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ドイツ・オーストリアを巡った11月 (2) [ドイツ鉄道旅行 2017]

 結婚のパーティーを済ませ、今度は私の両親とオーストリア・ドイツを巡った。11月7日、仕事を終えた後、妻と自宅からトラムに乗って19時30分過ぎにDüsseldorf Hbfに着いた。構内のアジア料理店で夕食を済ませ、スーパーで飲み物を買って20番線ホームへ行くと、既に夜行列車NightJetのEN 421 (Innsbruck行)/40421 (Wien行)が発車を待っていた。牽引機はÖBBの1016 019で、その後方にWien行、さらにInnsbruck行の客車と続き、最後尾に2両の車運車をつなげた編成である。NightJetの運行開始から1年近くが経過し、過半数の客車はNightJet専用の紺色に赤帯の塗装となっている。NightJetは寝台車、クシェット、座席車で構成されるが、我々が乗車するInnsbruck行の284号車は寝台車である。客車の最後尾、車運車の前に連結されている。出入口には車掌が立ち、乗客を迎えている。スーツケースを運び入れるのを手伝ってもらう。

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 最大3人利用できるコンパートメントに入ると、ベッドはまだ収納されており、座席が3席並んでいた。その上にはスリッパやタオルなどのアニメティグッズが置かれており、さらに水や白ワイン、ジュースのウエルカムドリンクも座席の横に用意されている。車掌が来て、部屋の機能を簡単に説明していく。狭いながらも機能的に設計されたトイレやシャワーが個室内に設けられているのも特徴である。スーツケースを隅に置き、まずは座席に腰を落ち着ける。

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 定刻の20時54分より5分程遅れて、EN 421はゆっくりと発車する。まもなく車掌が検札に回って来る。ÖBB所属の車掌ということで話すドイツ語もオーストリア風、普段聞くドイツ語とは随分とは異なり聞き取るのに難渋する。ここで朝食を注文する。朝食は乗車料金に含まれているが、コーヒーやジュースなどの飲み物、ヨーグルト、パン、チーズ、ハム、バターなどのメニューから好みで6種類を選択する方式となっており。さらに1品1ユーロで追加注文できる。NightJetでは車内販売も行われており、ビールやワインなどアルコールからソフトドリンク、スナック、軽食まで中々多彩である。その中で目立つのは14.90ユーロのビーフステーキ・リゾット添え。味見がてら注文しようとしたが、車掌によると食べ物で在庫しているのはサンドイッチ一種類のみとのこと。仕方がないので、オーストリアのビールStieglとおつまみ代わりにサンドイッチをもらう。
 次のKölnではHbfではなく、Messe/Deutz駅の地上ホームに停車する。人口の多いKölnということで、ある程度の乗車がある。隣のコンパートメントにも新たな乗客が来たようだ。Köln Messe/Deutzは定刻では21時19分の発車であるが、なかなか発車せず、ここで20分遅れとなった。ようやく発車すると列車はライン川を渡らず、ライン川の右岸側を走る。Bonn-Beuelに停車し、ライン川沿いに走る。車掌に頼んで、ベッドをセットしてもらう。といっても壁に収納されているベッドを倒すだけである。

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 ライン川を渡ると、Koblenz Hbfに着く。ここからは世界遺産の景勝地だが23時過ぎでは何も見えない。ビールやワインを飲んでいるうちに眠気に襲われ、寝ることにする。最初は2段ベッドのうち、上段に妻、下段に私が寝る予定であったが、上段にも柵などがなく怖いとのことで、私が上段で寝ることになる。客車列車というわけで静かだが、横になると普段と異なる揺れを感じる。なかなかのスピード感である。しばらくすると私はすっかり寝入ってしまった。妻もある程度は眠れたようだが、何度か揺れで目が覚めたようだ。また私が上段から落ちて来ないか気が気ではなかったそうだ。
 目が覚めると6時半過ぎ、列車はAugsburg HbfからMünchen Hbfへ向かっているところで、ほぼ定刻の運転に戻っていた。このNightJetはNürnberg Hbfで1時間以上の長時間停車があり、さらにNürnberg HbfからAugsburg Hbfまで2時間40分以上をかけている。この間にWien行を切り離し、代わりにHamburg-AltonaからのEN 40491と併結する作業も行われているはずであるが、私は夢の中で全く気が付かなかった。

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 7時05分、München Hbfに到着する。ここで車掌が朝食を届けに来た。温かいコーヒーで目も覚める。頭端式のターミナル駅ということで、ここで機関車を付け替え、方向転換する。7時29分に発車する頃には、外はすっかり明るくなっていた。München郊外を離れると、程なくしてアルプスが車窓に広がる。朝のバイエルンの光景はなかなか美しい。ここで下車する前にシャワーを浴びておく。前日出発前に自宅でシャワーを済ませてはいるのですが、せっかくの設備なので利用しない手はない。非常に狭いが、お湯の温度や量は十分許容範囲、液体石鹸も備え付けられており、汗をさっと流すには十分だ。
 身支度を整えると、定刻より5分程遅れて8時30分にKufsteinに到着する。車掌にスーツケースを下ろすのを手伝ってもらい、下車する。先頭を見ると、Münchenから牽引を担当していた機関車はRailJet塗装の1216 017であった。Innsbruckへ向かうNightJetを見送ると、客車10両のうち7両が専用となっており、綺麗なブルーの編成で統一されるのも近そうだ。



