は進む。速度は100km/h程であろうか、滑らかで快適な乗り心地だ。17時10分Hombug (Saar) Hbf着、構内には425形が停車している。4分程の停車の後、発車。外はまだ明るいが曇っている。住宅は少なく、IC停車駅も街の規模は大きいとは言い難い。Parisで歩き疲れたのか、あるいはICEの興奮が済んだからなのか、眠気に襲われる。気がつくと、Kaiserslautern Hbfに到着した。駅の近くにそびえる大きな建物はフリッツ・ヴァルター・スタジアムであろうか。ここはワールドカップの会場として使われ、日本戦も行われた。ここを本拠とする1FC Kaserslautenはかつてはドイツきっての強豪で、赤い悪魔と恐れられた。ルール地方のGelsenkirchenを本拠とするSchalke 04と並んで熱狂的なファンの存在で有名で、ドイツ代表チームのエース、ミロスラフ・クローゼなど多くの名選手を生んだが、チームは最近は落ちぶれてしまい、ブンデスリーガ2部でも冴えない成績を残している。スタジアム名の由来となったフリッツ・ヴァルターは1954年ワールドカップ優勝時のドイツ代表キャプテン、クラブチームではKaiserslautern一筋で活躍した。その人格者ぶりでも大きな尊敬を集めた英雄は、現状をさぞ嘆いていることであろう。
17時37分にKaiserslauern Hbfを定刻に発車する。空は厚い雲に覆われ、カーブとトンネルが連続し、霧も出てきた。ちょっとした山岳路線の雰囲気だ。17時59分Neustadt Hbfに到着、この頃には雨も降ってきた。
Neustadtを出発すると線路に隣接してにDGEG Eisenbahn-Museumが見える、ヤードには多くの客車が停車していた。線形が良くなったのであろう、140~160km/h程度は出ているのではないだろうか。一旦離れたS-Bahnが再び近づくと減速し、Ludwigshafenに到着する。待避している140形牽引の貨物列車を横目に発車すると右に大きくカーブしライン川を渡る。
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程なくMannheim Hbfに到着する。18時19分、定刻である。 
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9月6日 Paris →Saarbruecken [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

私が乗車するICE 1955 Saarbruecken行は既にホームに停車していた。ParisでTGVと並ぶ姿はやはり新鮮だ。
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Paris発着のICEは現在3往復、Frankfurt直通は1往復のみで、2往復はSaarbruckenでFrankfurt行ICに接続する。12月のダイヤ改正でICEはFrankfurt直通が5往復となり、本格的な直通運転が開始される予定である。乗車前にICE 3MFの写真をゆっくり撮ってまわる。編成はTz 4682 “Koeln”、Tz 4609から改造された編成である。先頭から406 082-8 + 406 182-6 + 406 282-4 + 406 382-2 + 406 882-1 + 406 782-3 + 403 682-5 + 406 582-7の8両編成で、先頭が28号車、最後尾が21号車である。前2両が1等車、3両目がBordBistro、残りの5両は2等車で、私は1等車を予約していたおり、先頭の28号車から乗車する。
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このICEは予約が必須で、私は座席指定券を日本で確保した。指定された28号車22番席は1列シートの最も車端寄りにある。LGV東ヨーロッパ線を走るICEやTGVは混雑していてなかなか予約が取れないと聞いていたが、この列車は空いている。ラウンジも一人が座っているのみだ。Saarbruecken止まりということも影響しているのかもしれない。二人の車掌がペアとなり、車内を巡回している、一人はSNCFの制服を着たスマートな年配の男性車掌、一人はDBの制服を着た恰幅の良い女性車掌だ。Paris直通ICEの運転士はDB所属だが、車掌はDB・SNCF所属の車掌が共同で乗務しているようだ。

