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食堂車でドイツ周遊 [ドイツ鉄道旅行 2017]

 12月16日9時前にDüsseldorf Hbfに着く。ICE 621が発車する16番線ホームに向かうが、ちょうど9番線にSiemens製最新型機関車Vectronが入線してきた。まだ時間があるので見に行くと、Vectronといっても電機ではなくディーゼルバージョンの247形が先頭に立っており、後ろにはMüchenのU-Bahnで増備中のC2形であった。おそらく、SiemensのKrefeld工場からの甲種輸送であろう。私と同じように、2人の鉄道ファンが撮影に来ており、ハローと挨拶。

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 16番線に戻ると、ICE 621はすでに入線していた。編成が所定とは逆になっており、1等29号車は最後尾である。テーブル付きの席に落ち着くと、定刻に発車。

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 列車は順調に200km/hで走り、Köln Messe/Deutzへ。ここでも乗車が多く、大半の座席が埋まった。Köln Messe/Deutzを発車すると改良新線区間を最高200km/hで走り、Siegburg/Bonnを通過すると高速新線には行って最高300km/hところだが、16日・17日とドイツでは悪天候が予想されているとのことで、前日にドイツ鉄道はICEの最高速度を200km/hに制限して運転し、10~20分の遅延が予想されるとの発表を行っていた。実際、ICE 621もSiegbur/Bonnを通過しても特に加速することはなく、200km/h前後での走行を続けた。Montabauer、Limburg Südと停車し、Frankfurt (M) Flughafenには5分遅れの10時38分に到着する。元々ダイヤに余裕があるのであろう、最高速度が抑えられても、影響は小さかった。

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 S-Bahnに乗り換え、隣駅Frankfur (M) Stadionへ。本来ならここでさらに乗り換え、Zeppelinsheimへ向かうつもりでいたが、乗り換えるつもりだったS-Bahnは遅延しているICEの待避でなかなか発車できず、この駅でICEを撮ることにする。所定より1時間程遅れてきたICE 593はICE 1による運行である。

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S-Bahn 430形

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ICE 1

 続けて、12月10日から本格的な営業運転を開始したICE 4が来る。こちらはStuttgart行ICE 973に運用されている、

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ICE 4

 まだ時間があるので、私の定番撮影地、高速新線ケルン・ラインマイン沿いのWeilbachに移動する。ここで2時間ほど、ICEを撮影する。今のところ、この高速新線はICE 3のみが運用されているが、今後ICE 4も運用される予定である。

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407形 (ICE 3/Velaro D)

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ICE 3

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ICE 3

 14時が近づいたところでWeilbachを離れ、15時過ぎにFrankfurt空港へ戻り。関西空港から来た友人と空港第1ターミナル地下のRegionalbahnhofにあるDBの窓口付近で合流する。友人は熱心なICEファンで、もう長い付き合いだが、実際に会うのは約10年ぶりである。今回1週間の休暇を利用してドイツに来るとのことで、一緒にドイツ鉄道を旅することになったのである。スーパーマーケットに立ち寄った後、S-Bahnに乗ってFrankfurt (M) Hbfへ。ここでICE 4やデビューしたばかりの445形などを撮影する。

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TGV-Duplex

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445形

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120形

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ICE 4

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ICE 4



 日もすっかり暮れ、17時過ぎにS-Bahnで空港駅に戻り、Frankfrt (M) Flughafen Fernbahnhofを17時58分に発車するWien Hbf発Hamburg Hbf行の長距離列車ICE 26に乗車する。この列車はICE-Tによる運行である。Wien – Hamburg間を直通するICEはPassau・Würzburg・Hannoverを経由するICE 90/91が運転されており、所要8時間40分程で両都市を結んでいるが、ICE 26/27はPassau・Würzburg・Mainz・Bonn・Köln・Wuppertal・Dortmund・Bremenを経由する遠回りルート、全行程13時間を要す。今時、信じがたい長距離列車だが、無論直通の乗客は想定されていないであろう。ドイツ鉄道の公式サイトでも、通常の検索ではこの列車はヒットしなかった。

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 定刻に到着した列車に乗り込み、そのまま食堂車に座る。ICE-にTは7両編成の411形と5両編成の415形があり、全車は食堂車としてBordRetaurnt、後者は売店と立席用テーブルだけのBordBistroを備えている。ICE 26は411形7両編成による運転で、BordRestaurantを連結している。夕食時間に早いためか、またはFrankfurt (M) Hbfやこの空港駅で降車した乗客が多いためか、食堂車は空いており、4人用テーブルに落ち着く。ここで友人と車上忘年会としゃれ込むこととする。

