SSブログ

12月30日 Basel → Köln [ドイツ・スイス鉄道旅行 2011-12]

 朝6時前に起床、身支度を整え、6時半にはHotel Helvetiaをチェックアウトする。まだ日の出前で暗く小雨が降っているが、Basel SBBの駅前にはトラムがしきりに発着している。Basel SBBの駅舎は石造りで重厚感があるが、中に入ると案外こじんまりとしている。フランスへの出入国管理ゲートが設けられているのは如何にも国境駅で興味深い。

2.jpg

1.jpg

3.jpg

4.jpg

 コンコースを歩いていると、聞き覚えのあるインバータ音、そしてキーッという派手なブレーキ音が響いてきた、おそらくICE 3が入線してきたのであろう。スーパーに立ち寄った後12番線ホームに下りると、確かに私が乗車するKöln Hbf行のICE 602が停車していた。今回、Zürich経由でヨーロッパ入りした大きな理由は、BaselからのMannheimの区間を乗車したかったことである。何度かドイツを旅行して幹線はそれなりに乗車したつもりだが、この区間は未乗のまま残っていたのだ。

5.jpg

 ICE 602はICE 3の単電源仕様403形を2編成併結(Tz 334 “Offenburg” + Tz 327 “Siegen”)した16両編成である。

6.jpg

7.jpg

 私は先頭の39号車(403 034-2)に乗る。ICE 3の1等車は1+2列の座席配列となっている、車内はガラガラ、特にホームの階段から遠い1等先頭車は私以外に乗客がいなかったが、私は事前に予約した102番席に座った。例によって、先頭ラウンジの席である。

8.jpg

 運転手も現れて、出発準備は完了。まだ外が暗いだけに、運転席との間の仕切りはスモーク状態になっており、前面展望は望めそうにない。
 待つことしばし、7時12分定刻にドアが閉まり、ゆっくりとBasel SBBを発車する。列車は南東に向かった後、大きく左にカーブして北々西へと進路を変えてライン川を渡り、Basel SBBからほんの5分程でBasel Badischer Bf.に到着する。Basel SBBが名前の通りSBB管轄なのに対し、こちらはDB管轄の駅である。ホームにはある程度の乗客は待っていたが、それでも1両に数人といったところだ。
 7時21分Basel Badischer Bf.を発車、左に貨物ヤードをのぞみながら列車は加速していく。といっても、外はまだ真っ暗で車窓からは何も見えない。ホテルを慌ただしく出てきたので、このタイミングで朝食を済ませることにする。36号車のBordBistroに行くと、食堂車の係員と車掌が暇そうに話していた。Bistro部のカウンターにいる係員に一言声をかけ、Restaurant部のテーブル席に座る。ここも、コーヒーを飲んでいる乗客が一人いるだけで空いている。ICE 3は当初はICE 1・2やICE-T (411形)と同様のBordRestaurantが連結されていたが、定員を増やす目的でBordBistroに改装され、24席あったRestaurant部は立席テーブルと2等席16席となった。しかし、実際にはこの2等席はRestraunt扱いとなっており、座って食事をすることも可能なのである。テーブルランプを残され、なかなか良い雰囲気である。

9.jpg

 BordRestaurantやBordBistroでは11時30分まで朝食メニューが用意されている、今回はその中で最も高い”Boulevard-Frühstück” 10,20 EURを注文した。これはコーヒー・ハム・チーズとパンのセットである。パンが5個、バター2個・クリームチーズ・蜂蜜・いちごジャム・nuttellaまで付くのだから、相当なボリュームである。朝からパン5個を食べ切るのは一苦労だが、目の前にあると美味しそうでつい手が伸びてしまい、結局完食。

10.jpg

 その間列車は暗闇の中を北へとひた走り、食べ終わる頃にFreiburg Hbfに到着するところだった、7時54分定刻である。2等車も含め相変わらず空いている車内を通って自席に戻り、ここからは車窓風景を楽しむことにする。

