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7月28日 Wien → Salzburg [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2013]

 睡眠不足と東京からの長旅の疲れか、たっぷりと寝て、朝6時30分に起床する。朝食を済ませ、7時50分にホテルをチェックアウトする。スーツケースをフロントに預けて、ウィーン市内観光に出発する。
 WesbahnhofからU6系統Siebenhirten行に乗り、二駅目のLängenfeldgasseでU4系統Hütteldorf行に乗り換えると、二駅目がSchönbrunnである。今日のウィーンは雲一つない快晴、しかも予想最高気温は38℃。外に出て直射日光を浴びると、すぐに汗が噴き出してくる。日本と違って湿気が少ないとはいえ、ここまで気温が上がると辛い。それでも我慢して5分あまりを歩き、Schloß Schönbrunnシェーンブルン宮殿へ。シェーンブルン宮殿と言えばウィーンで最も観光客の集まる場所である。夏休みシーズンの真っただ中、今日も混雑していると予想していたが、中はともかく庭園くらいは散歩しようか、とやって来たのだった。しかし、まだ8時を過ぎたばかりということもあってか、観光バスが到着し始めているものの、チケット売り場は誰も並んでいなかったので、幾つかあるツアーのうち、主要箇所だけを巡るインペリアルツアーのチケットを購入する。日本語によるオーディオガイドを聴きながら巡ると、思った以上に面白い。豪華な装飾はともかく、その中にあっても、ハプスブルク家の生き様や思い、そんな歴史の息吹を感じられるのである。
 宮殿内部を見学した後、宮殿の南に広がる庭園を抜け、丘を登って戦勝記念碑であるグロリエッテヘ向かう。私一人ではこんな暑さの中では絶対に足を向けないが、同行の友人が行ってみたいということで付いて行ったのである。できるだけ日陰を選んで歩くが、それでも太陽を遮るものは殆どない、15分程かけて丘を登りきると、シェーンブルン宮殿とその背後に広がるウィーン市街という光景を目にすることができ、登っただけのことはあった。

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 再び丘を下り、麓のネプチューンの泉を見た後、庭園を散歩し、シェーンブルン宮殿へ戻る。

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 シェーンブルン宮殿観光は思った以上に楽しめたが、暑くてたまらない。外に出るともう9時30分を過ぎてしまったので友人と相談して、止まっていたタクシーに乗車し、市中心部に向かう。次に向かうのはKunsthistorisches Museum 美術史博物館である。9時50分過ぎに到着すると、チケット売り場には行列ができている。待つことしばし、10時の開館時間と共にチケットが発売になり、10分程で無事に入館する。館内の展示は古代エジプト・ギリシャ・ローマの遺物から絵画、貨幣まで多岐にわたるが、やはり絵画の展示が興味深い。全てを見て回る暇は到底ないので、博物館で配布されているパンフレットを元に主要な展示物を眺めることにする。以前から見たかったデューラー「皇帝マキシミリアン1世肖像画」、フェルメール「キャビネット17」、ブリューゲル「バベルの塔」が見られて満足。

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 駆け足で見て回り、11時15分に外に出る。時間があれば、向かいのNaturhistosches Museum 自然史博物館も見たいものだが、今回は断念、美術史博物館から程近いBurgringからトラムに乗る。環状道路リンクを走って、次のOperで下車する。

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 少し写真を撮った後、ここで別のトラムに乗り換え、さらにリンクを回ってリングの東側Stubentorで下車する。ウィーンのトラムは1960年代から70年代にかけて製作された旧型と、Siemens製の低床電車ULFが混在している。旧型電車もウィーンの街によく溶け込んでいるが、ポルシェデザインによるULFもまたよく似合っている。

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 リングを走るトラムを撮影した後、Wollzeileを歩いてStepahsdomシュテンファン寺院に向かう。それにしても暑いので、途中でジェラートを購入、果物の味が活きて美味しい。

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 シュテファン寺院を偉容を眺めた後、SchtephansplatzからU1 Leopoldau行に乗り、次のSchwedenplatzでU4 Heiligenstadt行に乗り換えて一駅目のSchottentingで下車する。

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 地上に出て、待つこと5分、やって来たトラムに乗車する。

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 ウィーンを出発する前に、リンクを走るトラムの車窓からウィーンの街の風景を楽しもうというわけである。証券取引所、ウィーン大学、ブルク劇場と眺め、国会議事堂を過ぎたDr-Karl-Renner-Ringで下車する。

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 これでウィーンのトラムとお別れ、U3 Ottakring行に乗り、Westbahnhofに戻る。

