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Ex-MET Wagen [ドイツ鉄道 客車]

1999年8月、Koeln-Hamburg間に、新しい特急列車MET (Metropolitan)の運転が開始された。この列車の運行にあたり、DBは子会社Metropolitan Express Train GmbHを設立し、専用客車を2編成新製した。牽引は最新鋭の101形、機関車・客車共、シルバーに塗装された車体、そして黒革シートや木目調のテーブルなど重厚なインテリアはドイツ鉄道のこの列車に対する意気込みを感じさせた。車内も従来の1等・2等ではなく、Office、Club、Silenceの全く新しいカテゴリーに分類され、いずれも従来の1等に相当するサービスを提供するとともに、Lufthanaのマイレージプログラムと提携するなど、ビジネス客を意識した様々な工夫が凝らされた。
しかし、残念ながら乗客数は期待したほどではなく、料金の値引きや2等に相当する新カテゴリーであるTravellerが設定されるなどのテコ入れが行われるも、抜本的な解決には至らず、2004年12月ついにMETは廃止され、ICEに置き換えられた。

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MET用に製造された2編成の専用客車はそれぞれ7両編成で、片側には制御客車を連結している。制御客車の先頭部分はIC用制御客車と共通のデザインだが、側面は連続ガラス窓でICE客車に近い印象を受ける。MET廃止後、客車はICE色に塗装変更された。

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登場当初は1等車相当とされたため、全車座席配置は1+2列であったが、後にTravellerの設定に伴い、2両は2+2列配置に変更された。MET廃止後は1等車は制御客車とその隣のBordBistro車の一部のみになり、2等車5両となったが、この時に2等車化された車両も座席配置は変更されておらず、1+2列配置のままで、お得の車両と言えるかもしれない。また、MET登場当初はBarは2か所設置されていたが、現在は1か所のみの営業とされている。

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牽引機は101形で、それも牽引対応設備を備えた124/126/130/131号機の4両のみに限定されている。101 130/131はMET登場時はMET塗装となっていたが、現在は通常のVerkehrsrot塗装である。

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他のIC客車と全く設備が異なるため、元MET客車は限定運用が組まれている。
2004年12月からはKoeln / Duesseldorf - Berlin間のICEに投入された。その後は運行区間を変えつつ、ICEまたはICとして運行されているが、2編成しか存在しないことから投入列車は多くとも1日6本程度、それも曜日限定のことも多く、希少な存在であった。
私は2005年3月にHannover - Duesseldorfで乗車し、2006年9月にはBochum近郊でこの編成を撮影した。

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2009年12月ダイヤ改正以後、元MET客車以下の列車で使用されている。
ICE 1106: Berlin Südkreuz → Hamburg Altona (毎日)
ICE 1105: Hamburg Altona → Berlin Südkreuz (毎日)
ICE 1100: Berlin Südkreuz → Hamburg Altona (土曜以外)
ICE 1107: Hamburg Altona → Berlin Südkreuz (土曜以外)

Berlin-Hamburg間のICE-Linie 28 Muenchen - Berlin - HamburgとしてICE-Tにより運行されてきたが、車軸問題からICE-Tの編成数が不足しているため、現在はLinie 28 Sued: Muenchen - Berlinと Linie 28 Nord: Berlin - Hamburgに系統が分けられている。Linie 28 Nordは大半の列車がICE 1により運行されているが、2往復については、この元MET客車が活躍しているわけである。 同区間はわずか所要2時間程度であるが、ドイツの2大都市を結ぶ高需要路線であり、また最高230km/h走行が可能な改良新線で101形+元MET客車の性能を存分に発揮できることから、この車両が活躍する場としてふさわしいと言えるかもしれない。

残念ながらMETは5年あまりで廃止となり、この新しい試みは失敗に終わったが、私語や携帯電話禁止のSilence車両など、後のICEに継承された画期的なサービスの先駆けとなった存在でもあった。METの存在が語り継がれるためにも、この客車の今後の活躍を期待したい。

Metropolitan / RiG
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-metropolitan.htm
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コメント 3

Akira

こんにちは、HUHさん。

MET客車のコンセプトは、当時実に斬新なアイデアで満ち溢れていました。特に列車を等級別から目的別に区分けしたのは、エポックメーキングな出来事と言って良かったと思います。
問題だったのは、いくら競争相手が航空機とは言え、1等車のみの設定というのは、TEE時代ならいざ知らず、DB上層部の利用者ニーズの認識不足であるとしか言えないでしょう。彼らはいつも1等車しか乗らないから、このような提案を平気で受け入れたとしか思えないと批判されても致し方ないと言えます。

それにより、この列車も2等車への改造など改善策は試みたものの...。敢えなく廃止の運命を辿ったわけです。そのために前述した目的別区分けという新しい考え方もいつしか無くなって...。これからまた新しい進化を期待したいものです。
by Akira (2010-01-11 09:44) 

HUH

Akiraさん
こんにちは。ドイツをちょっと旅行すれば、1等車に比べ2等車ははるかに空いていることは分かります。そういう意味では、オール1等車の列車を走らせること発想自体がとんちんかんでした。しかし、METのコンセプトには先進的な点も少なくありませんでした、仰る通り目的別の区分けはその最たるものですし、考え方は確実にICEなどのサービスに生かされているように思います。
ところで、METの辿ったHamburg-Koeln間に8月から新列車が登場します。DBではなく私鉄による運行です。車両は何と元OeBBの4010形!
by HUH (2010-01-15 12:37) 

Akira

こんにちは、HUHさん。

Rh 4010 / OeBBを利用した新しい列車は期待出来ますねぇ。最高速度はMETに比べてやや劣るかも知れませんが、路線自体は高速対応にはなっていなさそうなので到達時間は変わりないでしょうね。
期待するのは、アコモデーションと塗装でしょうか。ALEXやInterConnexのような感じなら室内はさほど変化なし...で、塗装に拘るかも知れません。

チケットがスーパーなどで購入出来ると聞いている民間運営の列車にちょっと期待したいですね。
by Akira (2010-01-19 11:34) 

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