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9月4日 Cheonan → Suwon → Seoul  [韓国鉄道旅行 2010]

●Saemaeul1056 (Cheonan → Suwon: 55.1km)

 ヌリロに乗り遅れてしまった。しかし、ホームの発着案内を見ると、16時25分にソウル行のセマウルがある。時刻表を確認すると、セマウル1056は水原までには停車駅の多いヌリロを追い越すようだ。16時20分を過ぎており、もう切符を買いに行く暇はないが、とにかく乗ってしまうこととしよう。

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 セマウル1056 は2~3分の遅れで到着した。この列車は釜山の第二のターミナルである釜田発、古都慶州を経由してソウルへ向かう列車である。

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 車内はかなり混んでおり、3人で座れる空席を見つけるのは難しそうだ。水原までは30分少々、カフェカーで時間をつぶすことにする。16時28分に天安を出発した列車は、遅れを回復するべく、疾走する。この区間は最高140km/n、かなりのスピード感である。天安からはソウルの首都圏電鉄1号線が並行する複々線区間、電鉄線には通勤電車が行き交う。しかし、ソウルまでは147km、通勤電車で行くには辛い距離である。
 カフェカーはなかなか利用者が多く、確実に定着していることが分かる。アーケードゲームやカラオケは必要か、という点は置いておくとして、このような車両を連結するアイデアは非常に良いと思う。
 ところで我々はこの区間はヌリロの切符しかもっていない。しかし、ヌリロはムグンファと同じ安い運賃体系であり、セマウルには本来は乗れない。車掌が回ってきたら、セマウルが遅れたのが悪いと言いましょうなどと息巻いていたが、肝心のなかなか検札に回ってこない。
 そうこうするうちに、セマウルは平澤に停車。遅れは変わらないが、この調子なら水原までにはヌリロに追いつけそうだ。西井里で待避中のヌリロを抜く。水原まであと10分、そこへ車掌がカフェカーに検札に回ってきた。赤い制服を来た、美人の女性車掌に片言の英語で事情を説明すると、車掌は困り顔、英語で申し訳なさそうに水原までの切符は買ってもらわなければならない、と仰る。ジェントルマンである我々、美人の困り顔には弱い。先程の勢いはどこへやら、愛想良く、もちろん買いますよ、と返答。発券するので少し待つように言われ、車掌はPDAをいじり始めたが、しばらくして近づいてきて、”You are lucky.”と仰る。要するにPDAの調子が悪くて、すぐに発券できないから、今回は目をつぶってくれるようだ。ただし、水原で降りるように念を押された。セマウルが遅れる時点でラッキーではない、と心の中では思いつつ、笑顔でお礼を言う。
 列車はまもなく減速、水原には17時03分に到着した。

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●Nooriro1736 (Suwon → Yeongdeungpo: 32.4km)

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 慌ただしく発車していくセマウルを見送ると、先程追い越したヌリロがすぐに入線してくる。

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 水原からセマウルに乗車する人はほとんどいなかったが、ヌリロに乗りこむ人は多い。車内は立客もかなりいて、混雑しているが、我々は座席を予約しており、無事に指定された席に座ることが出来た。

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 ヌリロは2009年6月1日にデビューしたばかりの新しい列車、現在はソウル-新昌間11往復、ソウル-忠州-堤川間1往復で運転されている。ヌリロに使用される200000系電車は日立製で、A-Trainの技術で基づく。正面から見ると、アレクサンダー・ノイマイスターがデザインを担当したSiemensのDesiro ClassicやBombardierのTalentに似た印象を与える。日立のA-Trainのプロジェクトにもノイマイスターは関わっているようなので、スタイリングも自ずと似たのかもしれない。車体側面をみると、「フレッシュひたち」そのものといった印象を受けるが、特徴的なのは韓国の低いプラットホームに合わせて、側扉下には開扉に合わせステップが自動的に展開されることであろう。
 車内も日立製特急電車に近い印象を与えるが、車体幅が31800mmと新幹線サイズであるため、随分と広く感じる。その大きな車体に2+2列配置で座席が並ぶのだから快適である。座席も「フレッシュひたち」の普通席に比べ、少し大きいように感じる。
 水原を17時07分に発車、定刻より3分ほど遅れているのは、セマウルに先行させて影響であろう。ヌリロは電車ならではの鋭い加速で、スピードに乗る。130km/hくらいは出ているようだが、200000系は最高150km/hの性能を持つだけに、まだまだ余裕を感じさせる。車窓には高層住宅が並ぶ、ソウル都市圏は本当に広い。列車はロッテデパートが併設された安養駅にも停車する、ここでもある程度の乗降がある。

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 安養を出発すると、5分程でソウル市内に入り、高速新線からの連絡線が合流する。次々と電車がやって来る電鉄線を横目に、ヌリロはラストスパート、17時31分にソウルの南のターミナル、永登浦に到着する。我々も多くの下車客に交じって、ここで下車する。

 本来であればヌリロの発車を見送るところであるが、我々は急いで電鉄線ホームへ移動し、すぐにやってきた列車で隣の新吉駅に移動する。新吉駅はS字カーブを通過してくるKTXやセマウル、ムグンファなどを手軽に撮影できるポイントとして知られており、私たちもしばらく撮影を楽しむこととなったのである。急いだのは、KTX-山川の発車時間が迫っていたからである。
 新吉駅のホーム端に行くと、現地のファンが撮影していた、鉄道趣味がないと言われた韓国も変わり始めているのだ。ソウル駅に近い場所だけに列車本数は多く、5分も開けずに次々と列車が通過し、眺めるだけでも楽しい。その中でも、やはりKTXの本数は突出しており、KTXが韓国の長距離鉄道輸送の中心的な存在であることを実感する。

