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7月29日 München → Innsbruck → Salzburg [ドイツ・オーストリア鉄道旅行 2012]

 朝5時に起床、身支度を整え6時にInterCity Hotel Münchenをチェックアウトする。この時間でも、München Hbf構内では書店やサンドイッチ販売店が既に店を開いている。ホテルの朝食時間に合わなかったので、ハムとチーズのサンドイッチとミネラルウォーターを購入する。
 今日はSalzburgに向かう。MünchenからSalzburgへはRosenheim経由でRJやEC/ICが多数走っているが、景勝路線として知られるMittenwaldbahnの旅を楽しむため、今回はInnsbruck経由で向かうことにした。München Hbfの北側27番線にはInnsbruck Hbf行のRB 5409が既に停車していた。先頭の牽引機は111 038-6、続く客車はBnrz 451.4 + ABnrz 418.4 + Bnrdz 452.9 + Bnrz 451.1 + Bnrdzf 483である。これらは元Silberlinge客車を更新したものである。これまで元Silberlinge客車にゆっくり乗車する機会はなかなかなかったので、乗り心地が楽しみである。

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 朝早い列車なので車内はガラガラであるが、スーツケースも持っていることでもあり、1等・2等合造車のABnrz 418.4の1等席部分に座る。車内はリニューアルされており、座席が最近のDB Regio標準のものに交換され、壁も一部が木目調で、落ち着いた雰囲気である。

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 6時30分定刻にMünchen Hbfを発車する。客車編成だけにモーター音はなく非常に静かである。バッファーとネジ式連結器のおかげか、発車時のショックもない。左右にはヤードが現れ、その先の右側には貨物駅München-Laim Rbf・Pbfが広がる。さらに、Ingolstadt方面の路線が右に分岐していった先にMünchen-Passing Gbfが広がり、ICEからローカル客車、貨車まで様々な車両が車窓に現れる。列車はMünchenの西の拠点駅、München-Passingに停車する。ここで若干の乗車がある。

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 6時37分にMünchen-Passingを発車すると、Augsburg方面の路線と分かれ左に大きく曲がって南西へと向かう。München-Westkreuzの先で、さらにHersching方面の路線が分かれていく。この辺りはS-Bahn S6系統も走り、S-Bahnと列車線は分離され、それぞれ複線となっている。

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 列車は100km/hほどで走るが、古い客車であっても安定感のある乗り心地だし、静かである。ここで朝食のサンドイッチを食べる。Gatutingの先でS-Bahn線と列車線は合流し、ここからは線路を共有する。左側にはWürm川が沿うが車窓には森ばかりが続き、川は見えない。Münchenを出発した時には曇っていたが、少し晴れてきたようだ。

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 徐行し右に大きくカーブするとまもなく左に湖が広がる。Starnberger Seeである。Stramberg Seeはノイシュヴァンシュタイン城・ヘレンキームゼー城・リンダーホーフ城などの建設で知られるバイエルン王ルートヴィッヒ2世が水死体で発見された湖であるが、車窓からは静かな佇まいの湖である。Starnbergを通過すると左にカーブし、さらに南西へと向かう。

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 この辺りは上り勾配が続くが、列車は軽やかに上っていく。Possenhofen、Feldafingを通過すると、再びStarnberger Seeが左手の車窓に広がる。まもなく列車は減速、Tutzingに到着する。S-Bahn S6系統はここが終点である。ここでMünchenへ向かうREと交換する。

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 6時59分にTutzingを出発、Kochel方面の支線と分岐すると列車は単線区間に入る。南ドイツの長閑な車窓風景の中、一旦真西に向かい、その後再び南西へと進路を向ける。細かいカーブが増え、列車のスピードが上がらなくなった。まもなくWeilheimに到着、BRBの気動車Lint 41が停車しているのが見える。

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 Weilheimを7時18分に発車、細かなカーブが続く区間を列車は南下していく。Huglfing 、Uffing a Staffelseeといった小駅に停車、少しづつ乗降がある。右にStaffelseeが見え、まもなく列車は減速、Murnauに到着する。Murnauは20世紀初頭に多くの画家が滞在した保養地である。10年に1度村人総出で上演される「キリストの受難劇」で有名なOberammergauへの支線もここから分岐している。反対のホームに111形を前後に間に客車を挟んだREが到着、その先にはOberammergau行の2両編成の426形が停車している。