程なく定刻の14時43分となり、ICE 1955はゆっくりとPais l’Estを発車する。広い構内を抜けると、RERが頻繁に行き交う中、Paris近郊を100km/h程度で走る。車内放送はフランス語、ドイツ語、英語の順で流される。声から判断すると、同じ車掌が全てを話しているようだ。流暢な案内で、感心するほかない。右に巨大なTGVの車両基地が見える頃、先ほどの二人の車掌が検札に回ってきた。せっかくなので、ラウンジシートに移って良いか尋ねたところ、問題ないとのこと。早速荷物を持って、運転室背後左側の104番シートに移動する。運転士は乗務員室背後のドアを開け放していて、運転室内もよく観察できる。出発して約10分、Gare de l’Estから約20kmにあるVaires-sur-Marneで、ずっと並行してきた在来線と別れ、高速新線東ヨーロッパ線LGV Estに入る。ICEはインバータ音を響かせ、一気に加速する。運転台を見るとスピードメーターなどが並ぶ情報にフランスの信号システムTVM 430に対応する一環として追設された車内信号表示が「320」を指している。ICEは300km/hを超えて、さらに力強く加速を続ける。いよいよ未知の領域の速度だ。現在の世界最高速320km/hに到達、そのスピード感を存分に味わう。
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牧草地が広がり、わずかに集落が点在するのみの、のどかな光景の中をICEは爆走する。LGV Estは最高350km/hに対応するため、他の高速新線に比べ高規格となっており、最急勾配は25パーミルに抑えられ、カーブも比較的緩い。時々TGV-RやTGV-POSとすれ違うが、列車本数はまだ少ない。スピードメーターは270~320km/hの間を行き来しているが、真新しいバラスト軌道を安定した乗り心地で走る。
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ここで客室乗務員がワゴンを引いて回ってきた。この列車には食事サービスがあるのだ。メニューはパテ、野菜の酢漬け、パンにケーキというコールドミール、これに赤ワインを付けてもらった。シンプルではあるがなかなか美味しく、機内食と比べれば、断然満足できた。
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右側の席に座っている男性は鉄道員なのか、運転士と知り合いのようで時々運転室内に入っては運転士と会話をしている。後ろからは乗客が代わる代わるラウンジに来ては前方の光景に見入っている。私の右側の男性客はラウンジに来た乗客を運転室に招き入れて、簡単な解説をし、写真撮影も許している。年配の男性などは少年のように喜び、興奮していた。やはり、ICEでは、このラウンジは魅力的なスポットなのである。私も320km/h走行中の運転室部分の写真を撮影させてもらった。ビジネスマン風のドイツ人男性は、「素晴らしいだろう、世界最速なんだ。」と話しかけてきたので、「確かに素晴しい、私はこの列車が好きだ」と答え、そのまま、今後の旅行など、しばし話が盛り上がった。
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Gare de Meuse TGVの先で、Luxembourg方面へのジャンクションを通過する。ICEはさらにフルスピードで走行を続けていたが、Vaires-sur-Marneから281km地点、Gare de Lorraineを通過するとまもなく、16時頃に段々と減速していく、高速新線から左へ分かれ、単線で在来線へ入る。300km弱を1時間あまりで走りきったことになり、そのスピードには圧倒されるばかりだ。あとはSaarbrueckenまでゆっくりと向かうのみ、スピードも100km/h程度となり、車窓からは田舎町ののどかな光景が広がる。ラウンジを出て22番席に戻り、ゆっくりと車窓風景を楽しむ。Forbachを過ぎ、いつのまにか国境を越えドイツに入った。やや大きな街が見えてくると列車は減速する。程なく終着Saarbruecken Hbfに到着する。16時32分着、約2時間弱のICEノンストップの旅はここで終了である。スーツケースを持って下車し、ICEをもう一度撮影する。
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9月6日 Paris Gare de Nord → Paris Gare de l'Est [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

Paris Gare de Nordに戻ってきたが、まだ時間に余裕があるので、停車中のフランスの車両を眺めて楽しむ。手を広げると際限がないので、フランス鉄道に関する私の知識は無いも同然であるが、ドイツとは一味異なる洗練された車両たちを眺めるのも楽しい。

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X72500

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BB 15000 (現115000)