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 ホテルに立ち寄って預けていたスーツケースを引き取り、駅へ向かう。時間はちょうど12時半を過ぎたところだ。これからSalzburgへ向かう。
WienからSalzburgへは日中はRailJetとÖICが交互に運転されている。旅行前に12時56分過ぎのÖIC 642を予約してあったが、友人からせっかくの機会なので、RJのビジネスクラスに乗ってみたいというリクエストがあり、前日Wien Mitte駅で13時36分発のRJ 566を改めて予約したのであった。ところが、何故か勘違いして12時56分発と思い込んでいたので、早く着き過ぎてしまった。そこで駅構内のフードコートに入り、白身魚料理・サラダをおつまみに、ビールで一休み。この後、列車内で昼食を食べるつもりだったので、食事はごく軽くしておく。

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 ここでまた勘違い、今度は13時56分発と思い込み、ゆっくりしていたら、13時30分過ぎに友人に行かなくて良いの?と声をかけられる。完全に確認不足である。焦ってフードコートを出てホームに向かう。停車中のWestbahnとICE-Tを撮った後、RJ 566 Bregenz行に無事に乗車する。

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 我々の座席に着くとまもなく、RJ 566は13時36分定刻にWien Westbahnhofを出発する。2008年12月に営業運転を開始したRailJet RJはオーストリア連邦鉄道ÖBBの長距離輸送における主力列車として、(Frankfurt Main -) München - Wien - Budapest、Wien - Salzburg - Innsbruck - Zürich/Bregenz、Wien - Graz、Wien - Klagenfurt - Villachとネットワークを拡大させている。編成は電気機関車 (Siemens製Taurus、1116形または1216形)と7両の専用固定客車からなる。機関車の反対側はTaurusのデザインと揃えられた制御客車とされ推進運転が可能であり、また、しばしば2編成の併結も行われている。
 RJのサービスで特徴的なのは通常の1等・2等に加え、最上級のビジネスクラスが設定されている点である。登場当初はプレミアムクラスという呼称で軽食や飲み物サービスも行われていたが、追加料金25 EURが高額だったためか乗車率が悪く、2002年初頭よりビジネスクラスと名称が変更され、軽食サービスが廃止された代わりに追加料金は15 EURに値下げされた。
 RJ 566は電気機関車を先頭にしており、我々の乗車したビジネスクラスは最後部の制御客車にある。ビジネスクラスは仕切りのあるセミコンパートメント式になっており、我々も座席もある区画には4席設けられている。2席づつ互い違いに座席が設置され、乗客同士の脚があたらないよう配慮されている。大柄な座席はクッションが堅めだが、座り心地は良い。

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 Wien – Salzburgを結ぶ西部鉄道Westbahnはオーストリアの最重要幹線の一つである。Wien Westbahnhofを発車し、Wien Hütteldorfを通過すると、列車はLainz Tunnelに入り、Hardesdorfジャンクションに至る。ここはWien Hbf方面からの結節点である。そのまま全長13.35kmのWienerwald Tunnelウィーンの森トンネルへ。ここからは2012年12月に開業したばかりの高速新線区間となる。高速新線は250km/h運転に対応し、保安装置にはETCSである。
 RJは最高230m/hその最高速度で走っているが揺れは少なく、また客車ということで走行音も静かで快適である。ただ、トンネルを出ても、掘割区間が多く、車窓はあまり楽しめない。

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 乗務員が飲み物の注文を取りに来る。RJのビジネスクラスではワンドリンクはアルコール類も含めて無料である。ここはビールを注文、チェコのブドバーである。

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 Tullnerfeldを通過すると細かいトンネルが再び連続し、減速するとまもなく在来線に合流する。5km程在来線を走り、14時ちょうどに最初の停車駅であるSt. Pölten Hbfに到着する。ここまで約60kmで所要時間は24分、高速新線の開業前は41分を要したことを考えると、高速新線の効果は大きい。

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 St. Pölten Hbfを発車し、再び加速する。Eisbergtunnelを抜け加速する。Rohrジャンクションからは旧線と新線に分かれる。新線は最高200km/hでの走行が可能である。一方、旧線はLoosdorfやMelkなどの駅は通る。Melkの巨大な修道院は世界的に有名で、旧線は修道院の目の前を通るが、RJは残念ながら新線経由である。Pöchlarnで一旦旧線と近づき、再び離れてSittenberg Tunnelを抜ける。Ybbs an der Donauで旧線と合流し、スピードも落ちる。
 Ybbs an der DonauからAmstettenの17kmは複線区間だが、2016年には複々線化が予定されている。Amstettenからは複々線区間に戻りスピードが上がる。St. Peter-Seitenstettenの手前までは新線と旧線は並走するが、そこから近づいたり離れたりを繰り返す。Asten-St. Florianの手前で再び複線区間に戻り、程なくして減速、ウィーンから188kmの交通の要衝Linz Hbfに到着、定刻の14時51分である。

