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7月31日 Salzburg → Göppingen → München [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 早朝4時に起床、3時間半の睡眠時間では辛いが、今日は夜まで予定が詰まっている。シャワーを浴びて目を覚まし、5時20分にRamada Hotel Salzburg City Centreをチェックアウトする。
 ホテルの目の前のSalzburg Hbfは早朝だけに人影もまだらである。1番線ホームに行くと、これから乗車するFrankfurt (M) Hbf行のIC 1296は既に入線していた。編成は先頭から、Bpmbdzf 296.1 + Bpmz 294.3 + Bpmz 294.3 + Bpmz 294.3 + Bpmz 295.4 + Bvmsz 186.7 + ARkimbz 266.7 + Avmz 108.1 + 101 043-8で、制御客車を先頭に最後尾から101形が推進運転する。

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 発車まで時間があるので、先頭まで行って写真を取った後、機関車の前に連結された1等車に乗車する。1等車はコンパートメント、乗客はほとんどおらず、そのうちの1室を独占することが出来た。 

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 まだ日の出前だが、空は明るくなり始めている。5時45分定刻にIC 1296はゆっくりと発車する。美しく、素晴らしい印象を残したSalzburgとはこれでお別れである。列車はザルツァッハ川を渡り、オーストリアから国境を越え、ドイツへ入る。まもなく、DBの様々な車両が待機するFreilassingに停車する。ここで少数の乗車がある。

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 5時55分に発車すると、列車は西へとスピードを上げていく。大分明るくなり、日の出も近いようだ。客車列車だけに列車は非常に静かに、滑らかに牧草地の中を駆け抜ける。南ドイツの静かな朝焼けが美しい。
 程なく列車はTraunsteinに停車する。ここでは乗車が多く、私が独占していたコンパートメントにも中年男性が入ってきた。朝の挨拶の後、ザルツブルクの音楽祭に行ったのか、と尋ねられたので、そうだと答えると、昨日の「魔笛」の話になった。「魔笛」はテレビでも放送されるが、楽しみにしているとのことだった。列車の同室者と、何気ない会話にオペラが登場するあたり、クラシック音楽離れが懸念される現在においても、音楽は重要性な存在なのかもしれない。列車はBernauの先で右にカーブして北西へ向かい、まもなくPrien a Chiemseeに停車する。ここは観光地キーム湖の拠点駅である。

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 6時30分にPrien a Chiemseeと発車すると、昇ってきた太陽の下にキーム湖がのぞめる。キーム湖が車窓から去ると列車は左にカーブし西へ向かう。まもなくBad Endorfに停車する。ここまでほぼ10分間隔に駅に停車している、通常のICはRosenheimまでほぼノンストップだが、この列車は通勤列車の役割もあるのかもしれない。

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 Bad Endorfを出発すると列車は南西へと向かう。左側にSiemseeをかすめ、イン川を渡る。ここで一昨日通ったInnsbruck方面への短絡線と分かれ、まもなくRosenheimに到着する。Salzburg – Rosenheim (88.6km)は最高160km/hだが、今朝は100km/h台前半で流すような走りであった。

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 Rosenheimでも乗車が多く、かなりの座席が埋まったようだ。Rosenheimは私が現在住む千葉県市川市と姉妹都市であり、何となく愛着がわくが、ここで下車する余裕はない。6時38分にRosenheimを発車すると、列車は北西へと向かう。
 駅前に到着したバスから通勤・通学客が吐き出される光景を眺めつつ、Aßlingを通過すると、列車はまもなくGrafingを通過する。ここからはS-Bahn S4系統が並走し、複々線となる。駅には423形が発車を待っていた。この区間の最高速度である160km/h近く出ているのだろうか、列車のスピードが上がり、Münchenへとラストスパートといったところか。
 右にMühldorfからの路線が合流するとスピードが落ちる。右手にMünchen Ost Rbfの広大な貨物ターミナルをみて、列車は定刻の7時21分にMünchen Ostに到着する。ホームには通勤客の姿が目立つ。

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 München Ostを発車すると列車はイザール川を渡る。Holzkirchenからの路線が左から合流したところで、右に大きくカーブし、北西から東へとゆっくりと進路を変え、Augsburg・Nürnbergからの路線と合流する。ここで一旦停車、朝のラッシュ時だけに、München Hbfのホームが空かないのかもしれない。
 5分程待たされて、反対方向へ貨物列車が走り去ったところでゆっくりと発車、右にICEの整備工場をみながら、ゆっくりとMünchen Hbfに進入する。最後に最後に5分以上遅れ、7時40分の到着である。
 南ドイツの中心ということもあり、ここで大半の乗客が下車した。乗車も多いが、車内はかなり空き、私のいるコンパートメントも再び私一人になった。頭端式のMünchen Hbfで列車は進行方向を変え、今度は機関車が先頭となる。