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 7時30分に発車、一度左に分かれていったOberammergau方面の路線は大きく右に曲がってこちらをオーバークロスし、西へと消えていく。Oberammergauの方を見ると、ちょうど山と山に囲まれた谷になっている、ここを列車で通ったら、左右を山に囲まれて気持ちの良い車窓風景を楽しめることであろう。次回はOberammergauにも足を延ばしたいものである。

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 Murnauからは複線となるがそれもHechendorfまで。ここからは単線に戻り、Ohlstadt、Escehenlohe、Oberauとこまめに停車するためスピードも上がらない。しばらく牧草地が続いたが、Farchantを出発すると、高い山々が右前方に迫ってきた。ドイツ最高峰となる標高2962mのZugspitze ツークスピッツェを中心とする山々である。

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 まもなく列車は減速、左にカーブしながら、7時58分にGarmisch-Partenkirchenに到着する。ここまでMünchen Hbfから100.6km、標高は708mである。拠点駅だけに、駅の横には111形が停車中、そしてInnsbruckから到着したREも機関車は111形。ここではまだまだ111形の独壇場だ。

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 Garmisch-Partenkirchenでは観光客の乗車が多い。英語を話している人も目立ち、外国人観光客が多いのだろう。2等車もかなりの混雑で、スーツケースを持っている身としては1等に座って正解だった。8時04分に発車、列車は大きく左にカーブして一旦東へ向かう。ツークシュピッツェが車窓から消えると、まもなくスキーのジャンプ台が車窓右手に現れる。国際大会も行われる大きなジャンプ台である。

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 いよいよ山の中に入り、急曲線が続くため、列車のスピードは一段と落ちる。設備の整っていない踏切もあり、頻繁にピョーッという甲高い警笛が鳴る。印象的な音である。ゆっくりゆっくりと走り、Klaisには8時17分に到着する。ここは標高933m、IC停車駅ではDB最高峰に位置する。こじんまりとした駅舎は鉄道模型で再現したくなるような雰囲気だ。

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 Klaisを発車しても、相変わらずスピードは変わらず、警笛が頻繁に鳴らされる。列車はここから南へと進行方向を変えていく。車窓には標高2385mのKarwandelspitzeを中心とする山々が近づいてくる。山腹にはもやがかかり、実に息をのむような美しい光景である。程なくして8時25分に標高914mのMittenwaldに到着する。

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 Mittenwaldはヴァイオリン製作で有名な街、別荘や雰囲気の良さそうなホテルが並び、如何にも保養地といった風情である。乗車が多く、1等車も大半の席が埋まった。ここでREと交換、機関車はやはり111形である。

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 8時26分に発車、まもなく列車は国境を越えてオーストリアに入り、すぐにScharnitzに到着する。ここからはREX 5409となる。

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 Scharnitzを発車しても相変わらずスピードは上がらず、並行する道路を走る自動車に置き去りにされる。車窓には別荘やホテルなどが点在している。Gießenbach in Tirolを通過し、次のSeefeld in Tirolに停車、わずかながら乗車がある。ここは標高1182mである。

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 Seefeld in Tirolを出発すると、車窓には霧が目立つようになった。次のReithにも停車、霧はさらに深くなってきた。この辺りからがMittenwaldbahnの車窓風景の見せ場となるだけに、少し残念である。列車は南から東へと進行方向を変える。Leithenを通過すると左に急カーブし、Fragenstein-Tunnel (394m)を抜ける。次は右への急カーブで180度進行方向を変えながらPfegertal-Tunnel (32m)を抜け、全長66mのSchloßbachbrückeを渡る。写真で見るとここは壮大な鉄道橋だが、今日は工事中である上、霧で殆ど何も見えない。