11.jpg

 Freiburgといえば景勝路線として名高いHöllentalbahnの起点、一度はゆっくりと乗ってみたいものだ。7時56分にFreiburg Hbfを発車する。BSB (Breisgau S-Bahn)が運営するElztalbahnが分岐するDenzlingenを過ぎると、列車は北東から北西へと大きく進路を変え、Riegelからは再び北へと向かう。
 8時を過ぎ、外がだんだんと明るくなってくる。雲に覆われた静かなドイツの朝は色彩にあ乏しいが、それはそれで印象的である。列車の速度は160km/hといったところか。Lahrを通過する頃には、架線柱に設けられた距離票が読めるようになった。

12.jpg

13.jpg

 程なく減速して、これまた景勝路線と知られるSchwarzwaldbahn (黒い森線)が合流すると、Offenburgに到着する。

14.jpg

 8時28分にOffenburgを発車すると一気に加速していく。ここからは長距離列車とローカル列車が分離された複々線区間となり。長距離列車用の線路は最高250km/hまで許容されている。最高330km/hまで認可されているICE 3にとって、250km/hは余裕のスピード。

15.jpg

16.jpg

 大きな揺れもなく、安定感のある快調な走りを見せ、Baden-Badenまでの40kmをたったの14分で走り抜ける。

17.jpg

 模型化されているBaden-Badenの駅舎を横目に、定刻の8時44分にBaden-Badenを発車、複線になるとまもなくRastattを通過する。ここからKarlsruheまでは路線がDurmersheim経由とMaisch経由に二分されるが、ICE 602は西側のDurmersheim経由を進む。先程の複々線区間と異なりスピードはあまり出ていない。まもなくKarlsruhe都市圏に入り、DB路線に乗り入れるトラムとすれ違う。Karlsruheのトラムは日本でもよく知られるようになったが、ICEとすれ違うトラムを実際に目にするとやはり新鮮である。暖冬でドイツでは雪がほとんど降っていないと聞いていたが、一瞬うっすらと雪が降った跡がみられた。

18.jpg

 ヤードを横目に、右からMaisch経由の路線が合流するとKarlsruhe Hbfに到着する。さすがに拠点駅、広い構内には101形牽引のICからトラムまで様々な車両が停車している。そして、181.2形の健在な姿もある。

19.jpg

20.jpg

21.jpg

22.jpg

 9時01分にKarlsruhe Hbfを出発、列車は快調に加速して北へと向かう。この区間も路線改良が行われ、250km/h走行が可能である。ドイツ鉄道は高速新線の整備があまり進んでおらず、ICEといえども在来線を走る区間が多いとよく言われるが、元々在来線は高規格で160~200km/hで走行可能な区間が多いこと、そして目立たないが、このような地道な路線改良は常に続けられていることは考慮するべきだろう。輸送密度がそれほど大きくはないドイツにおいて、このような路線改良はコストをかけずにスピードアップにつなげる手段として有効なのであろう。
 Wisental付近でStuttgartからの高速新線と合流する。Wisental – Neulussheim間では再び路線が二分されるが、列車はスピードを緩めることなく250km/hで快走を続ける。全長5380mのPfingstbergトンネルに入ると減速。このトンネルから北に直進する高速新線が建設される計画もあるが、現在のところは列車はトンネル内で左に大きくカーブする。トンネルを出ると、右側にヤードが広がり、まもなく9時23分にMannheim Hbfの3番線ホームに到着する。

24.jpg

25.jpg

 Mannheim HbfはICEネットワークの拠点駅、ここでBasel方面とMünchen方面のICEが接続する。ICE 602もここで10分以上停車し、MünchenからのICEと接続を取る、運転手がどこかに席を外したところで、私も気分転換に外に出て、しばらく撮影を楽しむ。