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 まずはビール、車内には生ビールサーバーが設置されており、Bitburger Pilsが提供されている。0.3lで3.20 EUR、0.50lで3.80 EURと値段も手ごろ、後者を注文したことは言うまでもない。安定の味で喉の渇きを潤しつつ、食事にはGrünkohl mit Mettende, Kasseler und Salzkartoffelnを選択する。Grünkohlは日本語ではケールと呼ばれ、青汁の原料として使われているが、ドイツでは冬の味覚として親しまれている。ソーセージやポークチョップ、ジャガイモが添えられ、12.90 EURは上々であろう。ついでにサラダも注文しておく。ドイツ鉄道は食堂車のメニューを2か月ごとに更新しており、季節を感じさせるドイツ料理が提供される。食堂車の調理なので電子レンジかスチームくらいしかないだろうが、メニューも調理法の限界を十分考慮されて選択されているように思える。食堂車でこれだけのメニューを提供され続けているだけでも、十分に評価されて良いのではないか。

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 列車はMainz Hbfからライン川の左岸を走っている。外は完全に暗くなっているが、右岸に沿って家々の灯りが並ぶ車窓風景もなかなか趣きがある。列車の適度な揺れに身を任せながら、友人と語らい、美味しい料理があるとなると、お酒も進むというもの。ビールをもう一杯、さらに白ワインに赤ワイン。DBの食堂車はビールもBitburger Pilsの他、レモン味のラドラー、Erdinger Weissbierとノンアルコールビールとバリエーションがあり、さらにワインもドイツ産を中心にゼクト (発泡) 2種類、白ワインと赤ワイン3種類ずつという充実ぶり、車内忘年会には十分すぎる品揃えであろう。

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 Koblenz Hbfを過ぎ、Bonn Hbfを発車したタイミングでお会計を済ませる。Köln Hbfの4番線には20時05分に着く。Frankfurt (M) Flughafenからここまでは高速新線経由のICEを利用すれば1時間程度だが、車上忘年会を楽しみたいが故に、このライン川左岸を通る在来線経由の列車を利用したのであった。
 ホーム反対側5番線にFrankfurt (M) Hbfから高速線を経由してきたMünchen Hbf発Dortmud Hbf行ICE 514が入線して来る。この列車は407形Velaro Dによる運行であり、一度も407形に乗車したことがないという友人のリクエストで、この列車に乗ることにしたのである。

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 2等車もある程度空席があり、無事に座ることができた。Köln Hbfを発車し、Wuppertalへ向かう路線の分かれると200km/hで快調に走り、20分でDüsseldorf Hbfに到着する。ICE 514の発車を見送り、駅に程近いホテルにチェックインする友人と分かれ、自宅へ戻る。

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 12月17日7時45分過ぎにDüsseldorf Hbfで友人と落ち合い、Klagenfurt Hbf行EC 115のコンパートメントに座る。この列車は101形が牽引するDBのIC客車による運転である。8時15分にKöln Hbfに着くが、外はまだ日が昇りきらず薄暗い。中央駅前にそびえる大聖堂に足を向けると、日曜ミサの前で中に入ることができた。人がほとんどおらず、静かで荘厳な雰囲気である。

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 Köln HbfからS-Bahnでライン川を渡り、Köln Messe/Deutzでしばらく撮影を楽しむ。ただ、友人が撮りたかったというIC 2は10分程遅れており、ちょうどHbfに戻る列車に乗った際にライン川ですれ違ってしまい、撮影できなかったのは残念であった。

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ICE 3

 9時44発Berlin Gesundbrunnen行ICE 857に乗車する。この列車はICE 2による運転である。2等車の空席に無事座ると、定刻通り発車する。

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 Wuppertal Hbf・Hagen Hbfと停車し、11時02分にHamm (Westf.)に到着する。ここでKöln Hbfを9時21分に発車し、Düsseldorf・Duisburg・Essen・Bochum・Dortmundを経由してきたICE 847が後ろに連結される。

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 連結作業を眺めた後は食堂車へ。ICE 2にはBordRetaurantが付いている。お昼前だが、食堂車は大半のテーブルが埋まっているが、食事というよりは飲み物で時間をつぶしている乗客が目立つ。遅めの朝食にはChili con Carneを選ぶ。アメリカ発祥のスパイシーなシチューだがドイツでも人気がある。8.20 EURでパンも付き、朝食には十分すぎるボリューム、味も申し分ない。

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 列車は途中Bielefeld Hbfに停車し、12時28分にHannover Hbfに到着する。ちょうどIC 2が停車中で、幸いにもKöln Messe/Deutzの代わりにここで撮影することができた。さらにICE 4も撮影する。

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146.5形+IC 2

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146.5形+IC 2

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ICE 4



 Hannover Hbfからは12時41分発Stuttgart行ICE 577に乗車する予定であった。この列車はICE 4で運行されており、その試乗が目的であったが、そのICE 577はドア故障で1時間以上遅延している。そこで、Hamburg-Altona発Frankfur (M) Hbf行IC 1993に乗車することにする。IC 1993は先頭が制御客車、後ろから広告塗装の101 004が押す編成である。