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 Schloßbach-Tunnel (722m)を抜けると左にカーブして再び東へと向かう。Vorberg IV Tunnel (44m)、Vorberg III Tunnel (47m)、Vorberg II Tunnel (98m)、Vorberg I Tunnel (148m)を抜けると、標高922mのHochziriに到着する。ここで、München行REと交換する。

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 9時ちょうどにHochziriを発車すると、列車は左にカーブしてBrunntal-Tunnel (99m)を抜ける。続いて今度は右にカーブしながらEhnbach-Tunnel (347m)を通過、続いてMartinswand-Tunnelに入る。このトンネルは全長1.810mの長い直線のトンネルである。さらにAn der Wand II Tunnel (202 m)、An der Wand I Tunnel (109 m)を抜けると、車窓からはまさに絶景が広がった。雲が低く立ち込め霧も出ているが、眼下のイン川沿いの渓谷を見下ろすダイナミックな光景である。

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 列車は徐々に高度を下げていく。Hechenberg-Tunnel (26m)を抜け、Martinwand、Kranebittenの2駅を通過すると、Innsbruck-Höttingに停車する。Innsbruck-Höttingを発車すると列車はイン川を渡り左にカーブしながらスイス方面からの路線と合流し、Inssbruck Westbahnhofに停車、ここで若干の下車がある。

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 Innsbruck Westbahnhofを発車すると、右手の車窓ににスキーのジャンプ台Bergisel-Sprunstadionが現れる。再び左にカーブしながら、Brenner方面からの路線と合流し、TaurusをはじめÖBBの動力車が集うヤードの横をゆっくりと走って、定刻の9時23分にInnsbruck Hbfの隅にある21番線に到着する。

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 Innsbruckの天気予報は雨だったが、幸いにも降っていない。涼しくて気持ちの良い天気である。下車した乗客が去ったところで、乗ってきたRBの編成を撮影する。111形の運転士は折り返しを待っているのだろう、運転席で新聞を読みながらリラックスしており、係員が車内の掃除をしてまわっている。

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 別のホームにはICE-Tが停車している。Innsbruckには週末のみの1日1往復だが、ICEも乗り入れているのである。S-Bahnに活躍する4024形を撮影したところで、コンコースに出て、スーツケースとリュックサックをコインロッカーに預け、市内観光に出ることにする。

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 駅前から観光の中心である旧市街は歩いて10分程である。トラムを使いたい気もしたが停留所の位置がよく分からないこともあり、歩くことにした。Innsbruck HbfからSalurner Str.を真西へ歩く。途中でトラムに追い越され、ポツポツと雨も降ってきた、傘をおいてきたのに運がない。5分ほどで凱旋門に行き着く。

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 ここからはMaria-Theresien-Str.を北へ向かう。Innsbruckの中心となる通りだが、日曜朝だけあって、人通りはまばらだ。しばらく歩くとMuseum Str.と交わる。ここもトラムが通っている。

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 さらにHerzog-Friedrich Str.を北へ向かう。ここはもう旧市街、カフェやレストランなどが並び、通りの両側は石造りのアーケードになっている。雨宿りが出来て助かる。すぐにInnsbruckの象徴であるGoldenes Dachl黄金の小屋根が見えてくる。ここは、ハプスブルク家出身のオーストリア大公であり、神聖ローマ皇帝となったマクシミリアン1世が広場での行事を見物するために作られたバルコニーである。屋根には2000枚以上の金の瓦が用いられ、インスブルックの繁栄の象徴である。まだ人出が少ない中でも、ここだけは観光客が写真を撮っている。

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 ここから東に向かったところにHofburg 王宮があるので、8 Euroを払って入場。観光客がまばらなのでゆっくりと見物する。隣にはHofkirche 宮廷教会があるが、日曜朝はミサの時間で入れない。馬車がゆっくりと走っている光景を眺め、お土産や傘を買う。まだ時間は早いが、近辺であまり見るところもなさそうなので、駅に戻ることにする。

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 Museum Str.まで戻ると、まもなくHbfを経由するバスが到着、乗車時間5分でInnsbruck Hbfに戻る。まだ11時前である。

