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1日乗車券でドイツ周遊 (1) [ドイツ鉄道旅行 2017]

 私はドイツ鉄道のBahnCard 50を所有している。このカードを使うとドイツ鉄道のチケットを、正規料金Flexpreisなら50%引、早期割引料金Sparpreisなら25%引で購入できる。BahnCardにはポイントシステムがあり、支払った代金に応じてポイントが加算される仕組みであるが、このポイントがかなり貯まったので、DB Tageskarteと呼ばれる1日乗車券と交換した。この1日乗車券はICEなどの優等列車を含めたDBの列車の2等車と市内交通を当日から翌10時まで自由に利用できる。7月29日、早速日帰り旅行に出かけた。
 朝5時半に起床し、バスでDüsseldorf Hbfへ。まずはFrankfurt (M)空港駅へ向かう。当初は6時21分発ICE 525に乗るつもりであったが気が変わり、6時27分発Stuttgart Hbf行IC 2319に乗車する。101 068に牽引されて入線した列車はまだ朝が早いためか空いており、テーブル付の席にゆっくりと座る。

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 定刻に発車した列車は加速しながらDüsseldorf郊外を離れていく。ここで、通路を挟んで反対に座った男性に携帯の充電器をしばらく貸してくれないか、と頼まれる。ついでに、実家に帰ることができないとお金をせびってきたが、それは断る。それでも、スペインから来た学生でアーヘンで勉強しているなどと話しているうちに、列車は順調にLangenfeldやLeverkusenを通過し、もうKӧln近郊を走っている。ライン川をゆっくりと渡り、定刻の6時50分にKӧln Hbfの7番線に到着する。(IC 2319, Düsseldorf Hbf→Kӧln Hbf: 41km)
 ホームの向かいの6番線では既にBasel SBB行ICE 101が発車を待っている。ICE 3を2編成連結した16両編成 (Tz 317 “Recklinghausen” + Tz 312 “Montabauer”)である。ICE 101も空席が目立つ。先頭の21号車のラウンジ席に座る。運転室との仕切りガラスはスモーク状態であるが、外が明るければ前面展望は十分楽しめるのである。

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 6時54分に発車した列車はライン川を渡ってKӧln Messe/Deutz駅を通過し、南東へと針路を向けて加速していく。S-Bahnや貨物列車を追い抜きながら、最高200km/hでSiegburg/Bonnへ。ここで隣に年輩の女性が座る。Siegburg/Bonnを出発すると高速新線SFS Kӧln Rhein/Mainに入り、一気に加速していく。丘陵地を超える関係で、高速新線といっても勾配とカーブが連続し、スピード感は格別である。Montabauerの手前で工事区間があり一時120km/hの徐行を強いられたもの、それ以外は最高300km/hで駆け抜ける。安定感のある乗り心地を楽しんでいるうちに、列車はLimburg Südを通過し、ライン川左岸線との分岐点を超えるとまもなく減速、マイン川を渡ってフランクフルト空港の滑走路脇を走り、7時49分にFrankfurt (M) Flughafen Fernbf.の5番線に到着する。(ICE 101, Kӧln Hbf→Frankfurt (M) Flughafen Fernbf.: 169km)

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 ICE 101の発車を見送ると、すでに7番線にはLeipzig行ICE 1545が発車を待っていた。こちらはICE-T (Tz 1155編成”Mühlhausen/Thüringen”)による運行である。

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 ICE 1545も空いており、ラウンジの空席に座る。定刻の8時11分に発車した列車はFrankfurt市内を東に向けてゆっくりと走り、9分でFranksurt (M) Südに着く。私はここで下車する。(ICE 1545, Frankfurt (M) Flughafen Fernbf.→Franksurt (M) Süd: 11km)

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 Frankfurt (M) SüdはS-Bahnが頻発しており、Hbfから10分で到達できる。Frankfurt (M) Hbfは折り返し駅であり、駅の容量にも限界があるため、遅延防止の目的で一部のICEなどの長距離列車はHbfを経由せず、このSüd駅を経由しているのである。しばらく列車を撮影しながら時間をつぶす。

