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DrachenfelsbahnとBonnを巡る [ドイツ鉄道旅行 2017]

 暇があると列車で出かけたくなるのは私の性分だが、近場でも案外行ったことのない場所は案外多い。その一つ、西ドイツ時代の首都Bonn近辺を巡った。
 8月5日土曜日、8時20分に家を出て、雨の中、バスでDüsseldorf Hbfへ。出発前にAndernachへ向かうツアー列車、E10 1309牽引のAKE-Rheingoldを撮る。ドームカーや食堂車を連ねた編成は存在感十分、何度見ても美しい。

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 朝食にサンドイッチを買った後、16番線ホームへ行くと、まもなく101 113に牽引されてMünster Hbf発Innsbruck Hbf行IC 119が入線して来る。IC 119はÖBB客車で組成されている。Düsseldorfに来るÖBB客車を用いた定期列車はIC 118/119とNightJetだけである。2等車の車内にはボックスタイプのシートが並んでおり、妻と共にボックスの一つを占める。Wienで6年間の学生生活を送った妻はÖBBの客室内のデザインに懐かしさを感じるようで、車内を眺めて喜んでいる。私はというと、圧倒的にDBのデザインに親しみを感じるのだが。

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 5分遅れの8時57分に発車したIC 119は、15分遅れで並行するS-Bahn用の線路を走るREを抜き、Düsseldorf郊外からLangenfeld、Leverkusenと快調に走る。減速するとKӧln近郊である。交通の要衝だけに多くの路線と複雑に交流を繰り返し、ゆっくりとライン川を渡るとKӧln Hbfである。ここで乗客が増え、7割方の座席が埋まった。Kӧln Hbfを出発すると長距離列車が並ぶヤードを回り込み、南下して行く。Brühlを通過し、Bonn Hbfには9分遅れの9時45分に到着する。

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 少々遅れたため、元々予定していたトラムには間に合わず、時間ができた。幸いにも雨はあがったので、街中を散歩することにする。中央駅から10分も歩くとMünsterplatzに出る。Bonnで生まれたベートーヴェンの像の上には鳩が一羽。居心地が良いのか、しばらく動かず、気難しい表情のベートーヴェンとは奇妙なコントラストである。

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 中央駅に戻り、62系統のトラムに乗る。ライン川を渡った右岸にあるBonn-Beuelまでは10分程、10時33分発のKoblenz Hbf行RB 12563にギリギリで間に合う。ライン川右岸線のローカル列車は4両編成の425形、車内はガラガラである。木々の間からライン川を眺めるうちに、10時42分Kӧnigswinterに到着する。

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 駅から10分程歩くと、登山鉄道Drachenfelsbahnドラッヘンフェルス鉄道のKӧnigswinter駅に着く。観光客が集まっていて、なかなかの賑わいである。ここで10ユーロの往復チケットを購入する。夏季は基本的に30分間隔で列車が運転されているが、今日は臨時便も出して15分間隔で運転されているようだ。駅構内には、鉄道模型のレイアウトも展示されている。

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 下山してきた2両編成の電車が到着すると、改札が開始される。団体客もあり、2両編成の電車の座席はあっという間に埋まる。列車は11時ちょうどに発車、すぐに急勾配を上っていく。Drachenfelsbahnは1883年に開業したドイツ最古の登山鉄道で、標高289mのDrachenfels山頂までの1520mの路線である。リンゲンバッハ式ラックレールが採用されており、最急勾配は200‰である。開業当初は蒸気機関車で運行されていたが、1953年に750V直流で電化され、現在は1955年~78年にかけて導入されたET 2~ET 6の5両の電車が単行もしくは2両編成で運行されている。緑色の電車は5両全てが共通デザインで、愛嬌があって好ましいスタイル。途中駅のSchloss Drachenburg (ドラッヘンフェルス城)を経て、山頂のDrachenfelsまでは7、8分で到着する。

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 ここは展望台になっており、ライン川に沿った雄大な光景を眺めることができる。生憎の曇りだが、それでも十分に美しい。カフェも併設されており、ゆっくり寛ぐこともできるし、ドラッヘンフェルス城を見学する観光客も多い様子である。

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 再びDrachenfelsbahnで下山するため駅に行くと、単行の列車が発車を待っていた、どうやら臨時便のようで、乗客は我々の他は二人だけ。運転席のすぐ後ろに腰掛けるが、何と大きなスズメバチが運転席付近を飛んでいる。