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 小腹が空いたので、構内の立ち食いピッツェリアでマルゲリータを注文、その場で焼くのでとても美味しいが、思った以上に大きくて、平らげるのに一苦労。残った時間はオーストリアの列車を撮影して楽しむことにする。ホームに上ると、突然激しい雨に変わった。

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1116形

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4024形

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1216形

 ここで雨もあっという間にあがり晴れ間まで見えてくる。山の天気は変わりやすいことを実感する。

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1116形 RailJet

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RailJet

 12時前に撮影を終え、コインロッカーから荷物を取り出し4番線ホームへ。ここからはSalzburgへ向かう。乗車するのはÖBB自慢のRailJetに乗ることにする。12時過ぎにZürich HB発Wien Westbahnhof行のRJ 163が入線してきた。

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 RJといえば、登場時は1等・2等に加え、最上級クラスとしてPremium classが設定されたことが話題となったが、今はBusiness classに名称を変更され、サービス内容も変更されている。そのサービス内容を見たくて、Business classを予約した。指定されたのは先頭の制御客車27号車44番席である。Business classは向かい合わせに1席と2席が配置され、お互いの脚が干渉しないように配慮されている。大柄のシートはリクライニング角度が大きく、脚も伸ばすことが出来る。非常に快適ではあるが、少々大きすぎて落ち着かないくらいである。シート横にはテーブル収納されている。列車の様々な情報を伝えるディスプレイも背面に設置され、係員も呼び出すことも出来るなど、万全の設備が整えられている。

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 Innsbruck Hbfを定刻の12時09分に発車した列車はイン川を渡り北東へと向かう。この路線は最高160km/hだが、実際には100km/h台前半くらいと、余裕のある速度で走る。車窓にはチロルの山々が連なるが、幹線沿いだけあって住宅も目立つ。

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 ここで無線LANサービスを試す。このサービスは無料で提供されているが、最初はうまく接続できてメールの受信ができたものの、すぐに接続できなくなった。PCを再起動してもうまくいかず、信号が弱い区間があるのかもしれない。
 次はRJ自慢の食事サービスを試すことにしよう。RJは営業運転開始当初はPremium classはフリードリンクに加え、無料で食事サービスが提供されていた。しかし、Premium classは1等から50 Euroの追加料金を要した割に、食事はあまりに貧弱で評判が悪かったようだ。そこで、Premium classはBuseness classに改称され、1等からの追加料金が25 Euroになった代わりに無料の食事提供サービスは廃止され、1等席と同様に有料ではあるが、座席から注文し席まで宅配してもらえる形に変更された。また、RJでは当初は座席のないBistroで供食サービスが行われていたが、現在Bistroは食堂車に順次改装されている。
 サービス要員が通りかかったので、メニューをもってきてもらう。メニューはスナックからサラダ、スープ、メインディッシュ、デザートまで非常に多彩、飲み物も豊富だが、オーストリアらしいものを、ということでウィナー・シュニッツェルを注文する。飲み物はもちろんビール、Ottakringer hellesというオーストリアビールである。ピルスナータイプの飲みやすいビールを楽しんでいるうちに列車はイン川沿いに走ってWörgl Hbfを過ぎ、さらに街の象徴である城塞を眺めながらKufsteinを通過する、ちょうど110形が停車していた。この先でイン川に沿って走り、オーストリアからドイツに入って北へと進行方向を変える。昔から時間短縮のためオーストリアの国内列車であるICは一旦ドイツに入って、Rosenheim経由で運行していた。ただし、ドイツ国内は無停車とされ、出入国手続きは不要とされた。このような列車はKorridorzug 回廊列車と呼ばれ、以前はよく紹介されたが、今はドイツとオーストリアの国境で出入国手続きが行われること自体がまずないこともあり、あまり注目されないようだ。

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 係員がシュニッツェルを運んできた。ジャガイモの付け合せがつき、かなりのボリュームであり、味もなかなかのもの。これで10.90 Euro。非常にレベルの高い供食サービスと言って良いだろう。食べ終わったところで、係員に声をかけて支払いを済ませる。ビールはBusiness classのサービスに含まれるので無料、チップを少し付けて払い、食器を片づけてもらう。

