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8月22日 上本町→鳥羽→賢島 [紀伊半島 鉄道旅行 2008]

6時30分に起床する。昨夜の串カツは美味しかったが、やはり食べ過ぎた。胃がもたれている。食欲がわかないが、せっかく朝食付で予約したのだから、と朝食バイキングに向かった。食べ物を前にしたら食欲も少しはわいてくる。和洋折衷の朝食を少しづつ楽しみ、部屋に戻って慌ただしく準備して出発する。
7時30分過ぎに上本町駅の地上階にある特急券売り場に行き、インターネットであらかじめ購入しておいた特急券を受け取る。これから乗車する特急は上本町始発、難波線の地下ホームではなく、この地上ホームから発車する。ちょうどラッシュの時間に差し掛かり、次々と急行や普通が停車し、その度に多くの乗客が下車していく。乗車する7時50分発の鳥羽行はすでに入線していた。私が好きな22000系(22402 - 22302 - 22202 - 22102) ACEの4両編成である。複雑な連結機構を上手く処理し、従来の近鉄特急のイメージを昇華させたエクステリア、変わった設備はないが、やや固めで座り心地の良い腰掛、落ち着いたインテリアは何時も感心する。いわゆる汎用特急車としてこれ以上の車両は思い浮かばない。写真を撮って、指定された4号車11番席に腰を落ち着ける。車内は3、4割程度の乗車率、平日とはいえ夏休みシーズンで、家族連れの姿が目立つ。

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7時50分定刻に発車、独特のインバーター音を響かせて、上本町を出発すると、地下から上がってくる難波線と合流すると鶴橋に到着する。鶴橋駅の狭いホームは何時も混雑している。周囲を囲むコリアンタウンの看板と合わさり、独特の雰囲気だ。学生の頃に大阪に来ると、ここで韓国海苔巻を買い、車内でビールと共に食べるのが楽しみであった。鶴橋での乗車は多く、8割方の座席が埋まったようだ。
鶴橋を出発すると布施までは複々線区間となる。外側は奈良線、こちらは内側線を走行する。布施で右に大きくカーブし、奈良線と別れる。しばらくは市街地の中の高架線を走る。左側に標高の低い山が連なるのは、私には如何にも大阪らしい光景に思える。八尾の先で地上に降りると、河内山本を通過する。この駅からは信貴山への参詣路線である信貴線が分かれており、私も乗車したことがある。河内山本の先で右の大きくカーブすると高安である、高安には車両基地があるが、さすがに平日の朝に休んでいる車両は少ない。細かい速度制限区間が多いのか、電車はこま目に加減速しながら走る。
関西本線(大和路線)をオーバークロスし大和川を渡ると、住宅ばかりが目立った車窓は緑が多くなる。生駒方面に連なる山々を眺めながら河内国分を通過すると、山並みが迫り勾配が続く。

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路線改良のあとがある大阪教育大前を通過し、新玉手山トンネルを抜けると奈良県である。車窓には田畑が目立ち、すっかりのどかになった。右手に、二上山が現れる。JR和歌山線をオーバークロスし、右手に車庫が見えると、五位堂である。五位堂検修車庫が併設されており、近鉄大阪線の拠点となる駅である。一部の特急が停車する大和高田を通過し、松塚を過ぎると橿原市に入る。左から京都方面への連絡船線が合流すると大和八木に到着する。大阪線ホームは高架で、地上の橿原線をオーバークロスしており、乗り換えは非常に便利だ。ホームの反対側には普通列車が接続している。
大和八木を出発すると、程なくして耳成山が間近に迫る。この辺りは大和三山が近い。速度制限を受けて減速、桜井線をオーバークロスすると、桜井駅を通過する。ここは今も昔もスピードアップのネックなのだ。大和朝倉からは33パーミルの勾配が続く区間となる。しかし、22000系は全電動車、1両あたり135kWの主電動機を4台搭載する。おかげで33パーミルでも120km/h走行が可能だ。その力強さは如何にも近鉄特急らしい。車窓の左手は杉林、その先の谷底には農村が広がる。まだ大阪を出発して30分程、というのが信じられないくらいに、のどかな光景が広がる。長谷寺を通過、一瞬見えるはずのお寺は見逃してしまった。

