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2月12日 Köln → Bruxelles [ドイツ鉄道旅行 2011]

 ギリギリまで撮影していたので急いでKöln Hbfに戻り、コインロッカーでスーツケースを取り出す。ホームに上がる前に、売店でサンドイッチを購入する。ヨーロッパでのサンドイッチの美味しさは格別である、特にロールモンプス (ニシンの酢漬け)のサンドイッチは私の大好物である。日本では全く見たことがないが、日本でも受け入れられそうな味だと思う。
 慌ただしく18番線ホームに上がると、これから乗車するBruxelles-Midi行のICE 14は既に入線していた。ICE 3の国外の乗り入れ先はParis、Amsterdam、Bruxxellesであるが、既にParis、Amsterdamまでは利用経験があるので、今回は最後に残ったBruxellesへのICEの旅を楽しもうというわけである。
 停車中の車両はICE 3M (406形)のトップナンバー、Tz 4601編成である。ICE 14は14時16分にFrankfurt(M) Hbfを発車し、Frankfurt(M) Flughafen Fernbf、Limburg Süd、Montabaur、Sieburg/Bonnと高速新線の各駅に停車し、定刻ではKöln Hbfに15時39分に到着したはずである。

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 今回は先頭の31号車17番席 (2等席)を予約してある、言うまでもなくラウンジの最前部右通路側、前面展望が最も楽しめる席である。私は1等用レールパスを所持しているが、ICE 3は2等席でも十分快適であり、しかもラウンジからの展望は2等の方が良いので、ICE 3に乗車する場合は2等車を利用する場合が多い。しかし、2等車は混雑していることが多く、この列車も大半の席が埋まっていた。私の席にも中年の男性客が座っていたが、指定券を掲示して譲ってもらう。私も旅の際に必ず持ち歩く”Eisenbahnatlas Deutscheland”(ドイツ鉄道地図)を広げていたから、きっと同好の士なのだろう。でも、今日ばかりは譲れない・・・・。
 ICE 14は定刻の15時45分にKöln Hbfを発車する。まず北西方面に向かい、ICEやICなど長距離列車の集うヤードの脇を過ぎて、Köln-Nippes付近でNeuss方面の路線と分かれ、進路を真西へと変える。Gravenbroich・Mönchengladbach方面の路線が分かれるMüngerdorfを過ぎると列車は快調に加速していく。

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 KölnからAachenまでは在来線を高速化した改良新線ABS (Ausbaustrecke)となっており、特にDürenまでは複々線で高速線とS-Bahnが分離されており、高速線では最高250km/h運転が可能である。改良新線区間は線形が良く、ほぼ250km/hを維持して列車は快走するが、乗り心地は極めて良い。

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 複々線のうち、高速線側はICEだけでなく、REも利用している。この区間はREはRE 1 “NRW-Express”とRE 9 “Rhein-Sieg-Express”の2路線が経由するため、REの列車本数は多い。丁度、120形牽引のREとすれ違う。本来長距離輸送用の120形であるが、ICの列車削減で余剰が発生し、8両が120.2形に改番の上DB Regioに移籍し、そのうち3両が”Rhein-Sieg-Express”に投入されているのである。とはいえ、両数が少ないので、貴重な姿を目撃することができた。

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 続いて、Thalysともすれ違う。Paris - Bruxelles - Aachen - Kölnを結ぶThalysはICE 3と並ぶこの区間の花形列車である。元々、1日6往復が設定されていたが、2011年ダイヤでは5往復に削減され、その代わりBruxelles - Aachen - Köln – Frankfurt(M)を結びICEが3往復から4往復に増発された。

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 DürenはS-Bahnの終点である。KölnからDüren までは39.2km、250km/hであっという間に走り通す。ここからは複線となり、最高速度も160km/hとなる。

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 陽も傾いてきた中、車窓には田園風景が広がる。LangerweheではEuregiobahnの気動車が停車中、643形(Bombardier製TALENT)である。ドイツではどこに行っても、新型気動車が幅を利かしているが、Nordrhein-Westfalen州では特にTALENTが目立つ。

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  Eschweiler付近では急カーブが続き、列車も減速して通過する。まもなく、左に貨物専用線が現れると、Stolberg。貨物駅にはホッパ車が大量に停車している。
 列車は130km/h程でさらに西へと向かう。Nimmerトンネル(125m)、Eilendorferトンネル(357m)を過ぎると程なくして、車窓はAachenの市街となる。

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 左にAache-Rothe Erdeの貨物駅が広がる。コンテナ車を何両もつなげた貨物列車を牽引する多電源式の185形とすれ違うと、減速していく。注意信号を受けてゆっくりと進み、Köln Hbfから70.2km、Aachen Hbfには16時15分に到着する。時刻表を見たら、何と定刻より5分も早い、随分と余裕のあるダイヤである。

