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DB Baureihe 01.10 (Märklin 37105) [鉄道模型 Maerklin]

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 私は元々蒸気機関車にはそれほど興味がなく、ナローゲージで乗車したことがあった程度であったが、Düsseldorfに住んだ直後にイベントで50形の姿を目にして以来、本線蒸機にも魅力を感じ、滞在中に何度か蒸気機関車牽引の特別列車に乗車した。その中でも、最も印象に残っている機関車が01.10形である。2016年9月3日、愛好者団体Ulmer Eisenbahnfreunden (UEF)によって動態保存されていた01 1066が牽引する列車でMannheimからTrierまで乗車したが、120km/h以上で疾走する姿に圧倒され、この大型急行用機関車に魅了されたのであった。

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 2016年12月には01 1066のさよなら運転にも駆け付けた。

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 その後、EK-Verlagから発売されている„Eisenbahnknoten Düsseldorf“という書籍を眺めていた際に、Düsseldorf Hbfに停車中の01 1066の写真を目にして、益々01.10形に親しみが湧いた。2017年ゲッピンゲンで開催されたIMAを訪れた際に、メルクリン博物館の売店で01.10形のモデル37105がバーゲン価格で販売されており、早速購入したのであった。いつもお世話になっているmasato-marklinさんが01.10形のモデルを紹介されているので、私も便乗して、この37105を実車の詳細と共に紹介したい。

【01.10形について】
 Deutsche Reichsbahn ドイツ国有鉄道は1920年代から急行旅客用蒸気機関車として01形や03形を開発・量産していたが、1930年代になると蒸気機関車の一層の高速化が図られるようになり、最高速度150km/h、さらに500tの列車を120km/hで牽引可能な機関車として開発されたのが01.10形である。最大の特徴は、01形が2シリンダーであったのに対し、3シリンダーとなった点である。外観も空気抵抗を軽減するため、流線型カバーに覆われたものとなった。
 01.10形は400両の導入が計画され、まず1939年から43年にかけてSchwartzkopf・Krupp・Borsig・Henschel・Krauss-Maffeiの各メーカーによって205両が製作される予定であったが、第二次世界大戦の影響で、実際に製作されたのはSchwarzkopfによる55両 (01 1001 / 1052-1105)のみであった。01 1001は1939年8月29日にWildauでドイツ国有鉄道に納入され、1940年9月までに55両が完成した。これらの機関車はドイツ各地、さらに現在はポーランドに属するKattowitzやBreslauにも配属された。しかし、戦況の悪化で物資輸送が優先され、01.10形は活躍の場を奪われていく。1941年には最高速度が150km/hから140km/hに落とされたが、既にこの頃には大半の路線で100km/h程度しか出せない状態となっていた。01.10形は西側に集約され、1945年のドイツ敗戦時にはBranuschweig・Hannover・Göttingen・Kasselに集約されていた。しかし、大半の機関車は運用から外され留置されていた状態であった。結果的に01.10形はドイツ分断時には全車が西ドイツに残り、1949年のドイツ連邦鉄道 Deutsche Bundesbahnに引き継がれることとなった。
 1945年から1947年にかけては10両に満たないKasselおよびGöttingen所属の01.10形が運用されるのみであったが、車両不足のため、その他の蒸気機関車も順次再整備を受け運用に復帰した。さらに、1948年から1951年にかけて車体を覆う流線型カバーが順次外された。これにより、01.10形は正面に給水加熱装置が張り出し、煙室扉の上部が欠き取られた独特なスタイルとなったなり、Witte式除煙板も設けられた。1949年7月の段階ではPaderborn・Bebra・Kassel・Hagen-Eckeseyに45両の01.10形が所属しており、1951年夏までには既に廃車となった01 1067を除く54両がOffenburg・Bebra・Kassel・Hagen-Eckeseyに出揃った。
 しかし、St 47 K鉄鋼で製作された罐の老朽化が想定よりも早く進行し、車齢がまだ若かった01.10形全車について罐の交換が行われることになった。新しい罐はHenschelによって製作され、1953年12月に01 1060の初めて装備され、1956年11月までに全車の交換が終了した。