26.jpg

27.jpg

28.jpg

 程なくして、プラットホーム反対側の2番線にMünchen発Berlin行のICE 692が到着する。

29.jpg

 相互に接続を取った後、ICE 692は9時31分に先に発車していく。こちらも発車準備を整え、追いかけるように9時35分に発車する。MannheimからKölnまでは2月に乗車したばかりの区間である。Frankfurt/Mまでは在来線を走るが、200km/h走行が可能である。
 車内は相変わらずガラガラだが、車掌が飲み物は如何?とまわってきた。1等車では飲み物や軽食をBordBistroを席までデリバリーするサービスが行われており、せっかくなのでビールを注文する。ICEには2種類の生ビールサーバーが搭載されており、Beck’s PilsかFranziskaner Hefe-Weissbier Hellが楽しめる。私は定番のBeck’s Pilsにした。大小2種あるが、もちろん大。0.5Lで3,90EURは安いと言って良いだろう。

30.jpg

 列車はWormsからの路線が合流するBiblis付近で減速した意外は200km/hで走行する。主要幹線だけに旅客列車・貨物列車が次々とすれ違うが、Riedstadt-GoddelauからはS-Bahn Rhein-MainのS7系統も線路を共用するため、ますます離合する列車が増える。
 Mannheimから70.6km、ZeppelinheimでFrankfurt Stadion方面へ向かう路線から右へと分岐し、全長1559mのFrankfurter Kreuzトンネルに抜けると、Frankfurt Flughafen Fernbahnhof フランクフルト空港長距離駅に到着する。10時06分定刻である。
 空港駅でも乗車はそれ程多くはなく、先頭車は相変わらず全く乗客がいない状態、16両編成がもったいない。10時09分発車、ここから最高300km/hの高速新線NBS Köln-Rhein/Mainに入る。ICE 3の本領発揮、力強く加速していく。



 残念ながら外は小雨混じりの曇りで暗いせいか、運転席との間はスモークのままである。ただ、スモーク状態にも何段階かあるようで、今は半スモークといったところ、前方が全く見えないというわけではない。
 横に目を向けると、雨に濡れたスラブ軌道上の線路と保安装置LZB用の線が高速で後ろへと飛び去り、その向かうには丘陵地に広がるのどかな農村や森を望む。掘割区間もあるし、住宅が多い場所には防音壁が設置されてはいるが、車窓風景をゆっくりと眺めるのもそれはそれで楽しい。

32.jpg

33.jpg

 席を立って、デッキに設置された液晶ディスプレイを見ると、スピードは286km/hを示した。どうやら最高300km/hで順調に走っているようだ。最大40パーミルの勾配とカーブが続くだけに、立ち上がると時に強いGを感じるが、揺れはそれ程でもなく、安定した乗り心地である。

31.jpg

 Limburg Süd・Montabaurをトップスピードを維持したまま通過、Siegauenトンネルに入ると原則する。トンネルを出たところでHennefからの路線が右から合流してきて、、Siegburg/Bonnに10時47分に到着する。Frankfurt Flughafen Fernbahnhofからの145kmを38分で走り抜けたことになり、表定速度は229km/hに達する。ホームの反対側にはRE 9 “Rhein-Sieg-Express” のSiegen行が停車中、牽引はRegioに移籍した120.2形である。ルール地方では3両しかいない貴重な存在だが、写真を取れなくて残念である。

34.jpg

35.jpg

 ライン河右岸線も合流し、3複線の真中を走行する。Porz-Wahn付近でKöln/Bonn Flughafen ケルン・ボン空港ループが分岐していく。そのループが再び合流するとまもなく減速、Köln-Mülheimからの路線が合流、Köln Messe/Deutzを通過する。