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 せっかくなので、ホームに降りて、写真を撮る。それでも時間があるので、車内に戻って35号車のBordBistroへ行き、Becksのビールを購入して席に戻る。やはりICEの旅にはビールは欠かせないのである。

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 Aachen Hbfを16時24分に発車すると列車は南西へと向かう。すぐに電源方式が変わり、3000V DC区間となる。電源切り替えは自動で行われるようだ。Aachen Südを通過するとNeuer Aachener Buschトンネル (全長711m)を抜ける。そして、Köln Hbfから70.2km地点で国境を越え、ベルギーへと入る。

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 Aachen Hbfから10km程のHergenrathを通過すると、在来線と分かれ、高速新線HSL 3に入る。

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 Aachen – Liège間56kmのうち、高速新線となっているのは42kmである。2009年6月に開業したばかりの新しい路線で、信号システムにはECTS level 2が採用されている。当初はICEのみがHSL 3経由となっていたが、2009年12月からThalysもHSL 3経由となり、在来線経由に比べ所要時間が20分あまり短縮された。
 列車は高速新線に入ると一気に加速、高速道路E40に沿って最高260km/hで走る。高速道路に沿って高速新線を建設する方法は最近のドイツでも一般的である、おそらく土地買収や環境問題などをクリアしやすいのであろう。
 高速新線はバラスト軌道、フランスのLGVに近い印象である。乗り心地は安定感があって、良好である。とはいえ、すれ違う列車は少ない。HSL 3はICEとThalys以外はごく一部のICが通るのみで、この立派な設備がもったいなく感じられる。

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 全長6530mのTunnel von Sourmagneを抜け、Vesdre川を渡ると、Chênèe付近で高速新線区間は終わり、残りの4kmあまりは最高160km/hの在来線を走る。すでに周囲はLiègeの市街地、列車は減速していき、16時46分Liège-Guilleminsに到着した。1分の早着である。

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 16時49分にLiège-Guilleminsを発車すると、Ansまでの6.5kmは在来線を走り、高速新線HSL 2に入る。

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 HSL 2は2002年に開業したが、当初ICE 3Mは渦電流ブレーキが信号システムへ悪影響を及ぼすことが懸念され、乗り入れられなかった。2004年12月からICEも高速新線経由となったが、300km/hまで許容されているThalysに比べ、最高250km/hに制限されている。
 HSL 2も複線、バラスト軌道で高速道路に並行している。列車はほぼ250km/hを維持しながら走る。外は大分暗くなり、雨も降りだしたが、幸いにもまだ前面からの展望は楽しむことが出来るレベルである。

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 高速新線区間64.7kmをあっという間に走破し、Leuven付近で減速、ここから30km程は在来線区間となる。とはいえ3複線で近郊列車とは軌道が分離されており、真中の複線を160km/h程度で西に向けて走る。Antwerpなど、様々な路線が集まってくる頃には、Brussels市内に入っており、既に減速している。多くの乗客が下車の準備をする中、17時26分、1分の早着でBruxelles Nordに到着する。

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 今回のドイツ旅行を通じて、ドイツ鉄道の列車はほぼ時間通りに運行されており、早着することもしばしばであった。12月に全国的な遅延が大きく取り上げられていたので、この正確さは嬉しい誤算であった。しかし、最後の一区間でついに遅れが生じた。ICE 14はBruxelles Nordを17時29分に発車するはずが、なかなか動き出さないのである。そうこうしているうちに、ホームの向かい側をThalysが先行していく。どうやら遅延したThalysを待っていたようだ。結局、3分遅れて17時32分に発車、終点Bruxelles-Midiには17時38分に到着した。Köln からわずか2時間弱の旅、本当に便利である。

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 これでICE 3とはしばしの別れとなる、じっくりと編成を眺めて回る。あとはParisに向かうのみである。

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コメント 2

Gut

おはようございます。
120がREを牽引しているんですね。新しい発見でした。
我が家でもその編成で遊んでみようと思います。
by Gut (2011-10-03 08:59) 

HUH

Gutさん、こんにちは。
120形は2箇所でREに運用されています。

DB Regio Nord (120 201-205: 5両)
RE1 "Hansa-Express" (Hamburg – Schwerin – Rostock – Stralsund)

DB Regio Rheinland (120 206-208: 3両)
RE9 "Rhein-Sieg-Express" (Aachen – Köln – Siegburg/Bonn – Siegen)

いずれも2階建客車6両(制御客車付)という編成です。
余談ですが、通常103形で運用されるIC 2410/2417に代走で、このRegio仕様の120.2形が使用されるケースもあるようです。

ぜひ模型で再現してみてください。ブログへの掲載を楽しみにしています。
by HUH (2011-10-04 12:40) 

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