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榛原トンネルでサミットを越え、下り勾配に入る。トンネルを抜けると、榛原を通過する。榛原は山の中の小都市といった風情か、国道に沿って大型商業施設が立ち並んでいる。電車は33パーミルの下り勾配を抑速ブレーキを効かせながら軽やかに下っていく。赤目四十八滝への下車駅である赤目口を通過すると車窓には住宅や大型スーパーが目立ってくる。まもなく名張に到着する。
名張はこの地域の中心、下車客も少なくない。運転上の拠点でもあり、ここで分割併合を行う列車もある。名張を出発すると、まもなく整然とした住宅地が広がる。1960年代から近鉄が造成したニュータウン、桔梗が丘住宅地である。桔梗が丘駅前には近鉄百貨店も立つ。朝夕の一部特急は通勤者の利便を図るため桔梗が丘にも停車するが、この電車は通過する。美旗を経て、伊賀神戸を通過する。ここは伊賀上野に向かう旧近鉄伊賀線の伊賀鉄道が分岐するが、ホームには伊賀鉄道の車両は停車していなかった。車庫を併設する青山町を通過すると、電車は布引山地に分け入り、再び上り勾配区間に入る。国道が並行しており、深い山林の中に時々集落がみられる。力強く勾配を上りながら人気のない西青山を通過すると、下り勾配となり新青山トンネルに入る。このトンネルは全長5652mと大手私鉄最長、一直線の下り勾配である。22000系ではGTOサイリスタが採用されており、インバーター音がうるさいと言われることも少なくないが、勾配区間での走行音は迫力があり、私は好きである。青山トンネルを抜けると、すぐに垣内トンネルに入る。トンネルを抜けると東青山を通過する。この辺りは青山高原の深い山林の中を走るが、東青山駅前には東青山四季のさとと呼ばれる公園が広がっている。この後も勾配とトンネルが続く。近鉄大阪線の東側は峠越えが続き勾配が多いが、山の中でも極力直線的に路線を通してあり、大出力のモーターを積んだ車両が最大33パーミルの勾配を高速で走行する。これは近鉄ならでは魅力であろう。左手に青山ウィンドファームの風力発電所が見える。減速するとまもなく、巨大なサモトラのニケ、ミロのヴィーナス、自由の女神が無造作に並ぶルーヴル彫刻美術館が現れ、榊原温泉口に停車する。温泉街まではバスで15分ほど、駅前で温泉を思わせるのは、旅館の看板くらいだ。
榊原温泉口ではほとんど乗降はない。出発すると、程なく勾配区間が終わる。車窓からの風景はで田畑がまだ多いものに、住宅や商業施設も増えてくる。右に流れる雲出川が近づいてきて、伊勢石橋の先で川を渡る。この辺りは右手に名松線が走っているはずだが、あちらは2時間に1本、その姿を見ることは少ない。

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雲出川が左から近付いてくると電車は減速する。名古屋方面への連絡線が左へと分岐する。

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ゆっくりと右に急カーブを切りながら近鉄名古屋線に合流、伊勢中川に到着する。
伊勢中川は名古屋線と大阪線、山田線があつまる拠点駅で、構内は広い。中川を出発した直後に、ホーム向かい側に名古屋行特急が到着してきた。名古屋・大阪間には1時間に鶴橋・名古屋ノンストップの甲特急1本、主要駅停車の乙特急1本が運転されているが、この中川での絶妙な接続により実質もう1本の特急を追加し、1時間に3本の特急を確保している。中川から松阪までは昨日も乗車した区間である。電車は平坦な区間を快走し、一旦オーバークロスした紀勢本線が右から近付くと松阪駅に到着する。中川からわずか6分である。
松阪を発車し、東松阪で左にカーブすると直線が続く区間である。田畑の中の平坦な区間をトップスピードで快走する。この辺りは特急は130km/hまで許容されている区間、眩しい緑色の稲穂を眺めながらの、気持ちの良い走りだ。

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櫛田の先で櫛田川を渡る。斎宮は古代に伊勢神宮に使えるために内親王や女王から選べれた斎王の住んだ場所とされ、駅前には博物館もある。その次の明星は車両基地が併設され、構内は広い。小俣を過ぎると築堤を駆け上がり、水の綺麗な宮川を渡る。

