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BUNTE BUNDESBAHN - Die farbigen Jahre der DB 1980 bis 1993 [ドイツ鉄道 書籍]

 ドイツ鉄道の魅力というと、大型の蒸気機関車と、様々な客車列車を思い浮かべることだろう。1980年代はTEEも殆どなくなり、ドイツ鉄道にとって決して華やかではないが、全国で客車列車が走り回り、いかにもドイツらしい鉄道シーンが展開された時代とも言える。1980年末から1984年秋までドイツに住んだ私にとっても、1980年代のドイツ鉄道には特別な思い入れがある。
 最近、定期購読しているToday's Railwaysの書評欄で紹介されていた"BUNTE BUNDESBAHN"はまさにこの1980年代のドイツ鉄道を扱っており、早速購入した。

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 “BUNTE BUNDESSBAHN”は1980年~1993年という、ドイツ連邦鉄道Deutsche Bundesbahn末期をテーマにした写真集である。解説はほとんどないが、その代わりカラー写真が豊富に収録されており、車両のイラストも随所に盛り込まれている。
 少し変わっているのが、章立である。第1章は緑・青・赤一色に塗られた機関車達を扱っている。110形、151形、218形といった、現在も活躍する機関車の写真も収録されているが、特に興味深いのは1980年代初頭で引退したE94、E18、V200といった古典機の最後の活躍ぶりである。

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 第2章は近郊輸送・ローカル輸送で活躍した列車を扱っている。Schienbusに貨車を連結した編成など、直ぐにでも模型で再現したくなる。さらにE94、145形などの古典機から、212形、215形、110形など様々な機関車にけん引されたSilberllinge客車の編成、420形電車、614形気動車、当時の新型S-Bahn編成など、地元の足として活躍した様々な列車達の姿を眺めるのは実に楽しい。
 第3章はいわゆるタルキス塗装の車両を特集している。タルキス塗装は地味な塗装であるが、どの機関車にもなかなか似合っているし、ドイツの風景に非常によく溶け込んでいる。

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 第4章はIC特集、ここでの主役は言うまでもなく103形である。1980年代のフラッグシップだけのことはあり、写真の点数も多いところが嬉しい。もちろん、110形や111形牽引のICの写真も掲載されているが、その中でも103がたの美しさは格別である。

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 第5章は昼行・夜行の長距離列車を扱っている。この書籍の中でも、写真が最も面白いのはこの章であろう。雑多な客車を連結した国際列車は、ヨーロッパ鉄道ならではの魅力である。そして、それらD-zugを牽引する110形や111形の写真を眺めると、これらの機関車の全盛期がまさにこの時代だったと感じさせる。

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 第6章は国外で活躍するDBの機関車がテーマである。主役は181.2形であるが、110形や111形、E94などがオーストリアを走る姿もなかなか魅力がある。ドイツに住んでいた頃、E94を見た記憶は全くないのであるが、1980年代前半はまだまだE94が活躍していたのである。
 最後の第7章はドイツ鉄道の新塗装を扱っている、すなわち、各機関車に施されたOrientrot塗装から、IC、IRからローカル用車両、S-Bahnまで、様々な車両の新塗装を紹介している。現在、Orientrotの機関車は既に数えるほどしか残っていないことを考えると、これら比較的新しい写真もなかなか貴重である。そして、今になって振り返ると、この時代の塗装も、それはそれで味わいがあると感じるのである。

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 この書籍に収められた写真には特別な列車も特別なイベントも登場しない。一枚一枚の写真はあくまで日常の鉄道風景を切り取ったものである。しかし、鉄道の最も美しい姿は、日常当たり前のように走る姿であると思う。そして、”Bunte Bundesbahn”は80年代を走り抜けた車両達の日常を鮮やかに蘇らせてくれるのである。
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コメント 5

きたのぶ

良さそうな本ですね。
レールバス+貨車という列車は、HOで似合うレイアウトを作ってみたいと暖めている構想のひとつです。
by きたのぶ (2010-11-17 22:30) 

masato-marklin

解説がほとんどない・・
思わず私も注文してしまいました。
by masato-marklin (2010-11-19 06:48) 

HUH

きたのぶさん
レールバスなら小さなスペースでもレイアウトが作れそうですから、良いですよね。私は、オーバーアマガウへ向かう426形とか、旧東ドイツ圏で活躍する642形に向くレイアウトを作りたいと時々思います。

masato-marklinさん
この本は買って損はないと思います。解説を翻訳ソフトを駆使して読むのも悪くないですが、我々にとっては、写真が一番の情報源ですね。
by HUH (2010-11-21 22:27) 

南那 轟

私も注文してしまいました(笑)。昨日届きまして、さっそく見入っています。実は1993年までのDBといわれても全く知らないのですが、その後行ったライン渓谷やケルンなどのターミナル、それに何度か撮影した103型や218型などの機関車が豊富に登場し、たいへん興味深い内容でした。良い本をご紹介頂き、ありがとうございました。それにしても、車両の色がまるで違うなぁという印象です。タルキス色の多いこと。それに103型が当たり前すぎます(羨)・・・。
by 南那 轟 (2010-11-29 14:54) 

HUH

南那さん、返信が遅くなり申し訳ありません。
ライン川など、今の写真と比べても風景はあまり変わっていないのですが、車両は全く別世界ですね。でも、103や218にとってはまさに全盛時代、その姿を見るだけでも楽しいです。
by HUH (2010-12-11 13:39) 

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