SSブログ

S-Bahnの世代交代~見えてきた420形の引退 [ドイツ鉄道 電車]

ドイツ大都市の住民の足、S-Bahnで世代交代が進んでいる。1970年代からS-Bahnの中心として活躍してきた420形はMuenchen、Frankfurt/M、Stuttgartと、観光客が訪れる機会の多い大都市で活躍してきただけに、我々にも馴染み深い形式である。際立った特徴があるわけではなく、デザインも車内設備もシンプルにまとめられているが、それが親しみやすさを生んでいるのかもしれない。しかし、その420形の活躍がいよいよ狭まってきた。そこで、420形の現状と将来を、地域別にまとめてみたい。

essen27.jpg


●S-Bahn Muenchen
420形の後継車、423形はMuenchen地区に優先的に投入され、2004年12月を以て420形は引退し、423形に統一された。ただし、420 001編成がライトグレー地にオレンジ色のS-Bahn塗装で美しく動態保存されており、イベントなどで活躍する姿が見られる。

mu10.jpg
S-Bahn Muenchenの主役423形


●S-Bahn Stuttgart
Stuttgartにも423形が投入されたが、編成数としては420形の方が多いこともあり、現在も420形が中心的な存在である。更新車ET420PLUSも登場し、当面、420形の活躍が続くものと思われたが、更新車は2編成が登場したのみであり、今月5日にDBとBombardier/Alstomから、S-Bahn Stuttgart用の新型車両が発注されたことが発表された。
新型車両は430形を名乗り、422形の改良型で、83編成が導入される。4車体連接構造で、1車体辺り片側3扉は423形と同様である。納入は2002年2月から12月の間に行われる予定で、420形が一気に置き換えられることになりそうである。

Bombardier プレスリリース
完成予想図を見ると、430形は正面の前照灯周囲の処理に特徴がある。現在発注されているICE 3の改良型でも感じたが、このようなスタイリングが流行しているのであろうか。


●S-Bahn Rhein-Ruhr
現状で、420形が最後まで残りそうなのはこの地域である。数では87編成を数える423形にかなわないものの、420形も約60編成が残存しており、行先表示やライトのLED化など近代化工事も行われている。他地域と異なり、後継車両も未だに発注されておらず、向こう数年間は安泰であろう。


●S-Bahn Rhein-Ruhr
ドイツ有数のS-Bahnネットワークを誇るルール地方では、長らく客車編成のS-Bahnが活躍してきた。これらの客車は以前に紹介した。
S-Bahn x-Wagen

xwagen1.jpg

423形も投入されたがこの地域での活躍は限定的であり、車両不足を補うため2004年からは420形転入してきたが、客車編成が大多数を占める状況は変わらなかった。しかし、2008年11月から営業運転を開始した422形は、客車編成と420形を全て置き換えるべく、現在大量増備が行われており、2011年末までに116編成が導入される予定である。すでに422形は30編成を数え、活躍の範囲を急速に広げている。(422形は近々RiGで正式に紹介する。)
S-Bahn Rhein-Ruhrが422形と423形に統一される日は近い。


以上、S-Bahnの世代交代の現状を概観した。老朽化の隠せない420形の交代は一般的には喜ばれるだろう。しかし、私がドイツに住んでいた頃は420形が切手の図案であり、ともするとユーモラスにも見える顔に何ともいえない親しみを覚えたものである。その420形の引退がいよいよ迫り、寂しい限りである。


420形 / RiG
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-420.htm
nice!(0)  コメント(5) 

nice! 0

コメント 5

だんきち

さすがに無くなる方向が見えてきましたか。
新しい車両だとまだ10年少しくらいのはずですが、個人的にはちと残念。

ただ、正直いって、夏の地下線でこれに乗るのは非常につらいものがあります。妙に風通しが悪くておかしな匂いが滞ってる車両も多いし。
せめて冷房がついてたら長寿できたでしょうにねぇ。
by だんきち (2009-05-13 17:38) 

HUH

ET420PLUSが登場した時には、これで420形も延命かな、と思いましたが、お金をかけて更新するくらいなら新車を入れた方が良い、ということなのでしょう。
S-Bahnの客車も同様に空調装置がなく、秋口に乗った時の経験ではなんとなく異臭はするし、乗っているだけで肌がべとつくような不快感がありました。日本に比べたら遅れているとはいえ、ドイツでも空調付の車両が標準となる中、420形は役割を終えようとしているのかもしれません。
でも、あの愛嬌のある顔は捨てがたい魅力があります。Stuttgartで3本を連ねた編成もみられますが、なかなかの迫力。模型でも再現したいものです。
by HUH (2009-05-13 22:00) 

abe

形はとても趣きがあるのですが、あの臭いがちょっと敏感な私にはNGです。
なんの臭いでしょう。模型では再現はしたくないですね(w
by abe (2009-05-13 22:22) 

HUH

確かに不思議な、嫌な匂いですよね。カビ?何なのでしょう。
模型で再現できたら面白いですが、、、、運転したくなくなりそうです。
by HUH (2009-05-14 22:18) 

klaviermusik-koba

420もそろそろ引退ですか。こういう通勤車は車齢が短いですね。日本でもそうですが、リサイクルして何度も使おう、というやり方はドイツでも当然考えられているでしょう。

におい、というのは確かにどの国、どの車両、でも独特なものがあり、実際気になるのは、考えてみるとスタイルの次、くらいかも知れません。面白い発想ですね。
by klaviermusik-koba (2009-05-21 07:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。