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 車内は混雑していたが、先頭の制御客車の広い自転車積載スペースで折り畳み椅子に座る。冬ということもあるのか、自転車は1台も搭載されておらず、この広いスペースを占有でいるのだから、ある意味贅沢である。折り畳み椅子では座り心地は期待できるはずもないが、40分弱という乗車時間を考えればこれで十分である。定刻より6分遅れて、13時に発車した列車は高速新線に入り、200km/hに順調に走り、13時38分にGöttingenに到着する。我々がここで下車する。

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 乗り換える列車までしばらく時間があるので、発着する列車を撮影しながら待つ。ICE 1の姿が目立つが、大半は落書きで美しいとは言い難い姿なのは残念な限りである。回送の648形は行先表示に“Frohe Weihnachten“ (メリークリスマス)と表示し、カメラを向けると運転手が笑っていた。

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ICE 1

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ICE 1

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648形

 Kiel Hbf発Zürich HB行ICE 77は定刻の14時15分に入線してきた。車両はICE 1である。ここで遅い昼食を摂るつもりであったが、車内は混雑しており、食堂車も全ての席が埋まっていた。次の停車駅、Kassel-Wilhelmshöheで降りる乗客がいることを期待して、しばらく食堂車の脇で立って待つことにした。

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 Kassel-Wilhelmshöheまでは約20分、トンネルが続く区間である。到着直前、二人の乗客が席を立ち、運よく食堂車に無事に座ることが出来た。ICE 1の食堂車は屋根が高く、天窓も設けられ、明るく開放感があって、ICEシリーズの中でも最高の雰囲気であろう。とはいえ、この食堂車は特に老朽化が進んでいるという話もあり、近い将来の引退もささやかれている。
 Kassel-Wilhelmshöheを14時37分に発車するとFrankfurt (M) Hbfまではノンストップで走る。昼食はSauerbraten mit Kartoffel-Blumenkohl-Stampf ザワーブラーテン・ジャガイモとカリフラワーのマッシュ添え、12.90 EURと生ビールを一杯。定番ドイツ料理、なかなか美味しく、良い昼食となった。列車はFuldaから在来線区間を走る。締めのコーヒーをゆっくり楽しむうちに列車はHaunauを通過し、Frankfurt (M)近郊へ。マイン川の南側、Offenbachを通過し、マイン川を渡って、16時ちょうどにFrankfurt (M) Hbfに到着する。

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 Frankfurt (M) Hbfで少しだけ撮影する。

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ICE 4

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445形

 16時25分発Saarbrücken Hbf行RE 29526に乗る。この列車はVlexx社による運行で、車両はAlstom製の気動車Coradia LINT 54、620形が用いられている。夕方ということで、車内は全ての座席が埋まり、立客も見られたが、何とか席を確保できた。

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 定刻の16時25分に発車したが、すぐに一時停車。しかし、程なくして発車し、Frankfurt (M) Flughafen Regionalbahnhof、Rüsselsheimを経て、17時05分にMainz Hbfに着く。

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 遅れてきたÖBB編成のIC 118、数を減らしている143形の発車を見送ると、Interlaken Ost発Hamburg-Altona行EC 6が5分遅れで到着する。この列車はSBB客車によって運行されており、最後にSBBの食堂車に乗ろうというわけである。

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101形+IC 118

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143形

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 幸いにも雰囲気の良い食堂車はガラガラで座ることが出来た。友人と夕食を楽しもうとメニューを眺めるが、ここで絶句・・・・スイスの物価を反映して、飲み物も食べ物も非常に高価なのである。その割にメニューのバリエーションはDBと比べると少なく、選択枝もそうあるわけではない。結局、相対的にリーズナブルに感じられた赤ワイン、Merlot Ticino DOCのハーフボトル (19.80 EUR)を飲みつつ、友人とレモンリゾット (16 EUR)をシェアした。リゾット自体はそれなりに美味しかったが、調理法も味もDBの食堂車に比べ優れているわけではなく、量は少ないくらい。スイス旅行中であれば印象も変わったかもしれないが、ドイツ国内でこの食堂車に乗ると、どうしても高いと感じざるを得なかった。それでもワインを飲みながらの旅は良いものである。

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列車はライン川左岸を走ってKoblenz Hbf・Bonn Hbfを経て、Köln Hbfへ。ここで2等席に移る。Düsseldorf Hbfには定刻より6分遅れの20時40分に到着した。

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 駅構内で後続のThalysを撮影した後、市内のアルトビール醸造所直営レストランで腹ごなしをし、友人との二日間の食堂車の旅を終えた。

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Thalys PBKA

 ドイツでも食堂車は縮小傾向がみられた時期があったが、最近はLCCや長距離バスとの競争が激化し、逆に鉄道の売りの一つとして、食堂車を積極的に売り出そうという流れも感じられる。メニューは2か月に1回更新され、アルコールからデザートまでメニューも豊富である。高くてまずいという評価を聞くこともあるが、条件の厳しい列車内の供食サービスということを考えれば、例えば往時の東海道・山陽新幹線の食堂車のサービスを考慮しても、価格・質量面で健闘しているといって良いのではないか。このサービスが今後も継承されていくことを祈りたい。
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