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9月5日 Daejeon → Seoul → Tokyo [韓国鉄道旅行 2010]

 大田駅では30分程の乗り換え時間がある。デジタルカメラのバッテリーがいよいよ切れそうなので、この乗り換え時間を利用して電器店を探すことにする。Sさんが付きあってくれて、一緒に駅前に出るが、電器店らしき店は見つからない。5分程駅前を見て回ったところで諦め、地下街へ向かう。地下街は地上以上に活発で商店が並んでおり、特に携帯電話店が目立つ。運良く、デジタルカメラを扱うお店を無事に発見したが、私のデジタルカメラに合うバッテリーは在庫していなかった。しかし、この際ポケットに入るようなコンパクトなカメラを購入しても良いと考えていたので、新品を何点か見せてもらい、Samsungのデジタルカメラを購入した。
 大田駅の駅舎は思ったよりも小さかったが、利用客は多く、賑やかである。この駅にもコンコースにはNゲージのレイアウトが設置され、KatoのE231系が置かれていた。鉄道趣味のない国と言われる韓国で、これだけ鉄道模型を目にするとは意外なことである。あとは韓国の鉄道車両の模型が登場したら面白いのだが。

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 ホームに下りると、まもなくソウル行のムグンファが入線してきた。反対のホームには釜山方面に向かうムグンファも到着した。牽引機はどちらも8200形である。京釜線のムグンファは編成が長いが、大半の座席は埋まっている様子で、KTXが登場した現在も庶民の足としてムグンファが重要な存在であることが分かる。

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● KTX132 (Daejeon → Seoul: 159.8km)

 12時55分、我々が乗車するKTX132が入線してきた。旅の最後を飾るのはKTX-サンチョンである。

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 昨日はソウルから釜山まで特室を利用したが、今日は一般室である。事前に確認したところ、KTX132は特室・一般室とも満席である。指定された5号車8D席に座る。列車は3婦の暮れの12時58分に発車する。
 大田操車場で湖南線と合流すると、続いて在来線と分かれ、高速新線へと入っていく。甲川に沿って走る。左側の高層住宅にはExpoの文字がある。大田は1993年に万博が開催され、甲川に沿った一帯がその会場跡なのである。

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 列車は滑らかに加速していく。250km/hを超えると、車内モニターには現在スピードが表示される。KTX-サンチョンは編成重量403t、出力8,800kWで、重量あたりの出力は従来のKTXを凌駕しており、このスピード域でも加速はなかなか鋭い。
 一般室の座席もなかなか快適である。KTX-サンチョンでは客車の車体幅が2,904mmから2,970mmに拡幅され、シートピッチも930mmから980mmに広げられたことで、全座席が回転可能になった。シートは灰色地に花柄があしらわれ、上品である。セマウルのような広さはないものの、在来型のKTXに比べ格段の進歩を遂げている。特室の内壁は木目調であったが、一般室はFRPとなっている。しかし、間接照明の効果もあり、なかなか上品な雰囲気である。惜しむらくは、デッキと客室内とのデザインに一体感がなく、この間に断絶があろうか。

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 車窓にはで田園風景が広がる、天気は曇りだが、ところどころで霧が出ている。列車は290km/h以上のスピードで疾走しているが、車内はいたって静か、揺れも少ない。車内モニターは300km/hを超え、305km/hに達するが、まだまだ余裕を感じさせる走りである。

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 天安牙山もトップスピードを維持したまま通過する。しばらくして、一旦スピードが200km/h台前半まで落ちるが、再び加速、280~300km/hでソウルへ向け疾走する。高速新線上には防音壁が設置されている区間も多いが、それでも日本と似ていながら、どことなく異なる韓国の車窓風景を眺めるのは楽しい。

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 減速しながらトンネルに入ると、まもなく光明駅を通過する。再びトンネルを抜けると激しい雨が降っている。始興連絡線分岐で在来線と合流すると、列車は100km/h程度で首都圏電鉄の列車と並走する。

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 永登浦を通過し、昨日撮影を楽しんだ新吉も通過すると、さらに減速し、ゆっくりと漢江を渡る。



 龍山を通過し、13時51分定刻にKTX132はソウルに到着する。8割方の乗客が席を立ち、我々もここで下車、総走行距離1307.1kmに及んだ韓国鉄道旅行の最後を飾るにふさわしい、素晴らしいKTX-サンチョンの旅を終えたのであった。
 KTX132は車庫のある京義線の幸信が終着駅である。反対側のホームに移動し、14時01分に発車していくKTXの発車を見送る。