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 KufsteinからはRailJetでSalzburgへ向かう。Wien行RJ 765は定刻より5分遅れの8時58分に発車。2等車も空いており、予約していたテーブル付きの座席に落ち着いて、アルプスが連なる車窓風景を楽しむ。オーストリアの国内列車とはいえ、Kustein – Salzburgは大半がドイツを走る。国境を意識させるものはないが、駅のサインや標識類はDBのデザインでそれと分かる。列車は90~140km/hとそれほどスピードを出していないが、特に遅延が広がっているわけではなさそうだ。乗務員が飲物などの注文を取りに回ってきたので、水を頼む。RailJetには食堂車兼売店も設けられているが、足を運ぶのも面倒なので、このようなサービスは有り難い。国境駅Freilassingをゆっくり通過し、Salzach川を渡って、3分遅れの10時06分にSalzburg Hbfに到着する。

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 駅の目の前のH+ Hotel Salzburgが本日の宿である。荷物を預けようとしたら、もうチェックインできるとのこと。ただし、カードキーを設定する器械が調子が悪いとのことでしばらく待たされる。待っている間に10時50分となり、Wien観光を終えた両親がRJ 662で到着したので、駅のホームで合流。ホテルに戻るとようやくチェックインできた。
 荷物を整理した後、フロントで主な観光施設や市内交通に有効なザルツブルクカードをホテルのフロントで購入し、出発する。駅前からトロリーバスに乗車し、旧市内までは10分もかからない。5年前のザルツブルク音楽祭でコンサートを聴いた大聖堂をゆっくり見た後、街の象徴であるホーエンザルツブルク城を向かう。しかし、オフシーズンの平日ということで、ケーブルカーは運休中。城塞へ歩いて行くこともできるが、無理はしないことにして、ザンクトペーター教会と併設された墓地を見た後、カフェで一休みする。

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 14時からは音楽祭の主会場である祝祭劇場のガイドツアーに参加する。夏の音楽祭を除けば、1年に数回しか使われないが、劇場は3つの音楽ホールを備え非常に大きい。来年夏の音楽祭に向けた準備がもう行われているのことであった。

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 続いて、行き交うトロリーバスを見つつ、近代美術館へ向かう。メンヒスベルクのエレベーターで岩山へ上がり、旧市街の眺望を楽しむ。時間の関係で、美術館内部には入らず、モーツァルトの生家へ。時期が時期だけに全体的に人が少ないが、この博物館だけはかなりの来館者がある。お土産を買いつつ、モーツァルト広場に立つモーツァルト像を見た後は、地元客で賑わうレストランに落ち着き夕食を楽しむ。

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 帰路はザルツァッハ川を渡りつつ、旧市街の夜景を眺め、さらに指揮者カラヤンの生家の横を通って、マカルト広場からトロリーバスに乗ってホテルへ戻った。

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 11月9日、Salzburg Hbfから8時56分発Bregenz行RJ 660に乗車する。牽引するのはテレビ局ORFの広告塗装を纏った1116 232である。空いているであろうと考え、座席は予約していなかったが、乗車してみると予想以上にガラガラで、テーブル付きの4人席を確保できた。アルプスを見ながら、Wörgl Hbf、Jenbachと停車し、Innsbruckには10時44分に着く。

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 駅構内のコインロッカーにスーツケースを預け、両親の不要な荷物を駅前の郵便局から日本に発送する。身軽になったところでトラムに乗って、旧市街へ。母の買い物に付き合いつつ、旧市街の象徴である黄金の小屋根を眺め、さらにHofburg 王宮を見学する。王宮の前にはカフェ・ザッハーの支店があり、ここで昼食代わりにザッハトルテ。

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 買い物の後、中央駅に戻るべくバスに乗るが、降りたバス停は中央駅から少し距離があった。それでも速足で中央駅に向かい、スーツケースを引き取って、何とか14時38分発のGarmisch-Partenkirchen行REX 5420に間に合った。車両はÖBBのTalentである。ここからMiittenwaldbahnの旅を楽しみつつ、Münchenへ向かう。発車してしばらくすると列車は高度を上げていき、左手にはインスブルック空港、さらにアルプスの絶景が広がる。この車窓風景を両親に見せたいと思い、このルートを選択したのであった。列車はこまめに停車しながら順調に走り、国境を越えてドイツへ入り、Mittenwaldを通って、Garmisch-Partenkirchenには15時57分に到着する。

