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Neubau-Dampfloks (Eisenbahn Journal Sonder-Ausgabe 4/2006) [ドイツ鉄道 書籍]

RiGで最も手薄な分野が蒸気機関車であることは否定できないところである。それというのも、蒸気機関車は技術的に難解でについてはやや敷居が高く、まとめるには労力が要ること、さらに篠原正瑛著「全盛時代のドイツ蒸気機関車」という圧倒的な名著がすでに存在しており中途半端なものを作っても・・・という思いがあるからである。とはいえ、蒸気機関車には抗しがたい魅力があるのも否定できない。黒い車体の中で華やかでいながら重厚な赤い動輪は、格別な美しさが感じられるのである。鉄道模型でも蒸気機関車は特別な存在である、煙を吐き、サウンドを響かせて走る蒸気機関車を眺める楽しさは、電機にはない。
蒸気機関車まで手を出したら、いよいよ鉄道趣味に際限がなくなるので、私は長らく深入りするのを避けてきたが、最近いろいろな蒸気機関車のモデルを見ているうちに、興味をひかれるようになってきた。そんな中で購入したのが、この一冊である。

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Eisenbahn Journalのこの特集号は、いわゆるNeubaulokを特集したものである。これは戦後、ドイツ連邦鉄道DBが、DRG時代から活躍する蒸気機関車を置き換えるために開発した機関車を特集したものであり、具体的には10形、23形、65形、66形、82形を紹介している。これらの機関車には、ネジを用いない、溶接で製造された罐をはじめ、様々な新技術が応用され、従来の機関車にない高性能を実現した。しかし、すでに蒸気機関車の時代は終わりつつあった。唯一23形は105両が製作され、蒸気機関車の時代が終焉を迎えるまで活躍したが、その他の機関車は製造両数も少なく、活躍期間もわずかであった。

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そんなNeubaulokを紹介した本書は、比較的オーソドックスな構成となっている。巻頭に現役時代の姿をとらえたグラフを配し、開発の経緯や新技術の内容を貴重な写真とともに紹介している。図面や、完成当時の形式写真も豊富に収録し、それらを眺めるだけでも大いに参考になる。詳細な諸元表はもちろん、機関車の価格まで掲載されているのは興味深い。

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運用に関する記載はこの本の中でも最も素晴らしい部分かもしれない。運用全般の概説に続いて、機関区ごとに配置車両の変遷を詳細に記している。例えば、23形がF-Zug "Rheingold"や"Lorely-Express"を牽引していたことなど、大変興味深い。急行用の10形は実働年数が約10年、どんな運用に就いていたのか、興味を持つ向きも少なくないだろう。
ところで、運用の項を読んでいると、特に23形は配置機関区がこまめに変わっており、電化の進展に伴い、蒸気機関車の活躍する範囲が次第に狭まっていく様が伝わってくる。Neubaulok達が本来期待された活躍を十分できなかったのは何とも惜しいことである。

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各形式の保存機の現状についても紹介されている。比較的車齢が若いこともあり、23形などは動態保存されている機関車も少なくなく、これらが走る姿を眺めたい向きには大いに参考になるであろう。しかし、DBが製造した最後の機関車23 105はNuernbergのDB Museumの火災で大きな損傷を受けてしまったが。

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最後に各ゲージ、各形式の模型についても触れられている。

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01や03、あるいは44など、DRG時代から活躍する機関車を差し置いて、とりあえずNeubaulokに注目した理由は・・・・察しの良い方には分かってしまうかもしれない。実はDVDも発注してしまった。そのうち、これらの資料を元に、RiGでも蒸気機関車を少しづつ紹介したいと思う。
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hikari

HUHさん、おはようございます。

ということは、DVD以外に… 銀色と黒のセットを注文されたとか?

私は10型がツボなので、この本欲しくなりました。
10型はZでは持っていますが、H0はカタログ落ちしているので残念です。
H0の蒸気も「一期一会」で買っておかないと後悔しますよね。
私も103電機はほぼ欲しいバリエーションが揃ったので、これからは…
by hikari (2009-10-26 08:21) 

Akira

HUHさん、おはようございます。

早速お輿入れの準備開始ですね。23形は侮れないです。Ep.III時代は、F-ZugのRheingoldやLorereiを牽引していたという話は聞いていますが、画像を見たことがないので、その本に出ているなら是非見てみたいです。それを見てしまうと、きっと再現してみたくなり...23形の重連とかしたくなってきたりして...あぁ、地獄にまた一歩...。
by Akira (2009-10-26 09:58) 

HUH

hikariさん
へっへっへ。銀と黒、良い組み合わせですよね。
今度お会いする時に、この本を持参しますので、10形の情報収集をしてください。10形も良いんですけど、私個人は試作的要素の強い車両ではなく、何処にでもいる、という類の車両が好きです。Neubaulokについていえば、やはり23形ですね。

Akiraさん
Loreley-Expressを牽引している大きな写真が掲載されています。ただし、重連ではなく、単機です。思わずLoreley-Express客車を探し始めた私・・・・。Rheingoldも、F21を牽引している写真なら収録されています。
それにしても、23形って、本当に良いですね。
by HUH (2009-10-28 00:24) 

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