36.jpg

 ゆっくりとHöhenzollernbrücke ホーエンツォレルン橋でライン川を渡る。

37.jpg

 左にKölner Dom ケルン大聖堂の偉容を見上げながら、右に急カーブを切り、Köln Hbfに到着する。11時05分定刻の到着である。

38.jpg

39.jpg

40.jpg

41.jpg

 4時間弱の長旅を終え、スーツケースを押して、コンコースへ降りる。まずはコインロッカーにスーツケースを預ける。このコインロッカーがなかなかの優れもの、エレベーターで地下に荷物を収納する構造になっている。大きな駅ではしばしばコインロッカーが不足するが、狭い駅構内で十分な収納スペースを提供する方法として有効であろう。
 次にトイレへ。ドイツの大きな駅は大抵有料だが、その分係員が常駐して清潔に保たれている。シャワーを併設しているところも多い。

43.jpg

 Köln HbfにはLufthansaのチェックイン・カウンターがある。これはDBとLufthansaが共同で実施しているAIRAIL Serviceの乗客向けの設備である。

42.jpg

 11時21分発 RE12 ”Eifel-Mosel-Express”のRE 12079 Trierに乗車する。もはやベテランと言える628形を2編成併結した4両編成である。Köln Hbfを北西に向けて発車した列車は、Köln Bbfのヤードの北側に沿って左に大きくカーブする。このヤードは長距離列車用の基地でICEやIC用の車両が留置されており、奥には103形の姿もみられる。南西へ向きを変えた列車は11時25分にKöln Westに到着する。

44.jpg

 私はここで下車するが、REはTrierに向けて、さらに2時間半以上の長旅に旅立っていった。Köln Westは貨物列車ファンの聖地、国境を越える様々な貨物列車が集まってくる場所として知られており、今回この駅に来たのも貨物列車が見たかったことは大きな理由である。しかし、SNCBの貨車が留置されていたものの、貨物列車はやって来ない。まあ、滞在時間10分では仕方がないが。

45.jpg

 次の機会を楽しみに待つことにして、11時35分発のRE22 ”Eifel-Express”のRE 10180に乗車する。今度は644形の3両編成である。この列車の始発駅はGerolstein、日本でも手に入るミネラルウォーターで有名な町である。

46.jpg

 発車すると列車はKöln Bbfの南側を走る。

47.jpg

 Köln Hbfへ到着する。ここで大半の乗客が下車、列車は残った乗客を乗せてライン川を渡り、終着のKöln Messe/Deutzに11時45分に到着する。
 続いて、11時53分発S12系統Hennef行 (423形)に乗り、1駅目のKöln Trimbornstrasseで降りる。2月に続いて、ここでしばらく撮影する。

48.jpg

49.jpg
ICE 612 (München Hbf – Dortmund Hbf)

51.jpg
423形S-Bahn

50.jpg
ICE 726 (München Hbf – Essen Hbf)

 再びS-BahnでKöln Messe/Deutzに戻る。ここでThalysを撮影する。

52.jpg

 12時39分発Kall行RB 11417に乗車、再び644形である。本日3回目のHöhenzollernbrückeを渡り、Köln Hbfに戻る。コインロッカーからスーツケースを取り出し、2番線ホームへ。

53.jpg

54.jpg

 発着する列車を眺めるうちに、そろそろ金曜の主役が登場する時間が近づき、ホームにも何人か鉄道ファンが集まってきた。
nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 2

hikari

ICEな朝食メニュー、
Boulevard-Frühstückの次ぎに、
Gourmet-Frühstück 15.20ユーロがありませんでした?

内容はBoulevard-Frühstück+オレンジジュース+好きな卵料理なんですが、もし無くなっていたとしたら、頼む人がそんなにいなかったのかも?
by hikari (2012-01-17 00:11) 

HUH

Gourmet-Frühstückはないのですが、各朝食セットに+2,50 EURでオレンジジュース、+3,50 EURでスクランブルエッグを追加できるシステムになっていました。

Boulevard-Frühstückだけでも相当なボリュームだから、二人でシェアしても良いくらいかもしれません。
by HUH (2012-01-17 20:53) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。