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 さらに1956年には01 1100が石炭燃焼式から重油燃焼式に改造された。重油燃焼式は経済的で操縦性も良く、機関士の作業軽減にもつながったため、01 1110に加えて、1958年までに01 1001 / 1052 / 1054-1055 / 1057-1061 / 1063-1064 / 1066 / 1068 / 1071 / 1073-1077 / 1079-1082 / 1084-1085 / 1088-1089 / 1092 / 1101-1105の33両が重油燃焼式に改造された。

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 1957年時点では01.10形はOffenburg・Bebra・Kassel・Osnabrück・Hagen-Eckeseyに配属され、重油燃焼式となった機関車の運用も開始され、主要幹線で華々しい活躍をみせた。が、1950年後半から幹線の電化が進行し、さらにE10形電機やV200.1形ディーゼル機関車の増備で、01.10形の運用範囲は徐々に縮小していく。1961年には01.10形の配属はBebra・Kassel・Osnabrückに集約されたが、1963年にはBebraの運用も消失し、Bebra所属機はKassel・Osnabrückに転属した。
 1968年にはナンバリングシステムの改訂で、石炭燃焼式は011形、重油燃焼式は012形となった。1968年3月12日付で012 079が廃車になり、以後01.10形の廃車が本格化する。1970年には01.10形はHamburg-AltonaとRheineの2つの機関区に配属され、Hamburg-Westerland、Rheine-Emden-Norddeichが残された活躍の場となった。1972年夏にはHamburg-Altonaの運用が終了し、Rheineの運用も徐々に縮小した。1975年5月31日01 1100が牽引したNorddeich Mole-Rheine間のEilzug 3260を最後に01.10形は引退し、最後まで残った012 055/061/063/066/075/081/100は6月26日に廃車となった。
 01.10形は55両と生産数が少ない割には引退が遅かったこともあって保存機は比較的多い。しかし、稼働状態にあるのはオランダの団体Stoom Stichting Nederlandによって保存されている01 1075 (重油燃焼式であったが、保存にあたって石炭燃焼式に改造された)のみである。前述した01 1066は2016年12月に検査期限切れで運転を終了し再整備を待つ状態である。01 1104も復活に向けて整備されており、当初は2018年から特別列車を牽引する予定であったが、その後延期され、具体的な復活運転の計画は明らかとなっていない。01 1100も再整備が行われれば、復活する可能性があるが、現在はDB Museum Koblenzで留置されている。01 1102は1996年にオリジナルの流線型スタイルに復元されたが、2004年に重大な損傷を負い、現在はチェコで留置されている。この他、01 1056/1061/1063/1081/1082が博物館などで静態保存されている。
 なお、所属機関区毎の01.10形の主な運用区間は以下の通りである。

BW Paderborn:
Hagen/Hamm/Köln - Kassel/Hannover/Braunschweig/Northeim

BW Hagen-Eckesey
Hagen - Kassel/Köln, Hannover - Braunschweig/Möchengladbach

BW Offenburg
Basel Bad Bf. - Frankfurt(M)/Ludwigshafen/Mannheim/Heidelberg

BW Bebra
Hannover - Frankfurt(M)/Würzburg
Treuchtlingen - Hamburg-Altona
Hannover - Ingolstadt

BW Kassel
Kassel - Hamm/Frankfurt(M)/Bebra

BW Osnabrück
Rollbahn Köln - Münster - Osnabrück - Bremen - Hamburg

BW Hamburg-Altona
Hamburg-Altona - Westerland

BW Rheine
Münster - Emden

諸元: 軸配置 2'C1' h3, バッファー間長 24.130 mm, 全高 4.550 mm, 先輪径 1.000mm, 動輪径 2.000 mm, ボイラー圧力 16 bar, 出力 2350 PS (石炭燃焼式) / 2.470 PS (重油燃焼式), 最高速度 140km/h (後進時 50 km/h), テンダー 2'3 T38