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BB 16100

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TGV-PSE

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Thalys-PBA

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駅構内

昼食時を過ぎており、お腹も空いたので、長距離ホーム端のコンコース2階にあるワインバーに入り、白のグラスワインとサーモンサラダで遅めのランチとする。なかなかのボリュームと味で満足する。
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地下階にあるコインロッカーからスーツケースを取り出す。ここからGare du l'Estまでメトロに乗るつもりだったが、メトロは階段だらけで、スーツケースを持った身には辛い。そこで、そのまま外へ出て、徒歩で向かう。小汚い飲食店やバーを眺めながら緩やかな下り坂を歩くこと10分ほどで到着する。
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構内は到る所で工事中、Gare de Nordに比べると無機的で賑わいに欠ける印象だ。時間は14時15分。ホームにそのまま移動すると、ちょうどドイツからのICEが到着したところだった。編成は406形Tz 4683 “Limburg”、旅を終えた多くの乗客がコンコースに向かってくる。Parisで見るICE編成はやはり新鮮だ。
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ホームにはTGV-Rも停車していた。
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9月6日 Paris 市内巡り [ドイツ・フランス鉄道旅行 2007]

目が覚め、ベットの横の時計を見ると、まだ5時半だ。もう少し眠ろうと思うが、時差ボケであろう、眠れそうにない。諦めてトーマスクックを眺めると、ICEがParis Gare de l'Estを6時43分に発車することがわかった。せっかくなので、発車を見送ることにした。6時半過ぎにホテルに出ると、外はまだ真っ暗、身を切るような寒さだった。ホテルから歩いてすぐの鉄橋に行くと、Paris Gare de l'Est構内全体を見回せた。TGVと並んで、お目当てのICEも停車中であった。待つことしばし、ICEは印象的なインバータ音を響かせて、ゆっくりとドイツへ向けて出発していった。
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まだ人通りのほとんどない道をホテルへ戻り、身支度をして朝食を食べに行く、ドイツのホテルに比べて内容は貧弱で、クロワッサンとゆで卵、コーンフレークで軽く済ませ、7時30分過ぎにはチェックアウトした。
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外はすっかり明るくなり、人通りも多い。今日は午後のICEに乗車する予定なので、Paris Ostにスーツケースを預けてから、市内観光に出かけることにした。Gare de l'Estへはスーツケースを引いて歩くこと10分ほど、Gare de Nordに比べ小ぶりなターミナルに入り、コインロッカーを探すが、いくら探しても見つからない。そこで、フレンチ・ジャーマン・レイルパスのValidationを兼ねて窓口に入る。Validationは問題なく済んだが、ロッカーは北駅にしかないとのこと、何と不便な、と驚いたが仕方がない。TGV-POSを眺めたところで、Gare du Nordに向かう。
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Gare de Nordには十分に歩ける距離であるが、面倒になり、メトロで行くことにする。M4でGare de Nordへは一駅である。しかし、この選択は失敗であった。パリのメトロはバリアフリーとは程多く、階段の連続で、スーツケースを持ち歩くには全く不向きであった。しかもメトロの車内は満員、随分と遠い一駅になってしまった。
Gare de Nordの長距離列車用ホームの地下にコインロッカーはあった。係員がいて、荷物のX線検査まで行い、なかなか物々しい。これではGare de l'Estにもロッカーを用意するわけにはいかないだろうと分かった。小銭が足りず、両替を頼むとできないとのこと、自動両替機もなく、係員がいる割にはは不便だ。仕方がないので、一旦ホームに行き、ツナ・サンドイットを購入して、ようやくスーツケースを預けることができた。
