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S-Bahn Rhein-Ruhr S1系統で走る旧型車両 [ドイツ鉄道 列車]

 S-Bahn Rhein-Ruhrは11路線、全長676kmに及ぶネットワークを誇り、ドイツの人口密集地帯であるノルトライン=ヴェストファーレン州の都市交通の一翼を担っている。この地域でS-Bahnの運転が開始されたのは1967年のことである。当初は141形牽引のn-Wagenによる客車列車が用いられたが、1972年以降は420形に置き換えられた。しかし、駅間距離が長いルール地方では420形の車内設備は不評で、1978年以降S-Bahn用に開発されたx-Wagenによる客車列車に置き換えられた。牽引は当時の新鋭機111形が用いられたが、後に143形に置き換えられた。
 現在、S-Bahn Rhein-Ruhrの主力車両は422形である。422形はBombardier・Alstomにより423形をベースに開発された連接式の4両編成の電車で、最高140km/hの性能を有する。2008年から2010年末にかけて84編成が製作された。422形の導入に伴い、従来のx-Wagenによる客車列車は置き換えられ、わずかに残ったx-Wagenは波動輸送などに細々と使われるのみとなった。

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現在の主力422形

 この422形に2016年末に問題が生じた。2016年9月16日にEssen付近で架線が422形の屋上機器に接触し、火災が発生した。さらに11月18日にも小規模ながら火災が発生した。いずれも負傷者などはなかったが、422形のトンネル区間での運行認可を取り消され、422形は2017年1月より屋上電気配線に対する対策工事が開始された。この措置に伴う影響を受けたのがS1系統とS4系統である。
 S1系統はSolingen – Düsseldorf - Düsseldorf Flughafen – Duisburg – Essen – Bochum – Dortmundを結ぶ主要路線で、平日日中20分間隔、土休日30分間隔で運転されている。このうち、Dortmund市内には地下トンネルを走行する区間があり、422形での運行が出来なくなった。そこで、2016年11月23日よりS1は運転系統がSolingen – BochumとBochum – Dortmndに分割され、後者にはx-Wagenによる客車列車が投入されたのである。牽引には143形とともに111形も投入され、111形にとっては20年ぶりのS-Bahn Rhein-Ruhrへの復帰となった。一方、S4系統はUnna - Dortmund-Süd - Dortmund-Dorstfeld – Dortmund-Somborn -Dortmund-Lütgendortmundのうち、トンネル区間であるDortmund-Somborn -Dortmund-Lütgendortmundはバス代行となった。

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x-Wagen

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111形牽引のx-Wagen編成

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x-Wagen車内

 当初の暫定ダイヤはBochum Hbfホームの容量の問題もあり、Solingen発の列車が到着する直前にDortmund行の列車が発車してしまい、逆方向も同様で、接続が全く考慮されていなかったが、Dortmund発着列車はBochum Hbfを経由してEssen Hbfの2駅手前、Essen-Steele Ostまで延長された。
 Dortmund – Essen-Steele Ost間の列車にはx-Wagenによる客車列車に加え、420形も用いられるようになった。420形は2004年以降、Stuttgartで活躍していた比較的新しい車両がルール地方に再配置され、ラッシュ時に運転されるS68系統に使用されている他、時には422形の改良工事に伴う車両不足を補うため、S1にも投入されることもあった。主力車両である422形に加え、x-Wagenや420形も活躍するBochumはさながらS-Bahn Rhein-Ruhrの動態保存の展示場の趣きであった。

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420形

 8月18日夕方、Bochum Hbfに足を向けると、143形牽引のx-Wagenが姿を現した。X-WagenはEssenで過ごした幼い頃に乗った懐かしい車両である。車内は極めてシンプルだが、100km/h以上のスピードでも乗り心地は良好である。機関車に引っ張られる感覚が何とも心地よく、Dortmundまでの20分あまりの旅を楽しんだ。この日は他に420形も2編成が運用に入っていた。

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x-Wagen

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143形

 しかし、422形の改良工事が進み、8月21日からS4系統が、さらに8月28日からはS1系統が通常運行に戻ることが発表された。420形もx-Wagenもすぐに引退するわけではなく、S68系統に加え、波動輸送用に残るようであるが、一世代前のS-Bahn車両が活躍する機会が減少するのは、やや寂しくも思う。
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