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 ここからBasel SBB発Kiel Hbf行ICE 972に乗車する。こちらはICE 1 (Tz 162編成 ”Geisenheim/Rheingau”)による運行である。この列車は非常に混雑しており、2等は満席で立客も出る程であった。予約してあった5号車のコンパートメントは家族用区画で、同室者は赤ん坊を連れた若い夫婦と、5歳くらいの子供とその父親、当然とても賑やかである。男の一人体で座るのは場違いな気もするが、この混雑では他に席を探しようもなく、そのまま腰を下ろす。列車は4分遅れの9時05分に発車する。

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 車窓風景を眺めつつ、ドイツ語の勉強をする。仕事や勉強には、しっかりとしたテーブルがある座席は便利である。Haunau Hbfを通過すると、列車は在来線区間を北東へ向かう。Frankfurt近郊区間は終わり、車窓ものどかである。Fuldaを通過すると高速新線SFS Hannover – Würzburgに合流し、最高250km/hで走る。とはいえ動力集中式ということもあり、車内は静かで乗り心地も上々である。この高速新線はSFS Kӧln Rhein/Mainに比べて一世代古く、貨物列車も通過できるよう勾配が抑えられている。そのため橋梁区間が多く、高い場所からドイツの田舎の風景を眺められる。Kassel-Wilhelmshӧhe・Gӧttingenと停車する度に乗降があるが、それでも車内は相変わらずの混雑、コンパートメント内に唯一残っていた1席にも若い男性が座った。

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 Hannover Hbfが近づいたところで席を立ち、食堂車BordRestaurantへ。屋根が高く特徴的なICE 1のBordRestaurantは非常に魅力的な空間であるが、老朽化が進んでいることから、ICE 1を再改装し短編成化してBordBistroを設ける代わりに食堂車を廃車にする計画もあると聞く。そうなると、今のうちにできるだけ使っておきたいと思うのである。目論見通り、Hannoverでかなりの乗降があり、食堂車に無事に空席を見つけることが出来た。とはいえ、まだ昼食には早い時間にも関わらず、すぐに大半の座席が埋まり、なかなかの利用率である。
 Hannover Hbfでは反対側に12月の本格デビューを控えるICE 4が停車していた。ICE 972は11時20分にHannoverを出発し、最高200km/hの在来線区間をHamburgへと向かう。休日ということで、まずは生ビールを一杯。Rindfleisch-Gemüse-Eintopf (牛肉と野菜のシチュー)とサイドサラダで昼食とする。シチューにはパンが付き、ボリュームは十分。ゆっくりと車内での食事を楽しみ、最後にコーヒーをもらう頃には、列車はもうHamburg近郊であった。

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 到着を案内する車内放送が入ると、信号故障によりコペンハーゲン行EC 35が運休・・・・と聞こえて愕然とする。まさに、その列車に乗り、Vogelfluglinie 渡り鳥ラインと呼ばれるルートで列車の航送を体験するのが今回の目的だったのである。やや早いドイツ語であったので聞き間違いかもしれないと思いドイツ鉄道のサイトを確認するが、やはりデンマークでの信号故障でコペンハーゲン方面は運休と伝えており、万事休す。ICE 972はHamburg Hbfには定刻の12時35分に着く。(ICE 972, Frankfurt (M) Süd→Hamburg Hbf: 412km)

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 ここで友人と合流する。昔仕事を共にした友人で1週間前からハンブルクに単身赴任してきたばかりだが、生活必需品の買い物が難しくて困っているとのことで、一緒に旅を楽しみ、ついでにスーパーで買い物をしようということになっているのである。友人は航空マニアであるが、鉄道も好きだし、日本語で会話したいこともあって、同行することになったのである。
 まずはEC 35の運休が問題である。DBの窓口に行き事情を話すと、ここでは返金できないとのことで、封筒を渡され必要事項を記載して送るように言われる。これは後日行うこととする。友人は昼食がまだとのことで、フードコート内の魚料理店で友人の昼食に付き合い、スーパーで買い物をしつつ、これからの行動予定を考える。ハンブルク市内を散策するのも悪くはないが、今月初めに来たばかりだし、せっかくの1日乗車券なので、できるだけ列車に乗りたいところである。
 いろいろと検討した結果、まずはIC 2028に乗車してKiel Hbfへ向かうことにする。その前に停車していた218形を撮影する。Düsseldorfでは滅多に見かけない218形だが、非電化区間の多いドイツ北部ではまだ健在である。