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 定刻の7時48分にMünchen Hbfを発車、先程とは逆に西へと向かう。Ingolstadt方面の路線と分かれ、München-Passingを通過、左に一昨日通ったGarmisch-Partenkirchen方面の路線と分かれると、列車はS-Bahn S3系統が左に並走する複々線区間となる。Olchingを通過すると、いよいよ改良新線区間となり、スピードが上がる。
 München – Augsburg間は1965年にE03が200km/hのデモ走行を行った区間である。1968年には通常の営業列車でも200km/h運転が開始されるなど、早い時期から高速化が図られてきた。1998年からはMünchen – Augsburg間61kmのうち、Oiching – Augsburg間44kmの改良工事が開始され、複々線化・防音壁の設置などの工事により、ICEなどの長距離列車は最高230km/h、地域輸送列車・貨物列車は最高160km/hに引き上げられた。このICも最高200km/hで快調に走るが、なかなか安定感のある走りっぷりである。S-Bahnの終点Mammendorfを通過すると、列車は進行方向を西から北西へと変えるが、直線的な軌道をスピードを落とすことなく快走する。

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 ところで、朝食を摂らないままである。列車も空いたことだし、隣の客車のBordBistroへ。チリコンカーンとミネラルウォーターを注文する。チリコンカーンにはパンが付き、ちょっとした食事には十分なボリュームである。ちょっとぬるかったのは残念だが、味もなかなか。車掌達もコーヒーを飲んで寛いでいる。

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 列車が減速するとAugsburg-Hochzollを通過、左に大きなヤードが広がると、まもなくAugsburg Hbfに到着する。

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 Augsburg Hbfを発車すると一旦北に向かい、左手に189形が牽引する貨物列車を見ながら、大きくカーブして西へ進路を変え、Donauwörth方面の路線をオーバークロスする。Augsburg – Ulm間85.8kmは複線となるが、大幹線だけにそれなりに路線は整備されており、途中までは200km/h走行も可能で、列車はしばらく快調に走る。
 しかし、Augsburgから27.8km走ったDinkelscherbenを通過するとカーブが連続し、列車のスピードはぐっと落ちる。Jettingenから列車は北西に向かう。Burgauからはしばらく徐行するが、Mindelaltheimの先で再び加速する。

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 左に大きくカーブしてDonauwörthからの路線と合流し、Neuoffingenを通過すると、列車は南西へ向かいながらしばらくドナウ川と並走する。この辺りではドナウ川の川幅はそれほど広くない。そんなドナウ川と離れると、まもなくGünzburgに停車する。Günzburgは小さな駅で乗降も少ないが、642形が発車を待っている。

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 Günzburgを発車すると、再びドナウ川に沿うが、木々に阻まれ川面はなかなか見えない。列車はほぼ一直線の区間を150km/hほどで回送する。市街地に入り減速すると、まもなくNeu-Ulmを通過、ここで右に大きくカーブしUlmの象徴である大聖堂を眺めながらドナウ川を渡る。さらに右にカーブするとUlm Hbf、9時03分定刻の到着である。

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 私もここで乗換となる。先頭に行って写真を撮った後、自転車用通路を走って、1番線ホームから4番線ホームに移動、9時10分発のMosbach-Neckarelz行RE 19212に乗車する。編成は143 315を先頭に2階建て客車を5両連結した編成である。
 2等車の2階席に腰を下ろすとすぐに発車する。左手のヤードには611形や650形、218形などディーゼル機関車や気動車の姿が目立つ。列車は大きく右に曲がって一旦東へ向かい、Aalenへの路線を超えたところで北へと進路を向ける。ここからは細かいカーブが続き、スピードが上がらなくなる。2階席はやや圧迫感があり、2等車ということでやや狭い感じもする。日も当たってきて少々暑い。まもなく、左手に広大なヤードが広がる。Ulm Ubfである。

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 その先も細かいカーブが連続する中を100km/h程で走る。Westerstetten、Lonsee、Urspringと通過すると、まもなく9時26分にAmstettenに到着する。AmstettenはUEFと呼ばれる保存鉄道があり、駅の横にも保存車両が留置されている。

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 Amstettenは標高582mである。Amstettenを出発すると、24パーミルの下り勾配が続く区間、細かいカーブが多く、ますますスピードは落ちる。Ulm – Stuttgart間は線形が悪く、特にこのGeislingen峠越えは最大の難所である。そのため在来線の南側に高速新線が建設中で2020年に完成予定であるが、環境問題などから激しい反対運動が起こっており、予断を許さない状況が続いている。
 街が広がると、まもなくGeislingen (Steige)に到着する。ここは標高469mである。駅舎寄りのホームには143形とn-WagenのRBが発車を待っている。

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 Geislingenを発車、駅構内には151形が待機している。もしかすると貨物列車の補機に用いられるのかもしれない。列車は高度を落としながら、左に大きく180度カーブして東から西へと進行方向を変える。
ここから線形は直線的になり、列車のスピードが上がる。Kuchen、Glingen (Fils)を通過し、Süßen・Eislingen (Fils)と停車する。

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 この辺りから左にFils川が沿う。まもなく9時49分定刻にGöppingenに到着する。