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 買い物に行くSさんと別れ、ソウル駅構内の韓国料理店に入る。遅めの昼食をピビン麺で済ませた後、地下鉄1号線で鐘路駅へ向かう。ソウル市内は相変わらずの激しい雨、少しは観光でもしたかったのだが諦め、韓国の新しい鉄道雑誌”Railers”を探すことにしたのである。しかし、鐘路駅周辺の大きな書店を3店巡るが、どこも在庫はなく、今回は諦めるしかなさそうだ。
 そうこうするうちに、雨は小ぶりになっていた。ここは景福宮に近い。せっかくなので、観光していくこととする。世宗大路へ出ると、大きな世宗坐像が現れる。世宗はハングルを制定したことで知られ、現在も韓国史上最高の名君の誉れ高い。

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 その後方に、景福宮、さらに奥には韓国の大統領府、青瓦台も姿を見せる。

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 復元されたばかりの光化門をくぐり、景福宮の中へと進む。丁度行われていた衛兵の交代式を見て、正殿にあたる勤政殿へ行く。それにしても景福宮は広い、広すぎて到底回りきれず、お土産を買ったところで引き上げることにする。

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 光化門を出てタクシーを拾い、T師匠の宿泊するプレジデントホテルへ行く。ここで、デジタルカメラのバッテリーの充電を兼ねて、一休みする。
 T師匠はもう一泊するが、私はこれから金浦空港発の便で帰国する。早めの夕食を摂って、空港へ向かうこととし、17時過ぎには出発する。まず地下鉄1号線で市庁から新吉駅に移動する。最初は新吉駅で適当に夕食を摂った後、5号線で金浦空港に向かうつもりであったが、乗り換え駅が悪い。鉄道ファンとしては本能的に、夕食よりも、列車の撮影を優先してしまう。昨日と撮影場所は全く同じ、時間帯も同じであるが、少し引き気味に撮影する。

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KTX

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ヌリロ

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セマウルDHC

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ヌリロ

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KTX

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7300形 + セマウルDHC

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KTX-サンチョン

 KTX-サンチョンの満足の出来る一枚を撮ったところで撤収、T師匠とともに5号線に乗る。金浦空港までは30分弱である。最初は空席がなかったが、ソウル中心部から遠ざかると共に車内は空いてくる。座席はロングシート、しかもシートモケットはなく、金属がむき出しだが、思った程冷たくはない。おそらく断熱材が工夫されているのではないか、というのはT師匠の推測である。

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 金浦空港駅から一昨日も通った連絡通路を歩き、5分程で国際線ターミナルへ行く。時間は18時過ぎである。これから搭乗するANAのNH1294便の出発まではまだ2時間程ある。搭乗手続きカウンター前には行列が出来ていたが、流れはスムーズで、15分ほどで手続きは完了。Sさんとも合流し、韓国での最後の夕食を摂ることにする。
 ターミナルビル内の韓国料理店に入り、注文したのはテールスープである。もう少し辛いものが欲しい気もしたが、これはこれで美味しかった。



 金浦空港のターミナルビルの中にはフードコートもある。こちらの方が種類が豊富で楽しめたかもしれない。お土産も購入したところで、もう一泊するT師匠と別れ、出国手続きを済ませて搭乗口へ向かう。
 NH1294便はB777による運航である。出発15分前に搭乗開始、機内はほぼ満員となった。定刻に出発、成田空港のように滑走路まで延々と走ることもなく、スムーズに離陸する。エネルギーに満ち溢れた、韓国の夜景もまもなく雲に隠れ、飛行機は一路東へと向かう。

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 途中何度か大きく揺れたものの、サービスは通常通り行われ、パスタの機内食も出た。赤ワインとともに最後の食事を済ませるうちに飛行機は日本上空へ。22時15分、羽田空港に定刻に到着した。

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 韓国の鉄道は予想以上に充実していた。秒単位で正確という程ではなかったが、遅れてもほんの数分で、最近のヨーロッパに比べれば高いレベルで定時性が確保されていたし、車両についても、様々な国から車両を導入する中で技術力を高め、独自の発展につながりつつあることが実感できた。車内設備も非常に快適で、カフェカーに代表されるような斬新なアイデアが取り入れられている点も印象的であった。趣味的にも、大陸の鉄道の雰囲気を持ち、多彩な国の車両が一緒に走り回る姿を眺めることは大変興味深く、近い将来の再訪を期して、2泊3日の慌ただしくも楽しい韓国鉄道旅行を終えたのであった。
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