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KTX

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KTX

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7400形がセマウル用DHCを牽く。回送だろうか。

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KTX-山川

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7400形牽引のムグンファ。韓国のDLは迫力満点である。

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8200形牽引のムグンファ

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KTX

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KTX

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セマウル

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8200形牽引のムグンファ

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貨物列車も通過する。

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KTX

 新吉駅は電鉄線を走る車両の撮影には向かないが、それでも韓国の通勤電車を眺めるのは楽しいものである。電鉄線には抵抗制御の1000系も残るが、主力車両は5000系である。5000系は製造時期によって前面のデザインが異なり、第二世代は「トングリ」、第三世代は「新トングリ」と呼ばれている。トングリ、新トングリは丸っこくて愛嬌があり、シンプル一辺倒の日本の通勤電車に比べて好感が持てる。また、ソウルメトロの車両も電鉄線に乗り入れてくる。

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Korail 1000系

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Korail 5000系

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Korail 5000系「トングリ」

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Korail 5000系「新トングリ」

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Korail 5000系「新トングリ」

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ソウルメトロ 新1000系

 40分程経ったところで、日も落ちてきたので撮影を終える。再び1号線に乗る。1号線はこのまま地下鉄にも乗り入れる。車体幅は新幹線とほぼ同じ、日本の地下鉄に比べ広々としている。漢江を渡って、龍山駅で下車する。

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 龍山駅は木浦・光州など、韓国西部方面へ向かう湖南線のKTXやセマウル・ムグンファが発着するターミナル駅であり、構内もソウル駅と同様に広い。夕暮れの駅前もなかなか賑わっている。

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 ここで下車したのは、駅のターミナルビルに入居している大きな書店に寄るためである。実は出発前に韓国で初の鉄道雑誌、"Railers"が創刊されたことを知り、探しに来たのである。しかし、残念ながらこの書店には雑誌は扱っていなかった。
 諦めて再び1号線に乗車する。ソウルタワーが右に姿をのぞかせる。龍山から2駅目がソウル駅である。ソウル駅まではKorailの首都圏電鉄1号線であるが、ソウルからはソウルメトロ1号線となる。電気方式も首都圏電鉄区間は交流、ソウルメトロ区間は直流で、ソウル駅手前にデッドセクションがあり、一瞬照明が消える。

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 我々はソウル駅の一駅先、市庁駅で下車する。少し疲れたので、ホテルに戻り、30分ほど休憩した後、夕食に出ることとする。ソウル一の繁華街、明洞までは歩いて10分ほどである。向かったのはトッサムシデ、豚三枚肉の焼肉サンギョプサルの専門店である。

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 豚肉から出る油は傾けた鉄板から流れ出るようになっており、その油でキムチも焼く。油が落ちる分、豚肉は意外とさっぱりしている。その豚肉をサンチュやエゴマの葉にくるんで食べる。韓国は豚肉が美味い。韓国焼酎チャミスルもすすみ、すっかり満足する。

 食後は明洞を散歩する。週末だけあって賑わっている。

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 食事の締めは全州中央会館、おなじみのピビンパである。ここでもビールを飲む。

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 お腹も満たされ、良い具合に酔いも回る。明洞にはおでんから、トッポギから甘いものまで、様々な屋台が並んでおり、眺めて歩くのも楽しい。トッポギと海苔巻を購入し、さらにコンビニエンスストアでビールを調達する。ホテルに戻ってシャワーを浴びたところで、Sさんと私の部屋にT師匠が合流、ビールと屋台で買ったつまみで3次会を楽しみ、一日を終えたのである。
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コメント 3

タブレット

お久しぶりです。

弾丸ツアーの韓国旅行楽しまれたようですね。
Blogを拝見、してHUHさんがT師匠、Sさんと一緒に楽しまれた様子がよく
わかりました。
今度、お会いした時に今回のツアーについて詳しくお聞かせください。

近くでヨーロッパ的な車両に乗れるのはいいですね。
KTXもだいぶ改良されたみたいですね。
米国、ブラジル等への輸出で日本の新幹線、ドイツのICE3、本場フランス
のTGVのライバルになりそうですね。
本当のライバルは中国のE2改や、ICE3改かもしれませんね。

弾丸ツアーの予定があれば、是非お誘いください。
それでは、また。
by タブレット (2010-09-19 06:21) 

だんきち

ここまで旅行記を読んで基礎的な疑問ですが、、、

もう13年前になりますが、初めてソウルに行ったとき、どこだったかの地下鉄駅にNo photographyと書いてあったのを覚えています。
なにぶんにも古い話ですし、まして今の韓国が鉄道の写真を撮ることを規制する理由も無い思うのですが、今回の旅行で撮影に支障はありませんでしたか?
by だんきち (2010-09-19 13:45) 

HUH

タブレットさん
高速列車の受注は、単純な技術競争ではないですからねえ。いくら技術が良くても、コストの問題もありますし、結局導入する側の状況によって、最適な列車は異なると思います。そこに政治的な問題が絡むわけですから、複雑怪奇ですね。
是非また弾丸ツアーにいきましょう。

だんきちさん
そういえば、ヌリロに乗る直前に先頭部のスナップを撮っていたら、他の乗客に何か言われたので、写真を撮るな、ということだったのかもしれません。
ただ、それだけで、ソウルや釜山駅では何も言われませんでした。新吉駅では地元の鉄道ファンが撮影していましたし、聞いたところでは現地でも撮影ポイントとして知られているようです。
もちろん、三脚などは使わず、普通のデジカメで撮っていただけですが、それくらいであればうるさく言われないのではないでしょうか。支障はまったくありませんでした。
by HUH (2010-09-22 20:51) 

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