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【模型】

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 メルクリンの37105は1966/67年の01 1054 (新しい罐を装備し、重油燃焼式となった姿)をプロトタイプとしている。メルクリンは1984年に初めて01.10形を発売し、バージョンを変えつつ、これまで何度か製品化されており、この製品は2014年の新製品として発売された。最新の製品ではあるが、基本的な設計はこれまでの製品と変わっておらず、ハイピングなどディテールでは最近の製品に比べて劣ることは否めないが、全体の印象把握は非常に良い。別パーツは殆どないので、私のようなずぼらな人間には扱いやすい。

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 mfxデコーダーを装備し、フルサウンド仕様となっているが、サウンドの種類は長短の汽笛、ブレーキ音、エアポンプ音など現在の水準に比べると物足りなく感じるかもしれない。DCMモーターを使用しているため、牽引力は十分で走行性能も安定しているが、モーター音はやや大きい。ただ、スピーカーが大きいため走行音がモーター音にかき消されることはない。



 ファンクションで特徴的なのは動輪付近の作業灯で、特に機関区を再現したレイアウトでは印象的な光景となるであろう。

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 なお、メルクリンの01.10形についてはmasato-marklinさんが29740を、Akiraさんが3つのバージョン (3310, 3790, 29010)を紹介されている。
 スタイルが良く、頑丈でよく走るということで、私にとって最もお気に入りのモデルの一つである。

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【01 1054について】
 01 1054は1940年2月27日に登場し、Bw Leipzig Hbf Westに配属された。1943年にはBw Breslauに移されたが、1945年5月第二次大戦時には運用から外れ、Bw Hannoverに留置されていた。1949年に流線型カバーを外され再整備を受け、Bw Paderbornに配属された。1952年4月には03.10形と交換する形でBw Offenburgに移った。1954年4月に罐の交換が行われ、さらに1957年11月には重油燃焼式に改造されると共にBw Osnabrückに移籍した。
 Bw Osnabrückでは重油燃焼式の01.10形の運用が1957年秋より開始されており、HamburgやKöln・Würzburgには重油補給設備も設けられた。この頃のBw Osnabrück所属の01.10形はBonn・Bremen・Dortmund・Düsseldorf・Essen・Hamburg-Altona・Hamm・Hannover・ Köln・Münster・Hengrlo (オランダ)への列車に運用されていた。1961年時点ではBw Osnabrückには重油燃焼式20両、石炭燃焼式5両の01.10形が所属し、01.10形の配属が最も多い機関区であった。しかし、1962年以降は電化の進展で運用範囲は縮小していく。1964年にはKölnへの乗り入れが終了した一方で、Rollbahnの旅客列車の運用が増加した。
 1965年時点ではBw Osnabrückには重油燃焼式24両、石炭燃焼式13両の01.10形が所属していた。1966年9月にはOsnabrückより南の区間の電化が完成したが、1968年5月まではDortmundまで乗り入れていた。

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 1968年1月1日、01 1054は012 054に改番された。電化の進展で、1968年にはBw Osnabrückは21両の012形のみが所属していたが、1968年夏を以て全ての運用が終了し、1968年9月012 054を含む11両の012形はBw Rheineに移籍した。1972年3月15日012 054は運用から外れ、1972年7月20日付けで廃車となり、解体された。

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[参考文献]
- Eisenbahn Journal "Baureihe 01.10" 2008年
- Eisenbahn Journal "Die Baureihe 01.10" 1992年
- Jürgen-Ulrich Ebel. "Die Baureihe 01.10. Band 1: Lokomotivlegende zwischen Stromlinieära und Computerzeitalter" EK-Verlag 2010年
- BahnExtra "Von der 01 bis zur 61 Schnellzug-Dampfloks bei Bundesbahn und Reichsbahn" 2018年
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