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アーネムまでAbellioとICEを乗り比べ [ドイツ鉄道旅行 2017]

 ノルトライン・ヴェストファーレン州では地域輸送の充実が図られており、2016年12月Düsseldorfとオランダ国境に近いEmmerichの間にRE 19系統が新設された。RE 19系統はRhein-IJssel-Expressの愛称を持ち、4月6日からは国境を越え、オランダのArnheim Centraalまで延長された。運行はDBではなく、オランダ鉄道NS系列の民間旅客列車運行会社Abellio Railが請け負っており、車両はStadler製の電車Flirt 3で、基本的に1時間間隔で運転されている。この国境を超えるRE 19系統と、以前からオランダへの直通運転を行っているICEを乗り比べるべく、オランダへ日帰り旅行に出た。

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Abellio Flirt 3

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ICE 3M

 5月6日土曜日8時過ぎに自宅を出発し、Düsseldorf Hbfから8時26分発RE 19系統Arnehm Centraal行に乗車する。列車は5両編成を2編成連結しており、前の5両はArnheimまで直通、後ろ5両はWesel止まりである。定刻よりやや遅れ気味に発車した列車はDüsseldorf都市部を抜け、7分でDüsseldorf Flughafen 空港駅に到着する。ここで大きな旅行鞄を持った乗客が増えたが、それでも車内は空いている。Düsseldorf Flughafenからはしばらく直線区間が続く。Flirt 3は連接式でカタッカタッと軽やかに加速し、最高160km/hで疾走する。実に小気味良い走りっぷりである。
 Essen Hbf方面との分岐点であるDuisburg Hbfでかなり乗客が増え、7割方の座席は埋まった。車内は台車部分を除き低床構造が採用されており、身障者用トイレも備えられている。座席は硬めだが座り心地は良好、また一部の座席には電源ソケットも設けられている。全体に洗練されたデザインで、好感が持てる。
 Oberhausen Hbfでもまとまった乗降がある。ここから列車は概ね5kmおきに設けられたローカル駅に丁寧に停車していく。それでも、少しずつ乗降はある。土曜日ということで行楽客が多く、賑やかな雰囲気である。自転車を持った乗客も多い。

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 Weselで2分程停車し、ここで後ろ5両を切り離す。RE 19系統が登場する前はRB 35系統がDBの古いn-Wagenで運転されており、構内にも何編成か客車列車が停車していたものだが、もはやその姿はない。

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 のどかな車窓風景の中を列車は軽快に走る。オランダ国境に近いEmmerichには5分程遅れて9時49分に着く。昔は名列車ラインゴルトなど多くの列車が機関車交換を行った駅だけに、構内は広い。しかし、わずかに貨物機や貨車が停車しているものの、やや閑散とした印象である。現在は複電源に対応した車両が主流になり、駅の果たす機能も小さくなっているのであろう。

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 Emmerichを出るとまもなく国境を超える。とはいえ、何の表示があるわけでもなく、線路沿いにある標識類がDBのものからNSのものに代わり、架線柱の形状が変わることで認識できるだけである。電源方式も交流15 kV 16,7 Hzから交流25 kV 50 Hzに走行中に切り替えられるが、車内から国境を越えたことを実感することは難しく、乗客も誰も気にしていないようだ。

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 オランダに入った列車はZevenaarのみ停車する。オランダ区間は最高140km/hである。すれ違う列車は民間運営会社ARRIVIAの気動車だが、この会社はDB系列というのが面白い。3分遅れの10時18分に終点Arnheim Centraalに到着する。国境を挟んで、DüsseldorfからArnheimまで151kmを所要1時間50分程、なかなかの俊足と言えよう。Arnheimまで直通を開始して1か月、乗客も多く、それなりに利用が定着しているように思われる。

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 Arnheim Centraalの構内に設けられたバスターミナルに行く。係員に確認し、10時31分発の105系統のバスに乗り、車内で往復切符を購入して、25分程揺られる。広々とした森の中を走り抜けるのは気持ちの良いもの、驚くほど多くの自転車が走っているのもオランダらしい。Otterloという町に着く。間違えて停留所一つ分行き過ぎてしまったが、幸いにも歩いてすぐに戻ることができ、106系統のバスに乗る。マイクロバスは座席は一杯だが、5分程でデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園の入口に着く。

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 目的地であるクレラー・ミュラー美術館へはこのまま106系統のバスで行けるが、敢えてここで下車する。近くには無料のレンタル自転車が備えられており、これに乗って、3.5km程走れば美術館に着くのである。森と平原の中を自転車で走るのは非常に気持ちの良いものだが、私に輪をかけて運動神経の悪い妻は怖がって何度か転びそうになり、果ては急に止まって私が追突したりと一苦労、美術館まで随分と時間がかかってしまった。
 クレラー・ミュラー美術館は特にフィンセント・ファン・ゴッホのコレクションが充実していることで有名である。「ジャガイモを食べる人々」「夜のカフェテラス」など印象的な絵をじっくりと鑑賞した後、屋外のレストランで昼食を摂り、さらに彫刻が並ぶ庭園を散歩し、ゆっくりと過ごす。最後に印象に残った絵をもう一度見直し、15時頃に美術館を出る。再び自転車に乗り、広々とした自然の中を国立公園入口まで30分ほどかけて戻る。

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 10分程待って106系統のバスに乗り、さらに105系統に乗り継いて、Arnheim Centraal駅に戻ったのは16時30分近かった。駅舎はモダンなデザイン、一角からはオランダで唯一のトロリーバスが発着している。まだ時間があったので市内中心部を散歩し、カフェでしばらく休憩する。

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 Arnheim Centraal駅に戻り、9番線ホームに行く。ARRIVIAの気動車が発車していくと程なくしてICE 129が入線して来る。車両はICE 3M (406形)のうち、DB所属の4607編成”Hannover”である。予約してあった最後部2等車のラウンジに座る。2等席は7割方の座席が埋まっていたが、ラウンジは他に2人の乗客がいるだけであった。

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 列車は17時37分定刻に発車する。乗ってしまえばいつものICEだが、何だかドイツに戻って来たみたいでホッとするね、という妻の言葉には全く同感である。ICEもオランダでは最高140km/hである。まもなく、国境を越えてドイツに入る。乗り心地は概ね安定しているが、時々空気バネが振り切れるようなゴツンという衝撃がある。軌道との兼ね合いもあるのかもしれない。
 BordBistroに行き赤ワインを購入する。供食設備があり、座席も上々、ドイツに入ってWifiも使えるようになった。ICEの自然な快適さはいつもながら好感が持てる。

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 後部展望を楽しみながらICEの乗り心地を楽しむうちに列車はOberhausen Hbf・Duiburg Hbfと停車し、Duisburgからは最高200km/h区間となる。高規格軌道で乗り心地も良くなったようだ。Düsseldorf Hbfには定刻の18時46分に到着する。

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 AbellioのRE 19系統利用ではDüsseldorf・Arnheim間は1時間49分、運賃は15ユーロと手軽に利用できる。ICEは所要1時間09分速くサービスも充実しているが、正規運賃にあたるFlexpreisでは2等でも40.10ユーロとかなり高い。ただし、Sparpreisと呼ばれる早期割引料金が設定される他、BahnCardを所有していれば割引も適応され、条件によってはそこまで値段差は大きくない。利用客から見ると、複数の選択肢があることは歓迎すべきことであろう。
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