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 IC 2028は制御客車を先頭に入線してきた列車はかなり混雑していたが、大半の乗客がHamburg Hbfで下車し、Kielへ向かう車内は空いていた。テーブル付きの座席にゆっくりと座る。下車に時間がかかったこともあり、列車は10分程遅れの14時26分に発車。直後に雨が降り出したが郊外に出ると雨は上がった。ドイツ北部らしい平坦な地形の中を北上し、Neumünsterを経て、終点Kiel Hbfには10分遅れの15時31分に着く。到着直前に再び雨が降り出したが、ホームの屋根は駅舎ホールに近い部分にしかかかっておらず、下車すると走ってホール内に入って一息。(IC 2028, Hamburg Hbf→Kiel Hbf: 110km)

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 Kiel駅の様子をちょっと見た後、6b番線へ行き、Husum行RE 21222に乗車する。REといっても648形気動車の2両編成で運転されるローカル列車である。

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 16時03分に発車した列車は、途中Feldeのみに停車し、Rendsburgへ向かう。ローカル線とはいえ、列車は軽快なディーゼル音を響かせながら120km/hを出しており、なかなかの俊足ぶりである。ロングレールが敷かれ軌道状態も良好で、乗り心地は良い。Neumünsterからの路線と合流し上り勾配に入ると、まもなくRendsburger Hochbrückeが見えてくる。この鉄道橋はご何時の技術遺産としても有名で、Nord-Ostsee-Kanal(北海バルト海運河)を超えることから、高さは42mに達する。運河を超えると、街を回り込むようにループしながら高度を落としていき、16時34分にRendsburgに到着する。(RE 21222, Kiel Hbf→Rendsburg Hbf: 40km)

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 Rendsburgからは16時43分発IC 1185に乗車する。デンマークのAarhus始発のIC 1185はDSB所属のIC3の3両編成により運行されている。座席予約が出来なかったことから予想はしていたが、列車はやはり混雑していた。それでも、何とか空席を見つけることができ一息。列車は再びRendburger Hochbückeを超え、南下して行く。

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 IC3の座席はボックスタイプで配置されている。2等席でも1等席と思える程大きく、ゆったりとしている。車内デザインも落ち着いた雰囲気で、好ましい。車内放送時のチャイムや車掌室などは、日本のJR在来線特急に近い雰囲気で、懐かしい気もした。列車は揺れもなく、順調に走る。座り心地の良さに、友人はうたた寝している。Neumünsterを通過すると、先程北上した路線を逆に辿ることになる。多くのICEが留置されているHamburg-Eidelstadtを横目に列車は減速し、S-Bahnと並行してゆっくりと走り、定刻より3分早い17時54分にHamburg Dammtorに着く。ただし下車する乗客は僅かである。Dammtorを発車すると列車は何度か一時停止を繰り返し、定刻の18時03分にHamburg Hbfに到着する。(IC 1185, Rendsburg Hbf→Hamburg Hbf: 118km)

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 友人がここで夕食を済ませたいとのことで、再びフードコートへ。Currywurstというのは美味しいものですねえ、と喜ぶ友人。私は普通のソーセージとビールを一杯。あとはDüsseldorfへ戻るだけである。
 友人と別れ、14番線ホームに行くと多くの乗客が待っていたが、101形に牽引されて入線してきたKiel発Koblenz行IC 2307に乗り込み、何とか空席を見つけることができた。列車は定刻の18時46分に発車。巨大な港を遠くに見ながらエルベ川を渡る。Hamburg-Harburgにも停車し、さらに乗客が増え、見える範囲では満席となった。