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 Linz Hbfを16時53分に発車する。ここからも複線区間が続く。路線改良が進んでいないためか、100km/h程度でゆっくり走る区間が多い。24km走ったWels Hbfの先でPassau経由ドイツ方面の路線が分かれていく。
 ビジネスクラス・1等席では食堂車のメニューを注文すると、自席まで運んでくれるサービスがある。Linzの手前で係員にチキン・シュニッツェルと白ワインを注文していたが、ようやく戻ってきた係員によるとシュニッツェルは売り切れとのこと。代わりの注文を尋ねられたが、下車するSalzburgが近づいてきていることから今回は断念。白ワインのみを楽しむ。食事にありつけなかったのは残念だが、車窓を眺めながらの一杯は最高だ。
Gunskirchenから7kmの区間は複々線区間だが、再び複線に戻る。Steindorf付近からしばらく徐行運転となる。ここまで定時運転をしていたが、じわじわと遅れていっているようだ。左手の車窓にWallerseeヴァラー湖の光景が広がると程なくして加速する。

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 再び減速するとSalzburgの市街地である。ウィーンから312km、Salzburg Hbfには定刻より14分遅れの16時12分に到着する。

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 国際列車が数多く通る駅だけに、駅構内にはDBの車両の他、MAVのタウルスの姿もある。

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 少しだけ撮影を楽しんだのち、駅構内のスーパーマーケットへ。今日は夕食をゆっくり摂る暇がなさそうなので、適当にお総菜やビール、ワインを買っておく。
 本日の宿であるBest Western Hotel StieglBräuまでは駅から歩いて10分程。それにしてもSalzburgは昨年来た時には肌寒いくらいだったのだが、今日は非常に暑い。歩きはじめるとすぐに汗が噴き出る。ホテルにチェックインする。部屋に入ると、Salzburg Hbfを発着する列車が眺められる素晴らしいロケーション、ちょうどRJが入線していく。

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 カメラを持って、Salzburgの旧市街へ向かう。Makartplatzまで10分程歩き、カラヤン生家跡に経つカラヤン像をを眺めた後、Makartsteige マカルト橋でSakzach川を渡ると旧市街である。

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 まずは旧市街の入り口に近いMozart Geburtshausモーツァルトの生家へ。それ程の混雑でもなく、すぐに入ることができ、さっと展示を見て回る。

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 インビスでカリーヴルストを食べお腹を満たすと18時である。まだ時間があるので、ケーブルカーに乗ってFestung Hohensalzburg ホーエンザルツブルク城へ。あまり時間もないので、ガイドツアーには参加せず、要塞を一周歩く。ザルツブルク周囲の眺望がまことに良い。夕方になって涼しくなり、風も心地良い。

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 18時30分こと、ケーブルカーに再び乗る。ケーブルカーはなかなかの混雑、空調がないので蒸し暑い。ところがドアが閉まるものの、閉扉表示が出ないのか、なかなか発車できない。係員が何度か調整を試みて、5分でようやく発車する。麓に戻って、旧市街をもう少し散歩する。大聖堂で一休みした後、モーツァルト像を眺める。

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 Salzburgは夏の音楽祭が開催中、私もコンサートのチケットを買ってある。夕暮れ迫る中、会場となるFestspielhaus 祝祭劇場へ歩く。会場前は多くのクラシックファンで賑わっている。演目はフランツ・ヨーゼフ・ハイドンのオラトリオ「四季」、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、合唱はウィーン国立歌劇場合唱団、指揮はニコラウス・アーノンクールで、前日の演奏会と同じプログラムである。

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 開演前にライト・コーラを一杯。あとは大ホールに入り、席でゆっくり開演を待つ。今回は前から7列目中央付近の良席である。19時30分に開演、もう83歳のアーノンクールには腰掛が用意されていたが、実際には殆ど利用せず元気そのもの。オーケストラは比較的小規模な編成であったが絹の流れるような響き、独唱の3人の声もとても魅力的であった。途中に休憩があり、3時間弱かかる長いプログラムだが、それを感じさせない幸せなひと時であった。

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 盛大の拍手の後、外に出ると22時30分を過ぎていた。ザルツブルクの夜景を眺めながら帰路につき、ホテルに着いたのは23時であった。

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 シャワーを浴びて、23時30分に友人の部屋で、夕方買っておいたお酒と惣菜で遅い夕食を摂りつつ明日の予定を相談し、0時過ぎに寝た。
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masato-marklin

お、デザイン変えましたね・・
少しずつ鉄分が増えてきましたね、これからが楽しみです。
by masato-marklin (2013-09-05 15:44) 

HUH

masatoさん、やっぱりドイツ鉄道は赤ですから。
ここからは鉄分が増える・・・・というより、鉄分一色となります。今回は内容を簡素にして、早めにアップロードします。
by HUH (2013-09-05 22:32) 

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