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 運転士が乗り、すぐに発車させると、ハチの存在に気がついたようで、「僕も彼と一緒には乗りたくないよ」などと話しながら、ハチ近づいてくるとフーと息を吐いたりして、恐々と下山していく。Schloss Drachenburgで二人の乗客が降り、乗客は我々だけになった。ハチは相変わらず運転席機周辺を飛び回り、前面展望を落ち着いて楽しむどころではなく、別な意味でスリル満点であったが、幸いにも無事にKӧnigswinterに戻ることができた。

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 Kӧnigswinterの街はちょっとした保養地の佇まい、ゆっくりと街を散歩し、ライン川沿いに出る。

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 ここにBonnからのU-Bahn 66系統Königswinter, Clemens-August-Str.停留所がある。休日は30分間隔の運行である。12時16分の列車に乗る。ライン川を渡ってBonn市内中心部で地下に潜り、Bonn Hbfを経て、Stadthausに30分程で着く。

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 ここから歩いて5分程のところにAlter Friedhof墓地がある。お墓巡りが好きで学生時代「お墓ちゃん」と呼ばれたという妻のリクエストがあり、まずはロベルト・シューマンとクララ・シューマン夫妻のお墓へ。Düsseldorfにも所縁の深いシューマンには妻も私も思い入れが強い。そんな二人のお墓は小さいながらも、美しく整備されていた。この墓地には、他にもフリードリッヒ・シラーの妻シャルロッテやベートーヴェンの母も葬られている。

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 墓地を後に町の中心街を目指して歩き、Brauhaus Bönnschで昼食とする。ビールといえば。Düsseldorfならアルト、Kӧlnはケルシュ、そしてBonn名物のビールはこのベンシュということになるらしい。少し酸味があるが、ケルシュに近く飲みやすいビールである。ただし、Düsseldorf市民としてはアルトビールの方が好みか。ボリュームたっぷりのフラムクーヘン昼食を済ませ満足。

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 気温は20度に達しない程度、日陰では肌寒いくらいである。Münsterplatzからショッピング街を抜けてMarktへ。近くの鉄道模型店にも立ち寄りながら、街歩きを楽しむ。Bonnはこじんまりとしているが、雑然としているDüsseldorfやKӧlnに比べると随分と落ち着いた雰囲気で好ましい。Bonnから通う同僚に勧められたカフェ”VarieTee”に入り、アイスティーで一休み。ドイツでアイスティーを飲む機会は案外少ない。

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 15時を過ぎ、ベートーヴェンの生家、Beethoven-Hausへ。Bonn一番の観光名所ということもあり、観光客がひっきりなしで蒸し暑く落ち着かない雰囲気であったが、ベートーヴェンの遺書など心に迫る展示も多い。デジタルアーカイブでいくつかの曲を聴いているうちに17時半を過ぎる。

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 私の知人で留学中の法律家、さらに妻の留学仲間で今はボンで働く音楽家と合流し、4人でMarktに面したレストランで中華料理を楽しむ。”VarieTee”に移ってワインを1杯。もう21時を過ぎて、そろそろBonnの街も暗くなってくる。

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 Bonn中央駅に戻り、21時46分発のMünchen Hbf発ICE 1522に乗車する。ICE-Tによる運転で、7割程度の乗車率である。終点Kӧln Hbfまでは20分程、3分遅れの22時09分に4番線ホームに到着する。

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 ホーム向かい側の5番線にはMünchen Hbf発Münster Hbf行ICE 512が既に発車を待っていた。こちらはICE 3による運行である、こちらも7割方の席が埋まり、慌ただしく発車する。DBも時間通り走りさえすれば、このような拠点駅での接続がスムーズで便利なのである。外はもう真っ暗、その中をICEは200km/hで快調に走る。Kӧlnの発車が少し遅れた影響か、Düsseldorf Hbfには4分遅れの22時30分に到着した。

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 いつもの如く、ICE 3の発車を見送って、今日の旅を終えた。ちなみに妻曰く、ICE 3の発車音は「シのフラット→1オクターブと5度上のファ」で構成されているらしい。ピアノで聞くと確かにそのようにも聞こえるが、私には真偽の確かめようがない。


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