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DB Baureihe 481 Berlin S-Bahn [ドイツ鉄道 電車]

Berlinの新しい繁華街、Potzdamer Platz ポツダム広場。S-Bahnのホームから地上に上がると、正面にはBahn Tower (DB本社)がそびえる。そして、賑わう広場を抜けると、まもなく金色の建物が見える。フィルハーモニーである。私は2005年、2006年とここでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴く機会に恵まれた。2005年はブルックナー交響曲5番(ティーレマン指揮)、2006年はマーラー交響曲2番(ラトル指揮)、いずれも今でも忘れられない名演であった。そのベルリン・フィルが今日から日本ツアーを行っている。早速、ミューザ川崎シンフォニーホールで、ツアー初日の公演を聴いた。ハイドン交響曲92番、マーラー「リュッケルトの詩による5つの歌」、ベートーヴェン交響曲6番「田園」という曲目、指揮は音楽監督ラトル。感嘆する他ないアンサンブル、美しい音色、特にソロの素晴らしさといったら・・・・、ハイドンの交響曲に目覚め、「田園」ってこんなに素晴らしい曲だったんだと再発見し、心が揺さぶられ続けた2時間であった。

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余韻の残る今夜は、Berlinの顔、Berlin S-Bahnの481形を紹介したい。

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Berlin S-Bahnは直流750kV、第三軌条方式を採用しており、他のDB路線とは独立している。Berlin都市圏に300km以上に及ぶネットワークを形成し、15系統の路線が設定されている。
Berlinの分断の影響もあり、 S-Bahnは近代化から大きく取り残され、1980年代後半に西側が480形、東側が485形をそれぞれ独自に開発したものの、戦前に製作された車齢50年以上の車両も多く残り、1994年4月の段階でも、480形76編成、485形166編成に対し、1928年製の475形が135編成、1936年製の477形が204編成も活躍していた。ドイツ統一後、新生ドイツの首都となったBerlinの都市交通の整備のため、Berlin S-Bahnの近代化は急務であった。そして、旧型車を一斉に置き換えるために大量に増備されたのが481形である。

481形は1993年にまず100編成が発注され、その後も追加発注が続けられ、500編成弱を数えるまでになった。2004年まで製造が続けられたため、担当メーカーもAEG、DWAから合併を経てAdtranz、Bombardierと移り変わっている。先頭車481形と中間車482形を組み合わせたBo-2 + Bo-Boの2両編成が基本的な編成単位で、2編成を中間車同士で連結した4両編成を"Halbzug"(半編成)、このHalnzugを2本つなげた8両編成での運用が基本である。(一部では4両編成の列車も存在する。) この2両編成バージョンは494編成存在するが、このほかに4両貫通編成も3編成製作された。
出力200kWの三相誘導電動機が先頭車に1台、中間車に2台搭載され、編成出力は600kWで、性能上の最高速度は100km/hであるが、運用上は最高80km/hに抑えられている。加速性能は1.0m/s2と、都市電車らしい性能である。車体長1両17,700mmと小振りな車体に片側3扉が設けられ、車内は固定クロスシートが基本だが、車端部はロングシートで、さらに自転車搭載も考慮し一部が折りたたみシートとなっている。座席定員は2両編成で94席、立客定員は200名である。481 001では1等車が設定され、481 002では木製シートが試されたが、現在は2等車のみの設定で、シートは通常のモケット地になっている。

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481形の塗装は、当初はシルバーに正面窓周りや幕板部を青色とした斬新なものが計画されていたが、結局採用されたのは黄色地に正面窓周りや幕板部を赤色としたものであった。しかし、481 225からBerlin S-Bahnの伝統を意識した、車体下部を赤色とした塗装が採用され、旧塗装の車両も順次変更されている。
481形は現在はBerlin-Wannsee (BWSS1)とBerlin-Gruenau (BGAS1)の2車両区に配置され、事故廃車などもなく、全車が元気に活躍している。DBは480形や485形を置き換えるため、481形に改良を加えた新型車両の導入も計画しているが、当面は481形がBerlin S-Bahnの中心選手であることは間違いない。

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革新的な480形に比べ、481形はあまり特徴のない、大人しい顔つきをしている。しかし、Berlinの市民の足を支える縁の下の力持ちには、随分似合っていると思う。伝統のS-Bahn塗装をまとった481形がBerlin中心部の高架線を走る姿は、古さと新しさの混在したBerlinを象徴している。次にドイツに行った際には、この481形に乗ってBerlinの息吹きを感じたいものである。
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熊本センター

こんにちは。ご無沙汰しております。
いつも楽しく読ませて頂いております。

「田園」交響曲はいいですね。私も好きで、模型のICE3を走らせながら、たまに聞いております。

こちら熊本でも珍しく来月「「ベルリン弦楽四重奏団」の演奏会が開催されるのですが、残念ながら開催が月曜日で、さすがに田舎サラリーマンでも月曜はなかなか忙しく、行くことは難しいです…。

欧州では、勤務終了後、夕食を食べてから、演奏会に行かれると聞いていますので、羨ましいものです。
by 熊本センター (2008-11-24 11:20) 

HUH

熊本センターさん
ご無沙汰しています。ヨーロッパはコンサートの開演時間も遅めですから、そういう意味でも夕食を先に食べやすいのかもしれませんね。私は余韻に浸りつつ、アルコールを・・・・というのが好みですが。
私は大学入学後から8年間、三重や茨城に住んでいまして、久しぶりの東京は1年半経ったとはいえ苦手な部分もあるのですが、コンサートが充実しているのはとても魅力的です。
それと鉄道環境が良いのも長所ですね。いずれも財布には厳しいですけど。
by HUH (2008-11-25 23:31) 

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