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DB Baureihe 402 / ICE 2 [ドイツ鉄道 電車]

現在のドイツ鉄道の長距離輸送の中心はICEであることに異論はないだろう。そのICEの中で最も地味な存在なのはICE 2なのではないだろうか。
ICE 2の写真を初めて見たのは鉄道ファンの1995年10月号であった。しかし、動力車の外観はあまり好きにはなれなかった。ICE 1の先頭部はややスカートが大きく、ずんぐりとした印象はあったが、優しい顔立ちは私好みであった。ICE 2は先頭に連結器が設けられた関係でライトの位置がICE 1に比べ高くなっただけなのであるが、目付きが鋭くなったような、そんな違和感があった。ICE 2の営業運転はそれでも興味はあったが、ICE 1程の愛着は感じなかった。

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2005年に20年ぶりにドイツを訪れた際、BerlinからWolfsburgまでICE 2に乗車した。Berlin Spandauからは高速新線に入り、列車は250km/hまでスピードを上げた。しかし、トップスピードになっても動力集中式だけに客室内は静かそのもの、そして揺れが少なく、素晴らしい乗り心地であった。高速走行時に細かい振動が感じられたICE 1とはかなりの差で、本当に驚いた。この時からICE 2の印象が変わった。翌日にはDuesseldorf→Bielefeld、翌々日にはHerford→Duesseldorfとルール地方の中の短距離ながらICE 2を利用し、愛着も感じるようになった。
2006年にはBerlinで何本かのICE 2を目撃した。ベルリン市内の高架線を、2編成併結した長いICE 2がゆっくりと走る姿はまさに王者の貫禄、ドイツの首都の主役であることを感じた。Duesseldorfでビールをしこたま飲んでEssenに戻る際、寝過ごしてBochumまで行ってしまったことがあったが、その時にすぐに入線して来て救ってくれたのが、Berlin発のICE 2であった。帰国する時にはICE 2はすっかり好きな車両になり、程なくして模型を集めることとなった。

ice2.jpg

ICE 3は国際運用に対応する必要もあり、車体幅がやや狭く、丸みを帯びている。それに比べると、ICE 2の車体断面は四角に近い。格好良いのは流麗なICE 3だと思うが、貫禄という点ではICE 2に軍配を上げたい。
先頭部は前述の通りスタイリッシュとは言い難い。ICEシリーズの中でも、連結器を優先した、いかにも機能的で、面白みのない顔付きだ。しかし、よく眺めると、なんともユーモラスだ。
Akiraさんによると、先頭動力車と制御客車の車体断面が異なり、担当デザイナーはそれらが共通のイメージとなるように、デザインにはかなり苦労したらしい。この点は、デザイナーの努力が実ったのだろう、動力車も制御客車も前から見ると同様のイメージである。

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車内もICE 2は目立つ点が少ない。ICE 1の特徴であった屋根の高いBordRestaurantは、通常の高さに戻された。客室の色使いも全般にオーソドックスになり、コンパートメントは廃止された。座席の厚さやシートピッチが調整され定員は増えたが、乗客一人一人にとっては、必ずしも望ましい変化ではなかった。
技術的にはICE 1がベースとなっていることは間違いないが、地味ながらも、重要な改良点は少なくない。乗り心地の点でICE 1は難があったが、ICE 2は台車がコイルバネから空気バネに変更されたSF400型台車を履き、乗り心地は大いに改善された。ICE 3のSF500台車も基本設計は同じである。そして、連結機構は以降のICEシリーズに引き継がれ、柔軟な運用を可能にした。

ICE 2にも問題とないわけではない。特に2編成併結時の走行には制約が大きい。先頭動力車同士を連結するとパンタグラフが近づきすぎるため避けられているし、区間によっては制御客車を先頭に走る場合は最高速度が制限される。2編成の併結の向きを常に考慮する必要があるため、運用の柔軟性が削がれてしまっているのだ。
しかし、ICE 1で培われた技術を基に製作されたためか、ICE 2はトラブルが少なく、極めて信頼性が高い。少なくとも運用を離脱するようなトラブルは聞いたことがない。さらに、ICE 1が運用から外れた際には、ICE 1用の先頭動力車401形の代走を、ICE 2用の402形が務めることも少なくない。そう、実に頼もしい存在なのである。

ICE 2は44編成存在する。運用の中心はBerlinとルール地方を結ぶICEである。Berlinから2編成併結で走り、Hammで2本に分かれ、1本はEssen、Duesseldorf経由でKoeln/Bonn空港、もう1本はWuppertal経由でKoelnを目指すのが基本パターンである。1時間間隔で運転されるこの系統は、工業の中心ルール地方とBerlinを結ぶ大幹線で、利用客も多い。それだけでなく、ルール地方域内や、Berlin-Wolfsburgといった短距離の利用客の姿も目立ち、いつも混雑している。この他にもHamburgまたはBremen発の列車がHannoverで連結されMuenchenを目指す系統もある。ICE 2は併解結可能な構造を活かし、ドイツ鉄道の長距離輸送において極めて重要な役割を演じているのである。

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ICE 2は2025年頃までの仕様が見込まれている。今後のICE 2の活躍に期待したい。

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ICE 2
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-ice2.htm
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コメント 2

ゆけむり

こんばんは。
こちらでは初コメントになると思います。w

私もICE2の機能性が好きですよ。
分割・併合できる点は東日本のE4系等と共通ですし。

ドイツへ行ったことがないので実車を見たこともありませんが、
You Tubeで3枚目の写真のように
連結器カバーを開けっ放しにしているところを見て、
「なんか愛嬌ある顔だなー。」
って思うようになりました。

この状態をメルクリンで再現したいのですが、
どう見ても改造が必要そうですね。
十分に腕を磨いてから挑戦したいと思います。
by ゆけむり (2008-10-23 02:30) 

HUH

ゆけむりさん、こんにちは。
ICE 2の2編成併結はとても貫禄がありますから、模型でも再現したいものですね。私はフライシュマンとメルクリン(スタートセット)で持っていますが、フライシュマンはともかく、スタートセットのメルクリン製品は連結は難しそうです。フライシュマンのICE 2をもう一編成買って、交流しように出来ないかな・・・・・

ICE 2は短編成もも良いので、模型向きといえるかもしれませんね。
by HUH (2008-10-25 01:31) 

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