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 IC客車の基本設計は1960年代に遡り、各種設備は古さを隠せない部分も少なくないが、200km/hで走っても乗り心地は良好である。客車列車ならではの旅情が楽しめるのも良い。定刻の19時41分にBremen Hbfに到着すると、下車する乗客が非常に多く、車内はかなり余裕が出来た。

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 Bremenを出発すると、一部区間で工事に伴う徐行があったものの、概ね順調に南西へと向かう。20時を過ぎ、車窓には美しい夕景が広がる。立派な給水塔が残るOsnabrückを経て、Nordrhein-Westfalen州に入り、Münster Hbfには21時に着く。駅に着く度に降車客が多く、車内はかなり空いてきている。

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 Münsterを発車したところで、喉が渇いたので、BordBistroへ行く。IC 2307は11両編成、後ろから2両目に乗っていたため7両先のBistroに行くのは難儀であったが、それでも白ワインを調達し、自席に戻る。列車はまもなくDortmund Hbfに到着する、ここまで来ると、もう帰ってきたような気分になる。Essen Hbf・Duisburg Hbfと主要駅にこまめに停車し、定刻より3分遅れの22時28分にDüsseldorf Hbfに到着する。(IC 2307, Hamburg Hbf→Düsseldorf Hbf: 425km)

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 ドイツの北側半分を一周した日帰り旅行、乗車距離は1326km、約11時間半にわたって列車に乗り続けたが、思った以上に疲労感はなく楽しかった。とはいえ、今回は本来の目的を果たせなかったのは残念、近々再度挑戦することにしよう。

ICEでBerlin・Hamburgへ [ドイツ鉄道旅行 2017]

 6月28日朝、妻とDüsseldorf Hbfの18番線ホームへ上がると、ちょうどKӧln Hbf発のICE 545が入線してきた。ドイツで最も人口の多いNordrhein Westfalen州とBerlinの間には1時間に1本のICEが運転されており、基本的にICE 2により運行されているが、1往復のみはICE 3が用いられており、ICE 545がそれにあたる。Berlin方面に向かう時には私は好んで選択する列車である。予約していた26号車の座席はICE 3のうち国内用403形の1次車で未更新車であればコンパートメントであるが、本日は2次車Tz 356編成が充当されており、一般的なオープン客室であった。定刻の8時52分に発車した列車はDüsseldorf Flughafen・Duiburg Hbf・Essen Hbf・Bochum Hbf・Dortmund Hbfとルール地方の主要駅に概ね10分おきに停車しながら、乗客を増やしていき、2等席は大半の座席が埋まった。車窓には住宅地や工場などが連なるが、Dortmundを過ぎると風景はのどかになってくる。

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 Hammの手前で一旦停止した後、ゆっくりと駅に進入し、ガツンという衝撃と共に停車する。ここでKӧln HbfからWuppertal・Hagenを経由してきたICE 555の後方に連結されたのである。連結作業は完全に自動化されている。

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 2編成併結の16編成になった列車はHammを5分遅れの10時16分に発車する。Bielefeld Hbfを出るとかなり激しい雨となったが、列車は概ね200km/hを維持して快調に走行し、Hannover Hbfに到着したのは定刻の11時28分であった。

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 ここですぐ隣の25号車、食堂車BordBistroへ足を向ける。ICE 3の未更新車はレストラン部分の座席が少ないが、昼食にはやや早い時間帯ということもあり、無事に席を確保することができた。妻も私もKönigsberger Klopseを選ぶ。肉団子をケッパーソースで食べる料理で、バターライスが添えられ、優しい味わいである。ケッパーの酸味が効いて、なかなか美味しい。ビールは1杯だけ、あとはコーヒーで我慢。ボリューム十分で、良い昼食となった。