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 Rosenhaimが近づいたところで減速し、ゆっくりと短絡線に入り、Rosenheim駅を避けて、東へ向かう路線に合流する。

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 再びスピードが上がり、130km/h程度で軽やかに走る。最新の客車編成だけのことはあり、静かで揺れも少ない。外は晴れ間も見え、爽やかな光景が広がる。Simsseeを右に見え、Bad Endorf付近で列車はChiemseeを避けるように一旦南へ向かう。Bernauから再び東へ向かう。Bergenから一旦北東へ向かった後、Traunsteinから東へ30km弱走る。

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 減速してゆっくりとFreilassingを通過、ゆっくりと国境を越え、再びオーストリアに入る。S-Bahnに並走して、Salzburgの市街地を回りこむように一旦南東へ向かい、ザルツァッハ川を渡って再び北側へ向いたところがSalzburg Hbfである。13時58分定刻の到着である。

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 ホームに降り立つと、係員が運転席の窓の清掃をしている。Salzburgの天気予報は雨だったが、実際には強い日差しに照らされている。

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 Wienへ向かうRJの発車を見送った後、駅前にあるRamada Hotel Salzburg City Centreにチェックインする。予約が確認できないと言われ、少々時間がかかったが、幸いにも係員の間違いだったようで、無事にチェックインすることができた。今はちょうどザルツブルク音楽祭の開催中である、ホテルはどこも一杯で、このホテルも何とか確保できたのである。
 部屋に入って、荷物を置いて落ち着く。テレビではF1 ハンガリーGPが放映中。それを横目で確認しながら、準備をする。軽装になったところで15時過ぎにホテルを出て旧市街に向かう。ザルツブルクはトラムは走っていないが、O-Busと呼ばれるトロリーバスが幅を利かせている。駅前からマカルト広場へは5分ほどで到着する。

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 ザルツブルクの中心街はザルツァッハ川を挟んで東岸が新市街、西岸が旧市街に分かれている。マカルト広場は新市街側にあるが、橋を渡ればすぐに旧市街側に出られる。音楽祭開催中の観光シーズンということもあり、混雑する狭い道を通り抜け、足早にDom 大聖堂に向かう。

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 大聖堂の入口に着くと、既に多くの人が集まっている。これから大聖堂でモーツァルトの宗教曲のコンサートがあるのだ。私も日本でザルツブルク音楽祭の公式サイトから手配したチケットを見せて中へ入り、プログラムを購入する。壮大な大聖堂の一番奥に舞台が設営されており、私は舞台から2列目という良席であった。教会でのコンサートは初の体験、どのような響きを味わえるのか楽しみにしながら開演を待つ。コンサートの曲目はモーツァルト作曲、Missa longa C-Dur (KV 262)、Litanie de venerabili altaris sacramento (KV 262)の二曲である。ソリストはソプラノがSylvia Schwartz、メゾソプラノがElisabeth von Magnus、テノールがJeremy Ovenden、バリトンがFlorian Boesch。指揮はニコラウス・アーノンクール Nikolaus Harnoncourt、オーケストラはConcentus Musicus Wien、合唱団はArnold Schoenberf Chorである。

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 開演時間の16時になり、まずオーケストラと合唱団が登場、続いてソリストと指揮者が入場して開演。大聖堂の中を満たす音は残響が大きく独特の響きだが、それがこのような宗教曲では神への真摯な祈りのように感じられ、強い印象を残す。休憩なしでの1時間半はあっという間に過ぎ、忘れえない感動的なコンサートとなった。
隣に座った年配の夫婦から、演奏中何度かプログラムを見せてもらえるように頼まれた。何だかお位置着かないと思っていたが、終演後、オーケストラの一員がその夫婦に使づいてきて何か話している。どうやら団員の家族だったようだ。
 余韻を味わいながら、大聖堂内を歩き、CDを購入して外に出る。

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 まだ6時にもならない時間で明るいので、旧市街を歩いて回る。旧市街は車がほとんど見られず、教会の鐘の音、ヴァイオリンの音、そして馬車の蹄鉄の音が響くのみ。何とも素晴らしい雰囲気である。ドーム広場から東へ向かうとモーツァルト広場、ここにはこのザルツブルクで生まれ育ったモーツァルトの像が立っている。さらに東へ進むと、モーツァルトのオペラ「魔笛」に登場するパパゲーノ像が立つパパゲーノ広場である。