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 Göppingenの駅舎はこじんまりとしているが、それでも売店やコインロッカーはあり、スーツケースを預ける。ここからはメルクリン博物館に向かう。といってもバス路線はよく分からないため、往路はタクシーを使うことにする。博物館へは10分程のドライブである。
 メルクリン博物館に来るのは初めてである。展示物で目をひくのは、まずは110形の運転台である。実物にふれられるのは嬉しいものである。レイアウトは思ったよりもずっと小ぶりだが、とても良い雰囲気である。ハンブルクのミニチュア・ワンダーランドなどのように凝ってはおらず、頑張れば自分でも同じようなものを作ることが出来そうだ。メルクリンが提案する遊び方をプレゼンテーションしているかのようで、これはこれで好感が持てる。1番のアドラーも復活運転の初日の様子が再現されたレイアウトも良い。壁面には貴重なモデルも展示されているが、実は展示物はこれくらい。あとは販売コーナーやサービス窓口で、見る展示品は案外少ない。
 販売ブースがさすがに現行品から細かいパーツまでよく揃っている。面白かったのはバックヤードのストラクチャやジャンク品、部品売り場。まずは各社のストラクチュアがずらりと揃い、壮観である。半端ものも安価で売られていて、なかなか魅力的なものも多い。私も部品取り・改造用に中間動力車を抜いたICE 3のセットを150ユーロで購入してしまった。博物館滞在時間は45分程。全体的な印象としては、模型店としては非常に素晴らしいが、博物館としては今一歩といったところか。来ると興味深い発見も少なくないが、大きな変化があるか、イベントでもない限りは無理に旅程に組み込んで何度も来るほどではないというのが率直な感想である。

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 博物館の目の前にバス停がある。10分程待って路線バスに乗る。バスの車内は1/3程度の座席が埋まり、高齢者の姿が目立つ。10分あまりでGöppingenの駅前に着く。駅前はバスターミナルが整備されている。

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 荷物が大分増えたので、駅前の郵便局に入り、段ボールを買って、Salzburgで買った菓子類などを発送する。郵便局は大混雑であったが、メルクリン博物館から予定よりかなり早く戻ってこられたので、まだ時間に余裕がある。

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 駅に戻り、11時46分発のUlm Hbf行RB 19317に乗車する。制御客車を先頭にしたn-Wagen、最後部から143 922が最後部から押す編成である。2等車に乗車すると、乗客はボックスごとに1、2人座っている程度で、空いているボックスに座ることがある。古い客車だけに冷房はないが、窓を開けると気持ちの良い風が入ってくる。各駅に停車するだけにスピードは上がらないが、ゆったりとこんな旅を楽しむのも良いものです。Geislingen (Steige)には12時09分に到着する。

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 ここで少しだけ撮影する。

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ICE 1

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185形

 続いて、12時23分発のUlm Hbf行RE 19217に乗る。今度は2階建て客車を後ろから146.2形が押す編成である。先ほど通った峠区間を走り、Amstettenに停車する。

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 Amstettenからは牧草地が広がるのどかな光景の中を走り、Ulm Hbfには12時48分に到着する。

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 Ulm HbfからはICEに乗車するが、時間があるので、しばらく撮影を楽しむ。

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650形

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612形

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ICE 3

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650形

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146.2形

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440形

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218形

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146.2形

 定刻より数分遅れて、ICE 515が入線してきた。この列車はHamburg-Altonaを5時27分に発車し、Köln・Frankfurt (M)を経由する長距離列車である。ICE 3 (403形)を2編成併結した編成で、私が乗る前寄りの編成はTz 361 “Celle”である。車内は空いていたので、先頭ラウンジ席に座る。今回は先頭が21号車 (2等車)であるが、ラウンジ席にいるのは私一人である。
 13時15分定刻より6分遅れで発車、すぐにドナウ川を渡るが最近になって無粋な防音壁が設けられ、川はほとんど見えなくなった。以前は撮影名所だったのだが。続いてNeu-Ulmを通過する。

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 列車はドナウ川に寄り添って東へと向かう。スピードは100~160km/hほど。Neuoffingenで大きく右にカーブしてドナウ川と離れ南東へ向かい、Jettingenからは左に向かう。ちょうど440形が停車中のDinkelscherbenを通過すると200km/hへとスピードを上げる。
 Westheimで待避中の440形を追い抜く。程なくして減速し、右に大きくカーブしてDonauwörthからの路線と合流し、まもなく440形と並走しながらAugsburg Hbfに停車する。Augsburgは440形の姿が目立つが、642形気動車や152形牽引の貨物列車も停車している。

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 Augsburg Hbfを発車すると、列車はすぐにICE 3とすれ違う。改良新線区間に入る。複々線区間でほぼ直線的な軌道を列車は最高230km/hで快調に飛ばす。MammendorfからはS-Bahn S3系統が右に並走し、423形の姿が見られる。

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 改良新線区間をあっという間に走りきり減速、各方面からの路線が合流し、München-Passingに14時17分に到着、いつの間にか定刻運転に戻っている。

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 München-Passingからは左右をヤードに囲まれた区間を、S-Bahnと並走しながらゆっくりと走る。右にICEの整備基地が見え、14時27分定刻に終点München Hbfに到着する。列車を降り、乗ってきたICE 3を撮った後、遅めのランチを調達することにする。

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