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 ホームの向かい側に停車中にRB 59460に慌ただしく乗り換える。こちらはDBのTalent 2による運行である。予想以上に乗客は多かったが、3編成連結していたこともあり、無事に座席を確保することが出来た。外はすっかり暗くなり、車窓には闇が広がる。München Hbfまでは1時間半弱、次第に乗客が増え、最終的には席がほぼ埋まり、立客も少なからず見られた。17時26分にMünchen Hbfに到着し、駅前のホテルEuropäisher Hofにチェックインする。ドイツ・オーストリアの食事ばかりだと胃も疲れるので、今夜は韓国料理を選択した。といってもDüsseldorfに比べMünchenはアジア系料理店が少ないようだ。その数少ない店に足を運ぶが、結果的には大失敗。値段・量・味とも世界中探してもこれだけの店は見つけられないのではないか、というひどさで、さっさと退散。結局、中央駅構内のフードコートでお酒を飲みつつ、ソーセージやフライドポテトをつまんだのであった。

 11月10日ゆっくりと朝食を済ませ、9時半過ぎに市内観光に出る。S-Bahnに乗るべく中央駅構内を歩いていると、ちょうどICE 722が発車を待っていたので、母と妻に呆れられながら撮影しておく。

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 S-Bahnで中心街に位置するマリエン広場へ。買い物に付き合いつつ散歩し、父も合流して、新市庁舎の仕掛け時計を12時から眺める。続いて市場マルクトを散歩し、スープ専門店Münchener Suppenkücheでスープとパンの軽めの昼食を済ませる。

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 お土産の買い物にデパートに入った両親と一旦別れ、妻とオペラ劇場へ散歩する。行き交うトラムを眺めるのも楽しい。

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 一旦ホテルに戻る。母と妻はカフェに向かい、父はドイツ博物館へ。私はこの一時を利用し、中央駅周辺をぶらつきつつ、Düsseldorfでは比較的見る機会の少ない車両たちを眺める。

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 ついでに中央駅周辺の模型店を巡る。といっても特に買うものはない。U-Bahnでドイツ博物館に足を運ぶが、着いたのは16時過ぎで入館可能な時間は過ぎており、売店で時間をつぶいて見学を終えた父と再度合流し、ホテルへ戻る。19時30分前にホテルを出て、ミュンヘンを代表するコンサートホール、ガスタイクへ向かう。タクシーに乗ったが、市内は渋滞、しかし何度も車線を変える乱暴な運転手のおかげで、幸か不幸か余裕をもってガスタイクに着いた。マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団、ピアノはダニエル・バレンボイム、前半はベートーヴェンのピアノ協奏曲5番、後半はプロコイエフ交響曲5番というプログラムを聴く。音楽を堪能した一番となった。ホテル近くのビアレストランで遅い夕食を摂り、1日を終えた。
 11月11日、今日のメインはノイシュヴァンシュタイン城訪問である。妻と二人なら鉄道を利用するところだが、今回は両親も一緒なのでバスツアーを申し込んだ。朝8時過ぎに出発、ガイドは重要な情報は英語でゆっくりと繰り返しため、非常に分かりやすく、困ることはない。バイエルンの美しい風景を眺めつつ、南に向かうこと1時間半ほどで、リンダーホフ城に着く。ツアー参加者に日本人が多く、日本語ガイドツアーで場内を見学する。

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 次にOberammergauへ。10年に1回開かれる受難劇で有名なこの町に一度は訪れてみたかった。45分程の滞在時間の間に博物館も見ることができた。

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 Oberammergauから1時間ほどでHohenschwangauの街に着く。バスが着いた目の前にあるHotel Müllerに入り、ドイツのパスタ、シュペッツレで昼食とする。昼食の後、シャトルバスに乗る。行列ができていたが、2本目のバスに乗ることができ、10分程でマリエン橋の近くへ、ちょっと怖かったが、橋からノイシュヴァンシュタイン城を撮影する。

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 ここからホーエンシュヴァンガウ城やノイシュヴァンシュタイン城を眺めつつ15分程歩き、15時からノイシュヴァンシュタイン城のガイドツアーに参加する。足を痛めていたので階段が多くて少し辛かったが、それでもなかなか見応えがあった。

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 帰路は歩いても30分もかからないが、馬車に乗る。2匹の馬も疲れているのだろうか、お互い顔を見合わせつつ、休み休みゆっくりと下山し、Hotel Müllerに戻る。16時30分にバスは出発、一路München市内へ向かい、予定より早い18時15分に中央駅前に着く。昨日の代わりに今日は中華レストランへ。ここは大成功、美味しい広東料理に舌鼓を打った。

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 11月12日、旅行最終日である。朝食を済ませた後、スーツケースをホテルに預け、トラムに乗って美術館巡り。Alte Pinakothek、Neue Pinakothekと巡り、ホテルで荷物を受け取ってS-Bahnで空港へ向かう。結婚パーティーの後、ウィーンからボスニア・ヘルツェゴヴィナ、トルコを巡ってきた弟と空港で合流する。両親と私たちでそれぞれチェックイン手続きを済ませ、空港ターミナル内のビール醸造レストランエアブロイで出発前のビール。日本へ向かうANA便に乗る両親・弟と別れ、妻と私はDüsseldorf行ルフトハンザLH 2022便に搭乗する。羽田へ向かうANAを横目に順調に離陸、しばらく揺れたが、その後は順調に飛行し、20時40分にDüsseldorfに到着し、バスで自宅へ戻った。

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