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 ドーム広場から北西方向にJudengasseを歩き、さらにGetreidegasseに入って、モーツァルトの生家に向かう。音楽祭の開催期間中は混雑すると聞いていたので少々並ぶことも覚悟していたが、幸いにもすぐに入ることができた。ここにはモーツァルトの使用した楽器や自筆の楽譜・手紙などが保存されている他、モーツァルト一家の足跡も紹介されている。

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 そろそろホテルに戻ることにする。写真を撮りながら、マカルト橋を渡ってザルツァッハ川を渡り、新市街側に出る。ここには1989年に亡くなったヘルベルト・フォン・カラヤン Herbert von Karajanの生家があり、小さな銅像がある。

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 マカルト広場からはトロリーバスの走るライナー通りを真っ直ぐ北へ向かう。途中ミラベル宮殿の横を通り、ÖBBのガード下をくぐって20分程で駅前に戻る。

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 駅前で夕食を摂ろうと思うが、レストランは全くない。駅構内にも飲食店と言えばカフェとバーガーキング、ケバブ屋があるくらいだ。結局スーパーに入って、パンやソーセージ、サラダと一緒にビールを購入し、ホテルの部屋で食べて夕食にした。時差ボケもあるし、朝早くから行動して疲れたので、明日に備えて早々と眠りについた。
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Akira

HUHさん、おはようございます。

旅行記の2回目、楽しく拝読させていただきました。Starnbergは、私がDBでインターンしていた時良くしてくれた同僚が何度か招待してくれた自宅があるので懐かしいです。ヨットを楽しんでいる同僚が私を乗せてくれて美しい景色の中、楽しんだことが昨日のように蘇りました。Mittenwaldのお天気は残念でしたが、本当に素晴らしい景色が楽しめるのでまたリトライしてください。
RailJetは、私が乗った時より充実しているようですね。あの供食は本当に問題でした。収益的にも良くなかったのではないでしょうか。今は改善されて利用者も増えていること良いですね。RailJetはLinz - Praha間も今後出来るようで見事にオーストリアの看板列車になったのでしょう。

ザルツブルグの旧市街は、建物だけでなくそこのある基本的要素が中世から続いていることが良く理解出来ます。それが私達を惹き付ける大きな魅力なのでしょうね。
続きを楽しみにしています。
by Akira (2012-09-11 09:38) 

HUH

Akiraさん、こんにちは。
Mittenwaldは確かに晴れませんでしたが、雲や霧に包まれた風景はそれはそれで迫力があり、とても印象的でした。十分に満足しています。
RailJetのサービスは確かに良くなったと思います。ビジネスクラスもかなりの席が埋まっていましたから、このサービス変更は良かったのではないでしょうか。
ザルツブルクの旧市街は仰る通り、建物だけでなく、中世の空気を想起させるのだと思います。ここでゆっくりするのも良いでしょうね。
by HUH (2012-09-12 21:43) 

Berliner

Berlinerです。こちらのブログへのコメントありがとうございました。
Mittenwaldbahnの報告、拝読。これは、Die schönste Strecke Deutschlandsですね。私も前から乗ってみたいと思っていたのですが、ベルリンからは遠く用事もないのでなかなか乗る機会がありません。今年は100周年記念ですから、夏に行きたかったのですが、機会を逃しました。これからでも行くか、記念切手を買うか・・、郵政趣味はありませんが。
靄にかすむ山や谷は幻想的ですね。心惹かれます。
by Berliner (2012-10-27 20:41) 

HUH

Berlinerさん、コメントを有難うございます。
Mittenwaldbahnは予想以上に見ごたえがありました。晴れていても、霞ががっていても、それぞれ美しい光景が楽しめそうです。REでゆっくり旅するのもとても良かったです。是非いちどご乗車ください。客車編成のREはもうすぐ442形電車に置き換えられるようですし。
by HUH (2012-10-30 22:34) 

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