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 大半のICEが停車するWolfsburg HbfもICE 545は通過し、列車は最高250km/hの高速新線区間に入る。いつの間にか、雨も上がった。Elstal駅横のヤードには、紫色に塗装された元ÖBBの4010形が留置されていた。客車化された上でHamburg-Kӧln-Expressに使用されるとのことで改装工事まで受けたが、結局使用は断念され、雨ざらしになっているのは残念である。

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 自席に戻って寛ぐうちに、列車は13時04分にBerlin-Spandauに着く。ICE 545は本来であれば、ここからBerlin Hbfの地下ホームを経て終着Berlin-Gesundbrunnenへ向かうのが、工事の関係で今日はBerlin市内を東西に貫く高架線を走り、Berlin Hbfの高架ホームを経て、終点Berlin Ostbahnhofに向かう。S-Bahnと並走しながら高架線をゆっくり走り、定刻の13時22分にBerlin Hbfに到着した。

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 Berlin Hbfで下車し、甥っ子達のためにベルリン土産の定番、アンペルマンのTシャツをまとめて購入した後、S-BahnでBerlin Zoologischer Gartenへ向かう。かつての西ベルリンのターミナル駅も現在は長距離列車は停車しないが、REやS-Bahnが頻発しているのは救いか。駅前から2階建てバスで運行される100系統に乗り、本日の宿であるHotel Berlinにチェックインする。この日はバスに分乗してベルリン技術大学で開催された集会に出席、レセプションにも参加し、1日を終えた。

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 6月29日は9時過ぎにバスでホテルを出発し、大統領官邸であるSchloss Bellevueベルビュー宮殿へ。美しく整備された庭園で、80か国以上から数百人が参加して開催されるシュタインマイヤー連邦大統領主催のレセプションに参加する。美しく整備された広大な庭園で飲み物を手に、参加者とコミュニケーションを取るのは楽しい経験である。10時半から始まったレセプションが終わりかけた11時半頃、大粒の雨が降り出した。

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 今回の集会のプログラムはまだ続くのだが、妻と私はここで離脱し、宮殿を出てタクシーをつかまえる。この頃には土砂降りとなり、妻を今夜の宿であるHotel Sylter Hofに降ろして、私はTegel空港へ向かう。タクシーの運転手も、こんな雨は滅多にないという程の豪雨の中、20分程で空港へ着く。妻によると、あまりの激しい雨でホテルのトイレが逆流して、地上階が水浸しになったとか。後日見たニュースでもU-Bahnのホームにも浸水して大変だったとのことであった。
 空港ですぐに搭乗手続きを済ませるが、Düsseldorf行Eurowings、EW9047便の姿はない。悪天候で空港が閉鎖されており、飛行機は上空で1時間半待機した後に到着、12時50分発の予定が14時25分発に変更された。ようやく飛行機に搭乗したものの、今度は荷物を預けた乗客が一人現れず、その預入れ荷物を下ろす必要があるとのことでさらに遅延、結局離陸したのは14時50分であった。

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 EurowingsはLufthansaの子会社でLCCに分類され、Frankfurt・München発着便を除くドイツ国内とヨーロッパ域内便を担っている。ただし、EW9047便の運航はドイツ第2の航空会社Air Berlinである。Air Berlinは激しい競争にさらされて経営難が続いており、Air Berlin所属の30機あまりがEurowingsやオーストリア航空などLufthansaグループの便として運航することになったのである。
 EurowingsはBasic・Smart・Bestの3段階の運賃を提供しているが、私はその中間のSmartで予約しており、サンドイッチとお菓子、ミネラルウォーターが付く。座席指定もできて95 EURと、ICEの2等通常料金と同程度であった (ただし、私はBahnCard 50を所有しており、ICEの通常運転から半額でチケットを購入できる)。Smartを選択したのは、Basicでも料金差が少なかったからだが、便と購入するタイミングによってもっと安い運賃で提供されている。Tegel空港、Düsseldorf空港とも市内から比較的近く、便数も多いことから、両都市のアクセスは航空機の方が優位かもしれない。
 離陸してもずっと雲の中を飛び外は真っ白であったが、到着が近づいたところで、ようやく眼下の景色が見えてきた。ヨーロッパで有数の人口を誇る地域とはいえ、空から見るとやはり緑が多い。15時40分にDüsseldorf空港に着陸したが、急いでいる時に限って飛行機は沖止め。

