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20 Jahre InterCityExpress (BahnExtra 6/2004) [ドイツ鉄道 書籍]

ドイツの鉄道関連書籍の主要出版社のサイトは時々確認し、ICE関連の書籍は殆ど逃さず購入している。とはいえ、入手して大変満足できるものもあれば、逆もある。GeraNova社のBahnExtraシリーズは2カ月に1回の割合で出版される雑誌で、一つのテーマに特化して豊富な美しいグラフと程良い解説を収録し、よく購入するが、2004年末のICE特集号には購入当初はあまり満足できなかった。しかし、最近になって見直してみると、BahnExtraらしい、実によく出来た一冊であることを感じた。

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ドイツの鉄道誌といってもEisenbahn JournalやEisenbahn Kurierはニュースや解説記事、さらに模型関連の記事が多い。日本で近いのは、鉄道ピクトリアルあたりかと思う。資料的価値は大変高いのであるが、写真の質はいま一つという感もなくはない。そんな中でBahnExtraは写真が豊富で、2ページを大胆に占める美しい写真も少なくなく、鉄道グラフ誌とも言いたくなるよう特異な性格をもつ。

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他の雑誌なら、巻頭でICE開発に至るまでの鉄道高速化の歴史を叙述するところだが、このBahnExtraのICE特集号は、ICE 3のコックピット物語から始まる。ある日のICE 610、Stuttgart→Mannheimまでの様子を記録しており、ICEの日常が伝わってくる。

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ICEの変遷に関連する様々なグラフが続いた後、ICE-Vの解説である。しかし、この本に共通していることであるが、車両解説は一車両で4ページ、記述内容も比較的浅く、資料的価値という点では他に劣る部分がある。ICE-V車両解説に続く年表にしても、細かい記載は避けている。

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しかし、重ねて言うが、この本は本質的にグラフ誌なのである。次のICE工場の章はそのことを再認識させてくれる。ICE車両の工場整備の様子を写真を中心に簡潔にまとめている。車内でこれを読んだら、ICE車両が如何に整備されているか、乗客にも伝わり、良い宣伝になると思う。

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ICE 1、ICE 2と車両解説が続いた次には、この本らしい、デザインに関連した章が続く。Alexander Neumeisterの簡単な略歴と共に、様々なモックアップの写真やデザイン画を掲載している。それらを眺めていると、このデザイナーの発想の自由さ、多彩さが伝わってくる。現行のICE 3が霞んでみるほどに、様々な案が出されては消えていき、その過程の先に現在のICE 3があることが理解できるのである。

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ICE-Sや高速新線、ICE-T、ICE-TDの解説の後は、Eschede事故をはじめとするICEの事故・トラブルにもページを割く、負の面にもきちんと触れる辺りはドイツの鉄道誌らしい。ICE 3の車両解説の後は、この本を特徴づけるカラー・モノクロの美しいグラフが並ぶ。

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この雑誌に、ICEの歴史と技術をまとめた資料としての存在を求めると失望すると思う。しかし、ICEの日常を紹介する読み物という視点では、私はこれ以上のものは思い浮かばない。暇な時にパラパラ眺めたり、あるいではベットで寝る前に見るには、実に楽しい一冊であり、ICEの魅力を十分に堪能できることと思う。
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