ヨーロッパは抵抗なく歩きながら食べられるのが良い。ツナサンドをかじりながら、メトロのホームへ移動し、M4に乗車する。まずはルーヴル美術館へ向かう。Chatletで降りるつもりが、どうしたものか乗り過ごしてしまい、気付いたらCiteだった。本に夢中になっていった。すぐに一駅折り返し、今度はM1に乗り換える。Louvre Rivoliで下車、しかし、実はルーヴルの近いのは一駅先のPalais Royal Musee du Louvreだった。今日は全くついていない、後続の列車でようやくPalais Royal Musee du Louvreに到着する。そのまま地下街を歩けば美術館の入り口だ。美術館は入館まで時間がかかると聞いていたので、8時過ぎに来て並ぶつもりだったが、もう9時になるところであった。長い行列ができていたが、行列はすぐに動きはじめ、荷物のレントゲン検査もスムーズだった。自動券売機でチケットを購入、こちらも台数は多く、並び必要はなかった。英語表示もあって分かりやすく、10分もしないで入館できた。
ミーハーだが、折角来たのだから、モナリザは見たい。そこで何はともあれ、Denon翼へ入り、モナリザへ直行する。モナリザの前は開館直後だけあり、まだ人はまばらだった。意外にもサイズは小さく、囲いがしてあって離れたところからみることとなる。2、3分過ごした後、近くにある「ナポレオン一世の戴冠式」や「民衆を導く自由の女神」など、美術に疎い私でも知っている絵画を見て回る。東京で美術展を開いたら目玉となるような絵画がさりげなく並んでいるのだから、呆れるばかりの凄さだ。
よく言われることだが、ルーヴル美術館はとにかく広大だ。Parisに半日しかいないのに、全てを見ようというのは無理で、割り切って目的を決めて見て回る。ニケのヴィーナスから、スフィンクス、ラムセス立像などエジブト美術を眺める。さらに今回楽しみにしていたハンムラビ法典を目にできて感慨深かった。レンブラントやクラナッハなど絵画館はゆっくり見ようと思い、最後に移動、しかし、何と今日は閉鎖されていた。残念だが仕方がない、いつか再訪を期すことにした。地上に出て印象的なガラスのピラミッドを眺めていると、10時30分だった。近くにはカルーゼルの凱旋門も見える。まだ1時間半しか経っていないが、広大な館内を早足で歩きまわり、疲れてしまった。
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一休みしようと地下街カルーゼルのフードコートをのぞく。ここはルーヴル美術館に来た際の手軽な食事スポットとして人気だが、まだ店がほとんど開いていなかった。そこで、M4に乗車し、Chatletで乗り換え、朝間違えてやって来たCiteで下車する。地上に出ると、市立病院の脇を歩く。病院とは思えない重厚な建物には驚くが、中の使い勝手はどうなのだろうか、気になるところである。広場に出ると、目の前にノートルダム大聖堂がそびえ立つ。その巨大さには驚くばかり、さすがParisである。すでに多くの観光客で賑わっており、私はそれに交じって中に入る。塔に上がることもできるが、行列になっており、見合わせる。
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寒いし歩き疲れたので、目の前のカフェで一休みする。最初はコーヒーのつもりだったが、急に気が変わりビールを一杯。まだ時間は十分にあるので、今度はモンマルトルに向かうことにする。カフェを出ると再びCiteからM4に乗車する。Barbes Rochechouartで乗り換え、地下から地上ホームに上がり、今度はM2に乗車する。
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程無くAnversに到着する。地下ホームから地上に上がると目の前はモンマルトルの丘である。様々な商店が軒を連ねる路地を抜け坂を上る。丘の頂上にあるサクレ・クール聖堂までは徒歩でもすぐだが、ケーブルカーを発見、早速試乗する。お洒落なデザインのケーブルカーはほぼ満員、丘の頂上まではすぐである。曲線を多用した白い印象的な建物のサクレ・クール聖堂に入ると、修道尼達が聖歌を歌っていた。中央では一心に祈りを捧げる人々の姿がある。しばらく美しい歌声に耳を傾けたのち聖堂を出る。丘の上からはパリの市街が一望できる。今日はあいにくの曇りであるが多くの人々がその光景に見とれている。時間は12時30分だ。
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今度は徒歩で丘を下る。カラフルな紐をもった人々が何やら話しかけてくるが、一体何なのだろうか。何となくやり過ごし、商店を眺めながら散歩を楽しみ、Anversへ戻る。時間にまだ余裕があるので、M2に乗車し、PigalleでM12に乗り換え、Madeleineで下車する。駅からほど近いワインショップ Laviniaに行く。さすがフランス、ワイン専門店とはいえ、ビルの二つのフロアに数多くのワインが並べられ、ディスプレイもきれいである。ワインの知識はないので、お勧めコーナーからボルドーのワインを適当に選び、お土産用に購入する。荷物が急に重くなり辛いが仕方がない。M8に再び乗車し、Straasbourg St-DenisでM4に乗り換え、Gare du Nordに13時30分に到着する。
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