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 タクシーに飛び乗ることができたのは15時55分、職場に着いたのは16時15分であった。お世話になってきた先輩が15時半から私の職場で講演しており、それを聴くために戻ってきたのだが、結局間に合わなかった。それでも先輩とDüsseldorf Hbf駅構内のレストランでいろいろと情報交換をすることができたのは幸いであった。
 先輩と別れ、今度は17時52分発Berlin Ostbahnhof行ICE 945に乗車する。この列車はICE 2による運行である。夕方の列車ということもあってか乗客は多かったが、幸いにも2等のテーブル付の座席を確保できた。私はノートPCを広げてしばらく仕事、こういう時にはテーブル付きの座席は良い。動力集中式だけのこともあり、乗り心地は客車列車に近く静かである。

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 Düsseldorf Flughafen・Duisburg Hbf・Essen Hbf・Bochum Hbf・Dortmund Hbfと停車する度に混雑が増してくる。HammでKӧln HbfからWuppertalを経由してきたICE 955と連結し、Bielefeldを経て、Hannover Hbfには20時28分に着く。
 ここで食堂車に移動する。夕食時であるが、ICE 2のレストラン部分は未更新のICE 3に比べて座席数が多く、幸いにも二人用テーブルに座ることが出来た。まずは生ビールで喉を潤し、グーラッシュ・スペッツェレ添えとサラダを、白ワイン・赤ワインと共に楽しむ。列車はVolkswagenの企業城下町Wolfsburg Hbfに止まり、ここから高速新線に入る。大半のICEはこのままBerlin市内に直行するが、この列車は高速新線を離れてStendahlにも停車する。

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 降車するまで食堂車で過ごすことにして、締めのビールを注文する。食堂車内は全てのテーブルが埋まり、お酒を手にゆっくりと過ごす乗客で賑わっている。再び高速新線に入った列車は降り出した雨の中をラストスパート、Berlinの西の玄関口、Berlin-Spandauには定刻より2分早く、22時25分に着いた。

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 ここから、Berlin Zoologischer Gartenへ向かう。先行しているはずのREが15分遅れてICEを追いかけるようにきたので、このREに飛び乗る。しかし、これが失敗。Zoo駅経由でHbfに向かうと思ったら、ルートが異なっており、Berlin Jungfernheideを経て、Berlin Hbfの地下ホームに到着してしまった。これならICEにそのまま乗っていた方が良かった。仕方がないのでS-BahnでBerlin Zoologischer Gartenへ戻る。日中よりは勢いが収まったとはいえ、相変わらず雨が降り続いている。100系統のバスで本日のHotel Sylter Hof Berlinへ着いた時には23時20分になろうとしていた。

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 ホテルは安い部屋を予約していたのだが、スウィートにアップグレードされており、台所に応接間、それぞれ独立したトイレとバスまである、見たこともないような豪華な部屋であった。寝る前にもう一本だけビールを飲んで床に就いた。

 6月30日ホテルで朝食を済ませる。今日も雨が降り続いており、タクシーでBerlin Hbfへ向かう。15分程で着き、追加で頼まれたアンペルマンのTシャツを購入した後、地下ホームへ向かう。