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宮川を渡ると伊勢市の市街地に入る。減速し、急カーブを曲がりながら宮町を通過する。宮町駅から小さな路地を抜けた先には、学生時代に合わせて半年以上実習で通った三重県でも有数の大きな病院がある。馴染みのある風景の中を眺めていると、右から参宮線が近付く。並走しながら伊勢市内をゆっくり走り、まもなく伊勢市に到着する。
伊勢市は伊勢神宮の外宮に近く、下車客も多い。JRの快速みえも1時間に1本停車し、JR側は伊勢車両区もおかれ構内は広く、多数の気動車が停車している。しかし、利用客は近鉄がJRの約7倍である。伊勢市駅を発車すると高架を登りながら右に急カーブを曲がり、駅舎が登録有形文化財に指定されている宇治山田に停車する。東武浅草駅と同じく久野節設計の貫録のある駅舎は伊勢神宮への玄関駅にふさわしい。伊勢観光の拠点駅で、バス路線も多くはここから発着しており、車内は一気に空いた。宇治山田も慌ただしく発車し、山田線から鳥羽線に入る。伊勢の市街地を後に小さなトンネルを抜けると、すぐに減速、今度は五十鈴川に停車する。ここは伊勢神宮の内宮に近いが、実際には宇治山田からバスに乗る人が多いようで、下車客は少ない。
五十鈴川駅を出発すると、内宮へと続く道を越え、五十鈴川を渡る。

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伊勢神宮の鬼門を守る寺として名高い金剛證寺のある朝熊山への登山口がある朝熊を通過し、朝熊山中の深い森の中を走る。時々、林道のようなものがみられるが、人気はほとんど感じられない深い森が広がる。勾配が続くが、カーブは少なく、電車は高速で快走する。左手に伊勢湾が見えてくる頃、池の浦を通過する。一旦参宮線をオーバークロスし、その参宮線が右に寄り添う頃と入り江沿いにカーブが続く区間をゆっくりと走る。左には美しいリアス式海岸が広がり、ホテルや旅館が立ち並ぶ後継は壮観だ。まもなく、鳥羽駅に到着、9時49分定刻、この電車の終点である。

ホームの向かい側には名古屋発賢島行の特急が停車している。12200系の4両編成 (12246 - 12146 - 12046 - 12346)である。

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すぐに乗り換えると、一呼吸置いて9時51分鳥羽駅を発車する。名古屋または大阪から伊勢志摩への特急は、1時間に1本が賢島行、1本が鳥羽行であるが、それぞれ鳥羽止まりの列車は鳥羽で賢島行への接続が図られており、名古屋・大阪いずれからも賢島まで実質的に1時間2本体制を維持しているのである。この近鉄特急のダイヤ編成の巧みさには感嘆するばかりだ。空いている車内にゆったりと腰を下ろす。鳥羽水族館やフェリー乗り場を左手に見ながら中之郷を通過する。

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ここからは単線区間となる。次の志摩赤崎では特急との離合のため、しばらく運転停車する。志摩線の前身は志摩電気鉄道、線形が良いとは言いがたく、この辺りでは加茂川の入り江に沿って急カーブが連続し、スピードは上がらない。船津からは複線となるが、スピードは相変わらずだ。待避線のある白木を過ぎると、スピードは一気に上がる。路線改良が進み、130km/h運転も行われている区間である。しかし、青峰トンネルを抜け五知を通過すると再び急カーブが連続し電車のスピードは落ちる。山の中をゆっくりと進む。ちょうど、各所で稲刈りが行われている。

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上之郷を通過すると、再び単線となる。まもなく市街地が広がると志摩磯部に到着する。
志摩磯部駅は志摩スペイン村へのアクセス駅であり、駅舎もスペイン風であるが、現在は接続バスはなく、鵜方が接続駅となっている。そのためか下車客は少なく、すぐに発車する。再び複線となり、路線改良の跡が残る穴川を通過すると市街地に入っていく。1ヶ月間実習で滞在した病院の建物を見ながら志摩横山を通過すると、志摩の中心、鵜方に到着する。
鵜方は各方面へのバスが発着し、また三重県庁志摩庁舎が置かれるなど、この地域の行政の中心でもある。ここで大半の乗客が下車した。
鵜方を発車し、志摩神明の先で国道と寄り添いながら英虞湾の水道を渡る。

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まもなく終点、賢島に到着する。10時20分定刻である。
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