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 元々は9時42分発のICE 906を予約していたが、昨夜が遅くなったのと、ホテルが非常に快適だったので、10時39分発のICE 1616に変更してある。ICE 1616はSaalfeldからLeipzigを経由してきた列車で、ICE-Tにより運転されている。8番線ホームに降りると、既にICE 1616は発車を待っていた。車内はほぼ満席、私達の予約した2等のテーブル付き席には先客が座っていたが、声をかけて移動してもらう。座席予約をしておいて正解であった。
 地上を出てS-Bahnと並行しながらBerlin-Spandauへ、ここでも一定の乗車がある。Berlin-Spandaukからは北西へほぼ直線区間が続く。最高230km/hの改良新線区間だが、列車は概ね200km/h程度を維持している。地形は平坦で、森林と田園だけの単調な車窓風景が続くが、ところどころが水浸しになっていて大雨の影響が感じられる。少しスピードを落とすと車両工場のあるWittenbergeを通過、再び200km/hに加速して北西へと向かう。Aumühleを過ぎるとS-Bahnと並行し、Hamburg近郊となる。住宅地や工場などが車窓に連なる中を走り、定刻の12時21分にHamburg Hbfに到着する。

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 終点のHamburg-Altonaを目指すICE 1616を見送り、妻が駅構内で買い物をしている間に、私は発着する列車を少し撮影する。

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 S-Bahnに乗り、Hamburg-Altonaへ向かう。ICEなどとは異なり、市の中心部を貫く地下線を走って10分程で到着する。まずは駅に隣接するInterCity Hotelにチェックインし、構内のアジア料理店で昼食を済ませてから、S-BahnとU-Bahn U3を乗り着いてBaumwallへ。雨の中5分程歩いて、Miniatur Wunderlandへ着いた時には15時前になっていた。これで3回目の訪問だが、これまでと違って入口に行列はなく、スムーズにチケットを買うことが出来た。この雨で来場者も少ないのかと思ったが、その予想は裏切られ、中は大変な混雑であった。
 まずは順路に沿って見てまわる。ハンブルクのレイアウトは翌週開催されるG20に合わせて、来場者のコメントをレイアウトの各所に置く企画が行われていて少し残念であったが、それでもハンブルクの新名所エルプフィルハーモニーのギミックなどを楽しんだ。

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 昨年9月に完成したイタリアのレイアウトが火山の噴火や地中海の光景など見どころが多いが、個人的には昨年末に行ったばかりのローマのレイアウトに魅了された。特にサンピエトロ大聖堂、コロッセオやフェロ・ロマーナなどの精密さは目を奪われるばかり。

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 今も一番人気は空港である。離発着する航空機を眺めるのは楽しい。一時トラブルで運行が止まったが、程なく復旧した。

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 併設されているレストランも以前よりメニューが充実している、ICE 2の中古の座席が利用されているのも楽しく、ここでビールを一杯。最後に将来のレイアウト制作の参考にすべく、ドイツのレイアウトをじっくり眺めた。

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 外に出ると、もう18時を過ぎていた。Rӧdingsmarktまで10分程歩き、U3で一駅のRathausへ。この駅はその名の通り、市庁舎の間近にある。

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 近くのショッピングセンターを見て回った後、適当に夕食を摂ろうと思ったが、適当な店がなく、Jungfernsieg駅からS-Bahnに乗って聖ミヒャエル教会の近くの店を目指す。しかし目当ての店は予約で一杯。結局Rӧdingsmarktに近い“Deichgraf“というレストランに入り、ビールと共に、白身魚と鮭の料理で港町気分を味わった。U-BahnとS-Bahnを乗り継いで、Altona駅へ戻り、ホテルの部屋で寝酒にワインを飲んで1日を終えた。

 7月1日、朝5時頃から目が覚めた。窓を閉めていたが、それでも駅構内で列車が発着する音が響いてくる。部屋でゆっくりしていたが、8時過ぎにカメラを持ってプラットホームへ行く。

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 8時半過ぎにTaurusに牽引されてLӧrrachからのAutoreisezugが到着し、入れ替え作業が行われるのを眺めた後、ホテルで朝食を摂る。朝食を終える頃には、バイクや自動車を下す作業が進められていた。

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 9時30分にホテルをチェックアウトする。まず12番線ホームに足を向けると、程なくしてMünchen行ICE 787が入線してきた。この列車ではICE 4の試験的な営業運転が行われている。本日充当されているTz 9006編成は宗教改革500周年を記念して“Martin Luther“の愛称が付けられており、ルターの肖像が描かれているのが面白い。

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 ICE 4の撮影を終えた後は、Hamburg観光を続ける。Miniatur Wunderlandの隣“Hamburg Dungeon“は街の歴史をテーマにした恐怖体験アトラクションで、行列ができていた。試しに入ってみたが、90分と所要時間が長く、なかなかのスリルであった。
 そのまま徒歩でハンブルクの新名所Elbphilharmonieへ。ここはコンサートホールを中心に、ホテルなども入る複合ビルで、帆船のイメージでデザインされている。工事が何年も遅れ、コストも増大して、散々批判されたが、完成した今は大人気で、多くの人が訪れていた。生憎の雨とはいえ、展望台から港町の光景をゆっくり眺める。本当はコンサートも聴きたいところだが、当面のコンサートは全て売り切れとのことであった。

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 Elbphilharmoieを後にして、BauwallからU3に乗車してRathausへ行く。

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 昨日立ち寄ったショッピングセンター内のアジア料理店に入り、昼食に「鰻せいろ」を試す。見た目も味も日本のものとは似ても似つかないが、これはこれでこういう料理だと思って食べると、なかなか悪くない。

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 まだ時間があったので、バスに乗り、聖ミヒャエル教会に程近いブラームス博物館に立ち寄る。小さな博物館で他に来場者もいないが、親切な係員が迎えてくれた。ブラームスに関する資料が充実しており、ブラームスがレッスンに使ったというピアノも置いてあって、妻はそのピアノでブラームスの曲を弾いて感激していた。

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 Altona駅へ戻り、ホテルに寄って預けていたスーツケースを受け取って帰路につく。Düsseldorfへは直通のIC、あるいはHannover乗り換えのICE利用が主なルートである。最初はICを利用するつもりだったが、Wifiが使えるICEの方が良いという妻の希望もあり、Hannover経由で帰ることにした。
12番線ホームから発車するStuttgart Hbf行ICE 831に乗車する。車両はICE 1 (Tz 159編成“Bad Oldesloe“)である。予約していた2等コンパートメントに座る。

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 定刻の15時24分に発車、この時点では列車は空いていたがHamburg-Dammtorである程度の乗車があり、さらにアルスター湖を横目にHamburg Hbfに着くと、一気に乗客が増えて、我々のコンパートメントも6席のうち5席が埋まった。

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 Hamburg Hbfを出発すると列車はノンストップでHannover Hbfへ向かう。乗り心地は上々である。コンパートメントがヨーロッパ全体で減少する中、2等車でもこのような立派なコンパートメントの旅が楽しめるのはICE 1の良さである。Hannover Hbfには定刻通り16時38分に到着する。
 接続時間に余裕があるので、駅構内のショッピングモールを散歩し、書店に立ち寄り、さらに腹ごなし用のパンを買ってホームへ行くと、程なくして12番線ホームに定刻にEssen・Düsseldorf経由Kӧln Hbf行ICE 846が入線して来る。この列車はICE 545/555の折り返しで、ICE 3による運行である。編成はTz 326 „Neukirchen“で、後方にはHagen・Wuppertal経由Kӧln行ICE 856が連結されている。

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 予約していたラウンジ席に座る。17時31分に発車した列車は快調に最高200km/hで西へと向かう。BordBistroの売店で買ってきたワインを少しずつ飲みながら寛ぐうちに、Bielefeld Hbfを経て、Hammには18時48分に到着し、ここでICE 856と切り離す。

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 先に発車したICE 846はDortmund Hbf・Bochum Hbf・Essen Hbf・Duisburg Hbfとルール地方の主要駅にこまめに停車する。ルール地方内でICEを利用する乗客も一定数はいるようで乗車してくる客もいるが、降車客が圧倒的に多く、次第に車内は空いてくる。Düsseldorf Flughafen停車中にICに道を譲り、Düsseldorf Hbfには4分遅れの20時10分に到着した。わずかな乗客を乗せて、終点のKӧln Hbfへ向かうICEを見送り、家路についた。

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